ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (11)
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これはやばいなあ。現代日本の家族の闇を描いた衝撃作だろう。フジテレビがひっそり流すザ・ノンフィクション﹁漂流家族 竹下家の9年間﹂である。 いろんなところで反響があるようで、id:tada-woさんから録画DVDを借りて見たのだが、絶句してしまった。彼のブログから引用する。非常にうまくまとまっている。 http://d.hatena.ne.jp/tada-wo/20090616/1245138703︵因果鉄道999・埼玉-北海道︵前編︶ - アマルフィ 日和︶ 埼玉県に住む竹下一家。家族構成は父母と6人姉妹︵全員、女の子︶の8人家族。彼らは心機一転として、北海道の浜頓別︵はまとんべつ︶という田舎町で行われる、街の活性化を目的とした本州からの移住計画に参加︵いわゆる田舎で暮らそう、というやつ︶。この計画は、移住して三年の間に、浜頓別に家を建てて定住することが条件で、その間の住居は地元の自治体
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http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top︵﹁グラン・トリノ﹂公式サイト︶ 昨日公開の﹁グラン・トリノ﹂今年ナンバー1映画かも。魂が震えた。 それぐらいすばらしい。なによりも気高さを感じさせる。イーストウッド映画の代表的作品の一つとして記憶されるだろう。 ﹁チェンジリング﹂、硫黄島二部作と大金が動く作品が続いたが、﹁グラン・トリノ﹂はびっくりするぐらいに金がかかってない︵笑︶。有名スターといえばイーストウッド自身であり、あとおもに登場するのはほぼアマチュアのアジア系の若者、それにモン族の人々である。舞台は、デトロイトの元中流階級向けの住宅街であり、貧しい移民が住みついた現スラム地域である。衰退するアメリカを象徴するような場所だ。 ﹁ミリオンダラー・ベイビー﹂以来、久々に俳優イーストウッドが帰ってきたわけだが、これがとにかくすごい。イーストウッ
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ここ最近の海外ニュースでもっとも話題になったブッシュ・シューズ。 後日談がバカバカしくておかしい。 http://news.goo.ne.jp/article/jiji/entertainment/jiji-AFP020471.html︵﹁ブッシュ・シューズ﹂に注文殺到=トルコの製造会社︶ アメリカでももちろんジョークの種にされまくっていて、﹁まったく。あの記者の行為は許しがたい!﹂と切り出しながら﹁……2度も外すなんて!﹂というオチがいい。 しかしびっくりさせられるのがアラブ諸国の反応であって、記者への英雄視はわかるとしても、靴に数億円の懸賞金をかけたり︵なんともアラビア的だ︶、リビアでは記者に勲章を与えるのだという。﹁熱くなりすぎ、お前ら﹂と笑いとばしたくもなるが、熱くならざるを得ないのが中東の現代事情なのだろう。そりゃそうだ。 靴に数億円の懸賞金がかけられたりデモが起きたりと、かりに
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しかし11月になってからワイドショーばかり見ている。 小室、オバマ、大阪の3キロ引きずり轢き逃げ犯︵視聴者の予想を超える犯人のクズぶりに、テレビも発情した犬のように昂奮しっぱなしであった︶と、盆と正月と岸和田のだんじりがいっぺんにやって来たような賑わいを見せていた。 で、バラク・オバマである。アメリカ大統領選挙という﹁篤姫﹂なんか目じゃない超大河ドラマの、しかもすごいラストを目撃したようで、かなり昂奮してしまった。オバマもマケインもドラマ性たっぷりの人物であり、時代の転換を担う若い黒人候補対反骨と信念の長老という図式もおもしろかった。負けたマケインにしても、本来の﹁共和党のはぐれ牛﹂というキャラをかなぐり捨てて、この2年間はブッシュに取り入り、キリスト教保守派と和解し、挙句の果てにペイリンというブッシュの女版みたいなおばちゃん︵彼女似のポルノビデオがさぞや多くリリースされたことであろう︶を
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サムライ映画の虜になってしまった映画評論家が放つ﹁根本的に間違っているけど問答無用でおもしろい﹂大傑作! ﹁映画秘宝 9月号﹂柳下毅一郎の新刊レビュー ちくしょー、柳下さんに先を越された! 今月の映画秘宝の書評欄で、スティーヴン・ハンターの傑作﹁四十七人目の男﹂を取り上げてらっしゃった。今、︵一部の︶ミステリファンの話題をかっさらっている作品なのだ。 ﹁キル・ビル﹂や﹁リトルトーキョー殺人課﹂をも超えるあやしげなニッポンが炸裂するというそういう作品であります。しかしなんだってハンターが……。 S・ハンターは高級紙ワシントン・ポストで映画評を担当。ピュリッツァー賞を受賞する映画評論家であり、﹁このミス﹂海外版では﹁極大射程﹂で1位をゲットする常連ランカー。その﹁極大射程﹂もマーク・ウォルバーグ主演﹁ザ・シューター﹂として映画化されるなど高名な冒険小説家だ。 しかし最近の工業製品化したハリウッ
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ああ、﹁神戸在住﹂が終わってしまった。 ﹁アフタヌーン﹂ではとうの昔に終了していたのだが、今年になって最終の10巻が発売されていた。それにしても感慨深い。﹁神戸在住﹂は、99年の連載以来私がもっとも愛したコミック作品の一つだった。 一見すると、スクリーントーンを使わない柔らかなタッチと手書きのモノローグ、それに基本的には善人ばかりの心地よいエッセイコミックに見える。神戸に住む文系女子大生のふつうの日常生活をつづった小品という感じ。普段は﹁ホムンクルス﹂とか裏モノタブー系コミックとか﹁闇金ウシジマくん﹂といった冷酷非情残酷格差を愛する私とは相容れない……ように思えるのだがこれが違う。 同じアフタヌーンの癒し系SFコミック﹁ヨコハマ買い出し紀行﹂と作風が似ているといわれているが、本質的にはまったく似てはいない。﹁神戸在住﹂はとにかく硬派だったのだ。それに強い情念を感じさせる純文学作品でもあった
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﹁希望︵ホープ︶。それをけっして忘れちゃいけない﹂ などと﹁ショーシャンクの空に﹂では温かい感動を与えていたダラボン監督だが、やってくれた。5月公開のキング原作のホラー﹁ミスト﹂である。これが本当にやばい。さる機会があって見ることができたのだが、ラストは壮絶すぎて開いた口がふさがらなかった。なにを考えているのかと。おそらく今年ナンバー1位に選ぶのではないかと思えるくらい印象が無駄に強かった。 メイン州西部を激しい嵐が襲来。暴風雨によって家の窓ガラスまで破壊されてしまった中年男が、幼い息子を連れてスーパーマーケットへと買い出しにでかける。しかし突如濃密な霧が発生しては、あっという間に街を覆いつくす。主人公ら買い物客と店員はスーパーに閉じこめられてしまう。しかも霧に包まれた外には得体の知れないなにかがうろついているようだ。無理に建物の外へと出て行った者たちは、そのなにかに攻撃されたのか、この
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橋下弁護士の立候補で慄然としたのは、やしきたかじんや島田シンスケに電話でおうかがいを立てたという件だった。彼らに﹁やれ﹂といわれたから出馬を決めたらしい。 なんだろう。他の世界だったら袋叩きに遭う話ではないか。﹁や、出ないつもりでしたけど、医師会の理事長が出ろというものですから﹂とか﹁労組の書記長が出馬を許してくれましたから。最初は出るつもりはなかったんですけど﹂なんて会見する馬鹿がどこにいるというのだ。 しかしまあタレント議員にはうんざりだ。しかしネットやメディアで﹁なぜ自公はタレント候補を立てるのか!﹂なんて怒りの意見を見かけるが、それはちょっと違うと思う。自公だからタレント候補を立てるのだ。 自民党はあらゆる大組織とつるんで生きてきた歴史がある。郵政、金融、土建、農業、漁業、医者、製薬会社、防衛、パチンコ警察、暴力団。つるめなかったのは労組とインテリぐらいだろう。しかし小泉安倍のネオ
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リニアモーターガール。リニアモーターガール。リニアモーターガ〜〜〜ル。 このところの殺人的な猛暑とPerfumeのせいで、すっかり頭がバカになりました……。 PerfumeはネットやNHK・ACのPR映像、それに多くの著名人によってプッシュされて人気爆発となったアイドルユニットである。遅まきながらはまってしまった。硬派ラッパー、ライムスターの宇多丸氏が﹁アイドル最後の希望﹂と大プッシュする理由もよくわかる。実にアイドルらしいアイドルだ。 http://d.hatena.ne.jp/inumash/20070131/p1︵想像力はベッドルームと路上から ﹁機械化の夢﹂の極北。BjorkとPerfume︶ すでにid:inumashさんが言及しているが、Perfumeは、がんがん加工された音声と、まるでアンドロイドのような非人間的な振り付け︵それに開いた瞳孔︶という﹁機械化﹂を強く打ち出したユ
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070516it04.htm ﹁獣欲のペッパーランチ 肉まみれの暴行﹂﹁肉棒ステーキ 暴虐の汁﹂﹁大阪鉄板暴行 熱いのは堪忍!﹂﹁浪速極悪レイパー 肉や! 肉や!﹂ なんて半日もペッパーランチ心斎橋店について考えていた。想像の範疇を超えるブレーキのない犯罪に軽いエクスタシーを覚えてしまった。 なんにしても関西地方らしい猛々しさと猥雑さを凝縮したような犯罪である。亀田家的で清原的で青木雄二のマンガから抜け出したようなぐちゃぐちゃかつストレートな世界だ。オメーコステーキとかワレメファイナンスとか破綻信用金庫とかそういう混沌を感じてしまった。マルクス読まんかい。 近年の犯罪は大体のところ、想像範囲内におさまることが多い。スクールシューターのチョ・スンヒにしても、町田の女子中学生殺しにしても、福島の母親殺しにしても、
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やはり一度はしっかり取り上げておきたい。大人気コミック﹁シグルイ﹂について。今日はコミック評。 オチから先にいえば、コミックという枠組みを超えた現代日本の娯楽表現の中でもっとも重要な作品の一つだと思う。少なくともコミック史に名を残すモンスターじみた傑作だ。 注目すべきはやはり強烈極まる残虐性だろう。身体が断ち割られ、内臓が露出し、鈍器によって頭がひしゃげ、目玉が潰れる描写が目白押しなわけで、紙から血の臭いが漂ってくるような凶々しさに溢れている。 しかし残虐性も重要なファクターではあるが、この作品のすごいところは、その残虐性を生み出す封建社会と武士道の本質をきっちり理解しているところだ。偉そうな物言いだけど。そもそも民主主義の価値観が浸透した最近の日本では、なかなかリアルな封建社会の価値観を描いた作品に出会えない。﹁あずみ﹂や﹁バガボンド﹂や﹁バジリスク﹂ももちろん傑作だが、やはりヒューマニ
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