政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも七件が機構の株主企業六社に関連していたことが本紙の取材で分かった。公的資金が株主企業に還流された形で、機構の中立性が揺らぐ可能性がある。機構の投資先を決める内部組織に投資先企業の役員がいたことも判明。識者は、公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いを指摘する。 (大野暢子) 本紙は、機構が二〇一四~一九年に公表した出資三十二件の内容を事業報告などから調べ、株主六社に関係する出資を計七件確認した。総額は百九十六億円。出資全体の三割にあたる。 株主の出資額の二十倍超を支援した例もある。機構は一四年九月、中国・寧波への商業施設出店事業に百十億円の出資を決めた。この事業は、機構に五億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(大阪市)が中心を担っ
以前にも書いたように。「いいとも!」が終わったのをきっかけに、伊集院光のラジオをネット経由で聞くようになった。一人で食事するのが嫌いなので、なにか音源が欲しかったからだ。 伊集院光のラジオが面白いというのは、小林信彦のエッセイで読んでいた。聞いてみたら、なるほど、面白い。基本、くだらないこと、シモネタ、バカバカしいことを中心にしゃべっているのだが、その根底に、とても強いものがある。真面目すぎるほどの誠実、知性、寛容と頑なさ。 高校中退で、落語家出身、130kgの巨漢にしてスポーツ好き。野球は芸人でチームを組んで定期的に試合をしているし、ランニングは小さな駅伝大会に参加 するほど。自転車は、東京の自宅から出発して日を分けて掛川あたりまで走って行ってしまうほど。雑学王として名を轟かせながら、番組で「インテリ軍団」に 組み入れられることには抵抗を感じる。実力とコンプレックスが微妙に絡み合ったこの
タモリさん 天才的ジャズテナーサックス奏者スタン・ゲッツの克明な伝記。ジャズファンなら必ず聴いているはずだがそれ以外の方なら、ボサノバの名曲「イパネマの娘」でテナーを吹いている人といえば思い出してくれるでしょう。ジョン・コルトレーンやマイルス・デイビスのようにジャズに革命を起こしたミュージシァンではないが、その時代に応じてまたその時の共演者によって美妙に反応し影響を受けながら自分の魂を深めていくジャズマンだ。その才能が見事に開花したのが「イパネマの娘」。ボサノバという当時ブラジルの片隅で生まれたポルトガル語でしか歌われなかった音楽を、全く無名の歌手アストラッド・ジルベルトに英語で歌わせジャズに巧みに取り込んで世界的にヒットさせた。これはジャズ史上最も多く売れたレコードのひとつで一九六五年グラミー賞において投票の結果ビートルズの「抱きしめたい」を抜き最優秀レコードに、またボサノバを創った一人
2024年3月29日(金)、作家・ゲームデザイナーの山本弘氏が誤嚥性肺炎により68歳でご逝去されました。葬儀は近親者で営みました。 代表作に、第28回吉川英治文学新人賞ならびに第27回日本SF大賞候補となった『アイの物語』のほか、『神は沈黙せず』、〈MM9〉〈BISビブリオバトル部〉シリーズなどがあります。また、「と学会」初代会長をつとめ、〈トンデモ本〉ブームの先駆者としても知られています。 山本氏は1956年、京都府生まれ。京都市立洛陽工業高等学校卒業。78年、「スタンピード!」で第1回奇想天外SF新人賞佳作を受賞。88年『ラプラスの魔』で本格的に小説家デビューを果たします。その前年に設立されたクリエーター集団「グループSNE」の一員として、テーブルトークRPG〈ソード・ワールド〉の立ち上げに参画、〈サーラの冒険〉シリーズをはじめとする〈ソード・ワールド〉に基づく小説の執筆、テーブルトー
2023.12.30 18:00 「ガウェインの結婚」を歴史の授業で使わないで!~中世の英文学と女性がもっとも望むこと 2年ほど前に「世界史講義録」というウェブサイトの「最初の授業」という記事がバズったことがありました。これは高校世界史の授業初回で、アーサー王伝説の「ガウェインの結婚」をとりあげ、歴史は面白い……というような話の枕にするというものです。 詳しくはリンク先の元記事を読んでいただきたいのですが、非常にざっくり説明すると、アーサー王が敵の騎士から「すべての女性がもっとも望むことは何か」という問いを出され、それの答えが「自分の意志を持つこと」だったという話をネタに、「700年から500年くらい前の時代につくられた物語」なのに既に女性の人権に関係するようなトピックを取り扱っていて現代的だ……という内容です。 このウェブサイトの講義は、2009年発行の竹田青嗣『中学生からの哲学「超」入
“中つ国”へ最初の一歩を踏み出すあなたへ――トールキン研究家・髙橋 勇氏による「一つの指輪:指輪物語TRPG」入門ガイド ライター:瀬尾亜沙子 ライター:髙橋勇 「指輪物語」の世界を旅するテーブルトークRPG「一つの指輪:指輪物語TRPG」(以下,指輪物語TRPG)の基本ルールブックが,ホビージャパンより2023年9月18日に発売された。価格は7480円(税込)だ。 本作は,1954年に出版されたJ.R.R.トールキンのファンタジー小説「指輪物語」をベースとしたテーブルトークRPGだ。プレイヤーは同作の背景世界である“中つ国”を舞台に,英雄の卵として旅しながら,自らの物語を紡いでいくこととなる。 そして「指輪物語」といえば,今に続く“ファンタジーもの”の原点ともされる大著であり,前日譚にあたる「ホビットの冒険」「シルマリルの物語」などまで含めれば,神話から歴史,そして登場人物の生涯に至るま
「火吹山の魔法使い」と「ELDEN RING」――伝説的ゲームブックの生みの親と宮崎英高氏が語る,ダークファンタジーの創り方【聞き手:安田 均】 編集部:御月亜希 編集部:touge ライター:岡和田 晃 ゲームブックと聞いたとき,あなたはどんなタイトルを思い浮かべるだろうか。もし掲載した写真の表紙が思い浮かんだのなら,あなたは幸運だ。再び冒険の旅に出かけるのに,今以上のタイミングはないからだ。 「火吹山の魔法使い」はテーブルトークRPGのエッセンスを詰め込みつつ1人でもプレイできるよう本の形に落とし込んだ,「ゲームブック」の元祖にして金字塔と呼べる存在だ。初版はイギリスで1982年8月27日発刊,日本では社会思想社から1984年に翻訳出版され,それぞれミリオンセラーとなっている。90年代に入りブームが静まってからも,そのエッセンスは後のタイトルに深く根を下ろし,アナログ/デジタルを問わず
株式会社モリサワ(代表取締役社長:森澤彰彦 本社:大阪市浪速区敷津東2-6-25、以下モリサワ)は、 株式会社写研(代表取締役社長:笠原義隆 本社:東京都豊島区南大塚2-26-13、以下写研)の保有する書体を、両社共同でOpenTypeフォントとして開発することに合意しました。 写研の書体は、幅広いバリエーションと洗練されたデザインが特徴で、専用のシステムを通じて多くの媒体で利用されています。この度のOpenTypeフォント開発を通じ、より幅広い用途でご利用いただけるよう両社で取り組みます。 フォントは2024年より順次リリースする予定です。2024年は、写研の創業者である石井茂吉氏とモリサワの創業者である森澤信夫が、写真の原理で文字を現して組む邦文写真植字機の特許を、1924年に共同で申請して100周年の節目にあたります。 今回の取組みについて両社の代表は次のように述べています。 株式会
吉海 直人(日本語日本文学科 教授) みなさん、『枕草子』には伝統的な日本の四季折々の自然美や風物が鏤(ちりば)められていると思っていませんか。実はそれこそが誤解というか大きな間違いなのです。だってそうでしょう、春の風物としては「梅・鶯・桜・霞」などをあげるのが一般的ではないですか。『枕草子』にはそれが不在なのです。逆に清少納言が提起している「あけぼの」など、春を代表する景物ではありませんし、まして美意識にもあてはまりません。 それにもかかわらず、みなさんはそれを平安朝貴族の美意識として受けとっている恐れがあります。それが高校で学んだ成果だとしたら、それこそ学校教育の弊害ということになりかねません。 そこで考えていただきたいのは、仮に「あけぼの」が春の景物として当時認められていたとしたら、清少納言はごく当たり前のことを提示していることになります。それでは宮廷で評価・称讃されるはずはありませ
ご無沙汰しています。前記事から 3 年ぶりに note を更新しました。本稿では、芳文社の発行する「まんがタイムきらら」やその姉妹誌に掲載された作品の写植(吹き出し)に注目し、使用されている書体や、その書体が読者に与える印象に関して考察を行います。 「ぼっち・ざ・ろっく!」観てますか??図 1:「ぼっち・ざ・ろっく!」の単行本(筆者撮影)アニメを観てから完全に難民になってしまったので、原作を無限に読んでいます。アニメよりもテンポが早く、4 コマの起承転結を通じて 1 つのストーリーが構成されている点が(ぼざろに限った話ではないですが)素晴しいです。未確認ライオット編よかった…… さて、アニメでは数多の声優さんの演技によって、登場人物の描き分けや感情表現が行われていますが、漫画においては写植、すなわち吹き出しの部分が登場人物の喜怒哀楽の表現に一役買っています。 印刷物のデザインでは「1 ペー
赦しへの四つの道 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:アーシュラ K ル グィン早川書房Amazonこの『赦しへの四つの道』は、の『闇の左手』などの傑作群が連なる《ハイニッシュ・ユニバース》と呼ばれる世界を舞台にした、ル・グィンによる連作短篇集だ。 原書は1995年の刊行なので待望の邦訳となる。ル・グインの新しい作品を久しぶりに読んだが、政治・宗教・社会と「異星の文化を立体的に立ち上げていく」マクロ的な手腕と、ほんのわずかな動作から人間の差別感情を浮かび上がらせるミクロ的な演出が、やはり異次元レベルにうまい。今回はテーマが奴隷制や女性の権利獲得の物語ということで展開や文体は重苦しいが、SF☓奴隷制テーマではトップクラスのおもしろさを誇るオクテイヴィア・E・バトラーの『キンドレッド』に比肩しうる作品である。 キンドレッド (河出文庫) 作者:オクテイヴィア・E・バトラー河出書房新社Ama
【SF作家・山本弘氏逝去】前島賢氏による『シュレディンガーのチョコパフェ』解説「SFとオタクに必要なものの半分くらいは、山本弘に教わった」全文公開 2024年3月29日、作家・ゲームデザイナーの山本弘氏が誤嚥性肺炎のため68歳で逝去されました。 早川書房からは現在、小説作品『シュレディンガーのチョコパフェ』『アリスへの決別』『地球移動作戦』『プラスチックの恋人』『プロジェクトぴあの』が刊行されています。 またアンソロジー『多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー』には表題作となった短篇を収録、ご自身も海外SFのアンソロジストとして『火星ノンストップ ヴィンテージSFセレクション―胸躍る冒険篇』を刊行され、SF作家としての山本弘氏には生前長いお付き合いがありました。 ご逝去にあたり、氏の長年のファンであり作家・ライターである前島賢氏から、短篇集『シュレディンガーのチョコパフェ』(単行本『ま
演劇系コントの舞台明日のアーを主宰する大北栄人が演劇系コントの先駆者でもあり『今夜、笑いの数を数えましょう』の著書もあるいとうせいこう、オモコロや小説家 品田遊としても活動するダ・ヴィンチ・恐山を迎え、自身が発見した笑いの理論を紹介する。 私たちはなぜ笑っているのか? 緊張と緩和では今まで説明がつかなかったくだらなさやユーモアを解明する。 (写真:明田川志保 ライター:張江浩司 タイトルデザイン&図:よシまるシン) 仮面ならサングラスがいいんじゃないかといとうのサングラスをかけさせられたダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)、大北栄人、いとうせいこう(画像左から) ダジャレは緊張と緩和で説明つかない いとう「今日は大北に呼ばれてきたんだけど、「笑い」について話すんだよね」 大北「そうなんです。今、笑いに興味がある人が人類史上最高に多いじゃないですか。市井のお笑い評論家もSNSにいっぱいいる。でもその
by Marc Wieland 中世の物価がわかるリストを、カリフォルニア大学デービス校の中世研究プログラムにおける名誉講師として働くケビン・ロディ氏が公開しています。 Medieval Price List http://medieval.ucdavis.edu/120D/Money.html 中世における各通貨は以下のレートで計算されているとのこと。なお、中世の貨幣価値は現代と全く異なるため、現代の日本円への換算レートは不明です。 1ポンド(L)=20シリング(s) 1シリング=12ペンス(d) 1ペニー(ペンスの単数形)=4ファージング 1マルク=13シリング4ペンス 物価リストについては、「物価リストは封建制経済への誤解を招くものとなり得ます。なぜなら、中世では非常に多くのモノが世帯内で生産されたり、領主から供給されたりしたためです。例えば、騎士や貴族などに仕えた家臣や召使いは、給
ロックバンドのメンバーがツイッターで「漢文の授業ってまだあるの?」からはじまる漢文不要論を投稿し、賛否両論の反響が続々。すかさず反応したのが、国語・漢文関係の名門出版社「明治書院」。社長や編集者などにお話を聞いてきました。 国文学・漢文学の名門「明治書院」 老舗出版社と聞くと、書店街・古書店である神保町やお茶の水にあるのかなと思ったら、なぜか大久保。南に行けば歌舞伎町、北に行けば大久保コリアンタウンという、多様性のるつぼのような立地です。明治書院は1896年に神田錦町で創業し、今から15年前にこの地に移転してきたそうです。 私が明治書院に興味を持ったのは、中国古典のひとつである『易経(えききょう)』を学んでいるから。その延長で、ほ~んの少しだけ『論語』も読みます。学生時代は好きでも嫌いでもなかった漢文。あるきっかけで読みはじめ、「大人になって読む漢文はしみじみいいものだ」と感じています。だ
はじめに 「ゆる言語学ラジオ」というYouTubeのチャンネルに金谷武洋氏を肯定的に紹介している動画があります(紹介が目的ではないので直接リンクをはることはしません)。 金谷武洋氏の著書の内容には専門的に見ていろいろ問題があり,以前いくつか批判記事を書きました。 dlit.hatenadiary.com さいきん金谷氏がそこまで集中的に話題になっているのを見ていなかったことと,動画がけっこう話題になった(ている)ので最初の感想は「参ったな」というのが正直なところでまず嘆くようなツイートをしました。 さいきん三上文法,金谷武洋氏の話題でブログの記事を紹介していただいて何があったんだろうと思ってたんだけどネタ元らしき情報が流れてきて動画見てしまった…いやこれはちょっとダメでは…— Takumi TAGAWA (@dlit) 2021年5月18日 ただこのあとゆる言語学ラジオの方からリアクション
国立国語研究所では、小・中学生が「ことばっておもしろい」と感じてくれるようなプログラムを実施しています。2023年6月21日(水)、柏野和佳子准教授が横浜市の捜真女学校を訪問し、「めざせ! 辞書引きの達人」というテーマで中学1年生のみなさんに出前授業を実施しました。 『岩波国語辞典 第八版』の編者も務めた柏野准教授は、最初に、『岩波国語辞典』の第七版と第八版における「オタク」の語釈の変化を生徒のみなさんに提示しました。同語の第七版での語釈は「自分の狭い嗜好(しこう)的趣味の世界に閉じこもり、世間とはつき合いたがらない(暗い感じの)者。」とネガティブな意味が顕著です。それを読み上げると、生徒のみなさんから「えー」と、意外とも失望ともつかない声が上がりました。それに対して第八版の語釈は、「特定の趣味的分野を深く愛好し、人並み以上にその分野の知識や物品を保有・収集したり、行動したりする者。」と現
2022年マライ・メントライン文芸賞は『ロマニ・コード』(角悠介)に決定! ロマ言語の探究解析を行う若手言語学者のフィールドワーク体験記であり、実は「丸山ゴンザレスや村田らむのルポルタージュに近い」など、熱く、濃く推しまくるマライ・メントラインの授賞の弁をどうぞ。 マライ・メントライン文芸賞を授与する 2022年、個人的に最高に凄かった&おもしろかった小説は、小学館『STORY BOX』誌に書いた通り『地図と拳』(小川哲)だ。が、もっと広義の「文芸」という観点からベストオブベストを選べと言われたら、これはもう『ロマニ・コード』(角悠介)しかない。よって私は重い腰を上げて本作にマライ・メントライン文芸賞を授与する。マライ・メントライン文芸賞とは、私が「めったに無い特殊で深いおもしろさ」を感じ、かつ、メジャーな批評家があまり取り上げなさそうな本に遭遇したときにのみ起動する、なんの権威もへちまも
口コミで広がる自費出版の漫画「ROCA」 自費出版で作られた一冊の漫画が、Twitterを中心に口コミで広がり、朝日新聞やTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で取り上げられるなど、大きな話題になっている。いしいひさいちの「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」だ。 「ROCA」の物語は、地方の海辺の街(「ののちゃん」の舞台と予想されている岡山・玉野だと思われる)に住む女子高生の吉川ロカが、ポルトガルの大衆歌謡/民謡ファドの歌手を目指す、というもの。いしいらしいスカッとした諧謔や軽快さとともに4コマ形式で綴られるのは、ストリートでのライブを経たロカが才能を開花させていく歌手活動、彼女の愛らしいキャラクター、親友・柴島美乃とのつかず離れずの友情、街の人々とのあたたかい交流だ。ラストの数篇でたたみかけられる展開があまりにも切なく胸に迫り、じんわりと染み入る作品になっている。 「ROCA」はも
いわゆる「アンパンチ論争」は、意外に各方面へ広がりをみせました。 大人気アニメ「アンパンマン」は、主人公のアンパンマンが、悪さをするバイキンマンを「アンパンチ」でやっつけますが、この場面を見た乳幼児が「暴力的になる」と心配する親の声がネット上で見られます。アンパンチでバイキンマンをやっつけ、「めでたしめでたし」とする話の流れが、「暴力で物事を解決すること」をよしとする考えを植え付けないかという意見です。逆に「全く影響ない」とする声もあります。 「アンパンチ」で暴力的に? 心配する親も…メディアの暴力シーンは乳幼児にどう影響? | オトナンサー 上記がおおもとの記事ですが、ここまで反響を呼ぶとは執筆者も思わなかったでしょう*1。 この手の話は何も最近のものではないな、と思ったので、私も、過去のやなせたかしの発言を載せて呟いた*2のですが、これも思ったより反響がありびっくりしました。ただ、私は
はじめに:ウォーロックを読んで本稿の趣旨はゲームブック産業の栄枯盛衰をデータで可視化し、その要因を考察することである。 きっかけは古本で入手したウォーロック誌全63号を読んだことであった。 ウォーロック誌表紙創刊号(1986年12月号)から18号まではスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンが監修に入っており、ファイティングファンタジーに代表されるゲームブック作品のレビューやタイタン世界の解説等が充実している。 しかしながらウォーロック誌の創刊は一筋縄ではいかず、安田均先生の回想では土壇場での苦労があったようだ。 「ウォーロック」で一番大変だったのは、1986年12月に創刊号が出て、正月になったところで「お話があるんですが、本国版つぶれました」(笑)。本国版のストックはあったから、12号までは「ファイティング・ファンタジー」シリーズの雑誌という名義で出せるけれど、その後の保証はないの
酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行 (文学の冒険シリーズ) 作者:ヴェネディクト エロフェーエフ 国書刊行会 Amazon 本書は1970年に執筆された。1970年のソ連。とてもじゃないがこれを共産党が許すとは思えない。だからこその地下出版。地下出版のベストセラー。そして、世界に広まった酒クズ小説の傑作。 冒頭からこんな具合だ。 クレムリン、クレムリン、と誰もが言う。クレムリンのことはあらゆる人から話には聞くが、自分で実際に見たためしは一度もない。もう何度となく、一千回も酔払って、それとも二日酔で、モスクワを北から南へ、西から東へ、端から端まで突っ切ってみたり、ただ無茶苦茶に歩き回ったりしたのに、クレムリンはただの一度も見たことはない。 昨日もついに見られなかった。ひと晩じゅうあの辺りをほっつき歩いて、それほど酔っていたわけでもないのだが、サヴョロヴォ駅を降りるとすぐに、手初めにズブロフカ
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