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野村総合研究所(NRI)とBIPROGY(旧日本ユニシス)は銀行向けの勘定系システム事業で業務提携している。NRIが自社ブランドの勘定系システムを初めて投入することで、両社の間に隙間風が吹きそうに思えるが、実はそうでもない。同事業を巡って、両社に「すみ分け」があるからだ。 「構想としてはずっと(持っており)やりたかった」。1年半ほど前、NRIが自社ブランドで勘定系システムを展開することを発表したタイミングで、同社の担当者は日経クロステックの取材にこう語っていた。 NRIが2024年7月に投入するのが「NRI BaaS/CORE」。これはクラウド型の軽量勘定系システムという位置付けで、デジタル専業銀行のほか、銀行サービスの提供を目指す異業種企業の採用も見込む。アプリケーションはBIPROGYのオープン勘定系パッケージの「BANKSTAR」を活用し、動作プラットフォームは事業規模やニーズに応じ
経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は2024年7月8日、「デジタルスキル標準(DSS)」を改訂し、バージョン1.2として公開した。DSSを構成する文書のうち、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材に必要なスキルを定義した「DX推進スキル標準」に生成AI(人工知能)に関する記述などが加わった。 バージョン1.2について「生成AIを活用する、および生成AIを組み込んだ製品・サービスを開発する提供する観点から、DX推進スキル標準を改訂した」とIPAは説明する。「新技術に触れた上で、インパクトやリスクを見極める」など生成AIを含む新技術の向き合い方や行動の起こし方を盛り込んだ。 その上で「DXを推進する人材が生成AIの技術要素、関連する法律などを理解し、組織・企業の目的の実現や課題解決に寄与する」など、生成AIを活用したり、開発・提供したりする観点から実施すべきアクションの記載
「AIエージェントはRAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)の次のトレンドだ」。こう話すのは、KDDIアジャイル開発センター(KAG)の御田稔氏だ。同氏は、日本のAmazon Web Services(AWS)のユーザー会であるJAWS-UG(AWS User Group – Japan)が2024年6月18日に開催したイベントを主催。このイベントに、生成AI(人工知能)開発で注目が集まる米Anthropic(アンソロピック)の社員を招いた。 JAWS-UGではAWSのユーザーが有志で集まり、定期的に勉強会を開催している。今回のイベントには、対面とオンライン合計で284人が参加。イベント冒頭、アンソロピックでHead of Technical Education & Enablementを務めるMaggie Vo氏がプレゼンした。Vo氏が所属する
日本気象協会(JWA)と筑波大学は、熱帯・亜熱帯域の情報を用いた日本域における1ヶ月以上先の長期の気象予測手法を新たに開発し、気温などの予測誤差を従来比で20~40%改善することに成功した(図1)。この手法を用いて2023年の月次気温予測を実施したところ、3月の極端な高温や、夏季の記録的な猛暑といった特異な天候も、1年以上前から傾向を予測できたという。 2023年の東日本における月平均気温の予測結果を比較した。赤色の従来手法による予測結果に対し、青色の新手法による予測結果は、黒色の実観測データに近づいている。一方で、月によっては1.5度程度の誤差が生じている点が課題だという(出所:日本気象協会) こうした長期気象予測の結果は、商品の需要予測などに応用できる。例えば、月平均気温が1度変わると、夏季のビール出荷量が約70万~80万ケースほど変化し、アイスクリームや日焼け止めなどの売り上げも10
トラブル対策で万全を期すなら、OSを出荷状態に戻す回復ドライブとは別に、個人データの救出やバックアップのための外付けストレージが必要になる。これは少々面倒だ。「トラブルに備える外付けストレージ」は1つにまとめたい。大容量の外付けSSDやHDDなどを使えばこれが可能(図1)。パーティション(論理ドライブ)を2つ作って、回復ドライブとデータ用ドライブにする作戦だ。 図1 回復ドライブは外付けのSSDやHDDでも作れる。大容量ストレージの場合、余った領域に別のパーティション(論理ドライブ)を作れば、回復ドライブと個人データのバックアップ先・救出先を兼ねた最強の外付けストレージを作れる
横浜市の音楽施設「Kアリーナ横浜」と横浜駅方面をつなぐ歩道橋に設計ミスがあった問題で、橋台の張り出し部の鉄筋が必要量の半分程度しかないことが分かった。設計したJR東日本コンサルタンツの照査体制に不備があったことも判明した。同社が日経クロステックの取材に応じ、ミスの原因を明らかにした。
外資系の大手ITベンダーが提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)はここに来て生成AI(人工知能)を使った機能の提供を相次いで始めている。生成AIを使った要約機能をSaaSの標準機能に組み込んだり、対話型UI(ユーザーインターフェース)の提供を始めたりしている。 こうしたSaaSの動きは「生成AIを業務アプリケーションにどのように適用するのか」と悩んでいる企業の参考になりそうだ。外資系ベンダーが提供するSaaSを通じて、生成AIの業務利用の実態を伝える。3回目の今回はワークフロー管理機能SaaSの米ServiceNow(サービスナウ)の戦略を見ていく。 「生成AI(人工知能)を利用することで、当社のサービスの付加価値が付いている。米ServiceNow(サービスナウ)のSaaSは業務とシステムをつなぐワークフロー管理機能を提供する。ここに生成AIを組み合わせることで大きなメリッ
生成AI(人工知能)のブームで、大規模言語モデル(LLM)を巡る競争が非常に激しくなっている。一方で、LLMを活用したビジネスの開拓はまだこれからという状況でもある。KDDI傘下となった新興のAI関連企業であるELYZA(イライザ)の取り組みから、生成AIの進化の現状とビジネスの方向性を確認してみよう。 日本語で「GPT-4」を超えるLLMを開発 現在は、いわゆる「生成AI」ブームのまっただ中にあるといって間違いないだろう。その火付け役となった「ChatGPT」を提供する米OpenAI(オープンAI)や米Google(グーグル)などAI技術に直接関係する企業だけでなく、ありとあらゆる企業が生成AIに関する取り組みを打ち出してアピールしている。この様子からも、ブームの過熱ぶりを見て取ることができる。 その生成AIに必要不可欠なのがLLMである。LLMの開発を巡ってはオープンAIやグーグルなど
三菱UFJフィナンシャル・グループがシステム関連の新会社を設立する方向で調整していることが2024年7月5日までに日経FinTechの取材で分かった。日本IBMが支援するシステム共同化に参加する地方銀行が利用するメインフレームなどのシステムリソースをまとめて調達し、コストを抑える。 三菱UFJは日経FinTechに対して「地域金融機関のシステム共同化に関して、日本IBMと共に検討していることは事実だ」とコメントした。 地銀と日本IBMは、「共同化の共同化」という構想を推進している。日本IBMが支援する複数のシステム共同化陣営をまたいで、データセンターやメインフレームといったシステム基盤を共同利用する枠組みだ。単一の勘定系アプリケーションを陣営ごとに利用するマルチバンク対応も進めている。 新会社は「共同化の共同化」で重要な役割を担う。メインフレームなどのシステムリソースを調達して、地銀に提供
プログラムコードを書いてくれる生成AI(人工知能)の登場で、ソフトウエア開発の生産性は大きく向上した。その象徴となるサービスが、米ギットハブの「GitHub Copilot」だ。コードを途中まで書くと続きを書いてくれる。開発の生産性向上を重んじる企業では、使っていないほうが珍しいくらいのメジャーなサービスになった。
限られた時間内でプログラミングの問題を解くスピードや正確さを競うのが「競技プログラミング」だ。参加者が問題の解答となるコードを提出すると、正解かどうかがテストケースにより自動で判定される。 競技プログラミングのサービスでは、コンテストで良い成績を取り続けるとレーティング(ランク)が上がる仕組みになっていることが多い。 例えば「AtCoder」という競技プログラミングサービスでは、レーティングを色で表現する。「水色(Bランク)」であればかなり優秀で、そこから上は「青色(Aランク)」「黄色(Sランク)」「だいだい色(SSランク)」「赤色(SSSランク)」になっている。 赤色は全体の1%未満しかいないエリートだ。赤色のレーティングを持つ人を指す「レッドコーダー」という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。 競技プログラミングは基本的には趣味として楽しむゲームだが、実益もある。競技プログラミングの
江崎グリコは2024年7月3日、システム障害によって出荷を停止している一部冷蔵品について、7月16日から順次出荷を再開すると発表した。対象となる商品は「BifiX ヨーグルト」や「幼児のみもの」の各種、一口サイズの「ちょこっとプッチンプリン」などに加えて、キリンビバレッジから販売を受託している「無添加野菜 48種の濃い野菜 100% 1000ミリリットル」などだ。 「アーモンド効果」や「グリコ牛乳」など一部商品の出荷は6月25日に再開した。それでも通常サイズの「プッチンプリン」などは、いまだに出荷を再開できていない。 江崎グリコ広報担当者は「社内では全面再開のめどが立ったが、詳細な回答は差し控える」としつつ、「ステップ・バイ・ステップで再開する」とした。 安定供給を優先し、対象品目数を拡大しながら全面再開につなげる方針だ。
2024年5月、富士スピードウェイ(静岡県小山町)での24時間耐久レースでトヨタ自動車の液体水素エンジン車が幾つかの新技術を搭載して、2年目の大きな進化を見せたのはリポートした通り。トヨタの水素エンジン車としては、2021年から4年連続の24時間耐久レースへのエントリーとなった。その狙いは、あくまでもカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ、CN)で高効率な水素エンジン車を市場に投入することである。 水素エンジン車開発の進捗状況を探るため、筆者は富士スピードウェイのレース会場でトヨタのキーパーソンを直撃した。耐久レース用の水素エンジン開発を担当するトヨタGAZOO Racing Company GRパワトレ開発部主査の⼩川輝⽒だ。同氏は市販予定の水素エンジンの開発も兼務している。話を聞いていくと、驚きの開発実態が判明した。 熱効率は良くないが、「ストイキ」燃焼を有力視している――。一
富士通は2024年7月から企業向けに特化した生成AI(人工知能)サービス「エンタープライズ生成AIフレームワーク」を提供する。同社のAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」の1つと位置付ける。 生成AI関連事業を巡っては、NTTグループやNECなど競合の国内大手も2024年春以降に展開を進めており、日の丸LLM戦線がにわかに激しくなってきた。そんな中、富士通が自社サービスの独自技術としてアピールするのは「ナレッジグラフ拡張RAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)」と呼ぶ技術だ。 大規模なデータを正確に参照できないという通常のRAGにおける弱点を克服し、企業内での生成AIの使い勝手を高められるとの触れ込みである。競争が激化する生成AIビジネスにおいて富士通が浮上する切り札となるか。 ナレッジグラフとRAGを組み合わせる ナレッジグラフ
新型コロナウイルス禍が一服して、東京を中心とした都市圏ではオフィス回帰の流れが顕著になってきた。とはいえ、在宅勤務が定着した今では、テレワークとオフィス勤務の最適なバランスを志向するハイブリッドワークが珍しくない。多くの企業は「社員が行きたくなる」ような新しいオフィスの在り方を模索している。 新しいオフィスの在り方を考える上では、模範となるオフィスを顕彰する「日経ニューオフィス賞」の受賞事例が参考になる。最新の受賞オフィス(第36回、2023年)を見ると、大きく3つのトレンドが読み取れた。いずれのトレンドも、以前から進んでいた傾向ではあるが、新型コロナ禍を経て、より鮮明になってきたように感じる。 1つは、オフィスをコラボレーションの場と捉える企業が増えていることだ。もともとオフィスにおいて、社員のコラボレーションやコミュニケーションの活性化は“永遠のテーマ”だった。これまでにもカフェやラウ
「規格が乱立する可能性がある」 宇宙系スタートアップであるワープスペース(茨城県つくば市)最高戦略責任者(CSO)の森裕和氏は、宇宙ビジネス業界を席巻している米SpaceX(スペースX)が放った新たな“一矢”の衝撃をこう表現する。 一矢とは、SpaceX 社長兼COO(最高執行責任者)のGwynne Shotwell氏が、2024年3月に米国で開催された衛星産業カンファレンス「SATELLITE 2024」で、「我々はStarlink(スターリンク)向けに開発した光衛星通信端末を外販する」と発言したことだ(図1)。
インテルが開発中のガラスコア基板のパネル。Siインターポーザーに代わる技術の開発が盛んになっている(写真:インテル) アドバンストパッケージ(先端パッケージ)である2.5次元(2.5D)実装に欠かせないインターポーザー(中間基板)を不要にしたり、材料を一新したりする動きが本格化してきた。パッケージの大型化が進み、円盤状のウエハーを使うシリコン(Si)インターポーザーは、コストの高さが問題になりはじめた。Siに代わる候補に挙がるのが、有機材料を使った再配線層(RDL)と、ガラスコア基板だ。製造に大型パネルを利用できる生産性の高さを武器にSiインターポーザーの代替を狙う。
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