2023年12月18日に亡くなった作家・徐京植さんの﹁絶筆﹂を公開します。 2024年1月に、韓国の出版社・バンビから出版される﹃アメリカ人文紀行﹄の﹁おわりに﹂が徐さんの﹁絶筆﹂になりました。 脱稿は12月12日ですが改訂稿として、亡くなる前日の17日に翻訳者に送られた原稿です。 アメリカ人文紀行・おわりに 善きアメリカの記憶のために 人文紀行シリーズの最新刊として﹁アメリカ﹂を取り上げたのは2016年のことである。この間に7年余もの歳月が去った。このシリーズの過去の2冊﹃メデューサの首-私のイタリア人文紀行﹄と﹃ウーズ河畔まで-イギリス人文紀行﹄も決して素早く気軽に書き上げたものではないが、それにしても今回は時間がかかった。率直に告白すると、予想外に苦しい執筆だった。 その苦しさの理由は、大きく言って二つある。一つは個人的な理由。この間に私は職場を定年退職したが、それがちょうどコロナ禍