うまく描こうとしないから、不思議な魅力が生まれる。人生だって、うまくいかないことばかりなんだから。独特の﹁ゆるさ﹂が特徴の絵を描く、さいたま市浦和区の画家、藤田ユウスケさん︵45︶の個展が、JR北浦和駅近くのマーブルテラス︵同区︶で開かれている。美術の専門教育は受けたことがない。会社員や介護職、ひきこもりの体験も経て、絵を独学で始めた。どん底から立ち上がれたのは、絵のおかげだった。︵出田阿生︶ たとえばこんな作品がある。コーヒーをいれる銀髪の男性。割り箸にインクをつけて描いた描線が紙ににじみ、太かったり細かったり。でも、丁寧なしぐさから人柄が伝わってくるようだ。﹁地元にある老舗の喫茶店で先代店主にお願いして写真を撮らせてもらいました﹂