未曾有の自宅ブームである。 家から極力出ずに、寝て起きて仕事してメシ食ってのループ。 出勤ゼロ秒、退勤ゼロ秒。これまでみたいに飲み屋に友達と集まってワーワー言ってるうちに酩酊して﹁今日もプラモデルを作る暇がなかったな……﹂なんて日ともサヨナラだ。 幸い、われわれプラモデル大好き人間の家には売るほどプラモデルがある。﹁家にこもってプラモデルを作ろう!﹂なんてスローガンを他人に突きつけられるまでもなく、プラモデル作り放題のシーズンがやってきた……はずだった。 こんなチャンスでもなければ、タミヤのフラッグシップモデルである1/32スケールの飛行機になんて手を付けないかもしれないと思い、いつか作るぞとストックしてあったでっかいコルセアの箱を開ける。 どうだ、オレにはたっぷり時間があるぞ……と説明書を舐め回すように読み、精密でカッコいいパーツのひとつひとつをしげしげと眺め、そしておもむろに組み始める