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やる気の出し方
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2021年に路上で紛失した指輪を、フリマアプリで転売されてしまった時の話です。とてつもなく長い文ですが書いてあることは、 ・自分で指輪を買い戻した ・出品者は警察で書類送検された ・出品者の立場を想像して思うこと あとがき以外は無料で全文読めます。警察や会社とのやりとりは、一部要約や編集してあります。ネコババ出品、ダメ、ぜったい! 亡くなってしまった父は数年に一度、母の誕生日になると、給料をはたいて、シルバーのアクセサリーを贈っていた。 わたしがまだ小学生だったときも、神戸からはるばる東京の表参道まで、父がCOACHのブレスレットを買うのに付き合わされた。 買っている姿をわたしに見られるのが恥ずかしかったようで、 「俺は用事があるから、お前はここで待っとけ!なっ!」 ジュースを渡され、小学生なのに、表参道の人混みで置き去りにされた。マジでとんでもねえ父である。 ただ、母はそれをたいそう喜ん
キャッチコピーを書くのが苦手です。本当に苦手です。やんなっちゃうほど苦手です。 高校でまるで成績が良いわけじゃないタイプの生徒会長やってたこともあって、文化祭のキャッチコピーとかね、よく、考えるお役目だった。 『未来への挑戦・あふれる活力・輝く静岡』的なやつ。 苦手……だった……! うまい言葉を見つけられないのもそうだけど、こう、頭の中にある大量の「楽しい!すごい!やばい!」を、表現しきれないのが、悲しくて。 100文字で済むことを、2000文字で書いてきた女です。 1分で済むことを、10分で話してきた女でもあります。 小学生の時からそうだった。 「奈美ちゃんばっかり、話さんといて」 何度言われたか。9歳で父の愛読書『課長 島耕作』にハマッた時は特にひどかった。ずっと早口。一匹狼のサラリーマンが上司に貶められ、理不尽な転勤を言い渡される悔しさを、拳握って熱弁してた。 好きなものが、本当に好
はいどうも!岸田奈美です! 7月25日で、33歳になります! そこそこの年齢なんですが、ここまで ・親族の空き家を2件売却 ・介護の手続き ・長期入院と手術の立ち会い ・医療費と保険費の請求 ・ご先祖の墓じまい ・相続ならびに相続放棄 をやってきたので、33歳になる今年も各方面から「そんなに若いのに…」と褒めてもらえます。余ったお菓子とかもらえます。得してます。 若さを褒められたければジムよりエステより、墓じまい! みんなも早いうちからやって、褒められよう! 1.NHKの地上波でドラマ放送スタートついに、来週の7月9日(火)22時から! 岸田奈美の原作ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」がNHK地上波で放送です! 【出演】 河合優実、坂井真紀、吉田葵、福地桃子、奥野瑛太/林遣都、古舘寛治、山田真歩/錦戸亮、美保純ほか(敬称略) とにかく1話を見てください! 鳥肌とと
2019年のお話だけど、ちょうどこの間、吉本新喜劇の人と話していて「小籔兄さんのアレって岸田さんのお母さんやったんですか!?」って驚かれ、思い出したので。 あの日は、仕事で東京に行っている母から電話がきたのだった。 「聞いて。さっきな、助けてもらった」 母は、車いすに乗ってるので、 人にはよく助けられる方だ。 「だれに助けられたと思う?」 知らんがな。 母は興奮気味に、説明してくれた。 品川駅で母は、タクシー乗り場へと舞い降りた。 腰から下がまったく動かない母が、ひとりでタクシーに乗るのは、実はとてもむずかしい。 何人かの運転手には、 「うちの車は乗りづらいと思うから……」 断られてしまった。 実際、東京では2021年のオリンピック開催をきっかけに、背の高いタクシーが増えていて、車いすから乗り移れないのだ。 並んでいる人が次々と乗り込み、ポツーンと取り残される母。 やっと乗せてくれるタクシ
ゴールデンウィークも、後半戦ですね。 うわさによれば、今年は10連休の人がいるようで。じゅ……10連休も……何を……!? カタログギフトすら、もらうたび持て余してディアゴスティーニ並みに貯め込んでるわたしなので、3連休ぐらいがちょうどいいかなって。ついに予約しました。 キャンプ場でバーベキュー。 母も弟も、大喜び。海賊みたいな歓声あげてた。なんせ岸田家、唯一のアウトドア派だった父をうしなってから、やったことないのよ。 母の車いすで行ける場所も、探し続けて、ようやく見つかって。 コンロでソーセージ焼いてしけ込んだら、丹波篠山にでも行って、興奮そのままに土を菊練りしてマグカップでも作ろうって、陶芸も予約しました。 万全、万全、大万全。 おっと、梅吉のことを忘れていた。 「梅ちゃんも一緒にバーベキュー、行こっか!」 行くワン! 抱っこして、にょーん、と梅吉が伸びた。 どてっ腹に赤黒いアザがあった
年末の深夜に天井が落っこちて、汚水がなだれこんできた人間の記録、これでおしまい! 果たして補償は、いかほどか……? ▼ これまでに書いた経緯 1日目|天井から今も雨が降り続いている人間の記録 2日目|32歳にもなって土下座で大号泣 3日目|止んでる間に詰めろ詰めろ 4日目|君たちはどう濡れるか 5日目|水道ミステリー、解明編 6日目|給湯器はなぜ年末に壊れるのか? 7日目|アドバイスに溺れるがお湯は出ない 8日目|壊れものたちの鎮魂歌 9日目|生活する人、仕事する人 10日目|お導きマンション 11日目|よおく考えるまでもなくお金 漏水から、1ヶ月が経った。 住居も変わり、年も変わり。まだ怒涛に揉まれる昼下がり。 『保険会社です。損害金の査定が終わりましたので、ご報告します』 きた、きた、きたー! ビッチャビチャの部屋で、瞬く間にお亡くなりになってしまった家具たちのことを思い出す。総額で1
汚水がふりそそぐ部屋から、あわてて引き上げた家財たちは、まだ引っ越し屋の倉庫で眠ってる。 トラックごと眠ってる。 そんなんじゃ生活も仕事もままならんでしょうと、思うなかれ。 積んでっから。 全部、積んでっから。 パソコンも、服と靴も、すぐ読まなくちゃいかん本も。 ベッドも。 ギッチギチに。 すごくない? あまりにも積めすぎている。 車一台あればそのへんの野ッ原で暮らせてしまう。 ドラマの撮影で使われたボルちゃん、引き取らせてもらうって決めた時はバクバクしたけど、この日のために来てくれたんだね。運命なんだね。 ボルちゃん「ソンナコトナイヨ!(ギチィ……)」 近況再開! ▼ これまでに書いた経緯 1日目|天井から今も雨が降り続いている人間の記録 2日目|32歳にもなって土下座で大号泣 3日目|止んでる間に詰めろ詰めろ 4日目|君たちはどう濡れるか 5日目|水道ミステリー、解明編 6日目|給湯器
思わず「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」みたいなことを言ってしまったが、令和のベストセラーを狙いたいほどの切実さである。 天井が落ちるほどの漏水で、実家に避難してきたはずが、実家の給湯器がブッ壊れてしまった。 えらいこっちゃ! ▼ これまでに書いた経緯 1日目|天井から今も雨が降り続いている人間の記録 2日目|32歳にもなって土下座で大号泣 3日目|止んでる間に詰めろ詰めろ 4日目|君たちはどう濡れるか 5日目|水道ミステリー、解明編 (6日目)12月23日 9:00- 四冠受賞 「あったかいご飯と、あったかいお風呂はあるから」 ……と、 マザーパワーを爆発させていたはずの母、ションモリ。 顔面のあらゆる顔のパーツが ハ の字になってた。 給湯器が、ブッ壊れてしまった。 きゅ……給……湯……器……? 一瞬、わけがわからなかった。なんだそれは。そんな装置がうちにあったのか。 「給湯器とやらが
▼ これまでに書いた経緯 1日目|天井から今も雨が降り続いている人間の記録 2日目|32歳にもなって土下座で大号泣 3日目|止んでる間に詰めろ詰めろ 4日目|君たちはどう濡れるか (5日目)12月22日 9:00-一本の電話天井から上階のきちゃない水が、3日間にわたり、雨季のジャングルのごとく降り続けた自宅。 そろそろ新たな生命が誕生してもおかしくない。 降り続けた原因も、引っ越し中に突然止まった原因も、なにもかもわからなかった。 入れ替わり立ち替わり、いろんな水道業者が来てくれては、 「こりゃ上の階の人が漏水させたんじゃ?」 「パイプの亀裂やろ?」 「上水にサビが混じっただけちゃう?」 熱き推理を繰り広げていた。錯乱した金持ちの洋館に招かれた名探偵たちかよ。突如、自宅を舞台に開幕した水道ミステリーは、迷走をきわめていた。 もう、このまま、ずっとわからんのちゃうか。 住む家を失ったわたしと
いつもキナリ★マガジンを読んでくれている人へ、お詫びがあります。 本当なら今ごろここでは、予告どおり、家族でホノルルマラソンを走りきったエッセイを書く予定でした。めずらしく短編小説を書く予定でした。 まだなにも知らない、嬉しそうな岸田家今月中にあと3本、書く約束だったからね。 でも、もうね。 なにをどーやっても書けへんのです。 かんにんや、かんにんしておくんなはれ……。 部屋が、汚水でベチョ濡れになったからです。 天井ですか? ありません。 今、わたしの家、天井、ありません。 汚水が、なんか、ドバーッて……なって……。 最初はやべーやべーって、引き笑い気味で対処してたんだけど、なんかもう、さっき、急に立てなくなって、汚水の中でうずくまりながら、めちゃくちゃデカい声で泣いてしまった。32歳なのに。情緒の天井も抜けた。 そしたら、話す言葉が、急に出なくなって。 びっくりした。 まともにしゃべれ
日本に生まれてきてよかった。 なくし物をするたびに思う。子どものころから、ありとあらゆるものを、なくしてきた。リコーダー、弁当箱、キックボード、携帯電話、傘、財布……。 もったいないとか、だらしがないとか、何百万回も叱られてきた。母なんかは早々に「もう絶対に捜索を手伝いません」と放棄宣言をしている。 諦めかけたものが、戻ってきたときは、絶望から絶頂まで逆バンジージャンプ並みの急転直上。 拝んで、拝んで、拝みたおす。神様、仏様、ああ、もう二度とうっかりしませんから!ありがとう! ……なのにどうして、また、なくしてしまうのか。 つい最近、家族で、三泊四日の韓国旅行へ行ってきた。 移動には、アプリのUber(ライドシェア)を使った。 韓国にも慣れはじめた三日目の夜。 漢江という川に浮かぶスターバックスコーヒーへ行ってみることにした。 30分ほど、Uberの車に乗って、 「ほう、ここでBTSが撮影
聞き慣れたばあちゃんの声の、聞き慣れない四文字が、スマートフォンのスピーカーから響いていた。 電話をかけなければと思い立ったのは、大晦日だった。 認知症グループホームで暮らしているばあちゃんの顔を、年末までに見に行く約束だったのに、母の入院が予想外に長引いたせいで見損ねていたのだ。 昨年の二月にグループホームへ入ったばあちゃんは、その頃からすでに昼飯を8回食らっていたので、年末の約束なんぞ忘れてるんだろうけど。送り出した者には、後ろめたさがある。 「なんやねんあんた、こないな時間に」 電話の向こうで、ばあちゃんの声は弾んでいた。どうやら、おやつの時間だったようで。 「オカンが、えっと、ひろみがな、いま入院してんねん」 「いややわ、どないしたんや!」 声はさらに弾んだ。 母の手術を説明したら、ばあちゃんは「はあ」とか「ひい」とか、高い声をもらしながらも、どこか他人事なのはありありとわかる。
Xで書いた闘病(犬が)記を、noteにも転記しました。同じ病気や薬を飲んでいる家族を持つ人の役に立てば……た、立つのだろうか……。 トイプードルの梅吉が、急性の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)を発症した21日間のこと 9月23日(DAY1) お天気がいいので、おもむろに犬をひっくり返し、天日干しをしていると。 「あっ!」 ドテッ腹に、赤いあざ! ひい、ふう、みい……5つも! ぶつけたんかな。 いや、いっぱいすぎて、おかしいぞ。 9月24日(DAY2) 痛くもかゆくもなさそうだがなんとなく、動物病院へ。 「顔色は悪くなさそうですねえ」 神妙にうなずいてしまったが、どこからどう見ても、愛犬の顔は毛むくじゃらの茶色である。 先生の目には見えるんだろうか。顔色が。 血液検査をしたら、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)だった。 言いにくい…性が多い……なんなの……? IMHAは、犬の免疫機能がおかしく
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