単行本に大幅加筆され文庫となった柳澤健﹃完本 1976年のアントニオ猪木﹄を読んだ。*1再読になるわけだが、やはり圧倒的におもしろく、あっという間に読み終えてしまった。情緒的な感情を排し、事実や証言を書く事で猪木を浮き彫りにさせている︵その証言の虚実はあるものの︶。だからこそ、血が通っていない冷たい本、とも言えるわけだが。 増補されたのは、韓国プロレスの歴史とパキスタンのグレート・ガマについて。どちらも興味深いのだが、特に韓国プロレスと大木金太郎がおもしろい。壮絶な権力闘争に政治まで絡んでくる。日本でも児玉誉士夫や大野伴睦が絡んできている事を見ると、こと昭和のプロレスは国単位のでかい物語だったんだとわかった。 単行本時には実現しなかったアントニオ猪木インタビュー。IGFが出来た時に﹃Number﹄で実現したものを再掲載しているが、本編の勢いのままに読むと、さらに味わい深いものになった。猪木