国家犯罪対策庁
イギリスの法執行機関
概要
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従来、イギリスには国が直轄する犯罪捜査機関はなかったが、重大犯罪の捜査については、各地方警察の本部長がロンドン警視庁に応援を求めることができた[4]。その後、犯罪の広域化・スピード化に対抗する必要から、1992年には組織犯罪対策部局として国家犯罪情報局 (National Criminal Intelligence Service) が[4]、また1998年には既存の管区犯罪捜査隊︵Regional Crime Squads︶を統合改編するかたちで国家犯罪捜査隊 (National Crime Squad) が設置された[5]。しかしこのほかにも、違法薬物の取引に対しては関税・物品税務局、組織化された移民犯罪に対しては移民局にも関連部局が存在しており、職掌が錯綜して不明確であった。共同捜査の試みも活発に行われていたものの、特に関税・物品税務局による麻薬取引や資金洗浄の起訴が失敗する事例が多発した[5]。
このことから、まず2006年4月、これらの組織を統合・強化した政府外公共機関[1]として重大組織犯罪局︵SOCA︶が設立された[5]。しかしその活動については不十分さが指摘されており、2010年に第1次キャメロン内閣が成立すると改編が検討されるようになった[3]。
この検討を経て、2013年にSOCAを発展的に解体して設置されたのがNCAであった。NCAはSOCAの全機能を引き継ぎつつ、児童保護や警察関係の政府機関一部を取りこんで設置された[2][3]。
脚注
編集出典
編集参考文献
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●今野, 耿介﹃英国警察制度概説﹄原書房、2000年。ISBN 978-4562032457。
●岡, 久慶﹁2005年重大組織犯罪及び警察法-﹁イギリスの FBI﹂設置へ﹂﹃外国の立法﹄第225号、国立国会図書館、2005年8月、177-189頁、NAID 40006925259。
●内閣官房 編﹃英国・公的機関改革の最近の動向﹄︵レポート︶2013年。