2013年12月23日19:42 カテゴリ本 疫病としての資本主義 2000万人以上の人口を擁するアステカ帝国に、スペインから来たコルテスが到着したとき、彼の軍勢は600人しかいなかった。それが1年足らずの間にアステカを征服し、人口は1割ほどに激減した。この原因は戦争ではなく、天然痘だった。複雑な文化が混じって多くの病原菌をもつヨーロッパ人の身体は、世界最強の﹁兵器﹂だったのである。 疫病は戦争と同じぐらい、人類の歴史に大きな影響を及ぼした。仏教やキリスト教など、現世の苦難を説明する宗教が流行したのは、戦争や疫病の多い地域だった。インドをアーリア人が征服したとき、南東部には疫病が多すぎるため、彼らを賤民として隔離したことが、カースト制の確立した原因だった。 仏教とキリスト教は3~9世紀の中国とローマ帝国で成長した。これはこの二つの文明圏で疫病が流行して人口増加がほとんどなかった時期に対応す