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news.yahoo.co.jp/byline/onomasahiro
2022年10月13日 英国のカミラ王妃(中央)がロンドン市内病院を訪問した。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) 「英国ではコロナが終わってマスクを誰もしていない」という報道がしばしばなされているようです。本当にそうでしょうか? 2022年10月現在の時点で、英国の屋外でマスクをしない人は多いことは事実です。特に、多くの観光地、金融街・ビジネス街などの道路上では、マスクをしないで通行する人が圧倒的に多いようです。 ですから、よくニュースや新聞・記事に出てくる写真では、マスクをしない人が圧倒的に多くなります。 このことを考えるうえで、一つ重要なことがあります。英国ではロックダウンしていた頃から、屋外でのマスク着用は(近距離で話さない限り)必要ないものとされていました。一方、ロックダウン中には、スーパーの中や公共交通機関など、閉鎖された空間においてはマスク着用が義務付けられていました。そして
パンデミック中、英国中の人々が公的医療機関NHSに感謝し、応援していました。(写真:ロイター/アフロ) 英国は「マスクを外してコロナ禍が終わった」国という理解が広まっていますが、本当の状況はかなり異なります。本記事では、英国におけるコロナと医療の全般的な状況を説明します。 英国がマスク着用をやめた理由 英国がマスク着用義務などの生活規制を撤廃したのは、ワクチン接種が国民に広く行き渡ってから重症患者の顕著な急増がみられなくなり、病院の状況が「通常の範囲内」であると判断した結果の政治判断です。 しかしながら、英国の公的医療NHSは日常的に深刻に崩壊していますので、日本の参考にはなりません。その現状を以下に書きます。 パンデミック以前から崩壊していた英国の医療 英国のNHSは無料で診察してもらえますが、診てもらえるのは基本は一般医(GP)のみで、たとえば皮膚科や耳鼻科、循環器科といった専門医にみ
オミクロンが「弱毒株」であるがゆえに「自然のワクチンになって」パンデミックの出口に至るという楽観論が世界あちこちで広まっており、日本にも到達したようです。これは科学的には根拠のない話ですが、実際のところどうなのでしょう。よくみうけられる疑問を検討してみます。 1)オミクロンは「弱毒株」だから感染しても大丈夫? オミクロンが「軽症」ですむ場合にはワクチンの効果による部分が大きいです。ウイルス自体の病原性もデルタに比べると「低い」ですが、これは限定的で独特のニュアンスがあります。 というのは、オミクロン感染では、人工呼吸器を必要とするタイプの重症化率はある程度低下している一方で、入院治療が必要になる程度の重症化率は、とくにワクチンをしていない人や、2回目接種から長い時間がたっている人のあいだではそれほど下がらないようです。 このため、集中治療室よりも一般病棟における医療逼迫が英国などでも問題に
オミクロンは現在ロンドンを中心に英国で爆発的に流行している。12月24日の英国における新規感染者数は12万人以上であり、ロンドンでは人口の2%近くが現在オミクロンに感染していると考えられるほど高い密度で流行が広がっている。 本記事では、12月24日現在までに判明しているデータを簡潔に整理したい。 オミクロンとコロナ再感染 コロナはもともと一度感染した人がまた感染してしまうという傾向が強いウイルスである。これは(1)コロナに感染しても、コロナに対する免疫(特に抗体)が半年以内に半減してしまうことと(2)コロナウイルスが変異を蓄積して既存の免疫でできた抗体から逃避しやすくなる、の2点によると考えられる オミクロンはワクチンや自然感染した人に対しても容易に感染できるのが特徴である。このような再感染・ブレークスルー感染では、重症化する率は比較的低いと現時点では見積もられている。 以上のオミクロンの
ワクチンによるコロナの集団免疫という昔話 今年初めまでの英国型変異株(アルファ株)の流行ではワクチンは流行抑制効果があったと考えられる。イギリスでは今年はじめの大流行のなか、接種が先に行われた80代以上からまず重症化患者が減り出し、やがて流行も収束に向かった。イスラエルの冬の大流行は、同時進行するワクチン接種の広まりと同期して抑制に向かった。 どちらの国もロックダウンによる生活制限は課していたので当然その効果が主体であったが、ワクチン接種は高齢者から順番に行われたため、年代別の解析で、ワクチンをされた世代から先に重症化・新規感染いずれも減少した傾向が見えている。 ただし、これはすでにコロナの昔話となっている。ワクチン接種による流行制御の可能性が検討できたのはアルファ株までである。デルタ株の登場でこの望みは絶たれたといってよい。本稿ではその科学的背景について解説して、ワクチン接種の目的の再定
英国ではコロナのワクチン接種率が日本と比べてはるかに高い。それゆえワクチンによる免疫がどれだけデルタに対して有効であるかが夏の流行の結果を左右する。そしてこの夏の英国の結果がパンデミックからの出口戦略の試金石になる。 まず重要な点につき述べると、これは英国の世界的に見ても極めて高いワクチン接種率ゆえの特殊事情であり、日本の少ないワクチン接種の現状ではあてはまらないことばかりであることに注意すべきである。しかしながら、今後の日本の行く末を占ううえで英国の状況は注視すべきである。 ジョンソン首相の博打 本年7月19日、英国政府はデルタ株(いわゆるインド株)流行のただ中、毎日数万人の感染者がでているにもかかわらず、封鎖を全解除し社会を「正常化」する決断をした。 英国では5月ころからのデルタ株流行による感染者の増加、流行の再燃にもかかわらず、重症化・死亡者の数が感染者数に比べて少なく推移してきた。
2021年の7月はパンデミック史の記録に残るものになろう。日本がオリンピック開催を強行する一方で、英国は「自由の日」と銘打って封鎖制限を一挙に解除する。表面的にはこの2国の動向は同期しているようでいて、意思決定に至る理由と背景は随分異なる。それゆえに英国の現状ならびに背後にあるコロナの科学を解説することは、ひるがえって日本の現状・対策について理解し夏以降の対策を考える助けになろう。 今回からいくつかの記事にわけて、デルタ株が出口戦略にもつ影響と、英国の封鎖解除とオリンピック開催強行が持つ意味について解き明かすことを目指す。この目的のもと、今回は主要な変異株の特徴と変遷について最新知識を解説する。 1.変異株が加速するパンデミック 新型コロナウイルスは少しずつ(およそ月に1−2箇所の速さで)遺伝子配列を変化(変異を獲得)している。これ自体はウイルスの性質として驚くことは何もなく、世界中でウイ
前回の記事で紹介した通り、英国で出現したコロナ変異株B1.1.7は、6−7割伝染効率が高い、厄介な変異株とみられている。新型コロナに対するワクチン開発が成功するとともにこのような変異株が現れたことは、人類の科学の進歩とウイルスの進化がいまなおレースの途上にあることを改めて浮き彫りにする。 この局面において多くの人の関心は、果たして「変異株にワクチンは効くのか?」という問いであろう。本記事では、この問題について現時点でわかっていることをまとめたい。 ワクチンで現在の変異株から身を守れるか? 第一に考えるべきは、現在使用可能になりつつあるワクチンで変異株B1.1.7から身を守れるかどうかという問題である。 現在開発が先んじているワクチンは3つある。ファイザー社・ビオンテック社合同開発のmRNAワクチン、モデルナ社のmRNAワクチン、そしてオクスフォード大・アストラゼネカ社の開発したアデノウイル
12月19日、ボリス・ジョンソン首相はロンドンならびに隣接するイングラント南東部を封鎖(ロックダウン)する決定をした。この決定にあたり、これらの地域では12月に新規感染と入院数が急増し、しかも過去1ヶ月で特定のコロナ変異株が急速に増加、検出されるコロナの圧倒的多数を占めるに至ったことが懸念にあげられた。 この英国型のコロナ変異株で重症度が変化するデータはないが、伝染力が6−7割程度、強まっていて、実効再生産数Rを0.4程度おしあげる可能性がある。英国政府の専門家委員会は、まだ最終結論ではなく結論は流動的であるものの、伝染力が従来のウイルスよりも高いことには相応の証拠があるとしている。 12月20日には、英健康相マット・ハンコックがテレビ番組のインタビューで、新コロナ変異株による流行は制御不能になり最高度の封鎖導入は避けられなかったこと、現在変異株のため大変に深刻な状況にあることを述べた。そ
2020年12月8日、英国の91歳の女性に、製薬企業ファイザー・バイオンテックが開発した新型コロナウイルスに対するワクチン(以下ファイザーのワクチン)が接種された。臨床試験終了後のワクチンプログラムとしての接種は世界で初めてである。ワクチン開発から1年以内で、このようなワクチンが生まれたことは、悪いニュースが続いた2020年の中で、極めて歓迎すべきニュースである。 このワクチンの臨床試験第3相では、アメリカなどにおける2万人以上の被験者を対象に、コロナ感染を95%防御できることが示され、重大な副反応もみられなかった。この結果を精査した英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が、英国内におけるワクチン使用を認可した。 英国はすでに40万人分のワクチンを手元に用意しており、まずは80歳以上の人々、介護機関従事者、高リスクに晒されている医療機関の従事者から接種をはじめ、今月末までに400万人に接
英国の対コロナ戦略において、数理モデルを駆使した科学的な封鎖計画と抗体検査による免疫状態の評価は戦略の2大柱といってよい。英政府は、コロナウイルスに対する免疫がついたかどうかを確認する、いわば「免疫成立証明書」を発行し、免疫のついた人から優先的に封鎖から復帰していくことを表明している。 実際、抗体検査は(正確ならば)病院においてコロナ患者と接する必要性のある医療者の合理的な人員配置計画を可能にすると見込まれる。これができれば現在の大流行中において病院への負担を減らせるだろう。また大流行収束後、免疫を持った人から優先的に復職することで出口戦略に活用できるであろう。英政府はそのような計画である。 ところが現在流通している迅速抗体検査は使いものにならないことが明らかになってきており、対コロナ戦に暗雲が立ち込めている。本記事では、急速に展開する現状の分析と今後の見通しを示す。 英政府が抗体検査で目
今週の月曜日3月23日に英国も全土封鎖に踏み切った。25日水曜日には議会が閉鎖、さらには27日金曜日にはボリス・ジョンソン首相らがコロナウイルスに感染したことを発表。英国中枢にもコロナウイルス感染が蔓延しはじめている懸念がある。この一方、英国政府は今週大きな2つの対策を発表した。それは対コロナ戦戦略のための抗体検査の大規模実施と野戦病院「NHSナイチンゲール」の設立である。この記事では、これらの背景につき少し解説したい。 全土封鎖 3月23日、ボリス・ジョンソン首相は最近恒例になっていた毎日の夕方の記者会見の代わりに、夜8時半に短い国民向けの演説をテレビ・ネットで放映した。要点は次の5点である。 1. 食料品など生活必需品以外の店はすべて閉鎖、 2. 市民は食料品・薬等の買い物・散歩など1日1度の運動のときだけ外出可(1) 3. 通勤が必須であるごく一部の例外を除き自宅勤務 4. 公共の場
先週、英国ボリス・ジョンソン首相が「国民の多数の犠牲」を予告したコロナウイルス対策を発表して1週間になる。最初はラディカルともいえる「集団免疫にたよる」方策だったのが、この1週間で外出の自粛・自宅勤務をはじめとする社会的隔離政策を一気に打ち出し、英政府の方針は大きく変更されたように表面上は見える。 英政府の対コロナウイルス政策の急激な発展は、いくつかの背景を理解しないとわかりにくく、むしろ誤解される点が多い一方、この問題は日本にとっても実は対岸の火事では全くない。それゆえ、先週の記事に続いて、英政府の対コロナウイルス戦争の「方針転換」ならびに隠れた一貫した戦略の全貌、その科学的背景について解説を加えたい。 政策の「Uターン」 3月13日のジョンソンの演説内容は、対コロナ対策を戦争に喩えたレトリックとともに衝撃を与えた。しかしながら最も異論を呼び起こしたのは、感染症状のあるひとの自主的な自宅
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