オテロ (ヴェルディ)
- 原語曲名:Otello
- 原作:ウィリアム・シェイクスピアの悲劇『オセロ』(Othello)
- 台本:アッリーゴ・ボーイト
- 演奏時間:約2時間20分
- 初演。1887年2月5日、ミラノ・スカラ座にて
作曲の経緯
舞台構成
全4幕
- 第1幕 キプロスの港
- 第2幕 庭園に面する城の一室
- 第3幕 城の大広間
- 第4幕 デズデーモナの寝室
編成
主な登場人物
- オテロ、ムーア人でヴェネツィア領キプロスの総督 (テノール)
- ヤーゴ、オテロの旗手 (バリトン)
- カッシオ、オテロの副官 (テノール)
- ロデリーゴ、ヴェネツィアの貴族 (テノール)
- ロドヴィーコ、ヴェネツィアからの使者 (バス)
- モンターノ、キプロスの前総督 (バス)
- デズデーモナ、オテロの妻 (ソプラノ)
- エミーリア、イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中 (メゾソプラノ)
- 合唱
楽器編成
あらすじ
時と場所: 15世紀末、キプロス島の港町
第1幕
激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に住民は歓喜する。カッシオが副官になったことを妬むヤーゴは一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いする。カッシオは悪酔いし醜態を演じたばかりか、喧嘩の仲裁に入ったモンターノを傷付ける。騒ぎを聞いたオテロが戻ってくる。彼は即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。舞台にはオテロと妻デズデモーナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。
第2幕
副官の座を失ったカッシオに、ヤーゴは「デズデモーナに取成しを頼め」と提案する。オテロが登場。ヤーゴは、庭園でカッシオとデズデモーナが歓談している様子を、さも二人が不貞を働いているかのようにオテロに信じ込ませる。室内に入ってきたデズデモーナはカッシオの赦免を夫に願うが、心中疑念をもつオテロは耳を貸さない。デズデモーナが落としたハンカチは女中エミーリアが拾ったものの、その夫ヤーゴが脅迫の末手中に入れる。ヤーゴとオテロ二人だけが舞台に残り、オテロは「不倫の証拠を見せろ」と迫る。ヤーゴは、「カッシオが夢の中でデズデモーナを求めていた」と作り話をし、また、デズデモーナが愛用していたハンカチ(それはオテロからの彼女への贈り物だった)を、カッシオが持っているのを見た、と吹き込む。激怒したオテロは復讐を誓う。
第3幕
第4幕
デズデモーナは床に就く用意をしている。ここ数日の夫の言動から不吉な予感を覚える彼女は「もし死んだら婚礼の衣装で身を包んでほしい」と、女中エミーリアに依頼する。オテロが寝室に現れ、カッシオとの姦通を詰責する。デズデモーナは抗弁も空しくオテロに絞殺される。エミーリアが「カッシオがロデリーゴを殺した」と急を告げに戻ってくるが、デズデモーナが殺されているのを発見、驚いて人々を呼ぶ。エミーリアは「夫ヤーゴが私からハンカチを奪った」と証言、ロデリーゴが死ぬ前に陰謀の全てを白状した、との事実も明らかになる。形勢不利とみたヤーゴは遁走する。いまや全てを悟ったオテロは短刀で自刃し、妻の遺体に最後の接吻を求めつつ息絶えて、幕。
備考
参考文献
- Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 3)", Cassell, (ISBN 0-3043-1060-3)
- Marcello Conati & Mario Medici (Ed.), William Weaver (Tr.), "The Verdi-Boito Correspondence", University of Chicago Press (ISBN 0-2268-5304-7)
- 永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)
- 福尾芳昭「二百年の師弟――ヴェルディとシェイクスピア」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1561-7)