サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
買ってよかったもの
www.anlyznews.com
「ポリコレリベサヨうんこ学者」が侮辱になるか否かが争点だと思っていた北村×雁琳訴訟の判決が4月17日に出て、雁琳氏に220万円の支払いが命じられた。SNSでのこの手の訴訟としてはかなり高額な部類に入る。どういう理由がついているのかと思って判決文が公開されていたので拝読してみたら、予想外のところがポイントになっていた。 問題となったツイートは11ある。オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」が(北村×呉座の)和解違反だという前提での投稿①②③⑨が、すべての虚偽の事実の摘示による名誉毀損になっている。④⑤⑥⑦は、おそらく雁琳氏は意見論評を書いているつもりだが、意見論評の対象となる事実を明確にしていないので、④⑤は虚偽の事実の摘示、⑥⑦は無根拠な意見論評と受け取られている。⑧は北村氏の著書に中指を突きたてた写真が侮辱と認定された。⑩は不法行為とされなかったが、⑪も北村氏が過去に歴史修正主
現在の日本には難民申請中・退去手続き中(仮放免)のクルド人が数千人はいて、埼玉県川口市を中心に居住しており、社会問題になっている。昨年7月4日のクルド人同士の乱闘事件からの騒動による病院の緊急搬送受け入れ停止で、全国的に注目されることになった。 日本の難民申請の基準は厳しく、今までクルド人も1万人ほど申請して1名しか許可されていないが、行政は申請を棄却しても強制退去を執行しない*1一方、施設不足から収容もしないためだ*2。出身国での身の危険を感じて難民申請している人々が自発的に帰るわけがなく、現在に至る。 1. SNSで騒がれている問題は起きていない 在日クルド人集団による治安の悪化を吹聴している人々もいるのだが、根拠に欠ける。在日クルド人集団は、今のところ他の在日外国人の集団と比較して大きな問題を引き起こしていない。現状、統計上は目だって川口市の治安が悪化していたりはしない。ここ1年間の
米国では映画化もされた有名な事件で頻繁に参照されているのだと思うが、2012年に性的暴行事件が完全な冤罪であったことが示され、服役していた男性の罪が取り消された事件の部分的紹介が流れ、反響を呼んでいた。ネット界隈では女性の一方的な被害の告発によって冤罪が生じたと理解されつつあるようだ。しかし、実際の経緯はもっと複雑だ。 2002年、当時16歳のBrian Banks氏は将来を嘱望された高校生のアメフト選手だったが、何らかの事情で当時同級生の女子高生Wanetta Gibson氏と険悪な雰囲気となって別れ、後でGibson氏に誘拐と強姦で刑事告訴された*1。 Gibson氏の身体には強姦された形跡は無かったが、Banks氏は逮捕され、罪を否認して懲役41年になる可能性を、司法取引に応じて減刑を受けるかの選択を10分以内に迫られた。Banks氏は司法取引に応じ、懲役6年、保護観察5年、性犯罪者
文筆家の牧村朝子氏が、性的少数者は先天的で矯正不能であるので正常であり、差別してはいけないという理屈で社会運動が行われてきており、後天的であったり異常を認めざるを得ない場合は差別を不当なものとできないと指摘している*1が、さすがにそこまで脆弱な理屈だけではないので指摘したい。 同性愛は1973年まで、トランスジェンダーは2019年まで精神疾患に分類されていて、科学的に効果が確認されていない転向療法が試みられてきた*2ことへの批判を念頭に置いているのだと思うが、転向療法への反対理由が性的少数者の権利主張の根拠のすべてと言うわけではなく、むしろ理屈としては主要なものではない。 アメリカ合衆国全土で同性愛が適法だと確認されたのは、2003年のローレンス対テキサス州事件の判決によってなのだが、そこでは生殖を目的としない性行為は公序良俗に反さないことを認めた上で、アメリカ合衆国憲法修正第14条が保障
アツギが絵師に依頼してタイツをモチーフに萌え絵を描いて「#ラブタイツ」タグをつけてツイートしてもらう2020年11月のラブタイツ企画が、萌え絵不寛容派の非難に負けて中止したのは失敗だったという主張を2023年9月にもなって見かけたのだが、当時の非難*1が不当だとしても広告キャンペーンを維持すべきであったかは分からない。 Twitterのタグは誰でも好きにつけることができるので、アツギが依頼した絵師の他に、依頼されていない絵師が勝手に絵を描いて投稿してきたり、エロティックなコスプレ画像的な写真がキャンペーンに混入した可能性がある。実際、アツギが依頼したものだと考えられる24枚の絵*2より過激なものが、「#ラブタイツ」タグをつけて現存している。絵ではなくてハイレグのバニーガール衣装の写真などもある。 過激な作品や写真にタグをつけて投稿され、消費者にアツギ公認のように捉えられるリスクがあった。非
訳本『イン・クィア・タイム』の帯を書いた王谷晶氏のツイートにペドフィリアとチャイルドマレスターを混同するペドフィリア蔑視があると*1、本の翻訳者の村上さつき氏らがハッシュタグ「#ペドフィリア差別に反対します」を用いて𝕏/Twitterで王谷氏の非難をはじめ、村上氏と氏に同調した人々がアカウントを凍結された*2。 問題発言は批判するべきで、検閲は避けるべきだと思うが、ペドフィリア差別反対者の議論の前提に色々と問題があるので指摘しておきたい。 ペドフィリアは精神医学で定義された性嗜好障害の一種で*3、(二次性徴を迎える前、操作的には13歳未満と定義される*4)児童と性行為をしたいと思い始め、成人女性との性行為などでは性欲を満たす事ができず、欲求不満で日常生活に支障をきたすか、児童との性行為を試みるような状態。 成人も性的対象になる場合は非排他的なペドフィリアと言うが、成人の方をより好む人々は
福島第一原発の処理済汚染水に含まれるトリチウムに関して、生体濃縮やら何やらといった用語を持ち出し、その危険性を強調し、処理水の海洋放出に反対する人々がいる。その中には科学者に分類される人や、原子核物理学を学んだと称する人々もいるのだが、皆さん、冷戦時代に核兵器の実験で地球に大量のトリチウムがばら撒かれた事、残存総量の5.4%強が毎年崩壊して無くなることを見落としている。 予定年間放出量の処理水に含まれるトリチウムの量は2.2×10¹²Bqとされる*1が、地球全体では微々たる量だ。毎年、宇宙線で7×10¹⁶Bq(処理水1年分を1とすると、31,818)ほど増えるし、全世界の原発から2×10¹⁶(〃 9,091)ほど放出されている。過去の核実験では2.1×10²⁰Bqほど放出された( 〃 9,545万)*2。 毎年放出しても、環境に蓄積されることはない。トリチウムは一定時間に一定の割合でβ崩壊
埼玉県営公園での水着グラビア撮影会の突然の中止をめぐって、ネット界隈の表現規制反対派である表現の自由戦士の皆さんの間で、日本共産党を非難する声が高まっている*1。しかし、責任者は共産党ではないし、共産党の主張と中止理由は異なる蓋然性が高い。公明党あたりから文句が出てもおかしくない問題が水着グラビア撮影会には今まであり、結局はそれが中止の最大の理由だと考えられる。 1. 共産党には決定権はない 指定管理者である埼玉県公園緑地協会に決定権がある事項であり、埼玉県議会定数93議席に占める共産党の議席数は3だ。議員連とは言え、要望を出すことしかできない。そして、既に多方面から批判されているように、共産党の要望は都市公園法第1条に反するという、抽象的で具体性がないものでしかない。共産党の中止要請は、しらこばと水上公園で開催される(共産党の基準で)卑猥な撮影会に言及していると考えられ、川越水上公園につ
► 2024 (13) ► 4月 (1) ► 3月 (8) ► 2月 (3) ► 1月 (1) ▼ 2023 (71) ► 12月 (7) ► 11月 (2) ► 10月 (4) ► 9月 (10) ► 8月 (6) ► 7月 (6) ► 6月 (8) ► 5月 (5) ► 4月 (2) ▼ 3月 (6) ロシア軍の武器・弾薬・装備切れ ウクライナの勝利ではなく、ロシア軍の撤退を願う方がよいとは思うものの 一般社団法人Colaboへの委託事業の住民監査請求は、関係3者すべてハッピーな結果を得ることになった ChatGPTにChatGPTの限界を聞いてみよう ビッグデータの時代は終わった 誤差項の分散に不均一性があるパネルデータにもOLSは使えるよ ► 2月 (9) ► 1月 (6) ► 2022 (88) ► 12月 (3) ► 11月 (3) ► 10月 (7) ► 9月 (5) ► 8
Google社のデータウェアハウス事業BigQueryのエンジニアで、唯一のエヴァンジェリスト役を任されていたJordan Tigani氏が、ひとつの計算機では格納し処理しきれないビッグデータの時代は終わった(Big Data is Dead)、データをひたすら蓄える方法ではなく、データを意思決定に活用する方法を考えましょうとブログのエントリー*1で主張している。 一部界隈で機械学習を用いたデータサイエンスへの批判のように捉えられていた気がするのだが、どちらかと言うとMapReduceやHadoopといった2000年代後半に流行ったデータウェアハウスのソリューションに関する話であった。むしろビッグデータをやめて、機械学習を自由に使えるようにしようと言うような話。もう少し詳しく内容を紹介(意訳でも妙訳でもない)すると、以下となる。 多くの企業はビッグデータを扱っていない。何十年か前は時間とと
理工系のラボの統計解析では実験計画をどうするかの方が成果を大きく左右するためか、出てきたデータの統計解析はよく考えずに慣習に沿っている面がある。国内外の理工系ラボの向けの実践ガイドライン(チートペーパー)を見ると、古臭く問題含みの方法を説明していることもある。 古臭いチートペーパーで紹介されていたよろしくない慣習で思いついたところを挙げると、 1. 標本が正規分布に従わないかも知れないのに、F検定をかける 等分散性を調べるF検定は正規分布か同じ尖度の分布でないと機能しない。Levene's test(Rではlawstat::levene.testで行なえる)か、O'Neill (2014)で紹介されている尖度で自由度を補正したF検定を用いる必要がある*1。 2. F検定で等分散性を確認してからスチューデントのt検定とウェルチのt検定を選ぶ 常にウェルチのt検定をかけるのが望ましい。この手順
野村総合研究所データサイエンスラボの偉い人が「令和の「データサイエンティスト」に必要な能力」と言う記事を書いて、その中の「統計学や機械学習における基礎的な知識・スキルを整理してマッピングした…図」が、統計学や機械学習に詳しい人々の困惑を招いている。 データサイエンスの文脈でよく言及されているらしき知識*1を古典的~現代的と基礎的~実践的の二軸で分類しようとしているのだが、概念の整理が不十分で、情報の整理整頓ができていない。課題と解決方法、手法と手法の総称、複数の手法を実装したライブラリ/実装が記入されており、その一部が一貫した意味を持たない矢印でつながれている*2。基礎知識として記入された用語の選び方に規準は見い出せない。中心極限定理があるのに大数の法則はない。 *1スキルと言っているし、大手SIerである野村総合研究所のまわりの案件で技術者募集時によく言及される用語を並べてみたのではない
「データサイエンティストになるのにRとPythonのどちらを勉強したら良いですか?」と言う御題が出されて、伝統的な統計解析だとRのライブラリが充実しているが、機械学習だとPythonが充実しており、システム開発ではPythonの一択だが、同僚や共同研究者にあわせないといけないから両方覚えることになると言うような指針が示された上で、それぐらい自分で考えられない人は何者にもなれないと言うような話になっていた*1。 適切な説明だが、RとPythonの違いが気になる人は少なくない。あえてデータ分析の道具として大きな優劣にならない文法面からのRとPythonの違いをもう少し細かく考えてみよう。Pythonはクラス型オブジェクト指向の性質が、Rは関数型の性質が強く出ていることが分かる。つまり、 Pythonはインデントを使ったブロック定義などの可読性をあげるための工夫があるが、Rは関数の最後の評価式が
AV新法の施行を受けて、6月くらいからネット界隈でAV女優と表現の自由戦士からアダルトビデオの撮影がまるで不可能になったかのような主張が声高にされている。 AV女優は当時者だし、業務への影響が大きいと困惑する業界の声も報じられている*1ので無根拠とは言えないが、一部界隈が言うようにAV女優失業法とまで言えるか量的側面からの評価がされていない。 1. AV新法はポルノ作成費用を引き上げる 確かにAV新法は、必ず書面で詳細な契約を義務づける上に、契約をしてから撮影前に1ヶ月間の猶予を置き、撮影後に公表まで4か月の猶予を置き、さらに公表後1年間(施行後2年間は2年間)は出演者の随意で出演契約を解除して公表を停止する努力を要求でき・・・と*2、潜在リスクを含めて製作コストが上昇する内容ではある。製作コストの上昇に耐えかねて、製作を諦めるプロダクションが出てきてもおかしくない。 2. 10月以降の落
メタアナリシスと言う言葉をご存知であろうか。同一内容の複数の研究の統計解析の結果をつなぎ合わせて、個々の研究よりも確かな推定量を得ようとする手法を指す。研究室でのランダム化比較実験のように、ほとんど同じ実験が追試で多数行なわれるような場合には、事実上、大サンプルからの推定量が得られる便利な方法だ。ポルノ視聴と性暴力の影響に関して、このメタアナリシスをかける冒険的な論文Ferguson and Hartley (2022)*1を紹介したい*2。 この論文の著者の2名は説得的な展望論文Ferguson and Hartley (2009)*3も書いているし、無理を承知で解析していると思うが、この分野の研究は実験(experimental study)にしろ、(個票を使った計量分析である)相関分析(correlation study)にしろ、(社会統計を従属変数とする)集団研究(populati
てらっけー白饅頭こと御田寺圭氏がエッセイ*1で、保護者の経済力以外に「貧しい暮らしのなかに根深く共有されている習慣や文化や価値観こそが、そこで暮らす子供たちが得られる教育の質的・量的な乏しさをつくりだしている」が、それを指摘すると現代社会では差別主義者として非難されると主張しているのだが、教育格差の研究や、教育格差対策の政策では常識的な話となっている。 1. 教育研究では常識 生徒の家庭環境(SES)と言う概念があるのだが、これが勉強部屋や勉強机が用意されているか、保護者に子供の学習習慣を整える能力があるかなどを反映したものだ。白饅頭氏が指摘する「ある要素」が含まれた概念になる。直接は観察できないが、統計解析の手法の一つ共分散構造分析で、家庭所得・住まいの状況(e.g. 勉強部屋や勉強机の有無)・家の本の数・両親の学歴などから合成し、学力との相関を見るのは一般的な分析。ざっと検索しても、S
東京大学の清水晶子氏がシンポジウム「フェミ科研と学問の自由」で行なったプレゼン「学問の自由とキャンセル・カルチャー」がキャンセルカルチャーを正当化していると主張されていた*1。シンポジウムの動画が公開されていたので該当部分を拝見したのだが、確かに正当化している。 清水氏曰く、ポリティカルコレクトネスやキャンセルカルチャーへの批判は、差別や抑圧への対抗言説を封殺するために行なわれている学問の自由の悪用で、差別や抑圧になる言説は学問の場で教えるべきではなく、自由に議論させてはならないと主張している*2。キャンセルカルチャーの擁護と解釈せざるをえない。 清水氏の議論は、古典的リベラリズムからの言論の自由*3の観点から見ると問題が多い。 ポリティカルコレクトネスに反するとされた主張が「学問的に反駁否定されている」差別や抑圧になる言説だと無検証に前提が置かれているが、そうとは限らない。理工分野の定説
安倍元総理が演説中に凶弾に倒れたあと犯人の動機に興味関心が注がれているのだが、安倍総理と統一教会の関係から論じるのを非難する安倍元総理の支持者をぼちぼちと見かける。彼らはテロリストを礼賛(らいさん)し、暗殺が自業自得であったと考えることになると主張しているのだが、テロリストが凶行に及んだ理由を推察するのもテロリズムと言って弾圧しそうな考え方だ。 1. 現時点で想像される動機 現時点までの報道から推察される犯行理由は、新興宗教団体の霊感商法は信者やその家族の人生に大きな負の影響をもたらす犯罪的行為だが、安倍元総理と言う権力者が新興宗教団体と親しいために、(忖度か何かで)新興宗教団体が裁かれたり規制されたりしないので*1、安倍元総理を暗殺する必要があったと言うものだ。確信犯。 2. 完全に荒唐無稽とも言えない 陰謀論? — 確かに安倍元総理がここで言う新興宗教団体、統一教会に行政や立法を通して
国外の女性表現の是非の議論では、男子にではなく女子の振る舞いへの影響が危惧されていて、ちょっと昔のアメリカ心理学会(APA)のセクシー化された女子に関するタスクフォースのレポート*1では、女子の学業への悪影響が挙げられている。 APAのレポートは多岐な議論が紹介されているのだが、女は容姿と愛嬌と理解して熱心に勉強しなくなると言う話の他、真似をしてエロ可愛い格好をするようになると勉強に集中できなくなる説が紹介されている。ネット界隈の議論では女性心理への悪影響を見落としがちだし、特に認識力への悪影響は無視されがちなので紹介しておきたい。 1. セクシー化を拒絶できない女子がいる 勉強に集中できなくなるのであれば、勉強するときはエロ可愛い格好をしないのではないかと思うわけだが、APAのレポートでは、 Keen observers of how social processes operate,
マンガ家の参院選候補者の赤松健氏が「外圧や行き過ぎたジェンダー論など議論の中心に当事者がいないのはおかしい。」とツイートして、ジェンダー社会学者やフェミニストから学問の自由の観点から非難されている。 ジェンダー論(gender studies)に基づくマンガに関わる表現規制の議論に、マンガ家が参加していないのはおかしいと言っているだけだし、学問としてジェンダー論を学んだり研究したりすることを非難しているわけではないので批判の多くは失当だが、「行き過ぎたジェンダー論」と言う表現は確かに奇妙だ。何を基準に行き過ぎと言うのであろうか? 学問に対して「行き過ぎ」と批判すべき事はほとんど無い。グアテマラ人体実験は行き過ぎた実験至上主義と非難できるかもだが、それぐらいだ。ネット界隈に伝わってくるジェンダー〇〇学者の議論は、意味不明な用語を振り回しているとか、実証的エヴィデンスが不足しすぎているとか、参
某氏がKendall (2007)を不用意に紹介して強く非難される中で、インターネットのブロードバンド接続の普及により、ノルウェーではポルノ視聴が性犯罪を増やしたことを主張する論文Bhuller, Havnes, Leuven and Mogstad (2013)が言及された流れで、Bhuller et al. (2013)と同様の分析をドイツで行った論文Diegmann (2019)*1が紹介されていたので拝読してみた。Kendall (2007)が主張し、Bhuller et al. (2013)が否定した、ポルノと性犯罪の代替効果が部分的にしろ観測されている。 1. 踏襲される分析方法 似たような分析と言うのは、性犯罪(もしくは性犯罪を誘発する未知の要因)がブロードバンド接続の普及に与える因果の可能性を排除するために操作変数を用いて因果効果を測定していること、年次ダミーが入った地方自
また三角関数に関する政治化の放言*1かと思うわけだが、藤巻健太衆院議員が三角関数は専門性が強い知識なので、高校数学からは除外して代わりに金融経済を学ぶべきだと主張したことが多くの反論を呼んでいる。藤巻氏は万人が恩恵を受けている技術に三角関数が利用されている事を認めつつも、その技術の利用に三角関数の知識は不要と指摘しているのだが、主張のこの部分は正しい。 藤巻氏が類比するように、内燃機関やモーターやタイヤの原理の知識は車の運転に必要ないし、日常的に運転している人々の多くは理解していない。電子レンジを使うのには、電場と双極子の知識は要らず、水分があるものが加熱されることと、金属を入れると火花が飛んで異常加熱して危ないことだけ知っておけば済む。 こういう原理の隠蔽は、学問の世界でもよく行われている。正規分布の導出に必要なガウス積分の公式の導出には平面座標を三角関数で表す極座標への基底変換が必要と
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『ニュースの社会科学的な裏側』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く