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ソフト・ファシズムの足音 東京は猛烈な暑さである。湿度も高く、都内のあちこちで激しい稲妻が走り、ゲリラ雷雨が発生。まだ梅雨の時期だというのに、静岡では40度超にまで達したというし、ぼくの暮らしている府中市も、8日には39.2度、全国で2番目の高温だったというから、高齢者には耐えがたい暑さだ。まさに異常気象というしかない。 暑さもさることながら、なんとも言いようのない都知事選だった。なぜこんな結果になったのか、様々な人が様々に分析している。 7月7日の夜、ぼくも所属している「デモクラシータイムス」が、都知事選の「選挙特番」を組んだので、ぼくも参加。金子勝教授や山口二郎教授が出演なさって、これからの展望も含めてさまざまなお話をしてくれた。頷きながら聞いた。 その中で、金子さんは「ソフト・ファシズムの時代が来ている」と分析した。納得がいく。確かに、圧勝した小池百合子さんにしろ、突如2番手に躍り出
東京西部の多摩地区で、米軍・横田基地由来と推測されるPFAS(有機フッ素化合物全体を指す言葉)による地下水や飲み水の汚染が問題になっています。2022年、著書『消された水汚染』(平凡社新書)でいち早くこの問題を世に知らせたのが、元朝日新聞記者で現在はフリージャーナリストの諸永裕司さん。今、何が起こっているのか。国や自治体はそれに対して、どのように対応しようとしているのか。そして、私たちが考えるべきことは──。詳しくお話を伺いました。 自然界には存在しない「永遠の化学物質」 ──東京・多摩地区での有機フッ素化合物汚染の問題について、取材を始められたきっかけからお聞かせください。 諸永 2017年に取材で訪れた沖縄で、米軍基地による環境汚染の監視を続けるNPOの方から話を聞いたのが最初です。沖縄ではその前に、水道水の水源になっている河川で有機フッ素化合物の一種であるPFOSが検出されたと発表さ
なんとも驚く結果だった。 それは東京都知事選。 午後8時ジャストに小池百合子氏が当確。のみならず、蓋を開けてみれば蓮舫氏を40万票近く上回り、石丸伸二氏が二位となっていたという逆転劇。 このことに、多くの人がショックを隠せないでいる。私もただただ驚いた。石丸氏に関してはまったくのノーマーク、まさか蓮舫氏以上の票を得るなど想像もしていなかった。 しかし、思い返せばその予兆は十分あったのだ。 たとえば都知事選が始まってすぐの頃。 普段全く政治について発信などしない若い有名アーティストなどが、SNSで石丸氏への支持を表明するという光景を幾度か見かけ、驚いていた。 え、もしかしてこの人、政治に無関心な若者の票をすごい勢いで掘り起こしてて、これまで選挙に行かない層に響いてる? そう思うことは何度かあった。 一方、街頭での熱気を感じる出来事もあった。選挙期間中、たまたま石丸氏の街宣の直前の様子を見かけ
驚きの動画 都知事選が盛り上がっている。何しろ56人もの候補者が乱立、しかも候補者ポスター掲示板のデタラメな使い方まで話題になっている。テレビ各局は面白おかしく騒ぎ立てるが、都知事選の本質などは、どっかに置き忘れたままだ。 「小池先行、追う蓮舫」というのが、報道各社の現在(6月25日)の見立てである。そうなのか、とぼくはやや首をかしげる。 少し古い動画がSNS上に流れてきた。2018年6月15日の、小池百合子都知事の都庁での記者会見の様子である。それを視聴して、さすがにぼくはビックリした。こんなやり取りがあったのである。 記者:最近、一部報道で、雑誌のほうで、知事のご経歴の中で、カイロ大学を首席で卒業された、という経歴について疑義を呈する報道が出ているわけですが、この件についての知事のご見解をあらためて伺います。 小池都知事:カイロ大学は卒業証書もあり、また大学側も認めております。また、首
ソーシャルメディアで「AIゆりこ」なるものの動画を目にしたとき、都知事選を前に、誰かが小池百合子都知事を揶揄するパロディ動画を作ったのだろうと、つい誤解した。 なぜならAIとは、「人間でなくてもできる仕事を、人間の代わりにするもの」である。AIゆりこに小池氏の政策の説明をさせることで、「小池氏の仕事はAIでもできる」「小池氏はAIで代替可能である」というメッセージを広めているのだろうと、僕は思い込んだ。 ところがAIゆりこは、実際には小池百合子氏が、自らの政治活動、実質的には選挙運動のために作ったものだった。 6月13日に公開された最初のAIゆりこ動画の投稿には、「現職都知事として公務に邁進している小池ゆりこ本人に代わって、AIゆりこがお伝えします」と書かれている。AIゆりこに政策を解説させることで、「小池氏の仕事はAIでもできる」と思われかねないことを、小池選対も危惧したのだろう。だから
NHKの朝ドラ『虎に翼』が人気だ。ここしばらく朝ドラを見る習慣がなかったのだが、「毎朝見て号泣しています」といったフェミニストたちの声に押されて、1ヶ月遅れで見始めた。 子ども時代をすっ飛ばして、いきなり女学生から始まる展開、ヒロインの妊娠・出産をサラリと描くなど、これまでとは異なるドラマ作りに、まず興味をひかれた。 戦争前夜なのに主人公の暮らしにその気配はあまりなく、いつの間にか戦争が始まって、夫は戦死してしまう。それも「勇ましく戦って戦友の腕の中でガクッ」というお決まりの戦死でなく、病死という設定に納得。戦死の多くが病死、餓死だった事実をしっかり踏まえたところに、脚本家の意気を感じた。 お約束の玉音放送のシーンもなく、終戦。仕事も家族も無くして、心が折れそうになった寅子(主人公)は、闇市で焼き鳥を買い、ひとり河原で食べようとする。焼き鳥のたれのついたくしゃくしゃの新聞紙を手のひらで押し
5月24日、早朝4時半に私は起きた。重い身体に鞭打って身支度を整え、朝ごはんをむりやりお腹に詰め込み、ベーグルの形に丸まって寝ている猫に顔を埋めてエネルギーチャージして家を出た。「第2回桐生市生活保護業務の適正化に関する第三者委員会」を取材するために一路、群馬県桐生市へ。 ザクッとこれまでの経緯 昨年11月、桐生市で生活保護を利用していた男性が、ハローワークで求職活動をした証明とひきかえに、毎日窓口で一日1000円だけ渡されていたことが報道各社から報じられた。 嫌がらせとしか思えない過度な就労指導、最低生活費を大きく下回る分割支給、そして月単位にしても保護費を半額程度しか支給されなかった男性2人はその後、提訴に踏み切った。 同時期、生活保護決定後も保護費の支給が遅れに遅れただけにとどまらず、預けた覚えのないハンコを勝手に受領簿に押された利用者がいたことが報道された。その後の記者会見で、保護
闇バイトで逮捕された人──? それが「つばさの党」逮捕の映像を見た瞬間、思ったことだ。 私が「つばさの党」について知ったのはごく最近、東京15区補欠選挙の最中。ある候補者の応援に行っている人から「妨害がひどい」と聞いたのが最初だった。以来、ちらほらとネットなどで映像を見る機会があり、不気味さを感じていた。 そうして17日、「つばさの党」の3人が逮捕。 テレビなどで報道される姿を見ると、それは「迷惑系ユーチューバー」を彷彿とさせ、いったい何が目的なのか、どういう動機に基づいているのか、「つばさの党」に詳しくない私はまったくわからない。 ただ、逮捕の前日、たまたま新宿を歩いていたところ、「つばさの党」の街宣と出くわした。遠くて姿はよく見えなかったものの、街宣で語る若い男性の言葉には熱が入っていて、思わず引き込まれるものがあった。 給料が少なくて生きていくのに精一杯、お金がないから大切な人も幸せ
ゴールデンウィークはじめの4月27日、久々にあるイベントに出る。 それは「こわれ者の祭典」。さまざまな病や障害、また生きづらさを抱えた人たちによるパフォーマンスイベントで、2002年、アルコール依存症で元ひきこもりの月乃光司さんによって始められた。 そんな「こわれ者の祭典」の、私は名誉会長。「不名誉顧問」は香山リカさん。これまで、摂食障害や脳性麻痺、強迫神経症、パニック障害、各種依存症、自殺未遂者などなどの当事者が出演してきた。 「こわれ者の祭典」が東京でイベントをするのは実に数年ぶりなのだが、今回はタイトルにデカデカと「水原一平さんは仲間です!」と掲げられている。言わずと知れた、違法賭博に関与していたとして訴追された大谷翔平氏の通訳である。イベント説明には以下の言葉。 「ギャンブル依存症、アルコール依存症・薬物依存症・摂食障害・買物依存症… 依存症の当事者グループでは、お互いを『仲間』と
「水原一平さんは仲間です」 4月27日、そんなキャッチコピーを掲げた「こわれ者の祭典」に出演した。 さまざまな病や障害や生きづらさを抱える人たちのパフォーマンスイベントである「こわれ者の祭典」については前回の原稿で書いた通りだ。この日、こわれ者メンバーたちは閉鎖病棟に入院していた時期や強烈な自殺願望を持っていた時期を振り返る渾身のパフォーマンスを披露。会場を爆笑と涙と共感の渦に包んでいた。 そんなイベントでのトークで、話題はやはりギャンブル依存症のことに。 ちなみに私が依存症について詳しく知ったのも「こわれ者の祭典」がきっかけだった。ちょうど田代まさし氏が何度目かの逮捕をされた頃に開催された「こわれ者の祭典」でその話題になったのだが、当時の世間は田代氏にドン引きムード。そのことに触れた月乃光司さんは、そうやって社会的信用を失って孤立していくことこそが依存症の症状で、それを責めるのは一番意味
生活保護制度が機能不全になった町 群馬県桐生市の「桐生市生活保護違法事件」の調査団(団長:井上英夫金沢大学名誉教授・日本高齢期運動サポートセンター代表理事)として、4月4日、5日と2日間にわたり「桐生市の生活保護行政をよくする市民集会・シンポジウム」などに参加してきた。 桐生市の生活保護対応のひどさは筆舌に尽くしがたい。徹頭徹尾、すべてのプロセスにおいて不適切・違法行為が散りばめられているためにポイントが絞れないだけでなく、一つひとつのレベルが極悪で単純に言葉を失ってしまう。想定できるレベルの斜め上……というか遥か上、大気圏に突入し宇宙の彼方イスカンダル(古っ!!)なレベルで、もうSF。実際、最初のうちは誰しもが「まさかそんな」と本気にしなかったくらいなのだから。 その「まさか」を、可視化させたのが、長年、群馬県内で生活困窮者を支援してこられ、市民集会を目前にして急逝した司法書士の仲道宗弘
「捧げ~銃(つつ)!!」 沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に号令が響く。第七地対艦ミサイル連隊の発足式典。政府要人を迎えるにあたり、ずらりと並んだ礼服の自衛隊員が銃を両手に持って引き寄せ、顔をグイっと上げる。空気が張り詰める。ファンファーレが高らかに演奏され、壇上で防衛副大臣から隊長に、隊旗が授与された。この曲、この光景。私は何度同じものを見ただろう。 これが「軍隊」以外の何かに見える人は、世界のどこにもいないだろう。しかし未だに自衛隊は、日本国内では行政機関の一つであって軍隊ではないと規定されているという。私はため息しかでない。2016年以降、与那国、宮古、石垣と新たに配備された陸上自衛隊部隊の「隊旗授与式」を見てきた。軍隊のいなかった島に、米軍ではなく日本の軍隊が次々と入ってくる瞬間を、毎回ずっしりと重い空気を吸い込むような気持ちで見つめてきた。まさに、あの戦争以来の、島々に武器を
書籍『戦雲(いくさふむ) 要塞化する沖縄、島々の記録』を今年1月に出版、そして現在、6年ぶりとなる新作ドキュメンタリー映画『戦雲』が全国公開中の三上智恵さん。書籍の表紙や映画に出てくる絵を手掛けたのは、原発事故後に福島に通い続け、動物を主なテーマに命の大切さを描いてきた画家の山内若菜さんです。与那国島での三上さんの取材にも同行されたという山内さん。軍事化によって、何が奪われようとしているのか――お二人に共通する、命や自然と共にある人々の暮らしへの思いについて伺いました。 映画で伝えきれないことを、絵や音楽が伝えてくれる ――南西諸島では、自衛隊のミサイル部隊の配備、弾薬庫の増設などが進み、急速な軍事要塞化が進められています。2015年から8年かけて、三上智恵さんはそうした島々や沖縄本島をめぐって取材を続け、マガジン9の連載でも発信されてきました。それらをまとめた書籍『戦雲 要塞化する沖縄、
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