カルメン (オペラ)
『カルメン』(Carmen)は、ジョルジュ・ビゼーが作曲したフランス語によるオペラである。世界でもっとも人気のあるオペラの一つとされる[1]。声楽抜きでオーケストラのみによる組曲もコンサートや録音で頻繁に演奏されている。
メディア外部リンク | |
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カルメン(全曲を試聴) | |
音楽・音声 | |
アルコア版の録音 - テレサ・ベルガンサ(カルメン)、プラシド・ドミンゴ(ドン・ホセ)、シェリル・ミルンズ(エスカミーリョ)ほか、クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団、Universal Music Group提供YouTubeアートトラック | |
ギロー版の録音 - レオンティン・プライス(カルメン)、フランコ・コレッリ(ドン・ホセ)、ロバート・メリル(エスカミーリョ)ほか、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、Sony Classical提供YouTubeアートトラック | |
映像 | |
アルコア版の映像 - Irena Parlov(カルメン)、Javier Agulló(ドン・ホセ)、Vicente Antequera(エスカミーリョ)ほか、Ricardo Casero指揮Orquesta Reino de Aragón、Halidon Music公式YouTube |
本項ではオペラの他に、バレエやミュージカルといった舞台作品についても記載する。
概説
編集登場人物
編集- カルメン(メゾソプラノまたはソプラノ)- タバコ工場で働くジプシーの女
- ドン・ホセ(テノール)- 竜騎兵長
- ミカエラ(ソプラノ)- ドン・ホセの婚約者
- エスカミーリョ(バリトン)- 闘牛士
- スニガ(バス)- 衛兵隊長、ドン・ホセの上官
- モラレス(バリトンまたはテノール)- 士官
- ダンカイロ(バリトンまたはテノール) - 密輸商人
- フラスキータ(ソプラノ)- カルメンの友人
- メルセデス(メゾソプラノ、ただしソプラノとする楽譜もある)- カルメンの友人
- レメンダード(テノール)- ダンカイロの仲間
以降は版によって増減される。
- リリャス・パスティア(台詞役)- 居酒屋の主人
- 山のガイド(台詞役)
- 中尉(バス)
- アンドレス(テノール)
- オレンジ売りの女(メゾソプラノ)
- ジプシー男(バリトン)
- 合唱
楽器編成
編集上演時間
編集約2時間40分(カットなしで各55分、45分、40分、20分)
あらすじ
編集第1幕
編集第2幕
編集第3幕
編集第4幕
編集- 一般的には上述の全4幕とされるが、3幕4場とすることもある。この場合は山中の密輸団のシーンが第3幕第1場、最後の闘牛場のシーンが第3幕第2場となる。
主要曲
編集- セギディーリャ
- 第2幕への間奏曲「アルカラの竜騎兵」
- ジプシーの歌
- 闘牛士の歌「諸君の乾杯を喜んで受けよう」
- 花の歌
音楽・音声外部リンク | |
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齋藤秀雄指揮、新交響楽団演奏(日本コロムビア社発売) カルメン第3幕への間奏曲 - 歴史的音源(国立国会図書館デジタルコレクション) |
- 第3幕への間奏曲
- フルートソロの長い旋律が特徴である。最高音のB♭6は「カルメンB♭」と呼ばれ、通常よりわずかにピッチの異なる特殊な指遣いで演奏される。
- カルタの歌
- ミカエラのアリア
- 第4幕への間奏曲「アラゴネーズ」
など
抜粋・編曲作品
編集第1幕への前奏曲が独立した管弦楽曲として演奏される機会が多いほか、それを含む前奏曲、間奏曲、アリアなどを抜粋編曲した組曲や独奏曲も演奏される。
ホフマン版組曲
編集シチェドリン版『カルメン組曲』
編集編曲の経緯
編集構成
編集シチェドリン版と原曲とでは名前に差異がある。英語がシチェドリン版での曲名で、日本語が原曲の該当する部分である。
- Introduction:ハバネラ
- Dance:アラゴネーズ
- First Intermezzo:カルメンの登場の待ち望む男たちの場(第1幕)
- Changing of the Guard:アルカラの竜騎兵
- Carmen's Entrance And Habanera:カルメンが登場した場面とハバネラ
- Scene:第2幕の幕切れの一部(スニガが密輸業者に捕えられる場面)→タバコ工場から女性工員が出てくる場面→セキディーリャ
- Second Intermezzo:第3幕への間奏曲
- Bolero:ファランドール(『アルルの女』より)の一部
- Torero:闘牛士の歌
- Torero and Carmen:ジプシーの踊り(『美しきパースの娘』より)
- Adagio:第1幕前奏曲後半と「花の歌」
- Fortune-telling:カルタ占いの場
- Finale:行進曲と合唱→ドン・ホセとカルメンの二重唱の手前の場面→第2幕フィナーレより→ドン・ホセとカルメンの二重唱→運命のテーマ→カルメンの最初のセリフの場面→Introduction
演奏時間
編集- 約45分(スコアの表記による)
楽器編成
編集- ティンパニ5
- 打楽器1(マリンバ、ヴィブラフォン、カスタネット、カウベル3、ボンゴ4、チャイム、ピッコロスネアドラム、ギロ)
- 打楽器2(ヴィブラフォン、マリンバ、スネアドラム、タンブリン、ウッドブロック2、クラヴェス、トライアングル、ギロ)
- 打楽器3(チャイム、クロテイル、マラカス、鞭、スネアドラム、カバサ、ギロ、テンプルブロック3、バスドラム、銅鑼、テナードラム、トライアングル)
- 打楽器4(シンバル、バスドラム、銅鑼、ハイハット、トライアングル、タンブリン、トムトム5)
翻案
編集マシュー・ボーンによるバレエ作品『ザ・カーマン』はこの編曲に基づいているが、物語は『カルメン』とは異なる[3]。
グールド版『カルメン』
編集モートン・グールドが全曲から20曲の名旋律を取り出し、自身による編曲を施した演奏時間50分弱の抜粋版を作っている。グールド版は組曲ではなく「オペラの短縮版」と位置づけられており、声楽部分はコルネットとバリトン(バリトン・ホルン)各2に割り当てられている。
構成
編集- 前奏曲
- プロローグ
- 街の子供たち
- タバコ工場の女たち
- ハバネラ
- 手紙の場
- セギディーリャ
- アルカラの竜騎兵
- ジプシーの踊り
- 闘牛士の歌
- タンブリンの歌
- 花の歌
- 第3幕への間奏曲
- 密輸入業者の行進
- カルタ占いの場
- ミカエラのアリア
- アラゴネーズ
- 行進曲と合唱
- 二重唱(ドン・ホセとカルメン)
- フィナーレ
セレブリエール版『カルメン交響曲』
編集ホセ・セレブリエールが全曲から12の場面を選んで管弦楽のために再構成した。
構成
編集- 前奏曲
- 騎兵隊
- ハバネラ
- セギディーリャ
- フガート
- 間奏曲1
- 闘牛士
- 間奏曲2
- アンダンテ・カンタービレ
- 間奏曲3
- 結婚式
- ジプシーの踊り
その他
編集メリメ原作『カルメン』からの改変について
編集演出について
編集旧作や既成楽曲からの転用・流用
編集日本におけるカルメン劇
編集備考
編集- 「衛兵の交代」は1987年まで京都競馬場の出走ファンファーレとして使用され、地方競馬でも笠松の重賞用のファンファーレとして使用されていた。現在でも名古屋競馬場で使用されている。詳細は「ファンファーレ (競馬)#中央競馬」を参照
- フランス人シャルル・ルルー作曲の日本の軍歌『抜刀隊』、およびそれに基づく行進曲『陸軍分列行進曲』について、「アルカラの竜騎兵」の旋律との類似が指摘されている。詳細は「陸軍分列行進曲#オペラ『カルメン』との類似について」を参照
- 『カルメン』の初演は一般的には失敗であったと言われており、ビゼーは『カルメン』の初演が失敗して失意のうちに没したと言われることがあるが、過去のビゼー作曲のオペラが10回に満たない上演回数で打ち切られることも少なくなかったなか、ビゼーが死去した時点ですでに上演回数が30回を超えており、ウィーン公演のオファーも受けていた。
バレエ
編集プティ版
編集ビゼーの音楽を使用し、ローラン・プティによる振り付けによるものが1949年にロンドンのプリンス劇場 (Shaftesbury Theatre) で初演されている[1]。
アロンソ版
編集アルベルト・アロンソの振付、ロディオン・シチェドリンの編曲による『カルメン組曲』が1967年、モスクワのボリショイ劇場で初演されている[1]。カルメン役はマイヤ・プリセツカヤが演じた。
エック版
編集マッツ・エックの振り付けで、シチェドリン編曲の「カルメン組曲」を用いたものが1992年にクルベリ・バレエ団 (Cullberg Ballet) で初演されている[8][9]。
ミュージカル
編集カルメン・ジョーンズ
編集東宝ミュージカル
編集ワイルドホーン版
編集この節の加筆が望まれています。 |
ノーマン・アレンの脚本、フランク・ワイルドホーンの音楽、ジャック・マーフィーの歌詞による。2008年10月、プラハで初演。
Calli(カリィ)〜炎の女カルメン〜
編集Romale(ロマーレ)〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜
編集宝塚歌劇
編集ドン・ホセの一生
編集激情-ホセとカルメン-
編集1999年初演、メリメの小説「カルメン」をモチーフとし、脚本は柴田侑宏 演出・振付は謝珠栄による[18]。
FREEDOM ミスター・カルメン
編集日本舞踊
編集2018年の「カルメン2018」はビゼーのオペラを日本舞踊でアレンジした作品で、ホセ役を花柳寿楽と中村橋之助、カルメン役を水木佑歌と市川ぼたんのダブルキャストで演じた[21]。日本舞踊版のカルメンは他に、1987年に「カルメン」、2003年に「薔沙薇の女 〜カルメン2003〜」が上演されている[21]。