戸籍上の性別を変更する際の要件をめぐり、人権尊重の流れをさらに前に進める司法判断が出されました。性器の外観を変える手術をせずに性別の変更を求めた家事審判で、西日本の高裁が変更を認めました。 ■手術要件を見直し 性別変更にあたり、「性同一性障害特例法」(特例法)は二つの要件で事実上手術を強いてきました。生殖不能要件(卵巣や精巣がないか、その機能を永続的に欠く)と外観要件(変更後の性別の性器に似た外観を備える)です。 申立人は戸籍上の性別を男性から女性に変更することを求め、手術を受けていないが、長年のホルモン治療で要件は満たすと主張してきました。手術を必須とすることは過度な負担を強い、幸福追求権を定めた憲法13条に違反すると訴えていました。 この審判で最高裁大法廷は昨年10月、生殖不能要件の規定は憲法13条に違反し無効としました。外観要件については、高裁では検討されていないとして審理を差し戻し