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さてここで精神療法を「精神分析的」と「それ以外」、と言う大雑把なわけ方をしましょう。こんな分類は意味がない、とおっしゃる方もいるかもしれない。しかしこの会場には少ないでしょう。なぜならここにいらっしゃる皆さんは精神分析の世界をお選びになっていると言うことだとおもいます。すると皆さんはどこかで正反対の二つのうちのどちらかを混乱せずに無事に選んでいらっしゃるわけです。ある方は、最初から精神療法とは精神分析的なものであるということを、批判する余裕もなく伝えられ、そのまま受け入れられたのかもしれません。またあるいは最初は混乱し、何かの理由でこちらのほうを選び、おそらくそうすることで、もうあまり矛盾した話を聞かなくてすむのではないだろうと安心なさったのかもしれませんね。きっと頼りになる先輩に相談して、最終的に精神分析を選んだのかもしれません。でもそこの中でやはり同じことが起きるわけです。無意識を重ん
ここで虚心坦懐に、私たちがいたっている脳についての知識を総括してみよう。私たちは脳の大まかな構造をすでに知っている。それは大脳皮質と皮質下の様々な領域、つまり大脳辺縁系といわれる部分、そして脳幹、脊髄である。それぞれが何をやっているのかは詳しくはわかっていないが、いくつかのあらすじ、ないしはストーリーラインを知っている。 ① 情報処理をするシステム 大脳皮質は身体の五感を通して得られる。それらは視床という部位で統合され、前頭葉や辺縁系により情緒的な処理が行われる。この部分の仕組みはジョーゼフ・ルドゥの業績だ。そしてそれらの情報の一部は快感中枢を通して、快、不快の味付けが行われる。この情報処理というシステムが、意識の成立と不可分であるという主張をしているのが、ジュリオ・トノーニの統合情報理論である。そしてそこからあたかも幻想のように析出してくる意識の性質を説いているのが、前野隆の「受動意識仮
岡野憲一郎のブログ:気弱な精神科医 Ken Okano. A Blog of an insecure psychiatrist ある事情があり、ジェレミーホームズ Jeremy Holmes という大家の「脳は独自の心を持っている The Brain has a mind of its own」という本を読んでいるが、これは大変な本なのである。しかも副題が「愛着、神経生物学、そして精神療法の新しい科学Attachment, Neurobiology, and the New Science of Psychotherapy」となって、要するに精神療法と神経科学を愛着を媒介として結ぶという企画なのだが、これだけでもスケールの大きさが分かるだろう。そしてその割にこの本は読みやいサイズで、原書はかなり大きな文字で索引を入れても200頁くらいしかないのだ。 そしてこの本は一読して、フロイトの幻の著
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