「性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)が生物多様性を維持する」というタイトルの論文を京都大の講師が英科学誌に発表し、ネット上で批判があがる騒動となっている。論文では生態学の専門用語として使っており、社会問題のセクハラとは無関係だが、講師と科学誌は論文タイトルの変更を検討している。 今回の論文における「性的嫌がらせ」とは、同じ種類の生物で、オスがほかのオスの交尾をめぐる行動を妨害するような性質を指す。こうした性質は、同種類の生物の個体数の増減に関わる。だが、多様な生物が共存する自然界全体への影響はわかっていなかった。 論文は、数百種類の生物が性的嫌がらせの影響で長期間共存できることをシミュレーションで示した。英科学誌電子版に11月14日(日本時間)、掲載された。 論文のタイトルなどは同誌のサイトで誰でも見ることができ、英語圏のネット上で「不適切を超えている」「常識外れだ」などの批判が続出
小林和也 フィールド科学教育研究センター講師は、性淘汰のうち特に「性的嫌がらせ」(生まれてくる子供の数が減ってしまうかわりに競争相手よりも自分の子供の割合を高める性質)が、生物多様性を維持している可能性を理論的に示し、シミュレーションによってこの理論が上手く機能することを示しました。なお、本研究における「性的嫌がらせ」とは、自然界の繁殖行動上の現象を示す生態学の用語であり、社会問題としての「性的嫌がらせ」(セクシュアル・ハラスメント、セクハラ)とは一切関係ありません。 本研究成果は、2018年11月14日に英国の国際学術誌「Journal of Ecology」にオンライン掲載されました。 自然界には多種多様な生き物がいますが、それらの生き物の特徴的な色や形の多くは繁殖に関わる性質です。特に種類を見分けるのに役立つ性質、例えば植物の花の形や鳥の鳴き声は、まさに生物多様性の中心的存在です。そ
■生態学と化学物質とリスク評価 (共立スマートセレクション) 加茂 将史 (著) 生態学と生態リスク評価はだいぶ違うものらしい。本書は基本的にはリスク評価、とくに生態リスク評価の方法の解説であるが、ちょいちょい挟まれる著者の経験が興味深い。著者の加茂将史さんは生態学が専門で理学出身だ。一方で、リスク評価は工学的な考え方をするそうである。 リスク評価は工学の世界で誕生しました.理学者は「飛行機がなぜ飛ぶのか」を知ろうとします.工学者は「どうすればちゃんと飛ぶ飛行機を作ることができるか」を考えます.「なぜ飛ぶのか」といった原理はさておいて,とにかく安全に行って帰ってくる飛行機を作ることが最大の目的なのです.化学物質の影響なんて,細かく詰めていけばわからないことだらけです.わからないことはわからないというべきであって,わからないから研究を行うのである.何か主張したければまず証拠を示せ,というのが
ちいさーいーひごいーは子どもたーちー... 日本に住む私たちからするとビックリですが、オーストラリアでは鯉は嫌われ物なようです。鯉は「オーストラリア最悪の淡水有害生物」と呼ばれており、なんと年間約405億円(3億8000万米ドル)にものぼる被害を生んでいるそうです。 その駆除計画をBarnaby Joyce副首相がつい先日発表し、話題になっています。年間約11億7000万円(1100万米ドル)の予算があてられたその計画ですが、駆除方法はなんと鯉だけがかかるコイヘルペスウイルスを放つというもの。対策本部に参加しているGreg Hunt環境大臣によると2018年末までにはウイルスを放つ計画のようです。 最初にウイルスが放たれるのはマレー川とダーリング川が流れるマレー・ダーリング盆地。オーストラリア政府によるとこの流域は年間数千億円の価値を生み出す貴重な資源となっているそうです。この流域に生息す
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