真社会性

不妊の階級を集団に含むことを特徴とする、動物の社会性のひとつ

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真社会性(しんしゃかいせい、: eusociality)とは、動物の示す社会性のうち高度に分化が進んだもので、集団の中に不妊の階級を持つことを特徴とする。ハチアリなどの社会性昆虫などに見られる。

概説






(eusociality)Batra(1966)EO


定義













新たな社会性動物






(一)

(二)

(三)

1976

真社会性の知られている分類群

ハチ目




宿1981Y.P.CruzCopidosomopsis tanytmemus宿宿[1][2]

1

シロアリ目

シロアリ目は全種が真社会性である。この類では兵アリが不妊カーストである。働きアリもすべての種で見られるが、原始的なものでは生殖虫が未成熟な期間に労働を行うものがあり、その場合には不妊カーストではない。

シロアリの場合、すべてが社会性なので、共通の祖先において一回だけ真社会性が獲得されたと考えるのが普通である。

カメムシ目


260

宿11

コウチュウ目

コウチュウ目では、オーストラリア産のナガキクイムシ科の昆虫であるAustroplatypus incompertusが1992年に真社会性であることが報告された。この種では雌が受精後に樹皮下に杭道を作り、アンブロシア菌を摂取して幼虫を育てる。子供のうちの雄は外に出るが雌は残り、これが働きアリと同様の不妊カーストとして巣の拡張や管理、防衛を行うと言う。

アザミウマ目


1992Onchothrips haburusO. tapperi


十脚目


19963006-7

哺乳類

1981年、哺乳動物として初めてハダカデバネズミが真社会性であることが報告された。真社会性が観察された哺乳動物は、デバネズミ科のハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種のみである。

吸虫綱


2011沿Cerithidea californicaHimasthla sp. B (HIMB)[3]3[4]

類似の現象


1

真社会性の進化

進化の過程










Micherner

進化の要因

ハチ類で真社会性の獲得が起こりやすかった理由としては、半倍数性に基づく血縁選択を挙げるのが普通である。

シロアリ類については腸内微生物を共有する習性が集団の形成の原因となったとの考えはあるが、これは真社会性の起源やその過程を必ずしも説明できるものではない。

脚注

  1. ^ Y. P. Cruz (1981). “A sterile defender morph in a polyembryonic hymenopterous parasite”. Nature 294: 446–447. doi:10.1038/294446a0. 
  2. ^ Y. P. Cruz (1986). “Development of the Polyembryonic Parasite Copidosomopsis tanytmemus (Hymenoptera: Encyrtidae)”. Annals of the Entomological Society of America 79 (1): 121–127. doi:10.1093/aesa/79.1.121. 
  3. ^ Hechinger et al. (2011). “Social organization in a flatworm: Trematode parasites form soldier and reproductive castes”. Proc. R. Soc. B 278 (1706): 656-665. doi:10.1098/rspb.2010.1753. 
  4. ^ Miura, O. (2012). “Social organization and caste formation in three additional parasitic flatworm species”. Mar. Ecol. Progress Ser. 465: 119-127. doi:10.3354/meps09886. 

参考文献

関連項目