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やる気の出し方
note.com/nhk_syuzai
「NHK取材ノート」はこれまで、このnoteとNHKのサイトで、同じ記事を掲載してきました。 このうちnoteのページは、2024年6月末で閉じさせていただきます。 記事は、引き続きこちらのNHKのサイトでご覧いただけます。
「入ったら15秒で死ぬビルがある」などといわれるのに「日本よりここがいい」と家族が話すヨハネスブルクで支局長が見た南ア社会の深い断絶 おととし(2022年)の末から南アフリカのヨハネスブルクに駐在している。去年からは妻とふたりの子どもたちも日本から合流した。 ネットで「ヨハネスブルク 治安」などと検索すると、「世界一治安が悪い」「最恐都市」「入ったら15秒で死ぬビルがある」などと物騒なタイトルの記事が表示される。確かに治安がよいとはとても言えないから正直、家族を呼ぶことはためらった。 それが今では妻も子どもも「日本に帰りたくない。ずっとヨハネスブルクがいい」などと話すほどになじんでいる。 そこに、ヨハネスブルクが抱える巨大な矛盾があるのだけど。 いつかはアフリカに先月(2月)11日、私は西アフリカのブルキナファソの首都・ワガドゥグに向かっていた。ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアがアフリ
ウォーターゲート事件の内幕を描いた映画「大統領の陰謀」(1976)の一場面に、ワシントン・ポストの記者と、「ディープ・スロート」と呼ばれる情報提供者との印象的なやりとりがあります。 互いの表情もはっきりしない薄暗い駐車場で、事件の核心に早くたどり着きたいと焦る記者に、ディープ・スロートは短くこう告げます。 “Follow the money.”(カネの流れを追え) 「大統領の陰謀」「カネ」が政治権力の重要な資源であり、その流れを追うことが政治的現象の理解に資することは、昔も今も変わりません。 現在、政治資金パーティを巡る不透明な「カネ」のやりとりが問題になっていますが、私が政治にまつわる「カネ」を調べるきっかけになったのは、島根県議会の「政務活動費」の取材でした。 県議会のベテラン議員が不正な工作によって140万円を受け取っていたことを明らかにし、報道の翌日に議員が辞職という事態になりまし
大学時代に書いた自分の卒業論文が、記者として初めての調査報道につながった。 森林の保全や活用に欠かせない、法律が定める自治体の「森林整備計画書」について大量の公開文書を調べたら、多くの自治体がどこかの文書を丸写ししていたことがわかったというもの。 日本の森林を守るための大事な行政の文書が「コピペ」…あらためて思った、 「日本の森林ってこのままでいいの?」 コロナ禍で見つけた卒論テーマNHK前橋放送局記者の田村華子です。 私がこの「森のネタ」を見つけたのは3年前、大学4年生のころでした。 学生生活で最後の新学期が始まったばかりの4月、新型コロナの「緊急事態宣言」が出て大学の授業も中止になり、困ったのが「卒業論文」です。 私の専攻は「森林環境資源科学科専修」といって、実際に森林に出て植物や動物の分布などを調べる「フィールドワーク」が主体でした。 北海道の実習先ででもフィールドワークはおろか外出
ジョブズよ、なぜ、語ってくれていなかったのか・・・ ジョブズは、2011年に亡くなっている。私が取材してきた「新版画」とのつながりについて、本人が直接話したり、書き残したりしたものは見つかっていなかった。 「ジョブズが直接、新版画に言及しているカギカッコがないことが最大の弱点でしたね」 これは、英語番組を一緒に制作した同僚の言葉だった。マッキントッシュの開発チームのメンバーやアップル社の幹部でさえ、誰も知らない。そう思わざるをえないほど、新版画とジョブズとのつながりは極めてプライベートで、ベールに包まれていた。 けれど、“状況証拠”はある。ならば、それを積み上げていくしかない。アメリカ取材に必ず行く。ビル・フェルナンデスさんがいるニューメキシコ州のアルバカーキがロケの最終目的地だ。50分の日本語番組は、きっとできる。 前年のリポートから番組まで一緒に仕事をしてきた荒木真登あらきまさとディレ
「…で、その人は誰を亡くされたの?」 デスクは私を見ずに、企画の提案内容が書かれた紙にことばを落とした。 ひどいことばだと思うかもしれない。誤解が生まれないよう説明を加えると(説明したところで誤解しか生まないのだけど)そのデスクも、決して亡くなった人がいるかどうかで提案を見ているわけではない。ただ、、 報道カメラマンとして災害現場を見てきた私たち3人はあるときそろって、デスクが却下しそうな「地味な話」の提案を出した。自分より他人のことを優先して、被災地を支えてきた人たちの話。 災害現場にはいつも多くの「名も無きヒーロー」たちがいる。 そしてヒーローものにはいつも「続き」がある。 1人目のヒーローはひたすら自転車を修理し続けた 「お金はいいから、いいから」 そう言ってお客さんからの代金は受け取らずに膨大な数の自転車を無償で修理し続ける男性。 2011年3月19日、宮城県石巻市でNHKが撮影し
「念のための避難です」 「直ちに影響はないということです」 政府や東京電力の説明をなぞる報道は「大本営発表」と呼ばれた。 あれから12年。あのときのことを人に聞かれると、自分の無力さをさらけ出す恥ずかしさや悔しさ、申し訳なさにさいなまれ、つい実際以上に美化して話してしまう。 私はあのとき、原発報道を担当する記者だった。 (科学文化部 ニュースデスク 大崎要一郎) 「被害の情報はない。原子炉は停止している」2011年3月11日午後2時46分。 私は東京・渋谷のNHK放送センターにいた。 激しい揺れを感じ、ニュースセンターへ向かって走り出す。 ニュースセンターの建物につながる渡り廊下が左右に蛇行して揺れている。今にも落下しそうだ。それでも誰かが渡ったのを見て、意を決して続く。 ニュースセンターは大騒ぎだった。 壁際や机の上にあるモニター類がガタガタ揺れるのを、皆で懸命に抑えていた。 私は携帯電
「ご覧いただいている映像は、地震が起きたときの神戸放送局の放送部の様子です」 画面全体が激しく揺れている。机も椅子も棚も波打つようにスライドしていく。 「大きな揺れが繰り返し襲っているようです。いろいろなものが棚から落ちたり机から落ちたりしています」 放送局の泊まり当番で仮眠中の記者に向かって本棚が倒れてくる。 記者が間一髪に飛び起きると、次の瞬間、周りが真っ暗になる。停電だ。 直後、記者は電話へと飛びついた。 1995年1月17日午前7時に放送された、朝の全国ニュース「おはよう日本」。 震度7を観測した阪神・淡路大震災の揺れのすさまじさが初めてテレビで全国に伝えられた瞬間だった。 地震発生からすでに1時間あまりが経っていた。あの日、いったい現場で何が起きていたのだろうか。 錯綜する情報 混乱する現場午前5時46分。阪神・淡路大震災が発生。 NHK大阪放送局がテレビとラジオで放送を開始した
「匿名記者に取材してみようか」 私たち「NHK取材ノート」編集部の定例ミーティングで、ある日「匿名記者」のことが話題になった。 ツイッターのプロフィール欄に「記者」と書いてある匿名のアカウントがこのところ増えていて、仕事の「あるある」ネタやメディア業界の話題などを発信している。 でもどうして「匿名」なんだろう? この「取材ノート」はもともと、取材の内幕やノウハウ、仕事の悩みなどを伝えていこう、取材者の「顔と名前」を発信していこうと始まったものだけど、「匿名」で発信したいという事情もありそうだ。 だから今回は対象をちょっと広げて、編集部が「匿名記者」のみなさんに直接話を聞いてみようということになった。 「匿名記者」とは?「匿名記者」に明確な定義はないし、辞書にも載っていない。 今回はこう定義した。 「プロフィール欄などに『記者』と書いていて、本名や所属する会社名などは伏せているアカウント。主
「鼻血とまらんくなって。殴られすぎて鼻がおかしくなっとったけん」 「たんこぶも絶えんけん。洗えんのですよ、頭が痛すぎて」 虐待を受けたある少女の告白は、あまりに凄惨(せいさん)でした。 この少女がいったいどんな人生を送り、どうやって生き抜いてきたのか。 伝えるためにアナウンサーの私が選んだのは、テレビではなくラジオでした。 テレビでは10数秒に編集されてしまいそうなインタビューも、「声」を主役にできるラジオであれば、もっと少女の体験を伝えることができる。 そして8か月にわたる取材が始まりました。 きっかけは元暴走族の総長きっかけは、3年前の冬に聞いた「困難を抱えた子どもたち~立ち直りと自立に向けて~」という講演でした。 登壇した福岡県田川市の工藤良さんは、罪を犯した少年少女たちが自立に向けて集団生活を行う「更生保護施設」を運営していました。 目尻を下げた優しい笑顔が印象的な工藤さん、実は元
分析を身につけるには実際に「手を動かす」ことが一番の近道です。 分析ソフトと自治体のオープンデータを使った分析の進め方をとことん詳しく、マニュアル風にご説明します。やってみたいけど難しそう、わからない!という方の参考になればうれしいです。 (※あくまでもイメージをつかむためのものですので、詳しくはネットや参考書など他の情報もご覧ください) 今回のゴール地震による津波で浸水が想定されている区域に、子どもが通う施設がどのくらいあるのか。公開データから分析、可視化する。 以前、私が分析に携わったこの記事では、津波によって浸水が想定されている区域に、高齢者施設がどのくらいあるかを調べました。 このときのデータは、県や自治体などから取材で提供を受けたものがベースになっていました。そのままオープンにすることはできないので、今回は高齢者と同じく避難に手助けが必要な、「子どもの施設」に津波のリスクがあるか
東京の多摩川沿いの浸水リスクがある地域で、「なぜか人口が増えている」ことをデータ分析ソフトを使って明らかにして、その背景を探りました。 次にこんな記事も書きました。 南海トラフ巨大地震によって津波の浸水が想定されている区域で、高齢者の施設がすごく増えていることを示した記事です。 どちらの記事も、誰もが入手できる「オープンデータ」と、後述する「GIS」という分析システムを使って隠れた事実を浮き彫りにした、データジャーナリズムのお手本などと紹介されたこともあります。 そしてつい最近手がけたのがNHKスペシャル「〝津波浸水域〟の高齢者施設」。蓄積してきた分析のノウハウを注ぎ込んだ番組です。 「データ分析」というと専門的で、すごく難しく思う方もいるかもしれません。しかし最初に述べたように私は数年前までは、パソコンを満足に使えない、データ分析とは無縁の「ガラケー記者」だったのです。本当に。 そんな私
NHKと「コード・フォー・ジャパン」と共催で去年10月に「教育」×「シビックテック」×「ニュース」をテーマに「ハッカソン」を開催したので、そこで得たこと感じたことを共有します。 約50人に参加していただき、2日間にわたってネットで議論を交わし、手を動かして、8つのアイデアが形になりました。 ちなみにトップの画像は、作業の合間にみんなで体操をしているところです。いやーおもしろかった! なぜハッカソン開いた? NHKでテクニカルディレクター(TD)をしている斉藤一成です。 前回noteに、新型コロナの取材データをオープンデータでご提供した経緯を書かせていただきましたが、 コロナ以外にもNHKが取材を通じて集めたデータはたくさんあります。日々のニュース以外に過去の番組で集めたデータも含めると、それはもう膨大な量です。 ハッカソンを開いたのは、こうしたNHKが集めたデータが、 ・社会でカタチを変え
「これで言い渡しを終わります」 裁判長の事務的な判決が言い終わるやいなや、傍聴席から 「頑張れ!」「いつまでも応援するよ!」の大合唱。 ガラスのパネルで仕切られた向こう側の席にいた被告たちが 「民主を我らに!」「みんながんばろう!」などと言って拳を挙げ、刑務官に引っ張られ法廷をあとにしていく。 何度、こんな光景を見たことだろう。私はもう1年半以上、香港で裁判所通いを続けている。今やここだけが、市民の心の叫びを直接見聞きできる唯一と言っていい場所になっているから。 忘れないために書いておく私は2018年7月に香港に赴任した。2019年夏から本格化した大規模デモは年を越しても続いた。それを最初から現場で見続けてきた。 時に香港の未来を熱く語る若者たちに胸が熱くなったり、過激化するデモで混乱していく街の様子に心を痛めたりしてきた。 香港の抗議デモ(2019年)そして2020年、香港国家安全維持法
「一票の格差」「夫婦別姓」などの大事な問題に判断を下す最高裁判所。 その裁判官にふさわしいかどうかを「私たち」が審査するのが、国民審査。 大事な一票なのに、衆院選に比べていまいちどころか相当影が薄かった国民審査について、今回初めて特集するサイトを作ったNHK記者たちの思いとは。 (サイトはこちらです) 記者にも「秘密のベール」に包まれた最高裁判所社会部で最高裁判所の取材を担当している私、田中常隆。記者として11年目で、最初の水戸放送局では主に原発と行政の取材を担当して社会部に異動してからは、政治家の汚職事件などを捜査する東京地検特捜部を担当(業界では“P担”と呼ばれる)。2018年からは裁判を担当(こちらは“J担”)し、去年の夏から最高裁を担当している。 最高裁の裁判官ってどんな人たちなんだろう。担当になって初めて挨拶した裁判官たちの印象は、「物腰が柔らかく」「偉そうな印象はまるでない」、
記者に「プログラミングのスキル」って必要なの?ちなみにNHKニュースの画像生成も記者がコードを書いてます 新型コロナウイルスの新規感染者の数を示す日本地図に、毎日厳しい視線を送る男がいる。 コロナの感染拡大の今後が懸念されるが、地図がきちんと描画されているかも気になってしまう。 それはこの「新型コロナ感染者数マップ作画システム」をプログラミングしたのが彼だから。 ちなみに彼は技術部局のエンジニアではなく、いつもはテレビで解説している記者だったりする。 このシステム、記者が作りましたこんにちは、NHK解説委員の三輪誠司といいます。専門はITやサイバーセキュリティで、主に「シブ5時」や「くらし解説」などでニュースの解説を担当しています。 新型コロナウイルスの「感染者数マップ作画システム」は、1週間で作成しました。 言語はJava、地図はSVGで、ブラウザの画面をそのまま放送で使っています。SV
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