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日本で起こる無差別殺傷事件が止まるところを知らない。 2016年、神奈川県相模原市の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に元職員の男が侵入し包丁などで入所者19人を殺害した。今年に入ってからは、5月に川崎市多摩区で起こった登校途中のスクールバスを狙った通り魔殺傷事件で18人が負傷、2人の命が奪われた。7月の京都アニメーション放火事件では、被害を受けた68人のうち現時点で35人が亡くなり、殺人事件の死者数として戦後で最も多いとも言われる。 この次はいつ、どこで起こるのか。だれが加害者で、だれが被害者となるのか。近頃は日本のニュースを見ていると、どこもかしこもが腐食して今にも手すりが落ちたり底が抜けそうな橋を渡っているような錯覚におそわれる。幼いころ、とても頑丈に頼もしく見えていたこの橋は、いつからこんなにも脆く、危うくなってしまったのだろうか。 考えさせられたのは、川崎市19人殺傷事件で犯
都心の巨大なレガシーがついに民営化稼働へ舵を切る――。東京オリンピック(五輪)・パラリンピックのメイン会場だった国立競技場(東京都新宿区)について、独立行政法人「日本スポーツ振興センター(JSC)」が、2025年度から始める運営事業の優先交渉権者に、NTTドコモを代表とするコンソーシアム(他に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ)を選定したことが明らかとなった。 運営期間は30年間で、ドコモなどは国に運営権の対価として528億円を支払う。契約は9月ごろに正式に締結し、来年4月にJSCから業務を引き継ぐ予定。 利便性に恵まれながら、イベント開催には遮音性が課題とされる屋外スタジアムだが、スタジアムのネーミングライツや、シーズン毎に芝を全面的に張り替えることで音楽コンサートなどの開催期間を大幅に確保することなどを念頭に、収益を高める狙いがある。 NTTド
米兵による沖縄県内での性犯罪事件を巡って、政府が県に情報を連絡していなかったことについて、政府は情報の伝達、共有の在り方を見直すという。当然だろう。だが残念ながら、現状では政府の対応を期待することはできない。 なぜなら、「なぜ見直すのか」という目的を、はっきりと示していないからだ。「この度はすみませんでした」といった程度の話ではない。安全保障、特に米軍に関する沖縄との情報伝達や共有は、他の都道府県との情報連絡とは全く意味が違う。 現下の安全保障環境を踏まえれば、政府は一刻も早く沖縄との信頼関係を修復しなければならないことは自明のはずだ。そうした危機意識を持って沖縄との関係改善に取り組み、米国に対しても犯罪の再発防止を強く求めなければ、岸田文雄政権が存続する意味などない。 一連の情報をたどってみると…… 今回、在沖米兵による性犯罪が発覚した経緯は、沖縄の民放局が6月25日、「那覇地検が不同意
「日本人だけが知らない『国産こそ危ない』食品の罠」。こんな見出しの記事(「女性セブン」5月23日号)が目に止まった。この種の記事は他の「週刊女性」「週刊新潮」などにもたびたび登場する。 科学的な根拠に乏しい内容でも、記事にする言論の自由はあるだろうから、この種のニュースに対しては、やはり基本的な知識で自衛するしかない。『フェイクを見抜く』(ウェッジ)を武器に基本知識をいま一度、身に着けておきたい。 農薬にかかわる記事で不安を呼び起こす文句はいつもほぼ同じだ。「日本の農薬使用量は世界的に見てトップクラスだ。その結果、日本ではがんの死亡者が先進国で圧倒的に多く、自閉症など発達障害の割合が高い」「日本の食品の残留農薬基準値は欧州連合(EU)に比べて緩く、安全性が担保されていない」といった言い方だ。要するに日本は世界の流れから立ち遅れているという論法である。 「女性セブン」の記事に対するファクトチ
主要7カ国首脳会議(G7サミット)がイタリア・プーリアで開催された。その首脳宣言には、“安すぎる中国製品の輸出ラッシュ”に関する懸念が盛り込まれた。 われわれは中国に危害を加え、経済発展を妨げようとはしていない。事実として、世界のルールと規範を守る形での成長する中国はグローバルな利益に資するものである。しかしながら、中国が継続的に行っている産業政策、広範囲にわたる非市場的政策と慣行を懸念していることを強く表明する。ますます多くの分野において世界的な波及効果、市場の歪み、有害な過剰生産能力を生み出すものであり、私たちの労働者、産業、経済の回復力と安全保障を損なっている。 中国製品の氾濫は今に始まった話ではないが、この1年あまり、改めて注目が集まっている。2000年代初頭に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した後、安い中国製品が世界を席巻した、いわゆる「チャイナショック」になぞえらえて、「チャ
財政規律が弛緩し、借金が急激かつ雪だるま式に膨らんでいった平成の日本。財政楽観論や減税論に惑わされず、構造的な改革を断行していくべきだ。「Wedge」2024年6月号に掲載されている「平成全史 令和の日本再生へ 今こそ知りたい平成全史」記事の内容を一部、限定公開いたします。 日本の借金が急激かつ雪だるま式に膨らんだのは、平成の時代が始まってからである。高齢化による社会保障費などの歳出が増え続ける一方、税収はバブルが崩壊した1990年度を境に伸び悩み、その差はいわゆる「ワニの口」のように開いた。しかも、少子化により税の担い手が減り続けているから、まさしく、「開いた口が塞がらない」という構造赤字が続いている。その穴埋めは公債の発行で賄われてきた。 さらに、平成は、リーマン・ショックや東日本大震災など、大きな危機が起こるたびに、財政依存を深めてきた。これは、令和になっても踏襲され、コロナ禍での1
2014年に日本創成会議・人口減少問題検討分科会により公表されたレポートは、多くの地方都市が人口減少によって「消滅可能性」があることを指摘し、物議を醸した。その結果、消滅可能性を指摘された自治体がさまざまな人口減少対策を検討することになった。 その10年後の2024年4月に、人口戦略会議から、先のレポートの続編ともいえる「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」が公表された。各自治体の人口流出を止めるための方策が若年者を奪い合うような様相を呈していることなど、14年のレポート以後の政策的動きに対する批判的検討と近年の変化について分析された。 新しいレポートでは、人口移動が可能な場合とそうでない場合のシナリオの下で、若年女性人口の減少率の高低により、「自立持続可能性自治体」「ブラックホール型自治体」「消滅可能性自治体」「その他の自治体」への分類が行われている。 レポートでは、日本全体
非正規雇用、ロスジェネ、女性問題などを取材するジャーナリスト・小林美希氏。国際経験が豊富なジャーナリストで現在は外国人労働者問題を取材する出井康博氏。不器用に生きる人々に密着して人生の機微を描いてきたノンフィクション作家の山田清機氏。この3人に、日本の労働問題、そして、フリーランスの立場から見た日本のメディアの今について語り合ってもらった。 編集部(以下、──)皆様もわれわれも全員昭和生まれですが、平成という時代はどんな時代でしたか? 山田 のっけからこのような話題で大変恐縮なのですが、僕にとっての平成とは、「一貫してお金がない」ということです……。とにかく、この一言に尽きます。拙著『東京タクシードライバー』(朝日文庫)の「長いあとがき」にも書きましたが、僕は大学卒業後、大手メーカーに新卒で入社しました。ただ、入ってみると、配属された職場の雰囲気が息苦しかった。ある時、社員旅行のとりまとめ
2024年5月21日、山口県下関市で捕鯨船の出漁式が行われた。日本が国際捕鯨委員会(International Whaling Commission: IWC)を脱退し商業捕鯨を再開して5年が経つが、今年の出漁式は例年になく華やいだものとなった。というのも、これまで約30年にわたって操業を支えてきた捕鯨母船が老朽化により退役し、新たに建造された母船「関鯨丸」の初出漁だからである。 式には地元選出の国会議員、自治体関係者などが出席。船主で捕鯨操業会社である共同船舶の所英樹社長は「新船建造は、沖合母船式捕鯨漁業を途絶えさせないという意志だ」と操業の決意を示した。 今年の操業がこれまでと異なっている点はもう一つある。これまで捕獲対象が大型鯨類の中でも相対的に小型であるミンククジラ、イワシクジラ、ニタリクジラ3種だったところ、今年から地球最大の動物、シロナガスクジラに次いで大型のナガスクジラを新た
“「産まずして何が女性か」と上川陽子外相” “出産したくても困難な状況にある人への配慮に欠けるとの指摘が出る可能性がある”──。 2024年5月18日、共同通信から配信された記事である。上川外相が静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った際、「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べたことに対してである。報道は共同通信配信先である全国多数の地方紙にも広がり、上川外相は多くの批判を受けて発言を撤回するに至った。 既に多くの記事で批判されているが、共同通信の報じ方は上川外相の発言の一部を恣意的に切り取り、それを論拠に「懸念」を示し批判を促す自作自演の「社会問題」創出、マッチポンプ・クレイム的な性質を持っていると言える。 国際大学GLOCOM客員研究員で、フェイクニュース対策や情報リテラシーに関する情報発信を幅広く行っている小
加速する「貯蓄から投資」、迎えた「金融政策転換」、景気回復の実態を伴わない「冷たいバブル」……。ここ最近、経済に関するニュースが大きな話題を呼んでいます。この身近でありながらも複雑な経済問題について、私たちはどのように向き合えば良いのでしょうか。 今回の記事では、「絶対的貧困」と「相対的貧困」について解説しています。円安、賃金の停滞、国際競争力の低下など、多くの人が日本経済の低迷を実感していますが、具体的に「貧困」とはどのような状態を指すのでしょうか。 *本記事は帝京大学経済学部教授の宿輪純一氏の著書『はじめまして、経済学 おカネの物差しを持った哲学』(ウェッジ)の一部を抜粋したものです。 貧困の定義 「貧困」(poverty)とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 貧困の定義はさまざまですが、大きく2つに分けて考えることができます。衣食住など必要最低限の生活水準が維持できない「
TSMC(台湾積体電路製造)。 国際情勢と世界経済を左右する戦略物資となった半導体、その製造世界シェアの60%を担う世界最大のファウンドリ(半導体受託製造)だ。スマートフォンやパソコン、AI(人工知能)向けに必要な先端半導体に限れば、そのシェアは90%以上に達する。今や世界で最も重要な企業の一角を占める存在となり、株式の時価総額も世界トップ10入りを果たした。
2024年4月11日付の英Economist誌が、ウクライナが戦争に負ければ何が起きるのかを論じるコラムを掲載し、恐怖が欧州に浸透することとなろうと述べている。 昨年のウクライナの反転攻勢の希望は失せ、このところ支配するのは恐怖である。 もしウクライナが敗北すれば、それは西側にとって屈辱的となろう。米国と欧州は、過去2年、道義的・軍事的・財政的支援をウクライナにしてきた。この支援の提供を時に躊躇したことが事態を悪化させた。 ウクライナの領土がロシア領に塗り替えられれば、力は正義なりという理念が固まるであろう。元北大西洋条約機構(NATO)事務局長ジョージ・ロバートソンは「もし、ウクライナが敗れれば、われわれの敵が世界秩序を決めるであろう」と警告した。特に台湾の人々にとっては不幸なことになろう。 ウクライナの隣国による支援の速度は米国よりも遅かった。しかし、ゆっくりだが着実に、彼等は可能な限
【6兆円の血税投入という衝撃】政府はガソリン補助金をいつまで続けるつもりなのか?補助金投入で失う産業競争力、脱炭素との逆行も かつて途上国を旅すれば、物価を安く感じた。もちろん外国人用のレストランなど別体系の料金も多くあるが、タクシー料金、街中で買うミネラルウォーターなど、多くのもの、サービスの価格を安く感じた。 今日本に来ている外国人は、かつて私たちが途上国で感じた物価の安さを実感しているに違いない。昨年米国出張時にシカゴの電車の駅で購入したミネラルウォーターは5ドルを超えていた。日本はミネラルウォーターが1ドル以下で買え、10ドル以下でファストフードではなく、レストランのランチが食べられる国なのだ。そう日本は物価では途上国並になってきたのだ。 失われた30年間収入と需要は伸びず、規制改革などにより供給は減らなかったのでデフレになった。最近の円安により輸入品の価格は上昇しているが、その典
「ガールズ&パンツァー」、通称「ガルパン」という日本のアニメ作品がある。ウィキペデイアの説明を引用させていただくと、「戦車同士の模擬戦が伝統的な女性向けの武道として競技化され、戦車道と呼ばれて華道や茶道と並ぶ大和撫子の嗜みとして認知されている世界を舞台に、戦車戦の全国大会で優勝を目指す女子高生たちの奮闘を描くオリジナルアニメ。兵器である戦車を女子高生たちが運用するという、男性のアニメファンにアピールするようなミリタリーと萌え要素を併せ持ちつつも、死者の出ない戦闘とスポーツものの約束事を踏襲した物語が描かれ、戦争と死といった背景から切り離された戦車戦を描いている」。 個人的には、この作品をごく断片的にしか観たことがないのだが、戦車同士が実戦さながらに砲撃を交わしながら、不思議と死傷者は出ない設定になっているようである。 思えば、我が国においては、戦乱の時代が去り、太平の世となった江戸時代以降
米大リーグ、ジャイアンツからフリーエージェント(FA)となっていた筒香嘉智外野手が古巣・DeNAベイスターズに復帰することが決まった。球団が16日、正式に発表した。 筒香選手は2019年オフにメジャーに挑戦し、レイズへ移籍。思うような結果を残せず、近年はマイナーや独立リーグでのプレーが続いた。ドジャースの大谷翔平選手を筆頭に、大型契約を勝ち取る日本人選手がいる一方、今季からメッツに移籍したメジャー2年目の藤浪晋太郎投手、日本ハムからポスティングシステムでメジャー挑戦した上沢直之投手はマイナースタートとなった。 「実力社会」でもあるメジャーは、同時に「契約社会」でもある。実力次第で夢もビッグマネーも手にできる“アメリカン・ドリーム”が目前にあっても、すでに体現した成功者たちが好待遇での契約を勝ち取っており、そこに割って入ることは容易ではない。立ちはだかるのは「契約の厚い壁」だ。 厳しい「40
【いじめ自殺を防ぐ1枚の診断書に全国から殺到】現役精神科医が語る「法と医者は使いよう」、学校の対応が遅いと言われるのはなぜ? いじめ防止対策推進法は、実によくできている。眠らせておくには惜しい。いじめの防止に関わるすべての職種が、その目的のために使えばいい。 同法は、その「基本理念」として、第三条に「いじめの防止等の対策」は、「いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない」としている。医師、とりわけ、精神科医は心身の専門家である。だから、精神科医がこの法に触れてはいけない理由はない。使うべきである。 また、児童・生徒とその親御さんにおかれては、精神科医をもっと使ってほしい。「法と医者は使いよう」、それが、筆者の意見である。 本連載の2023年2月1日に記した「1枚の診断書がいじめ自殺を防ぐ 医師だからできること」は、さ
経済政策論議には、物価が上がればなんとか下げろ、円安になれば輸入物価が上がるからなんとか上げろ、国民は好景気を感じられない、富の分配が不公平になっている、というようにばらばらな政策目標の達成を求める議論が多い。政府もそれに呼応して、石油元売会社に補助金(燃料油価格激変緩和補助金)をばらまいてガソリン・軽油価格をある程度抑え込んだ。ここで日頃ばらまきはいけないという財政学者の発言は聞かれない。 また、政府は、円安に対しても介入するぞと発言している。市場に任すべき金利を押さえつける日銀はけしからんという一部金融学者も円安に介入して円高にすることには発言がない。 取材しないで書く記事をコタツ記事、コタツにいて書ける記事というそうだが、経済理論にもデータにも依拠しないコタツ経済評論が多いのではないか。 経済政策を個別に考えては矛盾する コタツ経済評論が蔓延するのは、最終的に経済政策の目標を明示せず
中国がデフレに陥ったのではないか。 昨年来、ささやかれている懸念だ。確かに2023年通年の消費者物価指数(CPI)は0.2%にまで落ち込んだ。 気づけば、万年デフレと揶揄されてきた日本と逆転している。日本が「失われた30年」からようやく抜け出そうとしている今、代わりに中国が長い長い停滞に入りつつあるのではないか……。中国では不安が広がっている。 中国のデフレ傾向はマクロ経済の視点から需要不足のあらわれとして説明されることが多いが、企業や消費者の視点から見ると過去10年以上にわたって続いてきた中国の発展モデルの“到達点”である。2010年代の中国の飛躍を支えてきた、この発展モデルは中国に何をもたらそうとしているのか。 “中国流”に巻き込まれたスタバ 米スターバックスの23年10~12月期決算が中国で話題となった。中国市場での平均客単価が前年同期比9%減と大きく減少したためだ。4~6月期は1%
小林製薬の紅麹サプリメント(機能性表示食品)を摂取した人に死者を含む健康被害が次々に発生している。新聞やテレビの報道で機能性表示食品の実態や同社の責任を問う報道が目立つが、国の食品安全行政の根本的なあり方を問う指摘はほとんど見られない。新聞やテレビでは報じられていない真の課題をえぐり出す。 公表の遅れで被害拡大 小林製薬は3月22日、自社が製造する「紅麹」成分を配合した機能性表示食品のサプリメントを摂取した人13人に腎障害などが発生し、5製品の自主回収を実施すると公表した。同26日に「3年間、紅麹サプリメントを摂取した人が腎疾患で死亡した」と公表してからは特に関心が高くなり、同社の責任を問う報道が連日、繰り広げられている。 どのメディアも一致して指摘しているのは会社の対応の遅れだ。「自主回収まで2カ月 情報共有されず被害拡大」(産経新聞3月27日)、「紅麹被害対応後手 公表から2か月超」(
近年、世界中で「キャンセル・カルチャー(コールアウト・カルチャー)」が盛んになっている。先進国を中心にポリティカル・コレクトネスが声高に叫ばれて久しい中、それに反する言動は、社会から強く非難されるようになった。政治的に「誤った」人物や企業、作品といった対象は、SNSなどを中心にたびたび炎上し、ボイコットや不買運動によって謝罪や撤去に追い込まれたり、社会的な地位や仕事を失うなど次々と「キャンセル」された。 こうした「キャンセル」の動きは、すでに日本でも珍しくない。たとえば昨年も、KADOKAWAから出版予定であった本『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』が出版中止に追い込まれる事件もあった。 無論、差別などの不当な扱いは社会から強く否定されるべきものだ。それを訴える手段の一つとして、「キャンセル・カルチャー(コールアウト・カルチャー)」には一定の合理性も正
米アカデミー賞の授賞式が10日あり、アウシュヴィッツ強制収容所とホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を題材とした英作品「関心領域」が国際長編映画賞を受けた。ジョナサン・グレイザー監督は受賞スピーチで、パレスチナ自治区ガザで続く戦争に焦点を当て、ユダヤ人としての自分たちの存在やホロコーストが、ガザでの占領行為に「乗っ取られていることに異議を唱える」と述べた。 イギリス作品が国際長編映画賞を受けたのは初めて。アカデミー賞では5部門にノミネートされた。 「関心領域」はドイツ語映画で、アウシュヴィッツ強制収容所のルドルフ・ヘス所長の家族に焦点を当てている。ヘス所長は1940~1943年にアウシュヴィッツを運営し、その間、推定110万人が殺害された。うち約100万人はユダヤ人だった。 グレイザー監督は受賞スピーチで、製作スタッフへの感謝を述べると、事前に用意した原稿を読み上げた。 「私たちの選択はすべて、
獲れる魚の減少が止まらない。農林水産省統計によると、1984年に1282万トンだった漁業・養殖業生産量は、以下右肩下がりを続け、2022年現在で386万トンと、過去最低を更新した。国連食糧農業機関(FAO)統計によると、世界では漁業・養殖業生産量は右肩上がりを続け、直近のデータである21年現在史上最高の2億1837万8000トンを記録したのとは対照的である。 魚が獲れなければ、当然漁業者の収入はままならない。農林水産省「漁業経営に関する統計」によると、22年度現在沿岸漁船漁業漁家の漁労所得は僅か136万円である。なり手不足のため漁業者数は急速に減少しつつあり、農林水産省「漁業構造動態調査」によると、10年に20万2880人だった漁業就業者は、わずか12年で約4割も減少し、12万3100人となっている。 趣旨は良くできている「積立ぷらす」 多くの漁業者が漁獲量と収入の減収に苦しむなか、漁協の
☆JR東海「京都キャンペーン」30周年! CM・ポスターでおなじみの風景とあの名作コピーが1冊に! 最高に美しい京都がここにある―― 2023年秋に30年目を迎えたJR東海「京都キャンペーン」。 テレビCMや駅構内で目にしたポスターから四季折々の美しい写真と軽妙洒脱なコピーを79点厳選し、1冊の写真集にまとめました。 新旧ナレーターの長塚京三さんと柄本佑さん、コピーライターの太田恵美さんからはキャンペーンの秘話も。 ページをめくって30年分を堪能しているうちに、また京都に行きたくなる―― そんな気持ちになること間違いなしです。 *同時発売の『そうだ 京都、行こう。 御朱印帳BOOK』は、本書中の春・初夏・夏の部分を抜粋した小型サイズの写真集であり、オリジナルの御朱印帳が分冊になった箱入りの商品です(セット販売品・分売不可)。 【本書の目次】 はじめに 春(渡月橋、醍醐寺、高台寺、平安神宮ほ
フェイクニュースによく使われるトピックの一つに、農薬がある。旧モンサント社が開発したグリホサート(製品名:ラウンドアップ)の発がん性が指摘されると、米国で訴訟が頻発した。それはまさに「フェイクニュース・ビジネス」とも言えるほどの広がりを見せ、巨額の賠償金の支払いが命じられた。日本にとってもこの訴訟は非常に重要な示唆となる。『フェイクを見抜く』(唐木英明・小島正美、ウェッジ)ではその舞台裏を詳細に記している。その一部を編集してお届けする。 日本では考えられない訴訟経緯 WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)による発がん性分類は、あまり一般に理解されているとは言い難い。2023年には甘味料のアスパルテームがグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性あり)に分類され、話題となったことを覚えている人も多いだろう。ここではその詳細には触れないが、この「発がん性」を巧み
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