ウ ィ リ ア ム ・ バ ト ラ ー ・ イ ェ イ ツ ︵ W i l l i a m B u t l e r Y e a t s 、 1 8 6 5 年 6 月 13 日 - 1 9 3 9 年 1 月 28 日 ︶ は 、 ア イ ル ラ ン ド の 詩 人 ・ 劇 作 家 ・ 思 想 家 。 散 文 、 批 評 も 書 き 、 ジ ャ ー ナ リ ス ト 、 オ カ ル テ ィ ス ト で あ り 、 独 自 の 思 想 を 展 開 し た [ 2 ] 。 現 代 詩 の 世 界 に 新 境 地 を 切 り 拓 き 、 20 世 紀 の 英 語 文 学 ・ 現 代 詩 に お い て 最 も 重 要 な 詩 人 の 一 人 と さ れ 、 20 世 紀 の 英 語 圏 で ﹁ 最 も 偉 大 な 詩 人 ﹂ と い う 評 価 も 定 着 し て い る [ 3 ] [ 2 ] 。 生 涯 の 多 く を イ ギ リ ス を 拠 点 に 活 動 し た 。
1911年撮影
イ ェ イ ツ 家 は 、 6 代 前 に イ ン グ ラ ン ド の ヨ ー ク シ ャ ー 地 方 か ら 移 住 し た 、 い わ ゆ る ニ ュ ー ・ イ ン グ リ ッ シ ュ ࣮ [ 注 1 ] で 、 曾 祖 父 と 祖 父 は ア イ ル ラ ン ド の イ ギ リ ス 国 教 会 系 の プ ロ テ ス タ ン ト の 教 区 牧 師 だ っ た 。 曾 祖 父 の 母 は オ ー ル ド ・ イ ン グ リ ッ シ ュ [ 注 2 ] の 名 家 で キ ル デ ア 県 の 貴 族 バ ト ラ ー 家 [ 注 3 ] の 血 を 引 い て お り 、 イ ェ イ ツ 家 は バ ト ラ ー 家 と の 婚 姻 関 係 を 誇 り に 思 い 、 イ ェ イ ツ の ミ ド ル ネ ー ム は こ れ に ち な ん で い る 。 貴 族 の 血 を 引 く イ ェ イ ツ 家 も キ ル デ ア 県 に わ ず か に 土 地 を 持 ち 、 不 在 地 主 ︵ 英 語 版 ︶ と し て 地 代 を 得 て い た 。 イ ェ イ ツ 家 の 家 風 は 厳 格 で 、 イ ェ イ ツ は ﹁ 何 か 居 心 地 の 悪 い 重 苦 し い も の を 感 じ た ﹂ と 語 っ て い る 。
イ ェ イ ツ 家 は 、 ア ン グ ロ サ ク ソ ン の プ ロ テ ス タ ン ト で あ る ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ ︵ 英 語 版 ︶ で 、 ゲ ー リ ッ ク ・ ア イ リ ッ シ ュ と 言 わ れ る 土 着 の ケ ル ト 系 ロ ー マ ・ カ ト リ ッ ク ︵ ア イ リ ッ シ ュ ・ カ ト リ ッ ク ︵ 英 語 版 ︶ ︶ の 人 々 か ら は 区 別 さ れ る 存 在 だ っ た 。 彼 の 幼 年 時 代 は 、 プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー ︵ 英 語 版 ︶ [ 注 4 ] ︵ ア イ ル ラ ン ド 征 服 に 従 っ て 移 住 し た プ ロ テ ス タ ン ト の 子 孫 で 、 ア イ ル ラ ン ド に お け る 排 他 的 ・ 優 越 的 な 地 主 の 支 配 者 層 ︵ 英 語 版 ︶ ︶ と 、 カ ト リ ッ ク の 小 作 人 、 と い う 支 配 者 ・ 被 支 配 者 の 構 造 が は っ き り と あ っ た 。 ﹁ ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ の も つ 孤 独 ﹂ は 、 幼 年 時 代 の イ ェ イ ツ の ジ レ ン マ の 核 と な っ た 。 多 数 派 の カ ト リ ッ ク と は 信 仰 を 共 有 で き ず 、 プ ロ テ ス タ ン ト に 対 し て は 物 質 的 な 成 功 へ の 関 心 に 反 発 を 感 じ た [ 2 ] 。
ジ ョ ン ・ バ ト ラ ー ・ イ ェ イ ツ
父 ジ ョ ン ・ バ ト ラ ー ・ イ ェ イ ツ ︵ 英 語 版 ︶ は 、 父 や 祖 父 と 同 じ よ う に 聖 職 に 就 く の を 避 け て 、 法 律 を 学 ん で 弁 護 士 資 格 を 取 り 、 法 律 家 と し て 将 来 を 嘱 望 さ れ て い た が 、 結 婚 後 に 子 ど も が 生 ま れ る と 、 画 家 に な る 決 意 を 固 め 、 後 に 肖 像 画 家 に な っ た 。 英 文 学 者 の 野 中 涼 は 、 ﹁ 経 済 的 な 配 慮 な し に 、 自 分 の 本 当 に し た い こ と だ け を す る 、 と 強 く 決 心 し た 人 だ っ た そ う で あ る 。 ﹂ と 述 べ て い る 。 母 ス ー ザ ン ・ イ ェ イ ツ ︵ 旧 姓 ポ レ ッ ク ス フ ェ ン ︶ は ア イ ル ラ ン ド 西 部 ス ラ イ ゴ の 、 海 運 業 と 製 粉 業 を 営 む 裕 福 な 商 人 の 家 の 娘 で 、 美 し く 感 受 性 豊 か で 、 こ の 地 方 の 民 間 伝 承 に 深 く 親 し ん で い た [ 23 ] 。 漁 師 た ち の 間 に 気 軽 に 入 り ︵ 夫 は そ う し た 行 い を 嫌 っ て い た ︶ 、 彼 ら に 伝 え ら れ た 伝 承 や 物 語 を 聞 く こ と を 好 ん だ 。 母 は 不 安 定 な 画 家 の 生 活 に 失 望 し 、 家 事 も 上 手 で は な く 、 4 人 の 子 ど も 達 に と っ て あ ま り 良 い 母 親 で は な か っ た と い う 。 実 家 の あ る ス ラ イ ゴ に 激 し い 愛 着 を 持 ち 、 ア イ ル ラ ン ド を 離 れ る こ と を 嫌 い 、 長 い 病 弱 の 生 活 で 内 向 的 な 性 格 を 強 め て い っ た 。
イ ェ イ ツ 家 の 祖 先 に は 、 イ ギ リ ス や イ ギ リ ス 人 に 反 感 を 持 っ た り 、 ア イ ル ラ ン ド の カ ト リ ッ ク に 同 情 的 な 人 も お り 、 父 ジ ョ ン は 政 治 に 無 関 心 な 穏 健 な 画 家 だ っ た が 、 芸 術 家 で な い イ ギ リ ス 人 に は 冷 淡 で あ り 、 母 の ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 の 人 々 は 王 党 派 プ ロ テ ス タ ン ト で 、 カ ト リ ッ ク や 愛 国 主 義 者 を 軽 蔑 し て い た が 、 に も か か わ ら ず イ ギ リ ス 生 ま れ の 人 々 に 反 感 を 持 っ て お り 、 イ ェ イ ツ の 周 囲 に は 反 英 的 な 空 気 が 漂 っ て い た 。
イ ェ イ ツ 家 は 芸 術 一 家 で 、 妹 の ス ー ザ ン ・ メ ア リ ー ・ イ ェ イ ツ ( リ リ ー ) と エ リ ザ ベ ス ・ イ ェ イ ツ ︵ 英 語 版 ︶ ( ロ リ ー ) は 画 家 ・ 工 芸 家 ・ デ ザ イ ナ ー に な り 、 ジ ャ ッ ク ・ バ ト ラ ー ・ イ ェ イ ツ ︵ 英 語 版 ︶ は 父 と 同 じ 画 家 に な っ た [ 23 ] 。
夏休みを過ごしたスライゴの家
1 8 6 5 年 6 月 13 日 、 イ ン グ ラ ン ド の 支 配 下 に あ っ た ア イ ル ラ ン ド の ダ ブ リ ン 県 サ ン デ ィ マ ウ ン ト ・ ア ベ ニ ュ ー に 生 ま れ た 。 弁 護 士 に な る は ず だ っ た 父 は 、 子 ど も が 生 ま れ る と 突 然 突 然 画 家 に な る と 言 い 出 し 、 単 身 ロ ン ド ン に 行 き 、 美 術 学 校 で 絵 の 勉 強 を 始 め た 。 イ ェ イ ツ が 2 歳 の と き に 母 と 共 に ロ ン ド ン へ 移 り 、 父 と 合 流 し た [ 27 ] 。 4 年 ほ ど ロ ン ド ン で 暮 ら し 、 2 年 ほ ど ア イ ル ラ ン ド 港 町 ス ラ イ ゴ の 祖 父 母 の も と に 預 け ら れ 、 8 歳 ま で い わ ば 野 育 ち の よ う に 成 長 し 、 叔 母 た ち が 読 み 書 き を 教 え よ う と し た が 、 い つ も 挫 折 し て お り 、 周 囲 は 正 常 な 知 能 に 欠 け る と 思 っ た ほ ど で あ っ た 。 文 法 は わ か ら ず 、 字 は 汚 く 、 ス ペ ル ミ ス だ ら け で 、 生 涯 ス ペ ル ミ ス は 治 ら な か っ た 。 イ ェ イ ツ は や せ 細 っ た 繊 細 な 少 年 で 、 嘲 笑 わ れ る こ と を 特 に 嫌 っ て い た が 、 威 厳 あ る 祖 父 は 無 口 で 厳 し く 、 母 の 姉 妹 に は 毒 舌 で 横 暴 な 人 も お り 、 イ ェ イ ツ は 大 勢 の 叔 父 や 叔 母 を 恐 れ 、 心 が 傷 つ く こ と も 少 な く な か っ た 。 ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 の 人 々 は 、 彼 の 父 の ジ ョ ン を 敗 者 と み な し 、 イ ェ イ ツ を 父 の レ プ リ カ と 見 て お り 、 一 方 父 は 、 ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 を ﹁ 不 愉 快 な 人 た ち ﹂ と 思 っ て お り 、 イ ェ イ ツ の 国 語 力 の 低 さ に ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 の ﹁ 負 ﹂ の 資 質 を 見 て 、 彼 に あ れ こ れ 言 っ て は 自 尊 心 を 傷 つ け た 。 父 は 息 子 の 教 育 に 熱 心 だ っ た が 、 そ の や り 方 は 時 に 暴 力 を 伴 う も の だ っ た 。 子 ど も 時 代 の 思 い 出 は 大 部 分 が 苦 痛 に 満 ち た も の だ っ た と 言 う が 、 ﹁ 無 限 に 辛 抱 強 い ﹂ ナ ー ス の エ リ ・ コ ノ リ と 、 イ ェ イ ツ に 詩 を 次 々 読 ん で 聞 か せ た 隣 人 の エ ス タ ー ・ メ リ ッ ク が お り 、 イ ェ イ ツ の 家 族 は 、 メ リ ッ ク が イ ェ イ ツ か ら 詩 人 を 引 き 出 し た と 信 じ て い た と い う 。 ポ ニ ー や 遊 び 相 手 の 犬 も お り 、 周 囲 は 美 し く 幻 想 的 な 自 然 に あ ふ れ て い た 。 ま た 、 ス ラ イ ゴ 周 辺 に は 父 方 の 曾 祖 父 に 連 な る イ ェ イ ツ 一 族 が 暮 ら し て お り 、 イ ェ イ ツ は 父 方 の 親 族 と も 交 流 が あ っ た 。 ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 は イ ェ イ ツ 一 族 を 落 ち ぶ れ て い る と 思 い 、 イ ェ イ ツ 一 族 は ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 を ﹁ 裕 福 で 、 富 を 鼻 に か け る ﹂ と 思 い 、 互 い に 好 意 を 抱 か な か っ た 。 そ れ で も 、 い つ し か 母 の 故 郷 で あ る ス ラ イ ゴ は 、 特 別 な 場 所 、 故 郷 と な っ て い き 、 母 と 子 ど も た ち は ス ラ イ ゴ は 世 界 一 美 し い と い う 思 い を 共 有 し 、 イ ェ イ ツ は イ ェ イ ツ 一 族 と ス ラ イ ゴ の つ な が り に 特 別 な も の を 感 じ た 。
9 歳 の 時 に ロ ン ド ン に 呼 び 戻 さ れ 、 以 後 子 供 時 代 を ロ ン ド ン で 過 ご し た 。 ロ ン ド ン で の 子 ど も 時 代 は 暗 い も の で 、 激 し い 民 族 的 偏 見 の 中 で 学 校 生 活 を 送 っ た 。 12 歳 か ら 約 4 年 間 初 め て ロ ン ド ン の ハ マ ス ミ ス に あ る 学 校 に 通 っ た が 、 英 語 に ア イ ル ラ ン ド 訛 り が あ り 、 虚 弱 だ っ た が 誇 り 高 い 様 子 を 見 せ て い た た め 、 ﹁ 頭 の お か し い ア イ ル ラ ン ド 人 ﹂ ﹁ 外 国 人 ﹂ と 繰 り 返 し 罵 ら れ 喧 嘩 に な り 、 当 時 華 奢 だ っ た イ ェ イ ツ は 一 度 も 勝 て ず 、 暴 力 を 振 る わ れ て 何 度 も 目 の 周 り に 痣 を 作 り 、 悲 し み と 怒 り を 爆 発 さ せ た 。 成 績 は 平 凡 で 、 得 意 科 目 は 特 に な く 、 学 校 で 習 う イ ギ リ ス の 歴 史 も 他 人 事 の よ う に 感 じ た 。 ロ ン ド ン で 暮 ら す 一 家 は 、 ス ラ イ ゴ の ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 を た び た び 訪 れ 、 彼 は 学 校 の 休 み の ほ と ん ど を 祖 父 母 の 元 で 過 ご し た [ 2 ] 。 こ う し た 環 境 の 中 、 ス ラ イ ゴ へ の 激 し い 郷 愁 と ロ ン ド ン へ の 憎 悪 を 育 む こ と に な っ た 。 ス ラ イ ゴ の 湖 に あ る イ ニ ス フ リ ー の 小 島 で 将 来 暮 ら す こ と が 、 少 年 時 代 か ら 育 ん だ 夢 だ っ た と い う 。 あ る 屈 強 で 運 動 が 得 意 な 少 年 か ら ボ ク シ ン グ を 習 い 、 や や ま し な 状 況 に な る ま で 、 一 方 的 な い じ め が 続 い た 。
イ ェ イ ツ に と っ て 、 母 や 、 多 く の 海 洋 冒 険 譚 を も つ 剛 気 な 祖 父 、 土 地 や 家 に ま つ わ る 物 語 や 不 思 議 な 体 験 を も つ 祖 母 、 変 わ り 者 の 叔 父 ジ ョ ー ジ 、 多 く の 伝 承 説 話 ︵ ﹃ ケ ル ト の 薄 明 ﹄ に 収 録 ︶ の 語 り 手 で あ っ た 女 中 の メ ア リ ー ・ バ ト ル と い っ た 、 ス ラ イ ゴ の ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 の 人 々 は 、 ア イ ル ラ ン ド の 伝 承 を 受 け 継 ぐ 親 密 な 伝 承 集 団 で あ っ た 。 後 年 に 書 い た ﹃ 自 叙 伝 ﹄ で 、 幼 い 頃 弟 の 死 の 前 夜 に 、 母 と 使 用 人 が 妖 精 バ ン シ ー の 泣 き 声 を 聞 い た 、 と い う 逸 話 を 書 き 残 し て い る 。 ス ラ イ ゴ の 美 し い 風 景 や 、 母 や ポ レ ッ ク ス フ ェ ン 家 の 人 々 等 か ら 聞 い た ア イ ル ラ ン ド の 習 俗 や 妖 精 伝 説 は 、 ス ラ イ ド を イ ェ イ ツ の 原 風 景 と し 、 ア イ ル ラ ン ド へ の 愛 着 、 ア イ ル ラ ン ド 人 と し て の 自 覚 を は ぐ く み 、 後 の 詩 作 の 重 要 な 着 想 源 と な っ た [ 37 ] 。 ま た 、 8 、 9 歳 の 頃 父 に ウ ォ ル タ ー ・ ス コ ッ ト の ﹃ 最 後 の 吟 遊 詩 人 の 歌 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ や ﹃ ア イ ヴ ァ ン ホ ー ﹄ を 読 ん で も ら い 大 き な 感 銘 を 受 け 、 ﹃ 最 後 の 吟 遊 詩 人 の 歌 ﹄ か ら 、 大 き く な っ た ら 魔 法 使 い に な る 夢 を 抱 い た と い う 。
幼 年 期 か ら 青 年 期 は 、 プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー が 没 落 し 、 新 勢 力 に と っ て 替 わ る 時 期 で あ り 、 イ ェ イ ツ 家 が 先 祖 か ら 受 け 継 い だ 所 有 地 は 、 19 世 紀 後 半 に 勃 発 し た 3 度 の ア イ ル ラ ン ド 土 地 戦 争 ︵ 英 語 版 ︶ で 地 代 が ど ん ど ん 下 落 し 、 イ ェ イ ツ が 15 歳 の 頃 に は 、 土 地 に 何 重 に も 抵 当 権 が 設 定 さ れ た あ げ く 売 却 さ れ 、 地 代 収 入 が な く な っ た 。
地 代 収 入 が な く な っ た 一 家 は 、 1 8 8 1 年 に ダ ブ リ ン 県 へ 戻 っ た 。 イ ェ イ ツ は ダ ブ リ ン の 高 校 に 通 い 、 父 に ギ リ シ ア 語 と ラ テ ン 語 を 習 い 、 シ ェ イ ク ス ピ ア や ウ ォ ル タ ー ・ ス コ ッ ト の 作 品 を 読 ん だ が 、 そ の 学 力 で は 大 学 進 学 は 難 し い と 言 わ れ 、 父 と 同 様 に 画 家 を 志 し て メ ト ロ ポ リ タ ン 美 術 学 校 に 入 学 し 、 こ こ で 他 の 芸 術 家 や 詩 人 と 出 会 っ た [ 2 ] 。 執 筆 を 開 始 し 、 ダ ブ リ ン 大 学 の 同 人 誌 に ﹁ 彫 像 の 島 ﹂ ︵ T h e I s l a n d o f S t a t u e s ︶ と 題 す る 牧 歌 劇 の 習 作 を 連 載 し て い る [ 41 ] 。
父 と そ の 画 家 仲 間 は ラ フ ァ エ ル 前 派 の 中 心 人 物 た ち と 関 わ り が あ り 、 イ ェ イ ツ は 1 9 8 0 年 代 か ら ラ フ ァ エ ル 前 派 と 関 わ り が あ っ た 。 彼 は 父 の 強 い 影 響 下 に あ り 、 15 、 16 歳 の 頃 、 父 か ら ウ ィ リ ア ム ・ ブ レ イ ク を 教 わ り 、 父 の ブ レ イ ク 理 解 は ラ フ ァ エ ル 前 派 的 な も の だ っ た 。 ま た 、 父 に ブ レ イ ク と 共 に ﹁ 画 家 詩 人 ﹂ と し て 勧 め ら れ た ラ フ ァ エ ル 前 派 の ロ セ ッ テ ィ に ﹁ 他 の 絵 が か す む ほ ど ﹂ の 強 い 影 響 を 受 け る 。
ジ ョ ー ジ ・ ウ ィ リ ア ム ・ ラ ッ セ ル
科 学 の 時 代 に 反 発 を 感 じ て い た イ ェ イ ツ は 、 こ の 頃 美 術 学 校 の 同 級 生 で 幻 視 者 ︵ 日 本 で い う 霊 感 の あ る ︶ の ジ ョ ー ジ ・ ウ ィ リ ア ム ・ ラ ッ セ ル か ら 神 秘 思 想 や 東 洋 の 宗 教 に つ い て 教 わ り 、 こ れ に 傾 倒 し 、 友 人 6 人 と オ カ ル テ ィ ズ ム 研 究 会 ﹁ ダ ブ リ ン 神 秘 哲 学 協 会 ﹂ を 組 織 し た [ 8 ] [ 2 ] 。 1 8 8 5 年 頃 に 神 智 学 協 会 の ヘ レ ナ ・ P ・ ブ ラ ヴ ァ ツ キ ー の 紹 介 で 、 バ ラ モ ン 僧 で 神 智 学 協 会 会 員 の モ ヒ ニ ・ チ ャ タ ジ ー ︵ 英 語 版 ︶ [ 注 5 ] を ダ ブ リ ン に 招 き 、 友 人 た ち を 集 め て 神 秘 的 な イ ン ド 哲 学 の 話 を 聞 き 、 イ ェ イ ツ は こ れ に よ り イ ン ド 哲 学 に 接 近 し 、 イ ン ド を 扱 っ た 詩 を 多 く 書 い た 。 ま た 、 詩 人 の キ ャ サ リ ン ・ タ イ ナ ン に 誘 わ れ て 出 席 し た 交 霊 会 で 、 頭 蓋 骨 の ヴ ィ ジ ョ ン に 体 が 震 え だ し 、 壁 に 体 を ぶ つ け た り テ ー ブ ル を ひ っ く り 返 し 、 人 々 に 彼 こ そ が 霊 媒 だ と 言 わ れ る 体 験 も し て い る 。
こ の 頃 遠 縁 の 赤 毛 の 少 女 ロ ー ラ ・ ア ー ム ス ト ロ ン グ に 恋 し て お り 、 こ れ が 初 恋 だ っ た 。 10 代 の 頃 は イ ギ リ ス 詩 人 の P ・ B ・ シ ェ リ ー や エ ド マ ン ド ・ ス ペ ン サ ー に 夢 中 に な り 、 そ の 技 巧 的 な ス タ イ ル を 模 倣 し て お り 、 烈 し く 野 性 的 だ っ た 初 恋 の 少 女 を 主 題 に ジ ョ ン ・ キ ー ツ 風 の 恋 愛 詩 を 書 い て い る 。
ジ ョ ン ・ オ リ ア リ ー
1 8 8 5 年 20 歳 時 に 、 ﹁ 妖 精 た ち の 歌 ﹂ ﹁ さ ま ざ ま な 声 ﹂ の 2 編 が 初 め て ﹁ ダ ブ リ ン 大 学 レ ビ ュ ー ﹂ 3 月 号 に 掲 載 さ れ た 。 同 年 、 フ ェ ニ ア ン 運 動 と 呼 ば れ た ア イ ル ラ ン ド 独 立 運 動 を 主 導 し た ア イ ル ラ ン ド 共 和 国 同 盟 ︵ 英 語 版 ︶ の カ リ ス マ 的 指 導 者 ジ ョ ン ・ オ リ ア リ ー ︵ 英 語 版 ︶ と 出 会 い 、 こ れ を き っ か け に 愛 国 主 義 者 と い う 自 覚 を 持 つ よ う に な っ た 。 フ ィ ニ ア ン 運 動 の 参 加 者 は ほ と ん ど カ ト リ ッ ク だ っ た が 、 青 年 ア イ ル ラ ン ド 党 ︵ 英 語 版 ︶ の リ ー ダ ー ト ー マ ス ・ デ ィ ヴ ィ ス ︵ 英 語 版 ︶ に よ る 、 出 自 に 関 わ ら ず ア イ ル ラ ン ド を 愛 し 国 に 仕 え る 者 は ア イ ル ラ ン ド 人 で あ り 、 虐 げ ら れ た ア イ ル ラ ン ド の 歴 史 を 認 識 し ア イ ル ラ ン ド に 住 む 多 様 な 人 々 が 互 い に 和 解 す る こ と で ア イ ル ラ ン ド が 再 び 一 つ の 国 に な る と い う 考 え に 賛 同 し て い た 。 オ リ ア リ ー は 、 デ ィ ヴ ィ ス の 詩 に 感 銘 を 受 け て 愛 国 主 義 者 と な り 、 ア イ ル ラ ン ド の 民 族 精 神 を 表 現 で き る 文 学 者 育 成 の 必 要 を 痛 切 に 感 じ て お り 、 イ ェ イ ツ の 才 能 と 愛 国 心 を 見 抜 い て デ ィ ヴ ィ ス ら 愛 国 者 の 詩 を 貸 し 与 え 、 イ ェ イ ツ は 作 品 の ア イ ル ラ ン ド へ の 思 い に 強 く 共 感 を 覚 え 、 自 分 が 書 く べ き テ ー マ を 見 出 し て い っ た 。 以 前 か ら 興 味 が あ っ た ア イ ル ラ ン ド の 歴 史 ・ 伝 説 ・ 民 話 を 深 く 研 究 す る よ う に な り 、 こ れ を 題 材 と す る 物 語 を 書 き 始 め た [ 51 ] 。 イ ェ イ ツ は ブ レ イ ク を 読 ん で 神 秘 思 想 や 幻 視 が 詩 の 重 要 な 部 分 を 担 う と 考 え て お り 、 ケ ル ト 文 化 へ の 関 心 と イ ン ド や オ カ ル ト へ の 傾 斜 は ほ ぼ 同 時 に 起 こ っ た 。 イ ェ イ ツ の ナ シ ョ ナ リ ズ ム は 、 ア イ ル ラ ン ド の 文 化 が イ ギ リ ス の ロ ン ド ン に 、 そ し て 世 界 に 通 用 す る 、 独 自 性 の あ る 豊 か な も の だ と 知 ら し め る こ と だ っ た 。 民 族 自 治 ・ オ カ ル テ ィ ズ ム ・ ア イ ル ラ ン ド の 伝 統 へ の 関 心 と い っ た 要 素 は 、 初 期 イ ェ イ ツ の 創 作 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ す こ と に な る [ 53 ] 。 青 年 ア イ ル ラ ン ド 党 の 機 関 誌 に は 、 愛 国 心 を 鼓 舞 し 、 男 た ち を 闘 争 に 駆 り 立 て る 詩 が 数 多 く 掲 載 さ れ 、 そ の 詩 選 集 は 大 ベ ス ト セ ラ ー と な っ て い た が 、 イ ェ イ ツ は 芸 術 と し て 低 品 質 な 政 治 的 プ ロ パ ガ ン ダ が ﹁ 偉 大 な 叙 事 詩 ﹂ と し て 扱 わ れ る こ と に 憤 慨 し 、 青 年 ア イ ル ラ ン ド 党 の 詩 を 厳 し く 批 判 し た た め 、 ダ ブ リ ン で 激 し い 攻 撃 に 晒 さ れ る こ と に な る 。
ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス
イ ェ イ ツ は 2 年 で 絵 の 才 能 に 見 切 り を つ け て 、 22 歳 の と き 美 術 学 校 を 退 学 。 筆 一 本 で 身 を 立 て る 決 意 を す る 。 1 9 8 7 年 以 降 、 ロ ン ド ン を 中 心 に 活 動 し た 。
父 は 自 分 の 画 家 と し て の 技 量 に 自 信 を 持 っ て お り 、 1 8 8 8 年 の 春 に 一 家 は 再 び ロ ン ド ン に 出 た 。 イ ェ イ ツ 家 は 非 常 に 深 刻 な 経 済 状 況 に 陥 っ て お り 、 妹 の ス ー ザ ン は ラ フ ァ エ ル 前 派 の ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス の 娘 で 刺 繍 の 名 手 の メ イ ︵ 英 語 版 ︶ の も と で 働 く よ う に な り 、 ま た こ の 頃 母 が 卒 中 の 発 作 を 起 こ し て い る 。 イ ェ イ ツ は 様 々 な 出 版 物 に 詩 や 書 評 を 投 稿 し て お り 、 そ の わ ず か な 原 稿 料 だ け が 彼 の 収 入 で 、 定 職 に 就 く 必 要 性 を 感 じ て い た が 、 父 は 就 職 に 反 対 し て お り 、 そ の 理 由 は ﹁ 心 の 自 由 が な く な る か ら ﹂ と い う こ と だ っ た 。 イ ェ イ ツ は お そ ら く 経 済 的 な 理 由 か ら 、 自 身 と は 政 治 的 に 正 反 対 の 、 激 し い ユ ニ オ ニ ズ ム ︵ イ ギ リ ス に よ る ア イ ル ラ ン ド 併 合 維 持 主 義 ︶ と 帝 国 主 義 の 風 潮 の あ る 雑 誌 ﹁ ナ シ ョ ナ ル ・ オ ブ ザ ー バ ー ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ に も 多 く の 作 品 を 掲 載 し 、 編 集 長 で ユ ニ オ ニ ス ト の ウ ィ リ ア ム ・ ア ー ネ ス ト ・ ヘ ン リ ー ︵ 英 語 版 ︶ を 囲 む 若 手 の 会 に 参 加 し 、 自 伝 で ﹁ 多 く の 者 た ち と 同 様 に 私 は ヘ ン リ ー の も と で 自 分 の 教 育 を 始 め た 。 ﹂ と 語 っ て い る 。 こ の 会 に は 、 オ ス カ ー ・ ワ イ ル ド や ラ ド ヤ ー ド ・ キ ッ プ リ ン グ も 出 入 り し て い た 。
イ ェ イ ツ は ロ ン ド ン に 移 っ て か ら 、 ラ フ ァ エ ル 前 派 の 関 係 者 と 実 際 に 交 流 す る よ う に な っ た 。 ラ フ ァ エ ル 前 派 は 活 動 の 最 後 の 段 階 で あ っ た が 、 1 8 8 2 年 に 運 動 の 中 心 だ っ た ロ セ ッ テ ィ が 死 去 し 展 覧 会 が 開 か れ 再 び 注 目 が 集 ま っ て お り 、 イ ェ イ ツ は こ こ で 思 索 す る こ と を 学 ん だ と 後 に 語 っ て い る 。 ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス と 交 流 し て 親 し く な り 、 彼 の 家 を 度 々 訪 れ 、 絵 や 織 布 ︵ 特 に タ ペ ス ト リ ー ︶ と い っ た 仕 事 に 触 れ 、 互 い に 作 品 に 相 通 じ る も の を 感 じ た 。 ︵ 一 方 父 の 興 味 は ラ フ ァ エ ル 前 派 か ら 離 れ て お り 、 イ ェ イ ツ の ラ フ ァ エ ル 前 派 へ の 固 執 に は 、 父 へ の さ さ や か な 反 発 と い う 面 が あ っ た と い う 見 解 も あ る 。 ︶
イ ェ イ ツ は ロ ン ド ン で 、 ア イ ル ラ ン ド 出 身 の 新 進 気 鋭 の 詩 人 で 、 彼 と 同 じ く オ リ ア リ ー の 影 響 下 に あ っ た キ ャ サ リ ン ・ タ イ ナ ン と 親 し く な り 、 彼 女 に ア イ ル ラ ン ド 的 主 題 を 取 り 上 げ る よ う 勧 め ら れ 、 ま た サ ミ ュ エ ル ・ フ ァ ー ガ ソ ン の 影 響 か ら 、 18 世 紀 の 詩 人 ミ ホ ー ル ・ コ ミ ン に よ る ア イ ル ラ ン ド 伝 説 ﹁ ア シ ー ン ︵ 英 語 版 ︶ ︵ オ シ ー ン 、 オ シ ア ン ︶ の 放 浪 ﹂ の 長 編 詩 ﹃ 常 若 の 国 の ア シ ー ン の 歌 ﹄ [ 注 6 ] を 基 に し た 詩 に 取 り 組 ん だ 。
The Falling Of The Leaves
Autumn is over the long leaves that love us,
And over the mice in the barley sheaves;
Yellow the leaves of the rowan above us,
And yellow the wet wild-strawberry leaves.
The hour of the waning of love has beset us,
And weary and worn are our sad souls now;
Let us patt, ere the season of passion forget us,
With a kiss and a tear on thy drooping brow.
落葉
私たちを愛でてくれる長い葉に秋が来た。
大麦の束に棲む鼠たちにも秋が来た。
頭の上のナナカマドが黄色になった。
濡れた野いちごの葉も黄色になった。
愛の終わる時がそこまで迫っている。
二人の悲しい魂はもう疲れてやつれ果てた。
情熱の季節が過ぎ去るまえに別れよう、うつむく
あなたの額に一つの接吻と一滴 ( ひとしずく ) の涙を残して。
1889年『アシーンの放浪とその他の詩』収録(高松雄一 訳)
﹁ ア シ ー ン の 放 浪 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ T h e W a n d e r i n g s o f O i s i n ︶ [ 注 7 ] を 含 む 第 一 詩 集 ﹃ ア シ ー ン の 放 浪 と そ の 他 の 詩 ﹄ ︵ T h e W a n d e r i n g s o f O i s i n a n d O t h e r P o e m s , 1 8 8 9 年 ︶ を 刊 行 [ 8 ] 。 本 作 は 哀 愁 に 満 ち た 優 雅 な 表 現 と 、 当 時 ロ ン ド ン で 馴 染 み の 薄 か っ た ケ ル ト 神 話 に よ っ て ロ ン ド ン 文 芸 界 の 注 目 を 集 め た [ 8 ] 。 流 麗 で 明 快 な 文 体 、 繊 細 な 韻 律 、 神 話 的 要 素 な ど は 、 ア ル フ レ ッ ド ・ テ ニ ス ン の ﹃ 王 の 牧 歌 ﹄ や ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス の ﹃ 地 上 の 楽 園 ﹄ 等 19 世 紀 後 半 に 愛 好 さ れ た イ ギ リ ス 詩 の ジ ャ ン ル を 引 き 継 い で お り 、 イ ギ リ ス の 読 者 に 受 け 入 れ ら れ や す か っ た と 思 わ れ る 。 ラ フ ァ エ ル 前 派 と 同 じ く ﹁ 日 常 か ら 離 れ た 夢 の 世 界 あ る い は 幻 想 ︵ ヴ ィ ジ ョ ン ︶ ﹂ の 再 現 が 目 指 さ れ 、 ラ フ ァ エ ル 前 派 の 特 徴 で あ る 装 飾 的 な 色 が 散 り ば め ら れ 、 パ タ ー ン が 反 復 さ れ 、 ラ フ ァ エ ル 前 派 的 な 官 能 的 で 精 神 的 な ﹁ 得 難 い も の ﹂ の 象 徴 と し て の 女 性 が 描 か れ 、 初 期 の イ ェ イ ツ の 絵 画 的 特 質 が 最 も よ く 表 れ た 作 品 と な っ て お り 、 ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス か ら 激 賞 を 受 け た 。 以 後 、 世 紀 末 前 後 の 10 年 ほ ど で 、 新 進 の 詩 人 と し て イ ギ リ ス の 詩 壇 に 地 位 を 築 い て い っ た 。
﹃ ケ ル ト 妖 精 物 語 ﹄ ︵ F a i r y a n d F o l k T a l e s o f t h e I r i s h P e a s a n t r y , 1 8 8 8 年 ︶ [ 注 8 ] を 刊 行 す る な ど 、 こ の 時 期 の イ ェ イ ツ は ア イ ル ラ ン ド の 歴 史 ・ 伝 統 へ の 深 い 関 心 に 彩 ら れ て い る [ 69 ] 。
イェイツにとって生涯の詩神となったモード・ゴン
1 8 8 9 年 1 月 、 ﹃ ア シ ー ン の 放 浪 と そ の 他 の 詩 ﹄ 出 版 の 縁 で 、 ジ ョ ン ・ オ リ ア リ ー に よ る 父 宛 の 紹 介 状 を 持 っ て 訪 ね て き た 活 動 家 モ ー ド ・ ゴ ン ︵ 英 語 版 ︶ ︵ 1 8 6 6 年 - 1 9 5 3 年 ︶ に 出 会 う 。 現 実 に こ れ ほ ど 美 し い 人 が い る と は 思 わ な か っ た と 、 そ の 美 し さ の 衝 撃 を 受 け 、 ま た 彼 女 は 戦 争 を 賛 美 し て 父 を 困 惑 さ せ た 。 モ ー ド は か な り 裕 福 な イ ギ リ ス 軍 人 の 娘 で 、 ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ で あ っ た が 、 ア イ ル ラ ン ド 土 地 戦 争 で の 冷 酷 な 小 作 人 追 立 て の 法 律 執 行 を 目 撃 し 、 過 激 な ア イ ル ラ ン ド 独 立 闘 争 運 動 に 参 加 し 、 ﹁ ア イ ル ラ ン ド の ジ ャ ン ヌ ・ ダ ル ク ﹂ と 呼 ば れ て い た [ 73 ] 。 絶 世 の 美 女 で 、 様 々 な 人 が 彼 女 の 際 立 っ た 美 し さ を 書 き 残 し て お り 、 背 が 高 く が っ し り し た 体 格 で 、 女 神 の よ う に 歩 き 、 低 く 豊 か な 声 で 話 し 、 多 く の 人 を 魅 了 し た 。 イ ェ イ ツ は 彼 女 に 魅 せ ら れ て ﹁ キ ャ ス リ ー ン 伯 爵 夫 人 ﹂ を 書 く と 約 束 し 、 2 年 半 後 に ダ ブ リ ン で 再 会 す る と 、 憔 悴 し た 姿 の 美 し さ に 心 を 打 た れ ︵ 彼 女 は 既 婚 者 の フ ラ ン ス 人 ジ ャ ー ナ リ ス ト の 愛 人 で あ り 、 彼 と 間 に 秘 密 裏 に 子 ど も を 産 ん で い た が 、 彼 に 自 身 の 政 治 的 野 心 の た め に 別 の 男 の 愛 人 に な る よ う 迫 ら れ て い た ︶ 、 再 び 恋 し て 求 婚 し た 。 モ ー ド は イ ェ イ ツ の 求 婚 を 断 る が 、 そ の 後 も 彼 の 恋 情 は 失 わ れ る こ と が な か っ た 。
彼 女 と の 出 会 い の 衝 撃 は 、 詩 集 ﹃ 薔 薇 ﹄ ︵ T h e R o s e . 1 8 9 3 年 ︶ に も 表 れ て お り 、 ﹁ 薔 薇 ﹂ は ﹁ 宇 宙 霊 魂 ﹂ に も 等 し い 、 病 め る ア イ ル ラ ン ド を 、 そ し て 恋 人 を 、 詩 人 を 鼓 舞 す る 永 遠 の 力 を 備 え た 存 在 と し て 描 か れ て い る 。 彼 は 50 歳 す ぎ ま で 独 身 を 続 け 、 幾 度 か 彼 女 に 求 婚 を 繰 り 返 し な が ら [ 78 ] 、 生 涯 を 通 し て モ ー ド を 詩 想 源 と す る 作 品 を 書 き 続 け た [ 78 ] 。 イ ェ イ ツ は 直 接 的 ・ 間 接 的 に 彼 女 に 触 れ た 詩 ︵ モ ー ド ・ ゴ ン 詩 ︶ を 40 篇 以 上 書 き 、 彼 女 は そ れ を ﹁ 二 人 の 愛 児 た ち ﹂ と 呼 ん で い た 。 彼 は ア イ ル ラ ン ド 独 立 運 動 に 参 加 し て お り 、 部 分 的 に は 信 念 の た め だ っ た が 、 主 な 理 由 は モ ー ド ・ ゴ ン へ の 愛 だ っ た [ 2 ] [ 8 ] 。 英 文 学 者 の 松 島 正 一 は 、 愛 す る モ ー ド ・ ゴ ン が 実 際 的 な 活 動 家 で あ っ た こ と か ら 、 イ ェ イ ツ は ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 と い う 実 際 的 な 問 題 に 引 き 込 ま れ た と 述 べ て い る 。
ま た モ ー ド と 前 後 し て 、 奔 放 で 闊 達 な 女 優 フ ロ ー レ ン ス ・ フ ァ ー ︵ 英 語 版 ︶ と 出 会 う 。
ア ー サ ー ・ シ モ ン ズ
1 8 9 0 年 、 耽 美 ・ 唯 美 主 義 を 標 榜 す る 詩 人 た ち と 語 ら っ て ラ イ マ ー ズ ・ ク ラ ブ ︵ 英 語 版 ︶ を 結 成 、 酒 場 に 集 ま っ て 、 自 作 の 詩 の 朗 読 と 互 い の 批 評 を 繰 り 返 し た [ 81 ] 。 こ の 集 ま り に は 同 世 代 の ア ー ネ ス ト ・ ダ ウ ソ ン 、 ア ー サ ー ・ シ モ ン ズ 、 ラ イ オ ネ ル ・ ジ ョ ン ソ ン ︵ 英 語 版 ︶ の ほ か 、 年 長 の オ ス カ ー ・ ワ イ ル ド も 参 加 す る こ と が あ っ た [ 81 ] 。 イ ェ イ ツ は こ の 集 ま り を 通 じ て フ ラ ン ス 象 徴 派 詩 人 た ち の 活 動 に 触 れ る こ と に な っ た ほ か 、 こ の 酒 場 で 浸 っ た 芸 術 至 上 主 義 こ そ 自 分 の 詩 作 の 原 点 だ っ た と 後 に 振 り 返 っ て い る [ 82 ] 。 英 文 学 者 の 高 松 雄 一 は 、 ﹁ 彼 ら は ﹃ 芸 術 の た め の 芸 術 ﹄ を 重 ん じ 、 政 治 、 倫 理 、 教 育 、 合 理 主 義 な ど を 排 除 す る 。 つ ま り 市 民 社 会 を 構 築 す る 精 神 を 否 定 し て 、 神 秘 的 か つ 象 徴 的 な 心 的 傾 向 に 接 近 し 、 表 現 上 の 技 法 に は 職 人 の 良 心 を も っ て こ だ わ る が 、 何 を 伝 え よ う と す る の か 、 言 葉 の 意 味 伝 達 に 対 す る 関 心 は 薄 れ る 。 ﹂ と 説 明 し て お り 、 彼 ら の ﹁ 詩 人 は 選 ば れ た 人 間 と し て 人 々 に 語 り か け る と い う ロ マ ン 主 義 の 心 意 気 ﹂ は 、 詩 人 は 呪 わ れ た 存 在 で あ り 社 会 に 背 を 向 け る と い う 歪 ん だ 形 に な り 、 ﹁ ﹃ 芸 術 家 ﹄ 対 ﹃ 市 民 ﹄ ﹂ と い う 世 紀 末 独 特 の 対 立 構 造 と し て 成 立 し た 。 彼 ら の 社 会 か ら の 疎 外 感 は 非 常 に 強 か っ た と 思 わ れ 、 人 目 に 付 く イ ギ リ ス 紳 士 の 服 装 で 芸 術 家 で あ る こ と を 誇 示 し て お り 、 高 松 雄 一 は ﹁ テ ロ リ ス ト の 心 得 を 思 わ せ る ﹂ と 評 し て い る 。
イ ェ イ ツ は こ の 頃 世 紀 末 デ カ ダ ン 派 に 属 し て い た が 、 本 質 的 に 破 滅 型 の 詩 人 で は な か っ た 。 ラ イ マ ー ズ ・ ク ラ ブ の 面 々 は 酒 と 女 に 溺 れ 、 オ ス カ ー ・ ワ イ ル ド が 同 性 愛 を め ぐ る 裁 判 に 敗 訴 し 1 8 9 5 年 に 投 獄 さ れ た こ と を 境 目 に 、 1 8 9 0 年 代 半 ば 以 降 に ク ラ ブ は 崩 壊 し て い っ た 。
オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア
こ の 頃 、 ラ イ マ ー ズ ・ ク ラ ブ で 特 に 親 し か っ た ジ ョ ン ソ ン の い と こ で 、 美 貌 と 高 い 文 学 的 素 養 を 持 つ オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア ︵ 英 語 版 ︶ [ 注 9 ] に 出 会 い 、 1 8 9 6 年 に 既 婚 者 で あ っ た 彼 女 と 恋 愛 関 係 に な り 、 逢 引 き 場 所 が 必 要 だ っ た イ ェ イ ツ は ア ー サ ー ・ シ モ ン ズ の 誘 い を 受 け て 初 め て 実 家 を 出 て 独 立 し 、 彼 と ル ー ム シ ェ ア す る よ う に な っ た 。 二 人 は 数 か 月 同 居 し 親 し く な り 、 フ ラ ン ス 象 徴 派 詩 人 の 紹 介 や 翻 訳 で 知 ら れ て い た シ モ ン ズ は 、 マ ラ ル メ な ど フ ラ ン ス 象 徴 主 義 文 学 へ の 関 心 を 深 め て い た イ ェ イ ツ が ヴ ェ ル レ ー ヌ と 面 会 で き る よ う 取 り 計 ら い 、 フ ラ ン ス 象 徴 派 の 文 献 を 読 ん で や る な ど 、 様 々 に サ ポ ー ト し 、 重 要 な 文 学 的 影 響 を 与 え た 。 オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア と 出 来 た ら 駆 け 落 ち し よ う と い う と こ ろ ま で 行 っ た が 、 そ の 直 前 に 彼 女 の 母 が 亡 く な っ た こ と 、 駆 け 落 ち 後 の 経 済 的 な 当 て が な い こ と 、 演 劇 運 動 の 計 画 や 、 モ ー ド ・ ゴ ン ヘ の 思 い を 断 ち 切 れ な か っ た こ と 等 が 重 な り 、 二 人 の 関 係 は 宙 ぶ ら り ん な ま ま に な り 、 以 降 長 く 友 人 と し て 交 友 し た [ 37 ] 。 彼 女 に 言 及 す る 詩 を 6 篇 ほ ど 書 い て い る 。
エ ド ワ ー ド ・ カ ル ヴ ァ ー ト の 木 版 画
サ ミ ュ エ ル ・ パ ー マ ー 作 ﹁ T h e L o n e l y T o w e r ﹂ 。 ジ ョ ン ・ ミ ル ト ン の 詩 集 ︵ 1 8 8 9 年 ︶ の 挿 絵 で 、 後 期 イ ェ イ ツ の 主 要 な シ ン ボ ル 。
イ ェ イ ツ は 、 色 彩 豊 か で 装 飾 的 で 平 面 的 な 初 期 の 詩 の 風 景 の 在 り 方 に 満 足 で き な い も の を 感 じ て い た 。 1 8 9 0 年 代 に 入 る と 、 晩 年 の ブ レ イ ク の 元 に 集 っ た 風 景 画 家 サ ミ ュ エ ル ・ パ ー マ ー 、 版 画 家 エ ド ワ ー ド ・ カ ル ヴ ァ ー ト に よ っ て 、 彼 の 詩 の 象 徴 主 義 の 傾 向 は 深 ま っ て い っ た 。 彼 ら は 簡 素 化 さ れ た 象 徴 的 な 風 景 を 描 い て お り 、 イ ェ イ ツ は こ れ を 通 し て 、 色 彩 を 抑 制 す る こ と で 象 徴 的 な 芸 術 を 作 る こ と が で き る と 思 い つ い た と 言 わ れ 、 色 彩 の 象 徴 性 へ の 自 覚 を 深 め て 色 遣 い が 抑 制 さ れ 灰 色 が 多 用 さ れ る よ う に な り 、 風 景 や 花 、 女 性 の 細 部 の 描 写 を 避 け て 象 徴 性 が 高 め ら れ 、 精 力 的 な リ ズ ム か ら ﹁ 想 像 力 の 具 現 で あ る あ の 揺 れ 動 く 、 瞑 想 的 な 、 有 機 的 な リ ズ ム ﹂ を 求 め る よ う に な っ て い っ た 。
1 8 9 0 年 に 、 ア イ ル ラ ン ド の 自 治 権 獲 得 運 動 の 指 導 者 チ ャ ー ル ズ ・ ス チ ュ ワ ー ト ・ パ ー ネ ル が 、 人 妻 と の 恋 愛 が 公 に な り 、 カ ト リ ッ ク や 非 国 教 会 系 プ ロ テ ス タ ン ト の 反 感 を 買 い 失 脚 、 1 8 9 1 年 に 死 去 [ 2 ] 。 イ ェ イ ツ は 、 パ ー ネ ル は ア イ ル ラ ン ド 人 の た め に 戦 い な が ら も 、 ア イ ル ラ ン ド 人 に 殺 さ れ た の だ と 認 識 し て い た 。 パ ー ネ ル が 失 脚 に 追 い や ら れ た こ と が 、 イ ェ イ ツ の ナ シ ョ ナ リ ズ ム へ の 幻 滅 の 始 ま り と 考 え ら れ 、 彼 は 政 治 活 動 の 意 義 を 失 っ た よ う に 感 じ た [ 2 ] 。 そ の 空 白 を 文 学 、 芸 術 、 詩 、 戯 曲 、 伝 説 に よ っ て 埋 め よ う と 、 1 8 9 2 年 に は ア イ ル ラ ン ド 出 身 の 詩 人 た ち と ﹁ ア イ ル ラ ン ド 文 芸 協 会 ﹂ ︵ T h e I r i s h L i t e r a r y S o c i e t y o f L o n d o n ︶ を 設 立 、 ダ ブ リ ン に も 文 芸 団 体 を 発 足 さ せ て 民 族 文 学 の 発 掘 と 普 及 に 力 を 入 れ 始 め た [ 64 ] [ 41 ] [ 2 ] 。 ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 は 、 カ ト リ ッ ク 勢 力 が 台 頭 し 、 独 立 を 目 指 す 民 族 主 義 運 動 が 広 が る 中 、 少 数 派 と な っ た ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ た ち が 、 ア イ ル ラ ン ド 人 と し て の ア イ デ ン テ ィ テ ィ 確 立 を 模 索 す る 試 み だ っ た 。 イ ェ イ ツ は ケ ル ト の 民 間 伝 承 を 採 話 し 、 批 評 等 を 加 え 、 1 8 9 3 年 に 散 文 集 ﹃ ケ ル ト の 薄 明 ﹄ ︵ T h e C e l t i c T w i l i g h t ︶ を 出 版 。
ブレイクの予言的な幻想詩より、原初の巨人が分かれて生じた4人のゾアの関係図
マグレガー・メイザース
こ の こ ろ 創 作 面 で は 、 イ ェ イ ツ の 作 品 の う ち 最 も 広 く 知 ら れ る 詩 の 一 つ ﹁ 湖 の 島 イ ニ ス フ リ ー ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ T h e L a k e I s l e O f I n n i s f r e e ︶ を 含 む 詩 集 ﹃ キ ャ ス リ ー ン 伯 爵 夫 人 お よ び 諸 伝 説 と 抒 情 詩 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ T h e C o u n t e s s K a t h l e e n a n d V a r i o u s L e g e n d s a n d L y r i c s , 1 8 9 2 年 ︶ な ど を 発 表 す る ほ か 、 オ カ ル テ ィ ズ ム へ の 傾 倒 を 深 め 、 1 8 8 7 年 に 当 時 の ロ ン ド ン で 人 気 を 集 め て い た ﹁ 神 智 学 協 会 ﹂ の ヘ レ ナ ・ P ・ ブ ラ ヴ ァ ツ キ ー の 元 に 赴 い て 、 彼 女 に 人 間 性 の 豊 か さ を 感 じ 、 協 力 会 員 に な っ た 。 イ ェ イ ツ は オ カ ル ト に 惹 か れ た が 、 同 時 に 懐 疑 の 目 を 向 け 、 超 自 然 界 ・ 超 自 然 現 象 の 証 を 求 め て 実 験 に 固 執 し た た め 、 耐 え か ね た ブ ラ ヴ ァ ツ キ ー か ら 退 会 勧 告 を 受 け 、 1 8 9 0 年 に 退 会 し た 。 同 年 、 ケ ル ト を 自 称 す る マ グ レ ガ ー ・ メ イ ザ ー ス が 中 心 と な っ て 作 り 上 げ た カ バ ラ 、 錬 金 術 、 占 星 術 、 タ ロ ッ ト 等 か ら 成 る 体 系 に 基 づ く ﹁ 黄 金 の 夜 明 け 団 ﹂ に 入 団 。 メ イ ザ ー ス は 会 員 に 魔 術 の 実 験 や デ モ ン ス ト レ ー シ ョ ン の 機 会 を 多 く 与 え 、 イ ェ イ ツ は 儀 式 で の 体 験 に 魅 了 さ れ 、 研 究 に 没 頭 し た 。 ア ニ ー ・ ホ ー 二 マ ン ︵ 英 語 版 ︶ が メ イ ザ ー ス の パ ト ロ ン で あ り 、 イ ェ イ ツ に 続 い て 女 優 ・ 演 出 家 の フ ロ ー レ ン ス ・ フ ァ ー 、 モ ー ド ・ ゴ ン [ 注 10 ] 、 ジ ョ ン ・ ト ッ ド ハ ン タ ー ︵ 英 語 版 ︶ 、 ス ラ イ ゴ の 叔 父 ジ ョ ー ジ ・ ポ レ ッ ク ス フ ェ ン が 入 会 し て い る 。 こ の オ カ ル ト 教 団 は 型 破 り な 女 性 会 員 の 比 率 が 高 く 、 ﹁ ニ ュ ー ・ ウ ー マ ン ﹂ の 彼 女 た ち は イ ェ イ ツ の 芸 術 に 影 響 を 与 え た 。 フ ァ ー は 神 秘 的 ・ 哲 学 的 ・ 政 治 的 な 活 動 を 行 っ た 先 駆 的 な フ ェ ミ ニ ス ト で 、 イ ェ イ ツ に と っ て フ ァ ー は 女 優 や 作 曲 家 と い う よ り 、 巫 女 や 吟 遊 詩 人 だ っ た 。 イ ェ イ ツ は フ ァ ー の 詩 の 朗 詠 の 技 術 に 魅 了 さ れ 、 二 人 は 異 教 に 対 す る 興 味 を 共 有 し 、 両 者 が 入 団 し た 1 8 9 0 年 か ら 芸 術 的 コ ラ ボ レ ー シ ョ ン を 始 め 、 古 代 ギ リ シ ャ の よ う な バ ラ ッ ド や 抒 情 詩 の 古 い 唱 法 を 復 活 し よ う と 、 竪 琴 に 合 わ せ た 詩 の 朗 詠 を 共 に 探 求 し 、 20 年 以 上 協 働 し た 。 フ ァ ー は 教 団 に 入 る 前 か ら プ ロ の 女 優 で あ っ た が 、 イ ェ イ ツ 、 ト ッ ド ハ ン タ ー 、 ホ ー ニ マ ン 等 の 多 く の 入 団 者 が 、 教 団 に 所 属 し な が ら 演 劇 と 密 接 な 関 係 を 築 き 、 教 団 全 体 が 当 時 の 芸 術 運 動 全 般 に わ た る 創 造 的 な 作 品 の 集 合 体 の よ う に な っ た 。
1 8 9 2 年 に メ イ ザ ー ス が パ リ に 移 る と 、 彼 と ロ ン ド ン の 会 員 の 関 係 は 悪 化 し 、 メ イ ザ ー ス は 教 団 の 支 配 権 回 復 の た め に 悪 名 高 い ア レ イ ス タ ー ・ ク ロ ウ リ ー を 送 り 込 み 、 イ ェ イ ツ は ク ロ ウ リ ー に 対 抗 す る た め に 教 団 運 営 に 関 わ る よ う に な り 、 教 団 本 部 に 無 断 侵 入 し よ う と し た ク ロ ウ リ ー を 告 訴 し 勝 訴 。 メ イ ザ ー ス は ロ ン ド ン の 教 団 か ら 追 放 さ れ 、 イ ェ イ ツ が 深 く 影 響 を 受 け た 彼 と の 関 係 は 終 了 し た 。 教 団 内 の い ざ こ ざ は 続 き 、 イ ェ イ ツ と 親 し い ホ ー ニ マ ン と フ ァ ー が 教 団 の 運 営 を め ぐ っ て 対 立 、 彼 は ホ ー ニ マ ン に つ い た が 、 多 数 派 の フ ァ ー の グ ル ー プ が 実 質 的 に 勝 利 し 、 イ ェ イ ツ は 教 団 運 営 か ら 手 を 引 い た 。 教 団 は さ ら に 怪 し げ な ア メ リ カ 人 オ カ ル ト 詐 欺 師 夫 婦 に よ る ス キ ャ ン ダ ル に 巻 き 込 ま れ て 評 判 は 地 に 落 ち 、 名 称 を 変 更 し 、 二 派 に 分 裂 。 イ ェ イ ツ は そ の 一 つ に 1 9 2 0 年 頃 ま で 所 属 し て い た 。
彼 は ウ ィ リ ア ム ・ ブ レ イ ク か ら 強 い 影 響 を 受 け て お り 、 こ の 頃 エ ド ウ ィ ン ・ J ・ エ リ ス と ﹃ ウ ィ リ ア ム ・ ブ レ イ ク 著 作 集 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ T h e W o r k s o f W i l l i a m B l a k e : P o e t i c , S y m b o l i c a n d C r i t i c a l , 1 8 9 3 年 ︶ を 編 纂 、 神 秘 家 の ス ウ ェ ー デ ン ボ リ と ヤ コ ブ ・ ベ ー メ [ 注 11 ] を 参 考 に ブ レ イ ク を 読 み 解 き 、 そ れ ま で 注 目 さ れ て い な か っ た ﹁ p r o p h e t i c b o o k s ﹂ と 呼 ば れ る 一 連 の 予 言 的 な 幻 想 詩 ︵ ウ ィ リ ア ム ・ ブ レ イ ク の 予 言 書 ︵ 英 語 版 ︶ ︶ を 積 極 的 に 評 価 し 、 本 書 は ブ レ イ ク 研 究 史 上 も 重 要 な も の と な っ た 。 本 書 に は 、 イ ェ イ ツ ら の 調 査 で 草 稿 が 発 見 さ れ た 予 言 詩 ﹁ 四 人 の ゾ ア ﹂ が 収 録 さ れ て い る 。
オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー
1 8 9 8 年 に 、 ゴ ー ル ウ ェ イ 地 方 の 富 裕 な 地 主 ︵ プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー ︶ の 未 亡 人 だ っ た オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー ︵ レ デ ィ ・ グ レ ゴ リ ー 、 グ レ ゴ リ ー 夫 人 ︶ の 知 己 を 得 る [ 8 ] 。 イ ェ イ ツ は 民 間 の 言 い 伝 え の 採 集 を 通 し て 、 そ れ が 古 代 の 祭 祀 や キ リ ス ト 教 に よ る 破 壊 を 免 れ た 異 教 ︵ キ リ ス ト 教 以 外 ま た は キ リ ス ト 教 以 前 の 宗 教 ︶ の 信 仰 に 対 す る 自 身 の 思 い と 重 な る こ と に 気 づ き 、 そ れ を 厳 格 で 格 調 高 い 文 体 で 表 現 す れ ば 、 本 物 の 詩 が 生 ま れ 、 自 身 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ に 向 か っ て 進 む こ と が で き る と 考 え た が 、 そ の 試 み は う ま く い っ て い な か っ た [ 2 ] 。 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー は す で に 昔 話 や ア イ ル ラ ン ド 西 部 の 言 い 伝 え を 集 め て お り 、 彼 女 と の 出 会 い で イ ェ イ ツ の 試 み は よ う や く 進 展 し 始 め た [ 2 ] 。 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー は イ ェ イ ツ の 詩 才 を 高 く 評 価 し 、 以 後 生 涯 に わ た っ て イ ェ イ ツ の 重 要 な 後 援 者 で あ り 、 ﹁ 母 、 友 人 、 姉 妹 で あ り 兄 弟 、 彼 女 の い な い 世 界 を 考 え る こ と は で き な い ― 彼 女 は 私 の 揺 れ 動 く 思 想 に 不 動 の 気 品 を 与 え て く れ た 。 ︹ … ︺ 友 情 は わ が 家 、 そ れ が 全 て 。 ﹂ と い う ほ ど 重 要 な 、 敬 愛 す る 親 友 と な っ た [ 53 ] [ 2 ] 。 1 8 8 2 年 の 初 め て の 訪 問 以 降 、 毎 年 夏 季 に 彼 女 の 邸 宅 ︵ ビ ッ グ ハ ウ ス ︵ 英 語 版 ︶ ︶ ク ー ル ・ パ ー ク ︵ 英 語 版 ︶ に 滞 在 し て 創 作 に 専 念 し 、 規 則 正 し い ゆ た か な 生 活 と 、 い く つ も の 湖 沼 を か か え る 広 大 な 地 所 の 景 観 は 、 イ ェ イ ツ の 詩 作 の 重 要 な 主 題 と な っ て ゆ く [ 69 ] 。 イ ェ イ ツ 以 外 に も こ こ を 訪 問 す る ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ の 文 人 や 芸 術 家 、 政 治 家 は 多 く 、 イ ェ イ ツ に と っ て は ア イ ル ラ ン ド の 優 れ た 文 化 を 担 い 、 受 け 継 ぐ 聖 地 で あ っ た 。
He Wishes For The Cloths Of Heaven
Had I the heavens' embroidered cloths,
Enwrought with golden and silver light,
The blue and the dim and the dark cloths
Of night and light and the half-light,
I would spread the cloths under your feet:
But I, being poor, have only my dreams;
I have spread my dreams under your feet;
Tread softly because you tread on my dreams.
彼、天の布を望む
私に刺繍を挿した天の布、
金と銀の光で織った、
夜 ( ナイト ) と光 ( ライト ) と薄明り ( ハーフライト ) 、
ブルーとほの白、黒の布があったなら、
私はその布を貴女の足元に敷きましょう、
けれど、私は貧しく、夢だけしかありません。
私は私の夢を貴女の足元に敷きました、
そっと踏んで下さい、貴女は私の夢を踏んでいるのです。
『葦間の風』収録(杉山寿美子 訳)
こ の 時 期 に イ ェ イ ツ は 詩 集 を 数 冊 出 版 し 、 特 に 最 初 の 詩 集 ﹃ 詩 集 ﹄ ︵ P o e m s , 1 8 9 5 年 ︶ と ﹃ 葦 間 ︵ あ し ま ︶ の 風 ﹄ ︵ T h e W i n d a m o n g t h e R e e d s , 1 8 9 9 年 ︶ は 、 夢 幻 的 な 雰 囲 気 と ア イ ル ラ ン ド の 民 話 や 伝 説 を 用 い た 初 期 の 詩 の 典 型 と な っ て い る [ 2 ] 。 ﹃ 葦 間 の 風 ﹄ は 、 初 期 代 表 作 の ひ と つ と み な さ れ て お り 、 イ ェ イ ツ の 文 名 を 高 め た 妖 精 伝 説 の 要 素 と 、 報 わ れ な い 恋 の 憂 鬱 や 神 秘 主 義 が 混 然 と な っ た 詩 集 で 、 妖 精 の ﹁ 風 ﹂ を 通 し て ア イ ル ラ ン ド の 革 命 が 前 景 化 さ れ て い る [ 8 ] [ 82 ] 。 英 文 学 者 の 高 松 雄 一 は 、 本 作 で ﹁ 現 実 の 社 会 に 背 を 向 け 、 神 話 と 魔 術 と 夢 の 領 域 に 詩 の 主 題 を 求 め る 神 秘 主 義 的 で 芸 術 至 上 主 義 的 な 傾 向 ﹂ が 一 つ の 頂 点 に 達 し た と 評 し て い る [ 1 1 2 ] 。 ま た ﹁ 黒 豚 渓 谷 ﹂ の よ う な 終 末 論 的 な 詩 も 含 ま れ 、 モ ー ド ・ ゴ ン の 革 命 思 想 の 影 響 が う か が え る 。 ほ か に 、 薔 薇 十 字 団 な ど の 神 秘 主 義 を 論 じ 薔 薇 が 錬 金 術 に 連 結 さ れ た 短 編 集 ﹃ 秘 儀 の 薔 薇 ﹄ ︵ T h e S e c r e t R o s e , 1 8 9 7 年 ︶ や 、 批 評 集 ﹃ 善 と 悪 の 観 念 ﹄ ︵ I d e a s o f G o o d a n d E v i l , 1 9 0 3 年 ︶ な ど を 相 次 い で 発 表 し て い る 。
1 8 9 4 年 に イ ェ イ ツ が ノ ー ト で ダ イ ア ナ ・ バ ー ノ ン と 呼 ん だ 女 性 と 家 庭 を 持 と う と し た が 、 モ ー ド ・ ゴ ン へ の 思 い を 断 つ こ と が で き ず 、 失 敗 し て い る 。
1 8 9 8 年 に 、 モ ー ド ・ ゴ ン か ら 、 実 は フ ラ ン ス 人 の 愛 人 で あ る こ と 、 2 人 の 子 ど も を 生 ん で お り 、 最 初 の 子 は な く な っ て い る と い う 私 生 活 の 秘 密 を 告 げ ら れ 、 イ ェ イ ツ は こ れ を 結 婚 を 拒 む 盾 と 感 じ て 大 き な シ ョ ッ ク を 受 け 、 再 度 求 婚 し た が 、 性 に 対 す る 恐 れ を 理 由 に 拒 否 さ れ 、 イ ェ イ ツ は 諦 め 、 結 局 二 人 は 、 昔 彼 女 が 夢 で 見 た と い う ﹁ 前 世 は 二 人 は 兄 と 妹 だ っ た ﹂ と い う オ カ ル ト 的 な ﹁ 霊 的 結 婚 ﹂ の 関 係 性 に 落 着 し た 。 こ の 騒 動 の 衝 撃 で 、 19 か 月 に わ た っ て 詩 作 が 中 断 さ れ た 。 ﹁ 神 秘 の 薔 薇 ﹂ と し て の モ ー ド へ の 崇 拝 の 幻 想 か ら 覚 め 、 彼 の 詩 か ら 象 徴 と し て の ﹁ 薔 薇 ﹂ は な く な っ た 。
1 9 0 0 年 、 母 ス ー ザ ン が 失 意 の う ち に 死 去 し 、 イ ェ イ ツ 家 は ま た ダ ブ リ ン に 移 住 し た 。 こ の 頃 か ら 優 生 学 に 関 わ る よ う に な る 。
アベイ座オープニング時のポスター(1904年)
戯曲『キャスリーン伯爵夫人』に出演するフローレンス・ファー
ジョン・ミリントン・シング
パ ー ネ ル が 失 脚 し た こ と で 人 々 が 政 治 に 失 望 し 、 政 治 的 空 白 が 生 じ 、 国 民 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ 形 成 に 文 学 が 力 を 発 揮 す る こ と に な り 、 イ ェ イ ツ が そ の 中 心 と な っ た 。 彼 は ア イ ル ラ ン ド 人 が 独 自 の 民 族 性 を 持 ち 続 け る に は 、 ア イ ル ラ ン ド 人 と し て の 知 的 生 活 が 不 可 欠 だ と 考 え 重 要 視 し 、 物 質 的 生 活 よ り も 知 的 生 活 を 、 政 治 的 変 革 よ り も 詩 と 伝 統 の 認 識 を 求 め た ︵ 一 方 現 実 と し て は 、 ダ ブ リ ン は ヨ ー ロ ッ パ で も っ と も 死 亡 率 の 高 い 、 飢 え た 、 住 宅 事 情 の 悪 い 、 賃 金 の 低 い 都 市 の 一 つ で あ り 、 ア イ ル ラ ン ド 全 域 に わ た っ て 困 窮 は ひ ど い も の だ っ た 。 ︶ 。
イ ェ イ ツ の 演 劇 観 は 、 ア イ ル ラ ン ド 民 族 ・ 文 化 の 独 自 性 と 詩 の 伝 統 を 蘇 ら せ る こ と を 理 想 と す る も の で 、 商 業 化 さ れ た 派 手 な 演 劇 を 批 判 し 、 詩 の 世 界 を 舞 台 の 上 に 創 造 し よ う と し た 。 イ ェ イ ツ の 演 劇 に お け る 興 味 の 中 心 は ﹁ 幻 想 ︵ r e v e r i e ︶ ﹂ と ﹁ 想 像 力 ︵ i m a g i n a t i o n ︶ ﹂ で あ り 、 ﹁ 精 巧 に 作 ら れ た 詩 、 巧 み に 交 錯 す る 象 徴 、 情 調 豊 か に 語 ら れ る 科 白 、 そ う し た も の か ら 想 像 的 に 創 造 さ れ る 夢 想 的 な 空 間 の な か で 霊 的 に 交 わ る 演 劇 ﹂ を 目 指 し 、 ﹁ 直 接 見 る こ と よ り も こ と ば を 聞 い て 想 像 の 世 界 で 見 る 演 劇 こ そ 理 想 ﹂ で あ る と さ れ た 。 彼 が 理 想 と し た 演 劇 は ヨ ー ロ ッ パ の 伝 統 か ら は 異 質 の 非 ヨ ー ロ ッ パ 的 な も の で あ り 、 ア イ ル ラ ン ド 演 劇 運 動 は 、 イ プ セ ン に 触 発 さ れ た 19 世 紀 末 ヨ ー ロ ッ パ ︵ イ ギ リ ス を 含 む ︶ の 近 代 演 劇 運 動 と は 別 物 に 成 長 し た 。 こ の 時 期 イ ェ イ ツ は 演 劇 運 動 に 打 ち 込 み 、 生 涯 を 通 し て み る と 相 対 的 に 詩 作 は 少 な く 、 演 劇 と の 関 わ り で 詩 の 風 景 は 彫 刻 的 な イ メ ー ジ に な っ て い っ た 。
1 8 9 9 年 、 イ ェ イ ツ 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー 、 エ ド ワ ー ド ・ マ ー テ ィ ン ︵ 英 語 版 ︶ は ﹁ ア イ ル ラ ン ド 文 芸 劇 場 ﹂ ︵ I r i s h L i t e r a r y T h e a t r e ︶ を ダ ブ リ ン に 設 立 、 戯 曲 ﹁ キ ャ ス リ ー ン 伯 爵 夫 人 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ T h e C o u n t e s s C a t h l e e n 。 モ ー ド ・ ゴ ン に 捧 げ ら れ た が 、 彼 女 は 主 演 を 断 っ て い る ︶ が 上 演 さ れ た が 、 観 客 は ア イ ル ラ ン ド 農 民 が ﹁ 無 知 で 迷 信 深 い ﹂ と 描 か れ る 一 方 、 ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ の プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー が 理 想 化 さ れ 過 ぎ て い る と 感 じ 、 激 し い 野 次 と 反 発 が 起 こ っ た 。 以 降 同 劇 場 は 、 よ り 愛 国 的 性 質 の 強 い ア イ ル ラ ン ド 語 の 演 劇 を 上 演 す る よ う に な っ て い く 。
ア イ ル ラ ン ド 文 芸 劇 場 は 2 年 で 頓 挫 し た が 、 イ ェ イ ツ は 1 9 0 2 年 に ﹁ ア イ ル ラ ン ド 国 民 劇 場 協 会 ﹂ ︵ I r i s h N a t i o n a l T h e a t r e S o c i e t y ︶ を 設 立 し 、 イ ェ イ ツ と オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー が 共 作 し た 一 幕 も の ︵ 英 語 版 ︶ で 強 い 愛 国 メ ッ セ ー ジ を 持 つ ﹃ キ ャ ス リ ー ン ・ ニ ・ フ ー リ ハ ン ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ C a t h l e e n N í H o u l i h a n [ 注 12 ] ︶ を 上 演 [ 1 2 5 ] 。 同 協 会 は 、 い わ ゆ る ア イ ル ラ ン ド 演 劇 運 動 の 重 要 な 推 進 役 と な っ た [ 1 2 5 ] 。
﹃ キ ャ ス リ ー ン ・ ニ ・ フ ー リ ハ ン ﹄ は 、 1 9 7 8 年 の ア イ ル ラ ン ド 反 乱 ︵ 英 語 版 ︶ を モ デ ル に し た と 思 わ れ 、 結 婚 を 目 前 に し た 若 者 が キ ャ ス リ ー ン に 出 会 う と 、 止 め る 婚 約 者 を 顧 み ず 、 憑 か れ た よ う に 反 乱 軍 に 参 加 す る た め に 走 り 去 る と い う 寸 劇 で あ る 。 自 己 犠 牲 を 厭 わ な い 若 者 が ア イ ル ラ ン ド の た め の 戦 い に 身 を 投 じ て 命 を 落 と し 、 彼 の 名 は 永 遠 に 語 り 継 が れ る と い う 英 雄 化 の イ メ ー ジ が 初 め て 描 か れ て お り 、 モ ー ド ・ ゴ ン が 主 演 し て 観 客 を 非 常 に 感 動 さ せ 、 扇 動 的 な ほ ど の 効 果 を 発 揮 し 、 急 進 的 ナ シ ョ ナ リ ズ ム の プ ロ パ ガ ン ダ と し て 機 能 し た 。
ア ニ ー ・ ホ ー 二 マ ン
イ ェ イ ツ と イ ギ リ ス 人 資 産 家 ・ プ ロ デ ュ ー サ ー の ア ニ ー ・ ホ ー 二 マ ン ︵ 英 語 版 ︶ の 2 人 が 劇 場 設 立 を 考 案 し 、 ホ ー ニ マ ン が 古 い 劇 場 を 買 い 取 り 、 演 劇 カ ン パ ニ ー を 率 い る ア イ ル ラ ン ド 人 俳 優 ウ ィ リ ア ム ・ フ ェ イ ︵ 英 語 版 ︶ 、 フ ラ ン ク ・ フ ェ イ ︵ 英 語 版 ︶ の 兄 弟 と オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー を 引 き 入 れ 、 国 民 劇 場 と し て ﹁ ア ベ イ 座 ﹂ ︵ A b b e y T h e a t r e 、 ア イ ル ラ ン ド 国 立 劇 場 ︶ を 設 立 し た [ 1 2 9 ] 。 1 9 0 4 年 に 、 イ ェ イ ツ の ﹁ キ ャ サ リ ー ン ・ ニ ・ フ ー リ ハ ン ﹂ ﹁ バ レ の 磯 ﹂ 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の ﹁ 噂 の 広 ま り ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ が こ け ら 落 と し で 上 演 さ れ た [ 1 2 9 ] 。 イ ェ イ ツ は 女 優 の フ ロ ー レ ン ス ・ フ ァ ー と 恋 愛 関 係 に な り 、 彼 女 の た め に 戯 曲 ﹃ 心 願 の 国 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ 1 8 9 4 年 ︶ を 書 い た 。 1 9 1 0 年 ま で 劇 場 経 営 に 参 加 し 、 ア ベ イ 座 の た め に 多 く の 戯 曲 を 書 き 、 彼 の 戯 曲 の 大 半 が こ こ で 初 演 さ れ た [ 64 ] [ 8 ] [ 2 ] 。 ジ ョ ン ・ ミ リ ン ト ン ・ シ ン グ 等 の 劇 作 家 を 後 押 し し 、 シ ン グ の ﹁ 谷 間 の 影 ﹂ ︵ I n t h e S h a d o w o f t h e G l e n , 1 9 0 3 年 ︶ や 悲 劇 ﹁ 海 へ 騎 ︵ の ︶ り ゆ く 人 々 ﹂ ︵ R i d e r s t o t h e S e a , 1 9 0 4 年 ︶ な ど も こ こ で 初 演 さ れ 、 シ ン グ は ア ベ イ 座 の 発 展 に 大 き く 貢 献 し た [ 1 2 9 ] [ 64 ] [ 8 ] [ 2 ] 。 イ ェ イ ツ は 晩 年 ま で 劇 場 の 監 督 を 務 め た [ 2 ] 。
イ ェ イ ツ は ニ ー チ ェ と ブ レ イ ク に 通 底 す る も の を 感 じ 、 こ の 頃 ︵ 1 9 0 2 年 か 1 9 0 3 年 ︶ ニ ー チ ェ の 英 訳 を 熟 読 し て 反 キ リ ス ト 教 倫 理 観 を 学 び 、 深 く 影 響 を 受 け る 。 ニ ー チ ェ と の 出 会 い で 、 彼 は 後 期 ヴ ィ ク ト リ ア 朝 詩 人 か ら 20 世 紀 詩 人 に な っ た と も い わ れ る 。
プ ロ ポ ー ズ を 断 ら れ た 後 も 恋 情 を 忘 れ ら れ ず に い た モ ー ド ・ ゴ ン が 1 9 0 3 年 に 独 立 運 動 の 闘 士 マ ク ブ ラ イ ド と 結 婚 し 、 カ ト リ ッ ク へ 改 宗 、 出 産 。 イ ェ イ ツ は 直 前 ま で 伏 せ ら れ て い た 結 婚 に 大 き な 衝 撃 を 受 け 、 後 に 彼 女 と 和 解 す る 1 9 0 8 年 ま で 抒 情 詩 は ほ と ん ど 作 っ て い な い 。
1 9 0 7 年 に ジ ョ ン ・ オ リ ア リ ー が 死 去 し 、 イ ェ イ ツ は 彼 の 死 で ア イ ル ラ ン ド の 本 当 の ナ シ ョ ナ リ ズ ム は な く な っ た と 感 じ た 。 ま た 同 時 期 に 、 小 作 農 を 優 先 す る 新 し い 土 地 法 ︵ 英 語 版 ︶ の 施 行 で オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー が 得 て い た 地 代 収 入 が 激 減 し 、 イ ェ イ ツ が 敬 愛 し た ク ー ル ・ パ ー ク の 維 持 が 困 難 に な り 、 イ ェ イ ツ は 作 品 の 中 で そ れ を 嘆 い た 。 イ ェ イ ツ た ち ア ベ イ 座 の 演 劇 は 批 難 を 受 け た が 、 そ れ は 彼 ら が ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ で あ る こ と も 大 き か っ た 。 ア ベ イ 座 で は 、 1 9 0 7 年 に 痛 烈 な 批 判 を 盛 り 込 ん だ シ ン グ の ﹁ 西 の 国 の プ レ イ ボ ー イ ﹂ の 筋 書 き に 怒 っ た カ ト リ ッ ク 中 産 階 級 の 観 客 達 が 暴 動 ︵ プ レ イ ボ ー イ 暴 動 ︶ を 起 こ し [ 注 13 ] 、 ア ベ イ 座 は 警 察 に 出 動 を 要 請 し 、 警 官 が 暴 れ る 人 々 を 連 行 。 ア イ ル ラ ン ド で は 警 察 は 支 配 者 の 手 先 で あ り 、 警 察 を 入 れ た ア ベ イ 座 に 対 す る 批 判 が 高 ま り 、 翌 日 に は 暴 動 は さ ら に 激 化 、 イ ェ イ ツ の 研 究 者 の 杉 山 寿 美 子 は 、 急 進 的 ナ シ ョ ナ リ ズ ム 組 織 の シ ン ・ フ ェ イ ン 党 が 暴 動 に 組 織 的 に 関 与 し た こ と を 指 摘 し て い る 。 し か し 、 ア ベ イ 座 の 経 営 陣 と 役 者 た ち の 強 固 な 意 志 と 勇 気 に 抗 議 者 た ち は 勢 い を 失 っ て い き 、 1 週 間 弱 で 暴 動 は 終 焉 し た 。 ア ベ イ 座 は 暴 動 後 に 一 週 間 の 公 開 討 論 会 を 開 き 、 多 く の ナ シ ョ ナ リ ス ト た ち が 登 壇 、 シ ン グ の 擁 護 者 は イ ェ イ ツ の 父 等 わ ず か だ っ た が 、 イ ェ イ ツ は こ の 討 論 会 と 講 演 旅 行 で 弁 舌 を 振 る い 、 闘 士 と し て の 本 領 を 発 揮 し た 。 暴 動 の 顛 末 は 世 界 中 に 発 信 さ れ て 、 一 躍 シ ン グ と ア ベ イ 座 の 名 声 を 高 め た が 、 ア ベ イ 座 は ダ ブ リ ン 市 民 か ら ボ イ コ ッ ト さ れ 、 観 客 は ほ と ん ど い な く な り 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の 長 年 の 慈 善 活 動 に も 邪 魔 が 入 っ た 。
イ ェ イ ツ は こ の 暴 動 に 、 オ リ ア リ ー が 率 い た 愛 国 精 神 の 一 派 の 消 滅 を 見 て 、 政 治 と 芸 術 の 間 の 線 引 き を 強 め た 。 ま た 、 離 婚 手 続 き を 行 っ た モ ー ド ・ ゴ ン を 観 客 が 罵 倒 す る 等 の 事 件 が 立 て 続 け に 起 こ り 、 上 演 さ れ た イ ェ イ ツ の 作 品 も 高 尚 す ぎ て 理 解 で き な い と 批 判 さ れ る 等 、 劇 場 経 営 に 参 加 し て い た 期 間 に カ ト リ ッ ク の 愛 国 者 た ち へ の い ら 立 ち を 募 ら せ て い き 、 か つ て 親 し く 交 流 し た 愛 国 主 義 者 た ち に 作 中 で 容 赦 な い 批 判 を 行 う よ う に な っ て い っ た 。 高 松 雄 一 は ﹁ 彼 は 己 の ヴ ィ ジ ョ ン と 現 実 の 落 差 を 思 い 知 ら さ れ た 。 ア イ ル ラ ン ド の 民 衆 そ の も の に で は な く と も 、 少 な く と も ダ ブ リ ン の 中 産 市 民 階 級 に は 見 切 り を つ け た 。 ﹂ と 述 べ て い る 。 ダ ブ リ ン の 市 民 た ち に 裏 切 ら れ た と 感 じ 、 彼 ら を 軽 蔑 し 、 憎 し み さ え 感 じ 、 ﹁ 芸 術 家 ﹂ 対 ﹁ 市 民 ﹂ と い う 構 図 で 大 衆 の 無 理 解 を 詰 っ た 。
1 9 0 7 年 、 高 齢 の 父 が ニ ュ ー ヨ ー ク に 旅 行 に 出 か け 、 こ こ で 暮 ら す よ う に な り 、 以 降 ア イ ル ラ ン ド に 戻 る こ と は な か っ た [ 1 3 7 ] 。
ア ニ ー ・ ホ ー ニ マ ン は ア ベ イ 座 に 見 切 り を つ け 、 イ ギ リ ス に 劇 場 を 作 る こ と を 決 め 、 イ ェ イ ツ に そ こ の ヘ ッ ド マ ネ ー ジ ャ ー を 打 診 し た 。 イ ェ イ ツ は 手 紙 で 、 そ れ は 国 籍 を 変 え る よ う な こ と で あ り 、 自 分 は イ ン グ ラ ン ド の 聴 衆 を 理 解 し て い な い た め 、 成 功 し な い だ ろ う と 応 じ 、 自 分 の 民 族 の た め に 書 き 続 け る と 語 っ た 。 ホ ー ニ マ ン は 1 9 1 0 年 ま で ア ベ イ 座 へ の 年 額 8 0 0 ポ ン ド の 財 政 援 助 を 契 約 し て お り 、 そ れ ま で に 採 算 を 軌 道 に 乗 せ る こ と が 喫 緊 の 課 題 に な っ た 。 ア ベ イ 座 の 新 し い 舞 台 監 督 に 就 任 し て い た イ ン グ ラ ン ド 人 の ベ ン ・ イ ー デ ン ・ ペ イ ン が 、 劇 団 員 の イ ン グ ラ ン ド 人 に 対 す る 敵 意 と 、 彼 ら の キ ャ パ シ テ ィ は イ ェ イ ツ の 詩 劇 へ の 適 性 を 欠 き 、 不 可 能 な 仕 事 を 続 け る こ と は 時 間 の 無 駄 だ と し て 、 わ ず か 6 か 月 で 辞 任 し た 。
ペ イ ン の 辞 任 で ウ ィ リ ア ム ・ フ ェ イ が 舞 台 監 督 に 復 帰 し た が 、 彼 は 気 分 屋 で 指 揮 官 と し て の 適 性 が な く 、 劇 団 員 た ち は 彼 か ら 離 反 、 1 9 0 8 年 に フ ェ イ 兄 弟 は ア ベ イ 座 を 脱 退 。 イ ェ イ ツ は 劇 団 員 た ち の 人 生 へ の 責 任 を 重 く 感 じ 、 劇 場 を 採 算 軌 道 に 乗 せ よ う と 必 死 の 奮 闘 を 続 け た 。 1 9 0 9 年 に オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー が 過 労 で 倒 れ 、 イ ェ イ ツ は そ の 存 在 の 大 き さ を 痛 感 し 、 さ ら に 絆 を 深 め た 。 同 年 シ ン グ が ホ ジ キ ン 病 ︵ リ ン パ 芽 腫 ︶ で 死 去 し 、 ア ベ イ 座 創 設 時 か ら 常 に 三 人 で 過 ご し て い た イ ェ イ ツ と グ レ ゴ リ ー は 深 く 悲 し み 、 彼 の 死 は ア ベ イ 座 の 転 換 期 と な っ た [ 1 2 9 ] 。 イ ェ イ ツ は ア ベ イ 座 の 運 営 か ら 自 由 に な っ て 自 分 の 仕 事 に 専 念 し た い と 思 い 、 ア イ ル ラ ン ド 農 村 社 会 の ﹁ 非 情 な 現 実 ﹂ を 描 く 若 き 劇 作 家 レ ノ ッ ク ス ・ ロ ビ ン ソ ン ︵ 英 語 版 ︶ に ア ベ イ 座 の 将 来 を ゆ だ ね た 。 イ ェ イ ツ の 好 み で は な い ロ ビ ン ソ ン の 作 品 の 上 演 は 成 功 し 、 ア ベ イ 座 は ﹁ ナ シ ョ ナ ル な 組 織 ﹂ と な っ た が 、 詩 的 な 劇 場 を 求 め て の 活 動 の 思 っ て も み な い 結 末 に 、 落 胆 と 敗 北 を 感 じ た 。 上 演 作 品 は そ れ ま で の 詩 的 演 劇 ス タ イ ル か ら モ ダ ン ・ リ ア リ ズ ム へ と 変 化 し 、 大 勢 の 劇 作 家 が 名 を 連 ね た [ 1 2 9 ]
1 9 0 7 年 に 町 の ボ ヘ ミ ア ン た ち の 社 交 場 の ク ラ ブ で 、 整 体 師 の よ う な 仕 事 を し て い た 33 歳 の メ イ ベ ル ・ デ ィ ッ キ ン ソ ン と 出 会 い 、 1 9 0 8 年 に 愛 人 関 係 に な る 。 彼 女 の 存 在 は イ ェ イ ツ の 最 も 親 し い 友 人 も 知 ら ず 、 彼 に 性 的 充 足 を 与 え 、 親 身 に 耳 を 貸 し 、 通 い 妻 の よ う な 存 在 だ っ た 。 イ ェ イ ツ は 、 彼 の 詩 神 で あ っ た モ ー ド ・ ゴ ン の 告 白 以 降 、 劇 場 の 業 務 と い う 異 種 の 労 働 の 中 、 詩 作 力 の 枯 渇 の 不 安 に 苛 ま れ て い た が 、 デ ィ ッ キ ン ソ ン と 互 い に 不 思 議 な 繋 が り を 感 じ る 霊 的 な 体 験 が あ り 、 詩 神 と の 和 解 を 感 じ 、 劇 作 か ら 抒 情 詩 の 詩 作 へ と 舵 を 切 っ て い っ た 。
ま た 1 9 0 8 年 に は 、 ロ ン ド ン で ﹁ デ ァ ド ラ ﹂ の 上 演 を 見 た モ ー ド ・ ゴ ン を 滞 在 先 の パ リ に 追 い か け 、 こ こ で 1 か 月 ほ ど 非 常 に 親 密 な 関 係 と な り 、 愛 人 関 係 に あ っ た と さ れ る 。 モ ー ド ・ ゴ ン は ロ ン ド ン に 帰 っ た イ ェ イ ツ に 別 れ を 惜 し む ラ ブ ・ レ タ ー を 贈 っ た が 、 彼 女 は 依 然 と し て マ ク ブ ラ イ ト と 結 婚 関 係 に あ り 、 性 に 消 極 的 で あ り 、 手 紙 で イ ェ イ ツ の 愛 を ﹁ 霊 的 愛 ﹂ と 呼 ん で 、 性 関 係 を 忌 避 す る 言 葉 を 送 り 続 け た 。 二 人 の 愛 人 関 係 は 、 パ リ 滞 在 後 は 続 か な か っ た と 思 わ れ る 。
イ ェ イ ツ は こ う し た 経 験 を 通 し 、 新 た な 詩 作 の 境 地 を 切 り 拓 い て い っ た 。 詩 集 ﹃ 七 つ の 森 で ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ I n t h e S e v e n W o o d s , 1 9 0 3 年 ︶ と ﹃ 緑 の 兜 そ の 他 の 詩 ﹄ ︵ T h e G r e e n H e l m e t a n d O t h e r P o e m s , 1 9 1 0 年 ︶ で は 、 初 期 の 詩 の 特 徴 だ っ た ラ フ ァ エ ル 前 派 の 色 と リ ズ ム を 徐 々 に 捨 て 去 り 、 ケ ル ト や 秘 教 的 な 雰 囲 気 を 取 り 除 い て い っ た [ 2 ] 。
こ の 頃 に は 文 学 的 な 立 場 は 確 立 さ れ て お り 、 1 9 0 8 年 に 詩 と 評 論 8 巻 の ﹃ 著 作 集 ﹄ が 刊 行 さ れ る 。 イ ェ イ ツ の 詩 は 1 9 0 9 年 か ら 1 9 1 4 年 に か け て 決 定 的 な 変 化 を 遂 た [ 2 ] 。 と り わ け 詩 集 ﹃ 責 任 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ R e s p o n s i b i l i t y ‥ P o e m s a n d a P l a y , 1 9 1 4 年 ︶ で は 、 そ れ ま で の 彼 を 決 定 づ け て い た 茫 漠 と し た 郷 愁 と 夢 幻 的 な 世 界 へ の 哀 惜 、 異 界 的 な 恍 惚 と し た 雰 囲 気 は 一 掃 さ れ 、 詩 の 構 成 が 引 き 締 ま り 、 硬 質 化 し 、 イ メ ー ジ は よ り 希 薄 に な り 、 現 実 と そ の 不 完 全 さ に 対 峙 す る 新 た な 方 向 性 が 示 さ れ て い る [ 2 ] 。 ﹃ 責 任 ﹄ で は ﹁ ロ マ ン テ ィ ッ ク な ア イ ル ラ ン ド は 死 ん で し ま っ た ﹂ と い う 辛 辣 な フ レ ー ズ を リ フ レ イ ン し て カ ト リ ッ ク 中 産 階 級 の 物 質 主 義 を 嘆 き 、 ダ ブ リ ン 市 民 へ の 辛 辣 な 風 刺 や 痛 罵 が 繰 り 返 さ れ て お り 、 政 治 と 社 会 へ の す る ど い 批 評 が 前 面 に 登 場 し た と 評 さ れ る [ 41 ] 。 ﹃ 責 任 ﹄ で は 、 こ れ ま で の 自 己 と の 決 別 が 謳 わ れ 、 神 話 を 基 に し た 自 己 の 衣 装 を 脱 ぎ 、 ﹁ 裸 で 歩 く ﹂ こ と が 宣 言 さ れ て い る 。
ゴ ー ド ン ・ ク レ イ グ
彼 の 詩 的 芸 術 と し て の 演 劇 は 、 1 9 1 0 年 に イ ギ リ ス の 演 出 家 ゴ ー ド ン ・ ク レ イ グ の 刺 激 を 受 け た 。 ク レ イ グ は 俳 優 を 動 く 操 り 人 形 と み な し 、 仮 面 を 被 ら せ 俳 優 の 演 技 的 創 造 性 を 拒 絶 し 、 ス ク リ ー ン を 組 み 合 わ せ て 光 と 陰 の コ ン ト ラ ス ト で 舞 台 背 景 を 作 っ た 。 感 銘 を 受 け た イ ェ イ ツ は 1 9 1 1 年 に 彼 の 作 品 を ア ベ イ 座 で 上 演 し た が 、 俳 優 や 関 係 者 か ら は か な り 不 評 で あ っ た 。
1 9 1 0 年 、 イ ギ リ ス か ら 年 1 5 0 ポ ン ド の 年 金 を 受 給 す る よ う に な り 、 そ の た め に 評 判 を 落 と し た 。 ま た 、 1 9 0 8 年 か ら 愛 人 関 係 だ っ た メ イ ベ ル ・ デ ィ ッ キ ン ソ ン が 、 1 9 1 0 年 に 妊 娠 し た と し て 結 婚 を 求 め 、 打 ち の め さ れ た イ ェ イ ツ は 、 霊 媒 の エ リ ザ ベ ス ・ ラ ド ク リ フ や オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー に 相 談 し 、 家 族 や 周 囲 を 巻 き こ ん だ 騒 動 と な り 、 デ ィ ッ キ ン ソ ン は 妊 娠 は 虚 偽 で あ っ た と 認 め 彼 の 元 を 去 っ た 。 1 9 1 1 年 、 友 人 オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア の 遠 戚 の ジ ョ ー ジ ー ・ ハ イ ド ・ リ ー ズ ︵ 英 語 版 ︶ と 出 会 う ︵ 後 に 結 婚 ︶ 。
1 9 1 2 年 に イ ン ド か ら 来 た 詩 人 の ラ ビ ン ド ラ ナ ー ト ・ タ ゴ ー ル と 親 し く な り 、 詩 集 ﹃ ギ ー タ ン ジ ャ リ ﹄ の 英 訳 を 手 伝 い 、 新 し い 世 界 に 目 を 開 く 経 験 と な る 。 こ の 頃 、 頻 繁 に 交 霊 会 に 参 加 し て い た 。
1 9 1 4 年 に 、 ア メ リ カ に 講 演 旅 行 に 出 か け る 。 1 9 1 5 年 、 ナ イ ト の 称 号 授 与 を 拒 否 。 数 回 の 降 霊 会 で イ ェ イ ツ に 語 り 続 け た 霊 レ オ ・ ア フ リ カ ヌ ス と の 対 話 を 書 く 。
エズラ・パウンド
イ ェ イ ツ は 、 19 世 紀 末 頃 か ら 起 こ っ た 自 然 主 義 ・ 写 実 主 義 と い う 大 き な 流 れ が 定 着 し つ つ あ っ た ヨ ー ロ ッ パ の 演 劇 に 疑 問 を 抱 い て お り 、 作 劇 に お け る 新 し い 可 能 性 を 模 索 し て い た 。
1 9 0 9 年 に 、 イ ェ イ ツ を 熱 烈 に 尊 敬 す る 詩 人 の エ ズ ラ ・ パ ウ ン ド ︵ の ち に 重 要 な モ ダ ニ ス ト 詩 人 と な る ︶ が 、 オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ ク ス ピ ア の 娘 の 恋 人 に な っ て イ ェ イ ツ の 家 に 出 入 り す る よ う に な り 、 2 人 は 1 9 1 2 - 1 9 1 4 年 に か け て 共 に 過 ご し 、 パ ウ ン ド は 目 の 悪 い 彼 の 口 述 筆 記 を す る な ど 秘 書 役 を 務 め た [ 8 ] 。
パ ウ ン ド は ジ ェ イ コ ブ ・ エ プ ス タ イ ン ︵ 英 語 版 ︶ や ア ン リ ・ ゴ ー デ ィ エ = ブ ル ゼ ス カ と い っ た ヴ ォ ー テ ィ シ ズ ム ︵ 渦 巻 派 ︶ の 彫 刻 を 紹 介 し 、 イ ェ イ ツ は 彼 ら と 関 わ る よ う に な っ た 。 ま た 、 パ ウ ン ド は フ ェ ノ ロ サ に よ る 能 楽 集 の 英 訳 編 集 に 関 わ り 、 イ ェ イ ツ は 1 9 1 5 年 か ら 1 9 1 6 年 に パ ウ ン ド と フ ェ ノ ロ サ の 能 の 翻 訳 を 読 み 、 こ れ を 通 じ て 日 本 の 能 に 深 い 関 心 を 抱 く こ と と な っ た [ 37 ] 。 亡 霊 と 生 身 の 人 聞 が 対 時 す る と い う 謡 曲 の プ ロ ッ ト や 多 様 さ 、 能 楽 の 簡 潔 な 舞 台 や 様 式 の 重 視 、 亡 霊 の つ け る 仮 面 ︵ 能 面 ︶ 、 制 約 さ れ た 動 き 、 象 徴 的 な 台 詞 お よ び 舞 踊 と い っ た 要 素 が 、 彼 の 自 然 主 義 ・ 写 実 主 義 へ の 疑 問 、 象 徴 主 義 に 通 じ 、 自 ら の 理 想 の 劇 に 生 か せ る と 感 じ 、 ま た オ ス カ ー ・ ワ イ ル ド か ら 受 け 継 い だ 仮 面 の 活 用 と い っ た 手 法 が 応 用 で き る こ と も 、 彼 が 能 楽 に 関 心 を 抱 い た 背 景 に あ る と 言 わ れ る [ 1 5 4 ] 。
能 に 霊 感 を 受 け て 書 か れ た 最 初 の 戯 曲 が 、 一 幕 物 ﹁ 鷹 の 井 戸 ﹂ ︵ A t t h e H a w k ' s W e l l , 1 9 1 6 年 初 演 , 1 9 1 7 年 刊 ︶ [ 注 14 ] で あ る 。 初 演 は ロ ン ド ン 富 豪 キ ュ ナ ー ド 夫 人 の 催 し で 、 そ の 大 邸 宅 で 選 び 抜 か れ た 少 数 の 観 客 を 前 に 行 わ れ 、 日 本 人 舞 踊 家 の 伊 藤 道 郎 が 鷹 を 演 じ た [ 1 5 5 ] 。 研 究 者 の 徳 永 哲 は 、 こ の 劇 の ﹁ 仮 面 の 着 用 、 象 徴 的 身 振 り 、 リ ズ ミ カ ル な 操 り 人 形 的 動 作 、 そ し て 舞 踊 ﹂ と い っ た 要 素 に は 、 ゴ ー ド ン ・ ク レ イ グ の 影 響 も 多 く み ら れ る と 指 摘 し て い る 。 イ ェ イ ツ は 能 の 影 響 を 受 け 、 舞 台 か ら 写 実 主 義 を 排 し 、 ﹁ ﹃ こ と ば ﹄ を 聴 き 、 想 像 力 に よ っ て 観 る ﹂ 演 劇 の 創 造 へ と 大 き く 進 ん だ 。
﹁ 鷹 の 井 戸 ﹂ を 上 演 し て ま も な く 、 ダ ブ リ ン で ﹁ イ ー ス タ ー 蜂 起 ﹂ が 起 き る 。 こ れ は 1 9 1 6 年 4 月 24 日 の 復 活 祭 に 、 武 装 し た 活 動 家 や 農 民 が ダ ブ リ ン 市 内 の 郵 便 局 な ど を 占 拠 、 ア イ ル ラ ン ド 共 和 国 政 府 の 樹 立 を 宣 言 し た 事 件 で あ る [ 1 5 8 ] 。 蜂 起 は 1 週 間 ほ ど で イ ギ リ ス 軍 に よ っ て 完 全 に 鎮 圧 さ れ 、 全 軍 が 投 降 、 逮 捕 さ れ 、 軍 事 法 廷 で の 簡 単 な 裁 判 の 後 、 蜂 起 の 指 導 者 16 人 は 、 唯 一 の 女 性 で あ る コ ン ・ マ ル キ エ ビ ッ チ 伯 爵 夫 人 を 除 き 全 員 銃 殺 さ れ た [ 1 5 8 ] 。 そ の 中 に は パ ト リ ッ ク ・ ピ ア ー ス 、 S ・ マ ッ ク デ ィ ア マ ダ ︵ 英 語 版 ︶ 、 J ・ M ・ プ ラ ン ケ ッ ト ︵ 英 語 版 ︶ ら 詩 人 た ち 、 イ ェ イ ツ の 知 人 や 、 モ ー ド ・ ゴ ン の 夫 で イ ェ イ ツ の 友 人 で も あ っ た マ ク ブ ラ イ ド も 含 ま れ て い た 。 イ ェ イ ツ は こ の 事 件 を イ ギ リ ス で 知 っ た が 、 非 常 に 大 き な シ ョ ッ ク を 受 け た 。 ノ ル マ ン デ ィ に い た モ ー ド ・ ゴ ン は 、 事 件 を 知 っ て ダ ブ リ ン に 戻 り 、 投 獄 さ れ て い る 。
蜂 起 の 参 加 者 は 少 な く 最 初 の 段 階 か ら 失 敗 確 実 と い っ て い い も の で あ っ た が 、 イ ギ リ ス ・ ア イ ル ラ ン ド 文 学 研 究 者 の 道 木 一 弘 に よ る と 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 は 最 初 か ら 軍 事 的 成 功 を 度 外 視 し た ﹁ 象 徴 的 な 蜂 起 ﹂ で あ っ た 。 ﹁ 自 ら の 死 を も っ て 祖 国 独 立 の 礎 と す る ﹂ と い う 彼 ら の ロ マ ン 主 義 的 な 民 族 主 義 は 、 首 謀 者 の 一 人 パ ト リ ッ ク ・ ピ ア ー ス の ﹁ 血 の 犠 牲 ﹂ と い う 言 葉 で よ く 知 ら れ て い る が 、 こ の 言 葉 の イ メ ー ジ の 源 は イ ェ イ ツ の 愛 国 的 戯 曲 ﹁ キ ャ ス リ ー ン ・ ニ ・ フ ー リ ハ ン ﹂ で あ る と い わ れ 、 イ ェ イ ツ は 、 こ の 作 品 が 文 学 青 年 た ち を 無 謀 な イ ー ス タ ー 蜂 起 に 駆 り 立 て る 遠 因 に な っ た の で は と 、 自 責 の 念 に 駆 ら れ る こ と に な る 。 ア ベ イ 座 は や っ と 経 営 が 安 定 し 始 め た と こ ろ だ っ た が 、 1 9 1 6 年 に 主 要 メ ン バ ー が 次 々 と 脱 退 し 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 で 公 共 サ ー ビ ス が 止 ま り 公 演 が で き な く な り 大 打 撃 を 受 け 、 月 1 回 ほ ど 行 っ て い た 新 作 発 表 が で き な く な り 、 1 9 1 8 年 ま で 混 乱 が 続 く こ と に な る [ 1 2 9 ] 。
こ の 事 件 後 に 深 い 衝 撃 を も と に に 書 か れ た 詩 ﹁ 1 9 1 6 年 復 活 祭 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ E a s t e r , 1 9 1 6 ︶ は 、 イ ェ イ ツ の 代 表 作 の 一 つ と さ れ て い る 。 制 作 日 は 1 9 1 6 年 9 月 と 記 さ れ て お り 、 私 家 版 が 25 部 作 ら れ た が 、 公 表 さ れ た の は 1 9 2 0 年 だ っ た 。 こ の 詩 は 、 死 ん だ 闘 士 達 を ア イ ル ラ ン ド の た め に 自 己 犠 牲 を 厭 わ な い 人 間 と し て 英 雄 化 し 、 人 々 に こ の 蜂 起 を 国 民 的 神 話 と し て 記 憶 さ せ た と 評 価 さ れ て い る [ 1 6 5 ] 。 こ の 詩 は 蜂 起 に 完 全 に 賛 同 し 賛 美 し て い る わ け で は な く 、 狂 信 的 な 指 導 者 た ち の 犠 牲 へ の 戸 惑 い が 見 ら れ る 。
モ ー ド ・ ゴ ン は マ ク ブ ラ イ ド と 離 婚 寸 前 だ っ た が [ 注 15 ] 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 で の 死 に よ り 彼 女 の 中 で 彼 は 英 雄 と し て 心 に 刻 ま れ 、 モ ー ド ・ ゴ ン は 終 生 喪 服 で 過 ご し た と い う 。
蜂 起 軍 へ の イ ギ リ ス の 冷 酷 な 対 応 に 、 は じ め は 蜂 起 に 冷 淡 だ っ た 世 論 も 同 情 的 に な り 、 改 め て ア イ ル ラ ン ド が イ ギ リ ス の 植 民 地 で あ る こ と を 再 認 識 す る こ と に な り 、 イ ギ リ ス へ の 協 力 を 拒 否 す る 民 族 主 義 運 動 が 復 活 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 は 神 話 化 し 、 共 和 国 建 設 の 原 点 と し て 位 置 づ け ら れ て い っ た 。
イェイツが求婚したイザルト・ゴン
ジョージー・ハイド・リーズ(左から2番目)とイェイツ(左から3番目)、1930年
イ ェ イ ツ は 、 い か な る 行 商 人 の 血 も 混 じ っ て い な い ﹁ 先 祖 代 々 受 け 継 が れ て き た 高 貴 で 純 粋 な 血 筋 ﹂ を 自 負 し て お り 、 モ ー ド ・ ゴ ン へ の 不 毛 な 恋 心 で 血 筋 を 絶 え さ せ る こ と を 何 よ り も 懸 念 し 、 こ れ 以 上 結 婚 を 先 延 ば し に で き な い と 考 え て い た 。 イ ェ イ ツ は イ ー ス タ ー 蜂 起 後 の 1 9 1 6 年 7 月 に 、 モ ー ド ・ ゴ ン へ 再 度 求 婚 し 断 ら れ る と 、 1 9 1 7 年 に 彼 女 の 娘 で 年 若 い イ ザ ル ト ・ ゴ ン ︵ 英 語 版 ︶ に 求 婚 し 、 こ ち ら も 拒 絶 さ れ て い る 。 1 9 1 7 年 10 月 、 52 歳 の イ ェ イ ツ は 心 霊 研 究 仲 間 の 、 25 歳 ︵ 27 歳 年 下 ︶ の ジ ョ ー ジ ー ・ ハ イ ド ・ リ ー ズ ︵ 英 語 版 ︶ [ 注 16 ] ︵ 1 8 9 2 年 - 1 9 6 8 年 ) と 結 婚 し た 。
結 婚 直 後 に イ ェ イ ツ は 体 調 不 良 、 鬱 状 態 に 陥 り 、 ジ ョ ー ジ ー は 夫 の イ ザ ル ト へ の 愛 着 の 大 き さ に シ ョ ッ ク を 受 け [ 注 17 ] 、 実 践 ・ 思 想 共 に オ カ ル テ ィ ズ ム に 造 詣 が 深 か っ た ジ ョ ー ジ ー は [ 注 18 ] 、 彼 の 関 心 を 他 の 女 か ら 引 き 離 そ う と 、 霊 媒 の よ う に 自 動 筆 記 を 行 っ て 見 せ 、 イ ェ イ ツ は こ の 自 動 筆 記 セ ッ シ ョ ン に 魅 了 さ れ た [ 1 7 2 ] [ 注 19 ] 。 後 期 の イ ェ イ ツ は 自 動 筆 記 が 提 供 し た 素 材 を 基 に 詩 を 作 り 、 独 自 の 神 秘 的 宇 宙 観 ・ 歴 史 循 環 論 を 構 築 す る 等 、 ジ ョ ー ジ ー の 自 動 筆 記 は 壮 年 以 降 の 夫 の 活 動 を 支 え た [ 1 7 2 ] 。
ト ー ル ・ バ リ リ ー
彼 の 前 期 は ラ フ ァ エ ル 前 派 の 影 響 下 に あ っ た が 、 後 期 印 象 派 や キ ュ ビ ズ ム が 作 品 の 比 喩 と し て 用 い ら れ る よ う に な っ て い っ た 。 1 9 1 7 年 に ﹃ ク ー ル の 野 生 の 白 鳥 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ T h e W i l d S w a n s a t C o o l e ︶ を 発 表 。 本 作 か ら 、 過 去 を 見 る こ と か ら 現 実 の 凝 視 へ と 作 風 が 変 化 し 、 人 生 後 半 で の 霊 感 の 刷 新 と 技 巧 の 完 成 と い う 英 詩 史 上 ほ と ん ど 並 ぶ も の の な い 域 に 達 し 、 以 降 そ れ を 保 ち 続 け た [ 2 ] 。 英 文 学 者 の 橋 本 雄 一 は 、 巻 頭 詩 は イ マ ジ ス ト 詩 人 の ど の 詩 よ り 優 れ た イ マ ジ ズ ム の 詩 に な っ て い る と 評 し て い る 。 同 年 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の 邸 宅 の 近 所 に あ っ た 15 世 紀 ノ ル マ ン 様 式 の タ ワ ー ・ ハ ウ ス ︵ 英 語 版 ︶ ︵ 要 塞 兼 住 居 の 城 ︶ の 廃 墟 を 購 入 し 、 こ の 建 物 ト ー ル ・ バ リ リ ー ︵ 英 語 版 ︶ や サ ミ ュ エ ル ・ パ ー マ ー が 木 版 画 で 描 い た ﹁ 塔 ﹂ は 、 ﹁ 叡 智 の イ メ ー ジ ﹂ と し て 彼 の 詩 に よ く 登 場 す る 主 要 な シ ン ボ ル と な っ た [ 2 ] 。
1 9 1 9 年 に 長 女 ア ン ︵ 英 語 版 ︶ 誕 生 。 ト ー ル ・ バ リ リ ー を 修 繕 し 、 夏 は 一 家 で 滞 在 す る よ う に な っ た 。 裕 福 で 実 務 に 優 れ 、 献 身 的 だ っ た ジ ョ ー ジ ー は 、 イ ェ イ ツ に ダ ブ リ ン の メ リ オ ン ・ ス ク エ ア の 家 を 与 え 、 イ ェ イ ツ の 妹 の エ リ ザ ベ ス ・ イ ェ イ ツ ︵ 英 語 版 ︶ が イ ェ イ ツ の 支 援 を 受 け て 設 立 し た 私 家 版 出 版 社 ク ア ラ ・ プ レ ス 社 ︵ 英 語 版 ︶ [ 注 20 ] の 経 営 難 の 面 倒 を 見 て や り 、 の ち に イ ェ イ ツ が 不 倫 を す る と 、 そ れ を 黙 認 し た [ 1 7 0 ] 。
政 治 ・ 政 治 家 へ の 強 い 不 信 を 持 ち 、 第 一 次 世 界 大 戦 ︵ 1 9 1 4 - 1 9 1 8 ︶ 中 は 、 ﹁ こ の よ う な 時 勢 、 詩 人 の 口 は 閉 じ て い た 方 が よ い ﹂ と い っ て 、 非 参 加 の 姿 勢 を 貫 き 、 ﹁ 政 治 に つ い て ﹃ パ ブ リ ッ ク な ﹄ 言 語 を 使 う こ と が で き な い ﹂ 等 と 批 判 さ れ た 。
議員の任期開始時、ダブリン
ノーベル賞受賞時のイェイツ
ア イ ル ラ ン ド で は イ ー ス タ ー 蜂 起 の 鎮 圧 後 、 反 イ ギ リ ス 感 情 が く す ぶ り 、 1 9 1 9 年 1 月 に は シ ン ・ フ ェ イ ン 党 が ア イ ル ラ ン ド 議 会 の 樹 立 を 宣 言 、 武 力 抗 争 が 激 し く な っ て い た ︵ ア イ ル ラ ン ド 独 立 戦 争 ︶ [ 1 5 8 ] 。
1 9 1 9 年 に 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 を 扱 っ た 戯 曲 ﹁ 骨 の 夢 ﹂ ︵ T h e D r e a m i n g o f t h e B o n e s ︶ を 上 演 。 能 の 形 式 が 最 も よ く 生 か さ れ た 作 品 と 評 さ れ て い る 。 フ ェ ノ ロ サ と パ ウ ン ド の 能 の 翻 訳 に あ っ た 世 阿 弥 の 複 式 夢 幻 能 ﹁ 錦 木 ﹂ が 下 敷 き に な っ て い る と い わ れ 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 に 参 加 し イ ン グ ラ ン ド 軍 か ら 逃 亡 す る 若 者 と 、 イ ン グ ラ ン ド の ア イ ル ラ ン ド 征 服 の き っ か け を 作 り 、 国 を 売 っ た と 語 り 伝 え ら れ る ア イ ル ラ ン ド の レ ン ス タ ー 王 デ ィ ア ミ ド ・ マ ク マ ロ ー ︵ 英 語 版 ︶ と 、 彼 に 攫 わ れ た ブ レ フ ネ 王 オ ル ー ク の 妃 ダ ヴ ォ ー ギ ラ ︵ 英 語 版 ︶ と い う 不 義 の 恋 人 達 の 亡 霊 と い う 愛 国 主 義 的 な 題 材 が 用 い ら れ 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 へ の イ ェ イ ツ の 思 い が 、 簡 素 で 象 徴 的 、 独 特 の 劇 的 手 法 を 通 し て 表 現 さ れ て い る [ 注 21 ] 。 ア ベ イ 座 は イ ー ス タ ー 蜂 起 以 降 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の 懸 念 も あ り 政 治 的 に 議 論 を 呼 び そ う な 芝 居 の 上 演 を 避 け る 傾 向 が あ り 、 ﹁ 骨 の 夢 ﹂ は こ こ で 久 々 に 上 演 さ れ た イ ェ イ ツ の 戯 曲 で あ っ た 。
1 9 2 0 年 に 、 世 界 の 黙 示 録 的 終 末 と 反 キ リ ス ト の 誕 生 を 予 告 し 戦 後 ヨ ー ロ ッ パ を 寓 意 的 に 描 く 詩 ﹁ 再 臨 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ T h e S e c o n d C o m i n g ︶ を 発 表 。 同 年 、 ア メ リ カ の オ レ ゴ ン 州 ポ ー ト ラ ン ド で の 講 演 の 後 、 イ ェ イ ツ の 詩 と 講 演 に 感 銘 を 受 け た 日 本 人 か ら 備 前 長 船 元 重 の 日 本 刀 を 贈 ら れ 、 老 年 の 彼 に と っ て 重 要 な 象 徴 と な る 。
1 9 2 1 年 に 英 愛 条 約 が 結 ば れ て 北 ア イ ル ラ ン ド は ア イ ル ラ ン ド 自 由 国 と し て 念 願 の 独 立 を 果 た す が 、 以 後 も こ の 条 約 に 不 満 を も つ 過 激 派 と 自 由 国 政 府 と の あ い だ で ア イ ル ラ ン ド 内 戦 が 続 い た [ 1 5 8 ] 。 ア イ ル ラ ン ド 自 由 国 の 政 策 は 、 田 園 賛 美 に 拠 っ て 立 つ カ ト リ ッ ク 教 国 と い う 閉 鎖 的 、 内 向 的 な も の で 、 ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ は 周 縁 に 追 い や ら れ 、 イ ェ イ ツ が 行 動 を 共 に し た 人 々 も 亡 く な り 、 孤 立 感 が 高 ま り 、 ア イ ル ラ ン ド に い な が ら も 故 国 喪 失 の 思 い を 味 わ っ た 。
1 9 2 1 年 に 長 男 マ イ ケ ル ︵ 英 語 版 ︶ 誕 生 、 息 子 が 生 ま れ た 頃 に ジ ョ ー ジ ー の 自 動 筆 記 は 終 わ っ た [ 1 7 0 ] 。 1 9 2 2 年 、 ニ ュ ー ヨ ー ク で 孤 独 な 肖 像 画 家 と し て 暮 ら し て い た 父 ジ ョ ン が 死 去 。
動 揺 が つ づ く 建 国 間 も な い 故 郷 か ら の 懇 請 を 受 け 、 す で に ロ ン ド ン で 確 固 た る 文 名 を 築 い て い た イ ェ イ ツ は 1 9 2 2 年 12 月 、 ア イ ル ラ ン ド 上 院 議 員 に 任 命 さ れ る [ 1 9 0 ] 。 同 年 、 ト リ ニ テ ィ ・ カ レ ッ ジ か ら 名 誉 博 士 の 学 位 を 授 与 さ れ る 。 モ ー ド ・ ゴ ン は イ ェ イ ツ が 議 員 に な っ た こ と に 怒 り 、 在 任 中 の 2 人 の 関 係 は 冷 え 切 っ た も の に な っ た 。
保 守 的 価 値 へ の 傾 斜 を 深 め て い た イ ェ イ ツ は 、 民 主 主 義 が 終 わ り 反 動 と し て 上 か ら の 強 力 な 政 府 が 誕 生 す る 時 代 の 到 来 を 感 じ 、 民 主 主 義 を 排 除 し て 秩 序 を 回 復 し た ム ッ ソ リ ー ニ の イ タ リ ア に 一 つ の 政 治 モ デ ル を 求 め る よ う に な る 。 1 9 2 3 年 5 月 に 反 乱 軍 が 降 伏 し 、 ア イ ル ラ ン ド 内 戦 が 終 結 。
同 年 、 ギ リ シ ャ 神 話 の 主 神 ゼ ウ ス が 白 鳥 に 化 け て 人 間 の 女 レ ダ を レ イ プ し た と い う 神 話 を 題 材 に し た 生 々 し く 衝 撃 的 な 詩 ﹁ レ ダ と 白 鳥 ﹂ ︵ L e d a a n d t h e S w a n ︶ を 書 き 、 こ の 頃 か ら 性 、 性 愛 が 主 題 の 一 つ と し て 見 ら れ る よ う に な る 。 こ の 詩 に は 歴 史 サ イ ク ル の 転 換 も 暗 示 さ れ て い る 。 ま た 、 こ こ 数 年 の ア イ ル ラ ン ド は 内 戦 等 で 日 常 そ の も の が 混 乱 状 態 に 陥 っ て お り 、 同 年 の ﹁ 内 戦 時 代 の 省 察 ﹂ ︵ M e d i t a t i o n s i n T i m e o f C i v i l W a r ︶ で は 、 荒 涼 と し た 精 神 の 状 態 が 語 ら れ て い る 。 も は や 地 方 色 が 入 り 込 む 余 地 は な か っ た 。
同 年 12 月 に ノ ー ベ ル 文 学 賞 を 受 賞 す る [ 9 ] 。 パ リ 在 住 の ア イ リ ッ シ ュ ・ カ ト リ ッ ク 作 家 ジ ェ イ ム ズ ・ ジ ョ イ ス か ら 真 っ 先 に 祝 福 を 受 け る 。 イ ェ イ ツ は 公 私 に わ た り 、 自 分 個 人 で は な く ア イ ル ラ ン ド 文 学 の 代 表 者 と し て 与 え ら れ た 賞 で 、 自 由 国 が ヨ ー ロ ッ パ に 迎 え ら れ た と い う コ メ ン ト を 繰 り 返 し た 。 授 賞 式 の 演 題 に は ﹁ ア イ ル ラ ン ド 演 劇 運 動 ﹂ を 選 び 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー と 亡 き シ ン グ が こ こ に 並 ん で 立 つ べ き だ と 語 り 、 後 年 ま で 二 人 こ そ 自 分 の 仲 間 だ と 思 っ て い た こ と が う か が え る 。 妹 エ リ ザ ベ ス の ク ア ラ ・ プ レ ス 社 の 負 債 2 0 0 0 ポ ン ド を 返 し 、 結 核 の 疑 い の あ っ た 彼 女 の 療 養 の 面 倒 も 見 て い た イ ェ イ ツ は 、 ノ ー ベ ル 賞 の 名 誉 と 共 に 賞 金 6 8 0 0 ポ ン ド を 喜 び 、 6 0 0 0 ポ ン ド を 投 資 に 回 し 、 ず っ と ほ し か っ た 参 考 文 献 を 買 い 揃 え た 。
1 9 2 4 年 、 イ ェ イ ツ と オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー は 、 長 年 赤 字 経 営 が 続 い た ア ベ イ 座 を ア イ ル ラ ン ド 自 由 国 政 府 に 無 償 譲 渡 す る こ と を 申 し 出 る [ 1 2 9 ] 。 政 府 は 受 け 入 れ な か っ た が 、 年 間 8 5 0 ポ ン ド の 助 成 金 を 決 定 し 、 英 語 圏 で 初 め て 国 の 助 成 金 を 受 け る 劇 場 と な る [ 1 2 9 ] 。 倒 産 は 免 れ た が 、 厳 し い 経 営 が 続 い た [ 1 2 9 ] 。
﹃ 幻 想 録 ﹄
1 9 2 5 年 に 鈴 木 大 拙 の ﹃ 禅 仏 教 論 集 ﹄ を 読 む 。
1 9 2 5 年 、 イ タ リ ア 旅 行 に 出 か け 、 シ チ リ ア 島 で ビ ザ ン テ ィ ン 芸 術 に 触 れ る 。 上 院 で 離 婚 を 支 持 す る 発 言 を し て 不 評 を 買 っ た 。
3 年 に わ た る 自 動 筆 記 を 7 年 か け て 整 理 し ま と め 、 1 9 2 6 年 に 6 0 0 部 限 定 で ﹃ 幻 想 録 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ A V i s i o n 、 ヴ ィ ジ ョ ン ︶ と し て 出 版 ︵ 発 行 は 1 9 2 5 年 と 記 さ れ て い る ︶ [ 1 7 2 ] 。
1 9 2 7 年 頃 か ら 肺 の 筋 縮 が 起 こ っ て 健 康 が 衰 え 、 1 9 2 8 年 に 議 員 を 辞 任 し 、 イ タ リ ア の ラ パ ロ に 静 養 に 行 っ て い る 。 1 9 2 9 年 に ラ パ ロ で マ ル タ 熱 に 罹 り 、 遺 言 を 書 く ほ ど 重 篤 な 状 態 に な る 。
社 会 的 な 名 声 に 包 ま れ る な か 書 き 継 が れ た 詩 集 ﹃ 塔 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ T h e T o w e r , 1 9 2 8 年 ︶ は 後 期 イ ェ イ ツ の 頂 点 の 一 つ [ 1 9 0 ] [ 1 1 2 ] 、 彼 と い う 芸 術 家 の 完 成 さ れ た 到 達 点 の 一 つ で あ り 、 人 生 の 経 験 が 完 璧 な 形 で 結 実 し て い る と 評 さ れ て い る [ 2 ] 。 タ イ ト ル は 、 彼 が 所 有 し た タ ワ ー ・ ハ ウ ス に ち な ん で お り 、 ﹁ ビ ザ ン テ ィ ウ ム へ の 船 出 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ ︵ S a i l i n g t o B y z a n t i u m ︶ や ﹁ レ ダ と 白 鳥 ﹂ な ど 数 々 の 優 れ た 作 品 が 含 ま れ て い る [ 1 6 5 ] [ 2 ] 。
1 9 2 9 年 に 署 名 入 り の 薄 い 限 定 版 詩 集 ﹃ 螺 旋 階 段 ﹄ ︵ T h e W i n d i n g S t a i r ︶ を 出 版 、 1 9 3 3 年 に 、 1 9 2 9 年 版 に 収 録 さ れ た ﹁ 螺 旋 階 段 ﹂ や 有 名 な ﹁ ビ ザ ン テ ィ ウ ム ﹂ ︵ B y z a n t i u m ︶ を 含 む 詩 集 ﹃ 螺 旋 階 段 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ T h e W i n d i n g S t a i r a n d O t h e r P o e m s ︶ を 出 版 [ 2 0 1 ] 。 1 9 3 3 年 の ﹃ 螺 旋 階 段 ﹄ は 64 編 の 詩 を 収 録 し 、 イ ェ イ ツ の 詩 集 で 最 も 長 い [ 2 0 1 ] 。 詩 人 と し て 1 9 3 0 年 前 後 が 最 盛 期 で あ る と 評 価 さ れ て お り 、 第 二 次 世 界 大 戦 ︵ 1 9 3 9 年 開 始 ︶ の 予 兆 が 高 ま る な か 書 か れ 、 唯 美 主 義 を 脱 し 人 間 の 現 実 を 直 視 し 、 現 代 の 矛 盾 ・ 苦 悩 を 象 徴 的 手 法 を 用 い て 描 い た ﹃ 塔 ﹄ や ﹃ 螺 旋 階 段 ﹄ ︵ T h e W i n d i n g S t a i r ︶ ︵ 1 9 3 3 年 ︶ で 名 声 を 高 め 、 20 世 紀 に お け る 最 も 注 目 す べ き 英 詩 集 と み な さ れ て い る [ 13 ] [ 14 ] 。 ﹃ 塔 ﹄ ﹃ 螺 旋 階 段 ﹄ に 収 録 さ れ た 詩 は 、 イ ー ス タ ー 蜂 起 と ア イ ル ラ ン ド 内 戦 、 彼 の タ ワ ー ・ ハ ウ ス 、 ビ ザ ン テ ィ ン 帝 国 と そ の モ ザ イ ク 、 プ ラ ト ン 、 プ ロ テ ィ ノ ス 、 斑 岩 、 当 時 の 心 霊 研 究 へ の 関 心 が 、 主 な テ ー マ ・ 象 徴 と し て 用 い ら れ て い る [ 2 ] 。
Fragments
I
Locke sank into a swoon;
The Garden died;
God took the spinning-jenny
Out of his side.
Ⅱ
Where got I that truth?
Out of a medium's mouth.
Out of nothing it came,
Out of the forest loam,
Out of dark night where lay
The crowns of Nineveh.
断片二つ
1
ロック は昏倒し
「楽園」は消滅した。
神はロックの脇腹から
紡績機を引きずり出した。
2
どこで私はあの真実を手に入れたのか。
巫女の口から
なにも無い処から、それは顕れた。
森の壌土から
ニネヴェ の冠が眠る
漆黒の夜から、
それは顕れたのだ。
1928年『塔』収録(小堀隆司 訳)
彼 は 50 歳 か ら 亡 く な る 75 歳 の 間 に 最 高 傑 作 を 生 み し た が 、 文 学 史 上 前 例 の な い こ と だ っ た [ 2 ] 。 英 文 学 者 の 松 島 正 一 は 、 ﹁ 彼 の 詩 人 と し て の 生 涯 は 自 己 を 否 定 し な が ら 新 た な 自 己 を 作 り 上 げ て い く 過 程 ﹂ で あ っ た と 述 べ て い る 。 後 期 の 作 品 は 、 長 く ひ た む き な 詩 作 へ の 研 鑽 、 詩 、 戯 曲 、 散 文 と い う 幅 広 い 形 式 で の 挑 戦 、 精 神 的 な 成 熟 と 、 徐 々 に 深 め て い っ た 独 自 の 神 話 体 系 か ら な る 個 人 的 な 知 恵 か ら 生 ま れ た [ 2 ] 。 英 文 学 者 の 高 松 雄 一 は 後 期 の 作 品 に つ い て 、 ﹁ 対 英 抗 争 、 内 乱 、 大 戦 、 老 年 な ど 、 現 実 の 混 乱 、 恐 怖 、 不 毛 に 対 す る 仮 借 な い 認 識 と 、 こ れ ら を 克 服 し て 超 越 的 体 験 に あ ず か ろ う と す る 願 望 が 恐 ろ し い 緊 張 を つ く り だ し て い る 。 ﹂ と 評 し て い る [ 1 1 2 ] 。
Three Movements
Shakespearean fish swam the sea, far away from
land;
Romantic fish swam in nets coming to the hand;
What are all those fish that lie gasping on the strand?
三つの運動
シェイクスピアの魚ははるかな沖を
游いだ。
ロマン派の魚は手繰られる網の中で游いだ。
岸に放り出されて喘いでいるこの魚どもは何だ?
1932年『おそらくは音楽のための言葉』収録(高松雄一 訳)
こ の 頃 か ら イ ェ イ ツ は 肉 体 的 な 衰 え 、 特 に 性 的 能 力 の 衰 え を 感 じ る よ う に な り 、 彼 は 詩 作 と 性 愛 が 直 結 し て い た た め 、 創 作 意 欲 が 減 退 し 、 芸 術 的 な 危 機 に 直 面 し た 。 1 9 3 2 年 に 生 涯 に わ た る 友 で 支 援 者 だ っ た オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の 死 去 と い う 私 生 活 の 事 件 が 重 な り 、 2 年 ほ ど 詩 作 が で き な い ほ ど の 落 胆 に 陥 る 。 1 9 3 2 年 に ダ ブ リ ン の リ バ ー ズ デ イ ル に 居 を 構 え 、 最 後 の ア メ リ カ 講 演 旅 行 に 出 か け た 。
1 9 3 3 年 、 オ ー エ ン ・ オ ダ フ ィ ー ︵ 英 語 版 ︶ に よ る フ ァ シ ス ト の ブ ル ー シ ャ ツ 団 ︵ 英 語 版 ︶ の 運 動 に 関 わ り を 持 つ が 、 7 月 に オ ダ フ ィ ー と 直 接 会 い 興 味 を 失 っ た 。
老 い の 悩 み を 打 ち 明 け た 友 人 か ら 、 医 師 で 優 生 学 の 最 も 熱 心 な 主 唱 者 の 一 人 ノ ー マ ン ・ ヘ ア ︵ 英 語 版 ︶ が 回 春 手 術 ︵ シ ュ タ イ ナ ッ ハ ︵ 英 語 版 ︶ 手 術 ︶ に つ い て 書 い た ﹃ 回 春 ﹄ と い う 本 を 紹 介 さ れ 、 こ れ に 鼓 舞 さ れ 、 1 9 3 4 年 に 彼 の 回 春 手 術 を 受 け る 。 こ の 手 術 は 精 管 を 縛 り 男 性 ホ ル モ ン 分 泌 を 増 加 さ せ よ う と い う も の で 、 身 体 的 効 果 は な か っ た と 考 え ら れ て い る が 、 イ ェ イ ツ に は 心 理 的 効 果 が 絶 大 で 、 別 人 の よ う に 元 気 に な り 、 晩 年 の 豊 穣 多 産 な 創 作 活 動 の き っ か け に な っ た 。 後 期 は 現 実 に 目 を 転 じ た が 、 晩 年 は さ ら に 作 風 が 変 化 し 、 自 己 の 内 面 を 赤 裸 々 に 表 現 し た 。
ノ ー マ ン ・ ヘ ア に 術 後 の 検 査 の た め と し て 紹 介 さ れ た 小 説 家 ・ ジ ャ ー ナ リ ス ト で マ ル ク ス 主 義 者 で 、 ﹁ 自 由 恋 愛 の 使 徒 ﹂ の 評 判 を 持 つ 美 女 エ セ ル ・ マ ニ ン ︵ 英 語 版 ︶ と 性 関 係 ふ く め 親 し く 交 際 し 、 彼 女 は イ ェ イ ツ の 良 い 聞 き 役 と な っ た 。 ま た 、 詩 人 の ド ロ シ ー ・ ウ ィ ス レ ー ( ウ ェ リ ン ト ン 侯 爵 夫 人 ) ︵ 英 語 版 ︶ と 親 し く な り 、 彼 女 は 世 話 好 き で 、 そ の 邸 宅 は 亡 き オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の ク ー ル ・ パ ー ク に 似 て お り 、 2 人 は 師 弟 の よ う な 往 復 書 簡 を 交 わ し 、 晩 年 ま で 交 流 を 続 け た 。 1 9 3 6 年 に 詩 人 で ダ ン サ ー 、 詩 の 朗 読 の 才 能 が あ り 、 精 神 的 に 不 安 定 な 27 歳 の マ ー ゴ ッ ト ・ ラ ド ッ ク ︵ 英 語 版 ︶ と 知 り 合 い 、 再 び 舞 台 に 関 わ る よ う に な り 、 親 密 な 関 係 に な っ て 翻 弄 さ れ た 。 イ ェ イ ツ は ダ ブ リ ン で 家 長 と し て 暮 ら し 、 ロ ン ド ン で は ラ ド ッ ク ら 複 数 の 女 性 と ﹁ 性 的 戯 れ や エ ロ テ ィ ッ ク な 色 合 い を 帯 び た 関 係 ﹂ を 結 び 、 ダ ブ リ ン 滞 在 時 は 彼 女 た ち と ラ ブ レ タ ー ま が い の 手 紙 の や り 取 り を し て い た 。 妻 の ジ ョ ー ジ ー は 半 病 人 の 状 態 で も 詩 作 を 続 け る 晩 年 の イ ェ イ ツ を 、 寛 容 と 忍 耐 を も っ て 献 身 的 に 支 え 、 女 性 達 の い る ロ ン ド ン へ と 見 送 り 、 出 迎 え た 。 彼 女 は ス ト レ ス や 疲 労 を ア ル コ ー ル で 解 消 す る よ う に な り 、 イ ェ イ ツ の 存 命 中 は 生 活 に 支 障 を き た す ほ ど で は な か っ た が 、 ア ル コ ー ル 依 存 症 だ っ た 。 イ ェ イ ツ が ダ ブ リ ン の 家 を 離 れ て い る 間 、 ほ ぼ 毎 日 手 紙 の や り 取 り を し て お り 、 二 人 の 関 係 に は 愛 と 情 が あ っ た こ と が う か が わ れ る 。
1 9 3 5 年 、 肺 充 血 で 1 月 か ら 3 月 頃 ま で 伏 せ る 。 生 涯 の 友 だ っ た ジ ョ ー ジ ・ ウ ィ リ ア ム ・ ラ ッ セ ル が 死 去 。 イ ン ド 人 の 友 人 で ヒ ン ド ゥ ー 教 の 修 行 者 ス ワ ミ ・ プ ロ ヒ ッ ト ︵ 英 語 版 ︶ と 共 に ﹃ ウ パ ニ シ ャ ッ ド ﹄ の 翻 訳 に 取 り 組 む 。 1 9 3 6 年 、 腎 炎 と 不 整 脈 で 衰 弱 、 愛 人 の マ ー ゴ ッ ト ・ ラ ー ド ッ ク が 狂 気 に 陥 る 。 同 年 、 優 生 学 協 会 に 入 会 。
晩 年 の イ ェ イ ツ は 編 纂 に か か わ っ た ﹃ オ ク ス フ ォ ー ド 近 代 詩 集 ﹄ ︵ T h e O x f o r d B o o k o f M o d e r n V e r s e , 1 9 3 6 年 ︶ で 戦 争 詩 人 と し て 名 高 か っ た ウ ィ ル フ レ ッ ド ・ オ ー エ ン や ア イ ザ ッ ク ・ ロ ー ゼ ン バ ー グ ︵ 英 語 版 ︶ ら を 黙 殺 し て 大 い に 物 議 を か も し た ほ か [ 8 ] 、 台 頭 す る フ ァ シ ズ ム に 関 心 を 寄 せ 、 民 主 主 義 嫌 悪 ・ 戦 争 肯 定 論 と も と れ る エ ッ セ イ を 残 し た [ 2 1 3 ] 。 1 9 3 9 年 に は 、 ア イ ル ラ ン ド 人 の 人 種 の ﹁ 退 化 ﹂ を 懸 念 し 、 戯 曲 ﹁ 煉 獄 ︵ 英 語 版 ︶ ﹂ で 優 生 学 を 取 り あ げ て お り 、 エ ッ セ イ の 中 で 人 種 の ﹁ 汚 染 ﹂ ﹁ 退 化 ﹂ を 止 め る た め と し て 積 極 的 な 優 生 学 、 断 種 に 強 く 賛 成 し て い る 。
1 9 3 7 年 に ﹃ 幻 想 録 ﹄ 改 訂 版 を 出 版 。 同 年 、 53 歳 の 元 ジ ャ ー ナ リ ス ト の イ ー デ ィ ス ・ ジ ャ ク ソ ン ・ ヒ ー ル ド に 出 会 っ て 恋 し 、 ド ロ シ ー ・ ウ ィ ス レ ー と 共 に イ ェ イ ツ の 人 生 の 最 後 に 寄 り 添 う 女 性 と な る 。 彼 女 は 特 に ス タ イ リ ッ シ ュ で も な く 、 目 に 見 え て 魅 力 的 で も な か っ た と 言 う が 、 若 く な い か ら こ そ 持 ち 得 る イ ェ イ ツ へ の 理 解 と 共 感 に 心 の 平 和 を 覚 え 、 交 際 し た 。 ま た 、 イ ェ イ ツ は 名 声 と 業 績 に も 関 わ ら ず 生 涯 裕 福 に な る こ と は な く 、 非 常 に 倹 約 家 だ っ た が 、 ア イ ル ラ ン ド 系 ア メ リ カ 人 た ち は 彼 が ゆ と り あ る 老 年 を 送 れ る よ う 、 募 金 活 動 を 行 い 、 1 0 0 0 ポ ン ド が 集 め ら れ た 。
1 9 3 8 年 詩 集 ﹃ 新 詩 集 ﹄ ︵ N e w P o e m s ︶ 、 ﹃ 自 叙 伝 ﹄ を 出 版 。 7 0 0 ポ ン ド の 負 債 を 抱 え る ク ア ラ ・ プ レ ス 社 が 、 自 分 の 死 後 に 妻 ジ ョ ー ジ ー の 負 担 に な ら な い よ う 、 エ リ ザ ベ ス を 説 得 し て 株 式 会 社 に 移 行 。 7 月 に 日 本 の 英 文 学 者 尾 島 庄 太 郎 と 面 会 、 8 月 に モ ー ド ・ ゴ ン と 会 い 、 こ れ が 最 後 と な っ た 。 10 月 に オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ ク ス ピ ア 死 去 の 知 ら せ を 聞 く 。
墓
墓 碑 銘 。 ﹁ つ め た い 目 を む け よ 、 生 に 、 死 に ﹂
11 月 に 妻 ジ ョ ー ジ ー と 南 フ ラ ン ス に 保 養 に 出 か け 、 ロ ク ブ リ ュ ー ヌ で 彼 女 に 看 護 さ れ な が ら ホ テ ル で 静 養 し 、 ド ロ シ ー ・ ウ ィ ス レ ー ら と 交 友 し た 。 イ ェ イ ツ は 息 子 マ イ ケ ル よ り 娘 の ア ン を 偏 愛 し て い た が 、 ク リ ス マ ス に や っ て き た 17 歳 の マ イ ケ ル と 父 の 距 離 は 縮 ん だ 。 ア ン は ア ベ イ 座 専 属 の 舞 台 デ ザ イ ナ ー に な っ た 。
遺 言 詩 ﹁ ベ ン ・ バ ル ベ ン の 麓 で ﹂ を 完 成 し 、 最 後 の 詩 ﹁ 黒 い 塔 ﹂ を 書 き 、 1 9 3 9 年 1 月 に 73 歳 で 心 臓 発 作 で 客 死 し た [ 78 ] 。 同 年 ﹃ 最 後 の 詩 と 劇 ﹄ ︵ L a s t P o e m s a n d T w o P l a y s ︶ 、 エ ッ セ イ ﹃ 汽 罐 の 上 で ﹄ 出 版 [ 14 ] 。 戦 後 の 1 9 4 8 年 に な っ て 遺 体 が 故 郷 の ア イ ル ラ ン ド に 移 さ れ 、 生 前 の イ ェ イ ツ の 希 望 通 り 、 ス ラ イ ゴ ー 州 ド ラ ム ク リ フ ︵ 英 語 版 ︶ の 岩 山 ベ ン ・ ブ ル ベ ン ︵ 英 語 版 ︶ の 麓 の 墓 地 の 、 簡 素 な 墓 に 埋 葬 さ れ た [ 27 ] 。
約400編の詩、30篇の戯曲、自叙伝、伝説民話集、神秘幻想録、小説、文芸評論など8巻、書簡集7巻を書いた。
作 詩 を す る と き は 声 に 出 し て 行 う の が 習 慣 だ っ た 。 ま ず 散 文 で 書 き 、 そ れ か ら 詩 の 形 に 移 す と い う 手 順 を 取 る こ と が 多 く 、 日 記 の 文 章 を 詩 の 形 に 書 き 換 え る こ と も あ っ た 。 尾 島 庄 太 郎 に よ る と 、 一 度 発 想 し た 詩 は 必 ず 完 成 さ せ た 、 と 言 っ て い た と い う 。
そ の 詩 に 描 か れ た 女 性 、 イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン を 与 え た 女 性 か ら 、 作 品 は ﹁ モ ー ド ・ ゴ ン 詩 ﹂ ﹁ オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア 詩 ﹂ 等 と 分 類 さ れ て い る 。 例 え ば 、 ﹁ 彼 、 天 の 布 を 望 む ﹂ は 、 お そ ら く ゴ ン の ﹁ 告 白 ﹂ 以 前 に 、 ﹃ 葦 間 の 風 ﹄ 収 録 作 品 の 中 で お そ ら く 最 後 に 書 か れ た ﹁ モ ー ド ・ ゴ ン 詩 ﹂ で あ る 。
1 9 0 8 年 1 月 の 日 記 に ﹁ 今 日 、 モ ー ド ・ ゴ ン は 私 の 計 画 、 性 質 、 思 想 を け っ し て 本 当 に 理 解 し な い 、 と い う 風 に 考 え ら れ た 。 そ れ か ら こ う 考 え た ― そ れ で ど う し た と い う の か 、 ど ん な に 最 善 を つ く し て 私 が し て き た こ と 、 今 も し て い る こ と は 、 私 自 身 を 彼 女 に 説 明 し よ う と す る 試 み で は な か っ た か 。 も し 彼 女 が 理 解 し て い た ら 、 私 は 書 く 理 由 が な か っ た だ ろ う 。 こ ん な 骨 の 折 れ る こ と を す る 理 由 は め っ た に あ る も の で は な い 。 ﹂ と 書 い て お り 、 モ ー ド ・ ゴ ン に 理 解 さ れ よ う と 試 み 続 け 、 そ し て 理 解 さ れ な い こ と で 、 詩 人 で あ り 続 け た 。 ま た 、 ア ベ イ 座 に 見 切 り を つ け た ア ニ ー ・ ホ ー ニ マ ン に イ ギ リ ス の 劇 場 で の 仕 事 に 誘 わ れ た 際 に 、 ﹁ し か し 、 私 は 私 の 民 族 の た め に 書 き 続 け ま す ― 彼 ら へ の 愛 か ら か 憎 し み か ら か 、 そ れ は 問 題 で は あ り ま せ ん ― お そ ら く ど ち ら な の か 、 私 に も わ か ら な い で し ょ う 。 ﹂ と も 語 っ て お り 、 ア イ ル ラ ン ド 人 の 理 解 を 得 ら れ ず と も 、 ア イ ル ラ ン ド 人 の た め に 書 き 続 け た 。
イ ェ イ ツ の 活 動 、 創 作 は 、 文 学 、 ナ シ ョ ナ リ ズ ム 、 オ カ ル テ ィ ズ ム が 絡 み 合 っ て お り 、 そ れ に つ い て 54 歳 の 時 に 次 の よ う に 語 っ て い る 。
或 る 日 、 私 が 二 三 歳 か 二 四 歳 の 時 、 私 が 意 図 せ ず 、 私 た ち が 半 ば 眠 っ て い る 時 に セ ン テ ン ス が 思 い 浮 か ぶ よ う 、 次 の セ ン テ ン ス が 頭 の 中 に 浮 か ん だ よ う に 思 え た ― ﹁ 幾 つ か の 思 想 を ハ ン マ ー で 打 っ て 統 合 、 一 つ に な せ ﹂ 。 何 日 も 、 私 は 他 の こ と を 考 え る こ と が で き ず 、 何 日 も の 間 、 私 が 為 す 全 て を そ の セ ン テ ン ス に よ っ て 試 し た 。 私 に は 関 心 ご と が 三 つ あ っ た ― 文 学 の 一 形 態 、 哲 学 の 一 形 態 [ 注 22 ] 、 ナ シ ョ ナ リ ズ ム へ の 関 心 で あ る 。 そ の ど れ も 互 い に 関 係 が あ る よ う に は 思 え な か っ た 。 し か し 、 徐 々 に 、 私 の 文 学 へ の 愛 と ナ シ ョ ナ リ ズ ム は 一 つ に な っ た 。 そ れ か ら 、 何 年 も の 間 、 こ の 二 つ は 私 の 哲 学 の 一 形 態 と 何 の 関 係 も な い よ う に 思 わ れ た 。 ﹇ … ﹈ 今 で は 、 三 つ は 全 て 一 つ 、 或 い は 、 三 つ 全 て は 一 つ の 信 念 の 個 別 の 表 現 だ と 、 私 は 思 っ て い る 。
イ ェ イ ツ の 少 年 期 ま で 、 イ ェ イ ツ 家 は 不 在 地 主 と し て わ ず か に 地 代 を 得 て お り 、 彼 は 支 配 者 階 級 で あ る プ ロ テ ス タ ン ト に 帰 属 意 識 が あ っ た と 思 わ れ る 。 イ ェ イ ツ は プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー の 最 盛 期 だ っ た イ ギ リ ス の ジ ョ ー ジ 王 朝 時 代 を 熱 愛 し 、 こ の 時 代 に ア イ ル ラ ン ド の 文 芸 復 興 、 文 化 全 般 の 復 興 モ デ ル を 見 た 。
旧 弊 な 社 会 制 度 の 下 で 育 ち 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー ら プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー の 邸 宅 に 出 入 り し 彼 ら に 憧 れ て い た イ ェ イ ツ は 、 プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー の ﹁ 古 き 良 き ﹂ 上 流 社 会 が 失 わ れ る こ と を 嘆 き 、 心 の 葛 藤 を 作 品 に 表 現 し 、 彼 ら の 思 い 出 を 晩 年 ま で 懐 か し ん だ 。
イ ェ イ ツ は プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー の 終 焉 と 世 紀 末 ヨ ー ロ ッ パ で 広 く 見 ら れ た 終 末 意 識 、 世 界 崩 壊 の 感 覚 を 重 ね 合 わ せ て い た と 思 わ れ 、 彼 の 作 品 の 中 に は 終 末 意 識 が 強 く 表 れ て い る 。
ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ で あ る イ ェ イ ツ は 、 ア イ ル ラ ン ド と イ ギ リ ス ︵ イ ン グ ラ ン ド ︶ 両 方 の 文 化 に 属 す る が ゆ え に 、 ど ち ら に も は っ き り 帰 属 し て い る と 言 え な い 板 挟 み に 苦 し ん だ 。 祖 国 ア イ ル ラ ン ド を イ ギ リ ス の 長 年 の 支 配 か ら 解 放 し た い と 強 く 願 う ア イ ル ラ ン ド の ナ シ ョ ナ リ ス ト で あ り 、 ア イ ル ラ ン ド 共 和 国 同 盟 ︵ 英 語 版 ︶ に 属 し て い た が 、 文 人 と し て 長 年 ロ ン ド ン で 活 動 し 数 多 く の イ ギ リ ス 人 の 仲 間 を 持 っ て お り 、 ま た 行 動 よ り 思 索 の 人 で も あ り 、 モ ー ド ・ ゴ ン の よ う に 過 激 な 独 立 運 動 に 突 き 進 む こ と は な か っ た 。 イ ー ス タ ー 蜂 起 に 対 し て も 、 詩 の 中 で 死 ん だ 闘 士 達 の 行 為 を 称 え な が ら も 、 全 面 的 に 支 持 は し て い な い 。
彼 の 作 品 は ア イ ル ラ ン ド の 外 か ら 見 れ ば 非 常 に ア イ ル ラ ン ド 的 で あ る が 、 イ ェ イ ツ が ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ で あ る こ と か ら 、 ア イ ル ラ ン ド 人 に は 、 彼 の ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 の 業 績 や 、 作 品 の 中 で ア イ ル ラ ン ド の 風 土 、 社 会 、 政 治 、 伝 説 等 を 取 り 上 げ て い る こ と を 知 っ て い て も 、 彼 の 作 品 は 必 ず し も ア イ ル ラ ン ド の 文 化 や ア イ ル ラ ン ド 人 の 心 情 を 代 弁 し て い る と は 思 え な い 部 分 が あ る と い う 意 見 も あ る 。
ア イ ル ラ ン ド 国 内 で の 評 価 へ の 政 治 思 想 の 動 向 の 影 響
現 代 ア イ ル ラ ン ド 詩 ・ イ ギ リ ス 詩 の 批 評 家 エ ド ナ ・ ロ ン グ リ ー ︵ 英 語 版 ︶ は 、 1 9 8 0 年 代 後 半 以 降 、 ナ シ ョ ナ リ ス ト の 立 場 に 立 つ 批 評 家 が イ ェ イ ツ は ア イ ル ラ ン ド 現 代 文 学 の 本 流 か ら 外 れ て い る と 主 張 し て い る が 、 ﹁ 政 治 思 想 の 動 向 に 文 芸 作 品 の 評 価 が 引 き ず ら れ て い る ﹂ と 警 告 し て お り 、 ロ ン グ リ ー の 分 析 に よ る と 、 ア イ ル ラ ン ド に お け る ﹁ 英 語 に よ る 国 民 文 学 と い う カ ノ ン ︵ 正 典 ︶ ﹂ の な か で イ ェ イ ツ の 位 置 は 揺 れ て お り 、 ﹁ 後 期 の イ ェ イ ツ が ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ 性 に た て こ も る よ う な 政 治 的 態 度 を と っ た こ と ﹂ が 、 イ ェ イ ツ を 全 体 的 に 評 価 す る 際 の 議 論 の 争 点 に な っ て い る よ う で あ る 。
英 文 学 者 の 結 城 英 雄 は 、 近 年 イ ェ イ ツ は ア イ ル ラ ン ド で 、 ﹁ 郷 愁 を 抱 い た 夢 想 家 ﹂ と し て 貶 め ら れ る 傾 向 が あ る と 述 べ て い る 。 現 代 ア イ ル ラ ン ド の イ ェ イ ツ 批 判 の 背 景 に は 、 19 世 紀 後 半 か ら 顕 在 化 し た 、 プ ロ テ ス タ ン ト と カ ト リ ッ ク 、 ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ と 土 着 の ゲ ー リ ッ ク ・ ア イ リ ッ シ ュ と い う 対 立 図 式 が あ る 。 結 城 英 雄 は 、 批 判 者 の ほ と ん ど は カ ト リ ッ ク 側 に 属 し て お り 、 ﹁ イ ェ イ ツ の 文 学 的 変 貌 に 対 す る 意 図 的 な 無 視 ﹂ や ﹁ 彼 の 文 学 的 功 績 に 対 す る デ フ ォ ル メ ﹂ も み ら れ 、 実 情 を 無 視 し た 評 価 で あ る と 批 判 し て い る 。 イ ェ イ ツ へ の 賛 美 は む し ろ ア イ ル ラ ン ド 以 外 の 国 で み ら れ る 。
初 期 の ﹃ ア シ ー ン の 放 浪 と そ の 他 の 詩 ﹄ ︵ 1 8 8 9 年 ︶ か ら 老 年 ま で 、 時 間 の 流 れ に 宿 命 づ け ら れ た 老 い と 死 へ の 意 識 が 一 貫 し て 見 ら れ 、 イ ェ イ ツ に と っ て 変 わ ら ぬ テ ー マ と な っ て い る 。 英 文 学 者 の 小 堀 隆 司 は 、 ﹁ 老 い と 死 の 問 題 が 時 間 へ の 意 識 と 深 く 関 わ っ て い る と こ ろ に 若 き 詩 人 の 歌 の 源 泉 が 見 い だ さ れ る の で あ る と す れ ば 、 老 い と 死 を 歌 う そ も そ も の 根 本 は 何 よ り ま ず 詩 人 の 資 質 に 求 め ら れ る で あ ろ う 。 時 間 へ の 意 識 は 極 め て 個 人 的 な 問 題 と し て ア イ ル ラ ン ド の 詩 人 イ ェ イ ツ を 彼 固 有 の 詩 空 間 へ と 連 れ 出 す 。 ﹂ と 述 べ て い る 。
イ ェ イ ツ は 老 い る こ と に 意 識 的 で あ り 続 け た が 、 彼 が 強 く 意 識 を 向 け て い た ﹁ 時 間 ﹂ と は 、 ﹁ 移 ろ い ゆ く 儚 い も の と し て の 時 間 ﹂ で あ り 、 ひ た す ら 消 え て い く 時 間 へ の 意 識 は 、 死 、 過 去 、 老 い と い っ た 負 性 を 帯 び た 様 々 な 問 題 に 思 い を 向 け さ せ 、 時 間 へ の 意 識 は 、 現 在 と 未 来 を 思 い な が ら 過 去 に 回 想 を 巡 ら せ る 行 為 と な り 、 さ ら に 自 ら の 軌 跡 を 浮 き 彫 り に し よ う と す る 内 な る 漂 泊 の 旅 に 変 容 し て い っ た 。
イ ェ イ ツ は 子 供 時 代 の 自 分 は 、 同 世 代 に 比 べ 非 常 に 宗 教 的 だ っ た と 回 想 し て お り 、 ﹁ 神 を 思 う と 、 目 に 涙 が 溢 れ た ﹂ と 言 う が 、 父 は 大 学 で 自 由 主 義 に 染 ま り 宗 教 を 否 定 し て お り 、 イ ェ イ ツ に 立 ち 塞 が っ た 。 後 の 自 伝 で ﹁ 私 は と て も 宗 教 的 だ っ た が 、 大 嫌 い な ハ ク ス リ ー [ 注 23 ] と テ ィ ン ダ ル [ 注 24 ] に 子 供 時 代 の 素 朴 な 宗 教 を 奪 わ れ て し ま っ た 。 そ れ で 私 は 新 し い 宗 教 を 作 ら ね ば な ら な か っ た が 、 そ れ は ほ と ん ど 不 可 謬 の 詩 的 伝 統 の 教 会 で あ っ た ﹂ と 述 べ て お り 、 失 っ た 宗 教 の 代 わ り を ア イ ル ラ ン ド の 民 間 伝 承 か ら 作 り 出 そ う と し た 。
前 期 の イ ェ イ ツ は 、 ア イ ル ラ ン ド の 神 話 や 伝 説 の 幻 想 的 な イ メ ー ジ に 美 を 見 出 し て い た 。 古 代 ア イ ル ラ ン ド の 英 雄 神 話 や ロ マ ン 的 な 伝 説 文 学 を 数 多 く 発 掘 し て エ リ ー ト 的 な 文 化 ナ シ ョ ナ リ ズ ム に 結 び 付 け た ス タ ン デ ィ ッ シ ュ ・ オ グ レ イ デ ィ ︵ 英 語 版 ︶ と 、 ア イ ル ラ ン ド 英 雄 伝 説 研 究 の 大 家 で 詩 人 で も あ り 、 1 8 3 0 年 代 に 隆 盛 し た 民 族 研 究 と 世 紀 末 の ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 の 橋 渡 し 役 と な っ た サ ミ ュ エ ル ・ フ ァ ー ガ ソ ン ︵ 英 語 版 ︶ か ら 、 ア イ ル ラ ン ド の 神 話 ・ 民 間 伝 承 の 知 識 の 大 部 分 を 得 た 。 土 着 の 言 語 で あ る ゲ ー ル 語 を 読 ま な い ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ の イ ェ イ ツ は 、 ケ ル ト の 素 材 を 先 達 の 翻 訳 に 頼 っ て お り 、 翻 訳 し た 英 語 話 者 た ち の 19 世 紀 的 ケ ル ト 観 が 取 り 入 れ ら れ た 。
ト マ ス ・ ク ロ フ ト ン ・ ク ロ ー カ ー や ダ グ ラ ス ・ ハ イ ド ら が 収 集 ・ 採 話 し た 68 篇 、 詩 13 篇 を 編 纂 し 、 ﹃ ケ ル ト 妖 精 物 語 ﹄ ︵ 1 8 8 8 年 ︶ 、 ﹃ ケ ル ト 幻 想 物 語 ﹄ ︵ I r i s h F a i r y T a l e s , 1 8 9 2 年 ︶ に ま と め た 。
第 一 詩 集 ﹃ ア シ ー ン の 放 浪 と そ の 他 の 詩 ﹄ ︵ 1 8 8 9 年 ︶ は 、 ケ ル ト 人 の 英 雄 ア シ ー ン ︵ オ シ ア ン ︶ を 題 材 に し た 物 語 詩 、 ケ ル ト 的 な 非 現 実 へ の 憧 れ に 満 ち た 幻 想 的 な 作 品 で 、 注 目 を 集 め た [ 2 4 0 ] [ 1 1 2 ] 。 詩 劇 ﹃ キ ャ ス リ ー ン 伯 爵 夫 人 ﹄ ︵ 1 8 9 2 年 ︶ も 題 材 を 伝 説 か ら 取 っ て お り 、 夢 幻 的 ・ ロ マ ン チ ッ ク で 、 神 秘 へ の 志 向 を 秘 め て い る [ 13 ] 。 ま た 、 イ ェ イ ツ 自 身 、 漁 夫 や 農 民 と い っ た 素 朴 な 人 々 か ら 民 間 伝 承 を 直 接 採 話 し た と 語 っ て お り 、 そ れ は ﹃ ケ ル ト の 薄 明 ﹄ ︵ T h e C e l t i c T w i l i g h t , 1 8 9 3 年 ︶ に 収 録 さ れ 、 彼 自 身 の 感 想 や 見 解 が 添 え ら れ て い る 。
イ ェ イ ツ や オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー ら の 妖 精 信 仰 や 民 話 の 収 集 か ら は 、 イ ギ リ ス が 植 民 地 ア イ ル ラ ン ド か ら 奪 う こ と が で き な か っ た こ う し た 民 族 遺 産 に 対 す る ア イ ル ラ ン ド 人 の 関 心 が 非 常 に 強 か っ た こ と が う か が わ れ 、 イ ェ イ ツ に と っ て 、 民 間 伝 承 の 収 集 、 こ れ を ま と め た ﹃ ケ ル ト の 薄 明 ﹄ の 執 筆 、 様 々 な 作 品 中 で 妖 精 シ ー ︵ S i d h e ︶ と の 交 感 や 妖 精 の 行 動 に つ い て 語 る こ と は 、 民 族 の 記 憶 や イ ェ イ ツ 自 身 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 再 構 築 す る 行 為 だ っ た 。 英 文 学 者 ・ 翻 訳 者 の 井 村 君 江 は 、 ﹃ ケ ル ト の 薄 明 ﹄ は ア イ ル ラ ン ド の 人 々 に 郷 土 や 自 然 へ の 愛 を 目 覚 め さ せ 、 ケ ル ト 民 族 と し て の 意 識 を 高 め 、 や が て ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 運 動 、 ア イ ル ラ ン ド と い う 国 家 へ の 愛 へ と 高 ま っ て い っ た と 述 べ て い る 。
イ ギ リ ス で は 、 1 8 9 5 年 に マ ッ ク ス ・ ノ ル ダ ウ の ﹃ 現 代 の 堕 落 ﹄ ︵ D e g e n e r a t i o n , 退 化 論 , 変 質 論 ︶ が 翻 訳 ・ 出 版 さ れ 、 イ ギ リ ス 人 の 退 化 の 不 安 、 ﹁ 病 め る 人 々 の 力 無 き 絶 望 ﹂ が 世 紀 末 病 と し て 蔓 延 し て お り 、 イ ギ リ ス 人 の 国 民 性 を 補 完 す る 要 素 、 癒 し と し て ケ ル ト を 求 め る 向 き が あ っ た 。 世 紀 末 の イ ギ リ ス 人 の 不 安 を 癒 す も の と し て ケ ル ト 民 族 再 評 価 が 起 こ っ た が 、 そ れ は イ ギ リ ス 帝 国 主 義 に よ っ て 生 じ た オ リ エ ン タ リ ズ ム で あ り 、 イ ギ リ ス 人 の 帝 国 主 義 と ア イ ル ラ ン ド 人 の 反 帝 国 主 義 の 意 識 が 絡 み 合 う こ と で 、 世 紀 末 の ケ ル ト 意 識 、 ケ ル ト 像 が 生 み 出 さ れ て い っ た と 評 さ れ て い る 。 イ ェ イ ツ は 、 ア ン グ ロ ・ ア イ リ ッ シ ュ と い う 立 場 か ら 架 空 の ア イ ル ラ ン ド を 創 造 し よ う と し た が 、 最 終 的 に 、 そ れ は ア イ ル ラ ン ド の 現 実 と 相 容 れ な い こ と を 知 る こ と に な っ た 。
ケ ル ト 神 話 は 観 念 の 世 界 で あ り 、 前 期 の イ ェ イ ツ は 現 実 か ら 遊 離 し て い た と も い え る 。 も し 彼 の 活 動 が 神 話 や 民 話 を テ ー マ と し た 40 歳 ま で だ っ た ら 、 お そ ら く そ の 評 価 は 、 終 わ り ゆ く ラ フ ァ エ ル 前 派 の 伝 統 の 中 で 、 ケ ル ト 復 興 運 動 か ら 再 び 美 と 詩 情 を 汲 み だ し た マ イ ナ ー 詩 人 に 留 ま っ た だ ろ う [ 2 ] 。 英 文 学 者 の 橋 本 雄 一 は 、 ア イ ル ラ ン ド 独 立 運 動 や ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 で 実 務 的 な 現 実 に 触 れ た こ と 、 エ ズ ラ ・ パ ウ ン ド と 出 会 い 、 彼 の ﹁ 一 新 せ よ ︵ M a k e I t N e w ︶ ﹂ の 精 神 に 示 唆 を 受 け た こ と 、 ウ ィ ン ダ ム ・ ル イ ス の 前 衛 的 な 小 説 や 著 作 を 盛 ん に 読 ん だ こ と な ど が 、 現 実 に 目 を 向 け る 要 因 と な っ た の だ ろ う と 述 べ て い る 。
神 話 伝 説 を 利 用 し た 詩 作 は 、 初 期 以 降 も 、 最 後 ま で 時 々 行 っ て い た 。
『ウィリアム・ブレイク著作集』でエリスとイェイツが図解した27の天国のチャート
英 文 学 者 の 橋 本 雄 一 は 、 ウ ィ リ ア ム ・ ブ レ イ ク か ら 受 け た 強 い 影 響 が 、 生 涯 に わ た る 神 秘 主 義 の 根 源 と な っ た と 述 べ て い る 。 英 文 学 者 の 長 谷 川 年 光 は 、 エ ッ セ イ ﹁ ス ウ ェ ー デ ン ボ ル グ と 霊 媒 と 荒 地 [ 注 25 ] ﹂ 等 か ら は 、 彼 が 深 い 関 心 を 持 っ て 追 及 し て い た 新 プ ラ ト ン 主 義 か ら 、 交 霊 会 な ど オ カ ル テ ィ ズ ム と 呼 ば れ る 神 秘 主 義 的 思 想 、 ア イ ル ラ ン ド の 神 話 や 民 話 は 、 共 通 す る 基 礎 構 造 に 支 え ら れ た も の で あ る と い う 、 当 時 の イ ェ イ ツ の 思 想 的 ・ 宗 教 的 命 題 が 明 ら か で あ る と 述 べ て い る 。 そ れ は 、 世 界 は ﹁ 現 実 の 自 然 界 と 超 自 然 界 、 現 世 と 他 界 、 俗 と 聖 、 眼 に 見 え る 世 界 と 見 え な い 世 界 、 と い っ た よ う に 二 元 的 世 界 構 造 を も ち な が ら も 、 さ ら に こ れ ら の 二 つ の 世 界 が 相 互 に 作 用 し あ い 、 浸 透 し あ っ て い る よ う な い わ ば 二 に し て 一 、 一 に し て 二 な る 世 界 構 造 ﹂ に 支 え ら れ た も の で あ り 、 こ の よ う な 次 元 を 異 に す る 二 つ の 世 界 の 相 互 浸 透 作 用 の 確 証 が 、 特 に 夢 の 中 に 、 ま た ト ラ ン ス 状 態 、 脱 魂 状 態 、 憑 霊 と い っ た よ う な シ ャ ー マ ニ ズ ム 的 な 心 霊 現 象 の 中 に 見 出 す こ と が で き る と 考 え た 。 長 谷 川 年 光 は 、 劇 作 家 イ ェ イ ツ の 課 題 は 、 ﹁ こ の よ う な 世 界 構 造 に 支 え ら れ た 人 間 の 生 の 世 界 の 多 層 性 ﹂ を い か に し て 劇 化 す る か 、 と い う こ と だ っ た と 述 べ て い る 。
イ ェ イ ツ は 黄 金 の 夜 明 け 団 で の オ カ ル ト 実 験 ・ 儀 式 の 体 験 を 通 じ て 、 ﹁ イ メ ー ジ は 意 識 や 潜 在 意 識 よ り も 一 層 深 い 源 か ら 湧 き 上 が る も の で あ る こ と 、 言 葉 や シ ン ボ ル は そ れ 以 外 で は 達 し 得 な い リ ア リ テ ィ を 喚 起 す る 力 を 秘 め て い る こ と ﹂ を 学 ん で お り 、 イ ェ イ ツ は 、 自 身 の 象 徴 的 言 語 が 、 フ ラ ン ス の 象 徴 主 義 経 由 と い う よ り 、 神 秘 思 想 家 や ブ レ イ ク 、 黄 金 の 夜 明 け 団 の ﹁ ミ ス テ ィ カ ル ・ シ ン ボ リ ズ ム ﹂ か ら 学 ん だ も の で あ る と 明 言 し て い る 。
ア イ ル ラ ン ド 文 学 研 究 者 の 松 田 誠 思 は 、 イ ェ イ ツ が 神 智 学 、 ヘ ル メ ス 哲 学 、 錬 金 術 、 魔 術 な ど 、 近 代 の 哲 学 ・ 科 学 に 対 し 相 補 的 な 意 味 を 持 つ 古 代 ・ 中 世 の ︿ 知 ﹀ の 探 求 方 法 の 研 究 と 実 践 に 生 涯 情 熱 を 傾 け た 理 由 と し て 、 彼 は ﹁ ル ネ ッ サ ン ス 以 後 、 特 に 17 世 紀 以 降 ヨ ー ロ ッ パ の 近 代 哲 学 ・ 科 学 の 主 流 と な っ た 認 識 論 の パ ラ ダ イ ム 、 す な わ ち 認 識 の 主 体 と 認 識 の 対 象 を 厳 密 に 区 別 す る こ と に よ っ て 、 ︿ 知 ﹀ の 客 観 性 と 確 実 性 を 保 証 し よ う と す る 立 場 に た い し て 、 終 始 批 判 的 ﹂ で あ り 、 ﹁ ︿ 知 ﹀ の 客 観 性 と 有 用 性 を 偏 重 す る 近 代 的 認 識 論 が 、 こ の 世 界 に お け る ︿ 個 ﹀ と 外 界 の 事 物 と の 有 機 的 関 係 、 さ ら に は 人 間 の み な ら ず す べ て の 事 物 の 相 互 関 係 に 含 ま れ る ユ ニ ー ク な 価 値 の 認 識 を 妨 げ 、 ︿ 生 ﹀ の 自 己 疎 外 を 引 き 起 こ し て い る こ と を 、 詩 人 と し て の 出 発 当 初 か ら 一 貫 し て 批 判 し て い た 。 ﹂ と 指 摘 し 、 ﹁ 古 代 ・ 中 世 人 が 自 然 と 人 間 の 関 係 に つ い て 、 ま た 宇 宙 に お け る 人 間 の 位 置 に つ い て 蓄 え て き た 英 知 に 学 ぶ 、 い わ ば 人 間 的 知 の 再 発 見 と 深 化 の 試 み で あ っ た 。 ﹂ と 述 べ て い る 。 イ ェ イ ツ は 熱 心 に オ カ ル テ ィ ズ ム 、 神 秘 哲 学 を 探 求 し 、 ア イ ル ラ ン ド の 田 舎 の 人 々 の 間 に 土 俗 の 信 仰 を 探 し 、 交 霊 会 や 自 動 筆 記 の 会 と い っ た い か が わ し い 場 所 に も 足 し げ く 出 入 り し て お り 、 そ ん な 彼 に は 嘲 笑 の 目 が 向 け ら れ 続 け た 。
後 期 イ ェ イ ツ は 戯 曲 ﹁ 骨 の 夢 ﹂ 等 で 、 繰 り 返 し ﹁ 死 者 が 見 る 夢 の 回 帰 ﹂ を 描 い た 。 ﹃ 幻 想 録 ﹄ で も 言 及 さ れ る こ の ﹁ 夢 見 回 想 ﹂ は 、 ﹁ 罪 を 犯 し た 者 は 死 後 亡 霊 と な っ て 生 前 犯 し た 罪 を 繰 り 返 し 生 き 直 す と い う 呪 い を 受 け る ﹂ と い う も の で 、 彼 は こ れ を 文 化 を 超 え た 根 源 的 な 想 念 と 捉 え て い た 。 ﹁ 夢 見 回 想 ﹂ の イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン の 源 泉 は 、 16 世 紀 ル ネ サ ン ス 期 の 魔 術 師 ア グ リ ッ パ と 日 本 の 能 で あ り 、 作 品 に お い て は 夢 幻 能 の 構 造 と 結 び つ け ら れ て い る 。
﹁ エ マ ー の た だ 一 度 の 嫉 妬 ﹂ ︵ T h e O n l y J e a l o u s y o f E m e r , 1 9 1 9 年 刊 ︶ か ら ﹁ ク ー フ リ ン の 死 ﹂ ︵ T h e D e a t h o f C u c h u l a i n , 1 9 3 9 年 刊 ︶ ま で 、 ほ ぼ 同 様 の 構 成 を 踏 襲 し た 作 品 を 発 表 し 続 け た [ 1 5 5 ] 。
演 劇 運 動 で は 苦 い 思 い も 少 な く な か っ た が 、 そ の 体 験 は 無 駄 に な る こ と は な く 、 民 衆 に 語 り か け る た め の 音 楽 的 な 雄 弁 術 ︵ 彼 は オ ラ ト リ ー と 呼 ん だ ︶ 、 観 客 に 自 分 の ヴ ィ ジ ョ ン を 伝 え る た め の 戯 曲 ・ 演 出 で の 実 際 的 な 工 夫 の 経 験 が 詩 に 生 か さ れ 、 瞑 想 的 で 繊 細 優 美 な 表 現 か ら 、 直 接 的 で 劇 的 な 詩 に 変 化 し た 。 詩 の 中 で 、 詩 人 自 身 が 一 人 の 演 技 者 と な り 、 登 場 人 物 ︵ ペ ル ソ ナ ︶ と な っ て 語 り 、 言 葉 に よ っ て 自 分 の 思 い を 演 じ る と い う 変 化 に は 、 演 劇 の 影 響 が 見 ら れ る 、 ﹃ 緑 の 兜 そ の 他 の 詩 ﹄ ︵ 1 9 1 0 年 ︶ 収 録 の ﹁ 仮 面 ﹂ ︵ M a s k ︶ で は 、 後 期 の 重 要 な 象 徴 と な る 仮 面 が 初 め て 登 場 し て い る 。 こ う し た 作 風 は ﹃ 責 任 ﹄ ︵ 1 9 1 4 年 ︶ あ た り か ら 顕 著 に な っ て お り 、 こ れ 以 降 の 詩 で は 、 語 り 手 が 主 役 を 務 め る こ と が 多 く な っ て い る 。
1 9 1 7 年 5 月 に 、 ﹁ わ れ わ れ は 他 人 と 口 論 し て レ ト リ ッ ク を つ く り 、 自 分 と 口 論 し て 詩 を つ く る 。 レ ト リ ッ ク を 操 る 者 た ち は 、 か つ て 説 得 し た 、 あ る い は こ れ か ら 説 得 す る で あ ろ う 大 衆 を 思 い 起 こ し て 、 音 声 に 自 信 を み な ぎ ら せ る 。 わ れ わ れ は 不 安 の た だ な か で 歌 う ﹂ と 作 中 で 詩 を 定 義 し て お り 、 ﹁ オ ラ ト リ ー ﹂ か ら さ ら に 、 ﹁ 自 分 と の 口 論 ﹂ と し て の 詩 へ と 語 法 が 変 化 し て い っ た 。 高 松 雄 一 は 、 ﹁ 詩 と レ ト リ ッ ク を 峻 別 し て い る よ う で あ り な が ら 、 実 は 口 論 で あ る か ぎ り に お い て レ ト リ ッ ク の 特 質 を 内 包 す る 詩 ﹂ と 説 明 し て お り 、 自 分 自 身 の 内 面 に つ い て 、 あ る い は 自 分 を 通 し て 見 た ア イ ル ラ ン ド の 現 状 が 詩 の 主 題 に な り 、 こ れ ま で の 様 々 な 時 代 の 自 分 自 身 の 内 面 の 葛 藤 が で き る だ け そ の ま ま 写 し 取 ら れ た 。 こ の 葛 藤 は 社 会 、 政 治 、 文 化 の 混 迷 と 深 く か か わ っ て お り 、 心 理 の 迷 路 が 内 な る 口 論 と し て 外 在 化 さ れ て い る 。
イ ェ イ ツ は 自 身 の 哲 学 を 散 文 作 品 、 ﹃ 幻 想 録 ﹄ ︵ A V i s i o n , 1 9 2 5 年 、 改 訂 版 1 9 3 7 年 ︶ で 説 明 し て い る [ 2 ] 。 当 時 、 神 を 失 っ た 社 会 の 精 神 的 無 秩 序 状 態 と 、 第 一 次 世 界 大 戦 ︵ 1 9 1 4 - 1 9 1 8 ︶ に よ る 文 化 ・ 秩 序 の 崩 壊 と い う 現 実 が あ り 、 ﹃ 幻 想 録 ﹄ は 、 こ う し た 秩 序 を 失 っ た 世 界 の 中 で 、 ﹁ 壮 年 の イ ェ イ ツ が 自 己 の 魂 の 知 的 完 成 を 求 め て 苦 闘 し た 重 要 な 記 録 ﹂ と な っ て い る が 、 そ の 試 み は 困 難 な も の で あ っ た こ と が う か が え る 。 妻 ジ ョ ー ジ ー と の 自 動 筆 記 の セ ッ シ ョ ン で 彼 女 が 書 い た も の が ベ ー ス と な っ て お り 、 こ れ は 3 年 、 4 , 0 0 0 ペ ー ジ に 及 び [ 1 7 2 ] 、 イ ェ イ ツ は 7 年 か け て 整 理 し ま と め 、 1 9 2 5 年 に ﹃ 幻 想 録 ﹄ と し て 出 版 し た [ 1 7 2 ] [ 注 26 ] 。
プ ラ ト ン 、 プ ロ テ ィ ノ ス 、 ス ウ ェ ー デ ン ボ リ 、 ヴ ィ コ 、 ニ ー チ ェ や 、 占 星 術 、 神 智 学 、 イ ン ド 哲 学 ︵ ヒ ン ド ゥ ー 教 ︶ 、 日 本 の 禅 、 神 秘 的 宇 宙 観 、 歴 史 観 ︵ 歴 史 循 環 論 ︶ 転 生 説 等 に 対 す る 信 念 を 体 系 化 ・ 図 式 化 し た 個 性 的 な 省 察 録 で 、 彼 の 最 盛 期 の 象 徴 の 体 系 が 抽 出 さ れ て い る [ 2 ] [ 1 1 2 ] 。 こ れ が 詩 人 イ ェ イ ツ の 前 期 の ケ ル ト 神 話 と 並 ぶ 後 期 の 思 想 体 系 と な っ て い る 。
相 互 に 咬 み 合 い 旋 回 す る 2 つ の 円 錐 g y r e
渦 巻
英 文 学 者 の 野 中 涼 は ﹃ 幻 想 録 ﹄ に 書 か れ た 歴 史 観 を 、 ﹁ ど の 時 代 も 円 錐 状 に 展 開 し て 、 前 の 時 代 が え が い た 円 環 を 次 の 時 代 は ほ ぐ す よ う に 進 行 す る 。 ペ ル シ ア 文 明 は ギ リ シ ア 文 明 に よ っ て ほ ぐ さ れ 、 ロ ー マ 文 明 は ビ ザ ン テ ィ ン 文 明 に よ っ て ほ ぐ さ れ 、 ビ ザ ン テ ィ ン 文 明 は ル ネ ッ サ ン ス に よ っ て ほ ぐ さ れ た 。 一 方 が 他 方 の 生 命 を 死 に 、 た が い が た が い の 死 を 生 き る 。 ﹂ と 解 説 し て い る 。 ﹃ 幻 想 録 ﹄ の 思 想 体 系 は g y r e ︵ 渦 巻 き 、 螺 旋 ︶ の モ チ ー フ と し て 図 像 化 さ れ て お り 、 こ れ は 対 立 し つ つ も 影 響 し 合 い 、 変 化 し 続 け る 思 想 や 歴 史 観 を 表 し て い る 。 g y r e の 元 と な る も の は 、 プ ラ ト ン 、 ダ ン テ 、 ベ ー メ 、 ブ レ イ ク な ど が 挙 げ ら れ 、 英 文 学 者 の 日 下 隆 平 は 、 イ ェ イ ツ が g y r e を 用 い た 契 機 を 、 ﹁ 渦 巻 き ﹂ を エ ネ ル ギ ー と 創 造 の イ メ ー ジ で と ら え た 彫 刻 家 達 ヴ ォ ー テ ィ シ ズ ム ︵ 渦 巻 派 ︶ と み て い る 。
イ ェ イ ツ は 、 当 時 の 社 会 の 物 心 両 面 に わ た る 混 乱 と 末 期 的 な 有 様 に 対 し て 、 ル ネ ッ サ ン ス 以 後 の 近 代 の 歴 史 の 中 に 位 置 づ け 、 人 間 の 文 明 は 約 2 0 0 0 年 周 期 で 成 長 、 完 成 、 衰 退 を 経 過 し て 輪 廻 し 、 こ の 歴 史 の 移 り 変 わ り は 人 間 の 運 命 を 支 配 す る 象 徴 的 な 絶 対 者 と も い う べ き T h e G r e a t W h e e l ︵ 大 車 輪 ︶ の 運 動 の 上 に あ る と し た 。 T h e G r e a t W h e e l の 運 動 は 、 月 相 に 変 化 を も た ら す と し 、 T h e G r e a t W h e e l の 上 に 位 置 す る 月 相 の 変 化 に 呼 応 し て 、 人 類 の 歴 史 は 巡 る と す る 。 イ ェ イ ツ は 月 相 を 28 に 区 分 し 、 第 一 相 ︵ 新 月 ︶ か ら 第 八 相 を 成 長 期 、 第 九 相 か ら 第 十 五 相 ︵ 満 月 ︶ ま で を 完 成 期 、 第 十 六 相 か ら 第 二 十 八 相 を 衰 退 期 に 相 当 す る も の と 想 定 し 、 キ リ ス ト 教 文 化 が 栄 華 を 極 め た ビ ザ ン テ ィ ン 文 化 お よ び ル ネ サ ン ス 期 が 文 明 の 完 成 期 に 当 た り 、 現 代 ︵ 当 時 ︶ 20 世 紀 は 第 二 五 相 で 次 の 第 一 相 に 向 か う 時 期 で あ り 、 文 明 の 交 替 期 、 今 の 文 明 の 終 末 期 で あ り 、 次 の 2 0 0 0 年 の 文 明 期 の 黎 明 に 近 づ い て い る と し た 。 第 一 相 の 暗 黒 の 月 ︵ 新 月 ︶ は 形 而 上 の 完 全 客 観 視 を 代 表 し 、 第 十 五 相 の 月 ︵ 満 月 ︶ は 完 全 主 観 を 代 表 し 、 主 観 と 客 観 の 混 合 体 で あ る 人 間 は 、 時 代 に よ っ て 固 有 の 性 質 を 持 つ こ と に な る と い う 。
4 つ の 機 能 体
人 間 に は W i i i [ 注 27 ] 、 M a s k [ 注 28 ] 、 C r e a t i v e m i n d [ 注 29 ] 、 B o d y o f F a t e [ 注 30 ] と い う 4 つ の ﹁ 機 能 体 ﹂ が あ り 、 W i l l と C r e a t i v e m i n d と M a s k と B o d y o f F a t e は 対 立 し 、 人 の 人 格 は こ の 機 能 体 の 組 合 わ せ に よ っ て 決 定 さ れ る と い う 。 あ る 人 の 4 つ の 機 能 体 が 28 相 か ら 成 る T h e G r e a t W h e e l の ど こ に 位 置 す る か に よ っ て 、 人 格 や 天 分 を 分 析 し 解 釈 す る こ と が で き る と 考 え 、 各 相 の 典 型 的 な 知 人 や 歴 史 上 の 人 物 を 上 げ て 例 証 し 、 彼 が 出 会 っ た 人 々 を 一 つ の 体 系 の な か に 位 置 づ け た 。 ︵ 1 9 2 2 年 に 出 版 し た 自 叙 伝 ﹃ 垂 絹 の 揺 ぎ ﹄ ︵ T h e T r e m b l i n g o f t h e V e i l ︶ は 、 イ ェ イ ツ 自 身 よ り 周 囲 の 人 々 に 多 く 触 れ て お り 、 ﹃ 幻 想 録 ﹄ の 体 系 に よ る 人 物 評 価 、 意 味 付 け が 生 か さ れ て い る 。 ︶ ま た 、 宇 宙 に は D a i m o n と 呼 ば れ る 指 導 が 君 臨 し て い る と し 、 イ ェ イ ツ は こ れ を 人 間 の 自 我 の 究 極 の 理 想 像 と 考 え 、 人 間 の 4 つ の 機 能 は D a i m o n の 4 つ の 記 憶 か ら 生 じ て い る と し て い る 。
本 書 で の 想 像 力 、 歴 史 、 オ カ ル テ ィ ズ ム の 関 係 に つ い て の 思 索 は 分 か り に く く 、 こ の 占 星 術 的 世 界 観 は 個 人 の 怪 し げ な 霊 的 体 験 か ら 導 き 出 さ れ た こ と か ら 、 彼 自 身 以 外 に は ほ ぼ 説 得 力 が な く 、 ほ と ん ど の 人 に は 理 解 で き な い と い う 辛 辣 な 批 評 も あ る が 、 後 期 イ ェ イ ツ 作 品 、 イ ェ イ ツ の 詩 の 変 貌 の 理 解 に 不 可 欠 だ と 考 え ら れ て い る [ 2 ] 。 独 自 の 循 環 史 観 、 周 期 的 な 歴 史 観 は 、 作 品 の 中 で イ メ ー ジ の 反 復 と 収 束 と し て 表 れ て い る [ 2 ] 。 ﹁ ビ ザ ン テ ィ ウ ム へ の 船 出 ﹂ の 後 半 で は 芸 術 的 創 造 を 巡 る 哲 学 的 な 議 論 が 展 開 さ れ る が 、 ﹁ 渦 ﹂ ま た は g y r e が そ の 中 核 と な っ て い る 。
﹃ 幻 想 録 ﹄ の 中 で 、 い か な る 詩 人 も 自 ら 創 造 の 主 に な る こ と は で き ず 、 霊 感 も 幻 想 ︵ ヴ ィ ジ ョ ン ︶ も 世 界 霊 魂 か ら く る と 考 え た 。 世 界 霊 魂 は ﹁ 個 人 や 精 霊 に 属 す る も の で は な く な っ た イ メ ー ジ の 大 き な 貯 蔵 庫 ﹂ と さ れ 、 イ ェ イ ツ の 想 像 力 の 源 、 芸 術 の 根 源 で あ り 、 彼 の 神 で あ る と 考 え ら れ る 。 彼 は こ の 概 念 を 、 プ ラ ト ン や カ バ ラ 思 想 を 取 り 入 れ た 17 世 紀 イ ギ リ ス の ヘ ン リ ー ・ モ ア か ら 学 ん だ と 言 わ れ る 。
ジ ョ ー ジ ー の 自 動 筆 記 は 、 i n s t r u c t o r s ︵ 指 導 ︶ な る 霊 、 精 霊 の 秘 教 的 な 思 想 を 伝 達 し て 書 き 留 め も の と さ れ る 。
ジ ョ ー ジ ー は イ ェ イ ツ の 死 後 、 最 初 の 自 動 筆 記 は 偽 り で あ っ た こ と を 認 め て お り 、 イ ェ イ ツ が 落 ち 着 い た ら 白 状 す る つ も り だ っ た と 語 っ て い る 。 i n s t r u c t o r s と の 質 疑 応 答 と い う 儀 式 が 、 最 初 以 外 は ジ ョ ー ジ ー の 演 技 な の か 、 作 為 性 は ど の 程 度 な の か に は 議 論 が あ る が 、 自 動 筆 記 の 内 容 は あ る 程 度 彼 女 の 意 識 的 な コ ン ト ロ ー ル 下 に あ っ た と 考 え ら れ て い る 。 ﹃ 幻 想 録 ﹄ に 含 ま れ て い な い 自 動 筆 記 セ ッ シ ョ ン で は 、 i n s t r u c t o r s の ア ド バ イ ス は ジ ョ ー ジ ー に 味 方 す る 個 人 的 な も の も あ る [ 1 7 2 ] [ 注 31 ] 。 イ ェ イ ツ は i n s t r u c t o r s が 提 供 し た 素 材 を 基 に 詩 を 作 る 等 、 ジ ョ ー ジ ー の 自 動 筆 記 は イ ェ イ ツ の 後 期 の 活 動 を 支 え た が 、 長 年 彼 女 が 果 た し た 役 割 に 光 が 当 た る こ と は な か っ た [ 1 7 2 ] 。
﹃ 幻 想 録 ﹄ 等 で 示 し た 循 環 史 観 、 終 末 観 は 、 か な り 主 観 性 の 強 い 認 識 で あ る が 、 最 晩 年 の 詩 作 ・ 劇 作 活 動 の 要 に な っ て い る だ け で な く 、 現 代 社 会 に お け る 人 間 の 堕 落 、 生 の エ ネ ル ギ ー の 衰 退 に 対 す る 危 機 意 識 、 優 生 学 に 基 づ く 荒 療 治 ︵ 断 種 ︶ へ の 賛 同 と い う 彼 の 主 張 と も 密 接 に 結 び つ い て い る 。 最 晩 年 の エ ッ セ イ を 収 録 し た ﹃ 汽 罐 の 上 で ﹄ の 中 で 、 優 生 学 協 会 員 で 心 理 学 者 の レ イ モ ン ド ・ キ ャ ッ テ ル の 著 作 を 典 拠 に 、 人 種 の ﹁ 汚 染 ﹂ ﹁ 退 化 ﹂ を 止 め る た め に 積 極 的 に 断 種 手 術 を 行 う こ と を 強 く 肯 定 し て い る
T ・ S ・ エ リ オ ッ ト は 、 イ ェ イ ツ に 詩 人 と し て 最 高 の 賛 辞 を 贈 っ て い る が 、 そ の 神 秘 思 想 は ﹁ 個 人 的 宗 教 ﹂ で あ る と 批 判 し て い る 。
モ ー ド ・ ゴ ン に 詩 や 戯 曲 を 政 治 運 動 に 役 立 て る よ う 、 繰 り 返 し 言 わ れ て い た が 、 イ ェ イ ツ は 政 治 運 動 や 社 会 運 動 は あ ま り 好 ま な か っ た 。
ア イ ル ラ ン ド 自 由 国 建 国 後 、 基 本 的 に 支 持 の 立 場 だ っ た が 、 新 生 ア イ ル ラ ン ド の 政 体 は ロ ー マ ・ カ ト リ ッ ク 農 民 民 主 政 体 で 、 彼 が 望 ん で い た の は プ ロ テ ス タ ン ト ・ ア セ ン ダ ン シ ー の 貴 族 的 共 和 制 で あ り 、 民 主 制 と い う 多 数 者 支 配 の 政 治 制 度 へ の 異 議 を 繰 り 返 し た 。 ま た 、 カ ト リ ッ ク 主 導 の 政 教 不 分 離 の 政 治 運 営 と 、 そ れ に よ っ て 台 頭 し た 市 民 階 級 の 世 俗 的 な 価 値 観 を 批 判 し て 、 反 時 代 的 な 姿 勢 を 明 確 に 示 し て い る 。
イ ェ イ ツ の 著 作 に 関 す る 書 誌 は か な り の 分 量 が あ り 、 2 0 0 0 年 時 点 で 、 詩 、 戯 曲 、 エ ッ セ イ 、 書 簡 、 講 演 、 翻 訳 な ど の 作 品 が 20 巻 程 、 そ の 作 品 に つ い て の ビ ブ リ オ グ ラ フ ィ ー や コ ン コ ー ダ ン ス が 6 巻 あ る 。 イ ェ イ ツ は 完 成 し た 作 品 に さ ら に 手 を 加 え る こ と が 多 く 、 校 訂 の 異 同 を 示 す ﹁ ヴ ァ リ オ ラ ム ・ テ キ ス ト ﹂ が ジ ャ ン ル 別 に 出 て い る 。 評 伝 や 研 究 書 は 、 主 な も の だ け で 1 5 0 巻 を 超 え る 。
英 文 学 者 の 高 松 雄 一 は 、 イ ェ イ ツ の 前 期 か ら 後 期 へ の 転 身 が 、 T ・ S ・ エ リ オ ッ ト 、 W ・ H ・ オ ー デ ン と い っ た モ ダ ニ ズ ム 以 後 の 詩 人 た ち に 与 え た 影 響 は 大 き い と 指 摘 し て い る [ 1 1 2 ] 。
英 文 学 者 の 結 城 英 雄 は 、 イ ェ イ ツ と 同 じ く ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 の 中 で 生 ま れ た ア イ ル ラ ン ド 人 作 家 ジ ェ イ ム ズ ・ ジ ョ イ ス と 比 較 し 、 ﹁ ホ メ ロ ス の ﹃ オ デ ュ ッ セ イ ア ﹄ を 枠 組 み と す る ﹃ ユ リ シ ー ズ ﹄ ︵ 1 9 2 2 ︶ の 神 話 的 な 手 法 は 、 ア イ ル ラ ン ド 神 話 に 拠 っ て 立 つ イ ェ イ ツ の 手 法 の 踏 襲 ﹂ で あ る と 指 摘 し 、 両 者 に は 重 な る と こ ろ が 多 い と 述 べ て い る 。
イ ェ イ ツ と オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー が 推 進 し た ア ベ イ 座 の 演 劇 を 観 た 者 に は 、 作 品 を あ る 種 の 福 音 や 秘 蹟 と 受 け 止 め 、 1 9 1 6 年 の イ ー ス タ ー 蜂 起 や 対 英 独 立 闘 争 に 加 わ っ た 者 も 多 く 、 以 後 ア イ ル ラ ン ド で は 今 日 ま で 、 演 劇 の 様 々 な ヴ ィ ジ ョ ン が 国 家 形 成 に 少 な か ら ず 影 響 を 与 え て い る 。
● ﹃ 復 活 ︵ 英 語 版 ︶ ﹄ ︵ 1 9 3 1 年 ︶ は ﹁ S a t o に 捧 げ る ﹂ と さ れ る が 、 こ の S a t o と は 、 1 9 2 0 年 に イ ェ イ ツ に 日 本 刀 を 贈 っ た 佐 藤 醇 造 で あ る 。 佐 藤 は 日 本 専 売 公 社 の ポ ー ト ラ ン ド 駐 在 員 だ っ た と い わ れ 、 イ ェ イ ツ の 詩 を 読 み 、 講 演 に 感 じ 入 り 、 講 演 後 に 滞 在 先 の ホ テ ル に 半 ば 強 引 に 押 し か け 、 そ こ で の 会 談 で 、 5 0 0 年 家 宝 だ っ た と い う 、 城 中 衣 装 の 古 金 襴 で 包 ん だ 備 前 長 船 元 重 の 短 刀 を 贈 っ た [ 2 6 3 ] 。 イ ェ イ ツ は 困 惑 し た が 、 辞 退 し き れ ず に 受 け 取 っ た 。 イ ェ イ ツ は 会 談 の 2 日 後 、 エ ド マ ン ド ・ デ ュ ラ ッ ク に 宛 て た 書 簡 で 、 会 談 自 体 を ﹁ 大 変 素 晴 ら し い こ と ﹂ と し つ つ も 、 短 刀 に つ い て は ︵ 当 時 独 身 だ っ た ︶ 佐 藤 に 子 供 が 出 来 た 時 に 彼 に 返 却 す る つ も り で あ る と し た 。 明 鏡 の よ う に 輝 く 刀 身 は 、 次 第 に ﹁ 愛 と 戦 い ﹂ の 世 界 を 象 徴 す る も の と な っ て い き 、 オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア へ の 書 簡 で 、 こ の 日 本 刀 と そ の 絹 の 覆 い を イ ェ イ ツ 自 身 の 人 生 の 象 徴 と す る と 触 れ て お り 、 詩 に も 登 場 さ せ 、 刀 工 の " M o n t a s h i g i " ︵ モ ト シ ゲ ︶ に も 言 及 し て い る [ 2 6 4 ] 。 野 中 涼 に よ る と 、 ﹁ 老 齢 と 病 弱 の う ち に あ る 今 、 そ れ ︵ 短 刀 ︶ は 穢 れ た 土 溝 の よ う な 世 界 に 力 強 く 生 き て い く べ き だ 、 と い う 強 烈 な 決 意 を う な が す も の ﹂ に な っ た 。 詩 ﹁ 自 我 と 魂 の 対 話 ﹂ で は 、 夜 を 象 徴 す る 塔 に 対 し て 、 こ の 刀 を 昼 を 象 徴 す る も の と し て い る 。
● 1 9 7 6 年 か ら 発 行 さ れ て い た ア イ ル ラ ン ド の 20 ポ ン ド 紙 幣 に 肖 像 が 使 用 さ れ て い た [ 2 6 6 ] 。
ジ ョ ン ・ シ ン ガ ー ・ サ ー ジ ェ ン ト が 描 い た イ ェ イ ツ の 肖 像 画 ︵ 1 9 0 8 年 ︶
イ ェ イ ツ 没 後 、 そ の 詩 歌 は 英 語 で 書 か れ た 代 表 的 な 文 学 作 品 の ひ と つ と み な さ れ る よ う に な っ た [ 8 ] 。 英 語 圏 で は 中 等 教 育 の 段 階 か ら 広 く 教 材 と し て 用 い ら れ 、 幾 つ か の 作 品 は き わ め て よ く 知 ら れ て い る た め [ 1 9 0 ] 、 イ ェ イ ツ 作 品 に 登 場 す る 詩 句 は さ ま ざ ま な 映 画 や 音 楽 で 引 用 さ れ 続 け て い る 。
● SF 短 編 集 ﹃ 太 陽 の 黄 金 の 林 檎 ﹄ ︵ T h e G o l d e n A p p l e s o f t h e S u n 、 レ イ ・ ブ ラ ッ ド ベ リ 、 1 9 5 3 年 ︶ の 題 名 は 、 イ ェ イ ツ の 詩 ﹁ さ ま よ う イ ー ン ガ ス の 歌 ﹂ ︵ T h e S o n g o f W a n d e r i n g A e n g u s ︶ [ 2 6 7 ] の 一 節 を 取 っ て い る 。
● 映 画 ﹃ ウ ォ ー ル 街 ﹄ ︵ オ リ バ ー ・ ス ト ー ン 監 督 、 1 9 8 7 年 ︶ で 、 伝 説 的 な 投 資 家 ゴ ー ド ン ・ ゲ ッ コ ー が 未 熟 な 主 人 公 に 向 か っ て ﹁ 鷹 が 鷹 匠 の 言 う こ と を 聞 い た み た い だ な ﹂ ︵ S o t h e f a l c o n ’ s h e a r d t h e f a l c o n e r , h u h ? ︶ と か ら か う 場 面 は 、 ﹁ 再 臨 ﹂ の 一 節 ﹁ 鷹 は 鷹 匠 の い い つ け に 耳 を 貸 さ な い ﹂ ︵ T h e f a l c o n c a n n o t h e a r t h e f a l c o n e r ︶ を 踏 ま え て い る 。
● 映 画 ﹃ メ ン フ ィ ス ・ ベ ル ﹄ ︵ 1 9 9 0 年 ︶ で 、 爆 撃 機 B - 1 7 F 、 愛 称 " メ ン フ ィ ス ・ ベ ル " の 無 線 手 ダ ニ ー が 出 撃 前 、 イ ェ イ ツ の 詩 ﹃ A n I r i s h A i r m a n F o r e s e e s H i s D e a t h ﹄ を 自 作 と 偽 っ て 朗 読 す る 。
● ベ ス ト セ ラ ー 小 説 で 映 画 化 も さ れ た ﹃ マ デ ィ ソ ン 郡 の 橋 ﹄ ︵ 1 9 9 2 年 ︶ で は 、 孤 独 な 既 婚 の イ タ リ ア 人 女 性 フ ラ ン チ ェ ス カ と 離 婚 歴 の あ る 孤 独 な 写 真 家 で 、 ア イ ル ラ ン ド 人 の 血 を 引 く キ ン ケ イ ド の 熟 年 の 恋 が 描 か れ る が 、 2 人 は ケ ル ト の イ メ ー ジ 、 特 に イ ェ イ ツ の 詩 で 結 び つ い て お り 、 キ ン ケ イ ド が ﹁ 月 の 銀 の り ん ご / 太 陽 の 金 の り ん ご ﹂ を 朗 読 し 、 フ ラ ン チ ェ ス カ が そ れ は ﹁ さ ま よ う イ ー ン ガ ス の 歌 ﹂ だ と 指 摘 す る 場 面 が あ る 。
● ロ ッ ク ・ バ ン ド ザ ・ ス ミ ス の 楽 曲 ﹃ C e m e t r y G a t e s ﹄ の 歌 詞 に イ ェ イ ツ の 名 が 登 場 す る 。 作 詞 し た モ リ ッ シ ー は イ ェ イ ツ の 文 学 に 影 響 を 受 け て い る 事 を 公 言 し て い る 。
● SF 映 画 ﹃ A . I . ﹄ ︵ ス テ ィ ー ヴ ン ・ ス ピ ル バ ー グ 監 督 、 2 0 0 1 年 ︶ で は 、 人 工 知 能 が 少 年 ロ ボ ッ ト に 向 か っ て 朗 誦 す る イ ェ イ ツ の 詩 ﹁ さ ら わ れ た 子 ど も ﹂ ︵ T h e S t o l e n C h i l d ︶ が 物 語 全 体 の 重 要 な 伏 線 と な っ て い る 。
● 映 画 ﹃ ノ ー カ ン ト リ ー ﹄ ︵ 2 0 0 7 年 ︶ は コ ー マ ッ ク ・ マ ッ カ ー シ ー の 原 作 と と も に 、 題 名 を ﹁ ビ ザ ン テ ィ ウ ム へ の 船 出 ﹂ 冒 頭 の 一 節 ﹁ 老 い た 人 々 の 住 む 土 地 は な い ﹂ か ら 取 っ て い る 。
● コ ミ ッ ク ﹃ バ ッ ト マ ン ‥ 拡 大 す る 螺 旋 ︵ T h e W i d e n i n g G y r e ︶ ﹄ ︵ 2 0 0 9 年 ︶ や ロ バ ー ト ・ B ・ パ ー カ ー の 小 説 ﹃ 拡 大 す る 螺 旋 ﹄ ︵ T h e W i d e n i n g G y r e , 1 9 8 3 年 ︶ は 、 同 じ く ﹁ 再 臨 ﹂ の 一 節 ﹁ ︵ 一 羽 の 鷹 が ︶ し だ い に 大 き く 螺 旋 を 描 き ﹂ ︵ T u r n i n g a n d t u r n i n g i n t h e w i d e n i n g g y r e ︶ よ り 。
● コ ミ ッ ク ﹃ ス タ ー ト レ ッ ク ‥ 無 秩 序 ︵ M e r e A n a r c h y ︶ シ リ ー ズ ﹄ ︵ 2 0 0 9 年 ︶ や 作 曲 家 モ ー ビ ー ( M o b y ) の 楽 曲 ﹁ ミ ー ア ・ ア ナ ー キ ー ﹂ [ 2 6 9 ] ︵ 2 0 1 8 年 ︶ は 、 イ ェ イ ツ の 詩 ﹁ 再 臨 ﹂ ︵ T h e S e c o n d C o m i n g ︶ [ 2 7 0 ] の 一 節 ﹁ う わ べ だ け の 無 秩 序 が 世 界 に ゆ き わ た り ﹂ ︵ M e r e A n a r c h y i s l o o s e d u p o n t h e w o r l d ︶ を 踏 ま え て い る 。
● 短 編 映 画 ﹃ あ る ラ ブ ス ト ー リ ー ﹄ ︵ A L o v e S t o r y ︶ [ 2 7 1 ] ︵ ジ ェ シ カ ・ ベ ラ ミ ー 監 督 ︶ は 、 イ ェ イ ツ が モ ー ド ・ ゴ ン に 宛 て て 書 い た 恋 愛 詩 ﹁ あ な た が 年 を と っ て ﹂ ︵ W h e n Y o u a r e O l d ︶ [ 2 7 2 ] を 映 画 化 し た も の 。
● イ ギ リ ス の ロ ッ ク バ ン ド 、 ザ ・ ス ミ ス の 楽 曲 ﹁ C e m e t e r y G a t e s ﹂ の 歌 詞 に イ ェ イ ツ が 言 及 さ れ て い る 。
● 義 父 に よ る 性 的 虐 待 を 受 け た 少 年 を 描 く 萩 尾 望 都 の 漫 画 ﹃ 残 酷 な 神 が 支 配 す る ﹄ ︵ 1 9 9 2 年 - 2 0 0 1 年 ︶ と い う タ イ ト ル は 、 ア ル ・ ア ル ヴ ァ リ ー ズ ︵ 英 語 版 ︶ の 著 書 ﹃ 自 殺 の 研 究 ﹄ に イ ェ イ ツ の 自 伝 か ら 引 用 さ れ た ﹁ A S a v a g e G o d R e i g n s ﹂ に 由 来 す る [ 2 7 3 ] 。
● 両 片 思 い の 二 人 の 男 友 達 と 、 う ち 一 人 の 病 弱 な 妻 の 人 間 関 係 を 描 い た 紺 野 キ タ の 短 編 漫 画 ﹁ 天 使 も 踏 む を 恐 れ る と こ ろ ﹂ ︵ ﹃ S A L V A M E ﹄ 2 0 0 5 年 収 録 ︶ で は 、 登 場 人 物 が ラ ス ト シ ー ン で ﹁ さ ら わ れ た 子 供 ﹂ の 一 節 を 投 げ か け 合 う 。
『アシーンの放浪』The Wanderings of Oisin and Other Poems (1889年)
『キャスリーン伯爵夫人および諸伝説と抒情詩』The Countess Kathleen and Various Legends and Lyrics (1892年)
「湖の島イニスフリー[注 32] 」The Lake Isle Of Innisfree
「あなたが年老いるとき」When You are Old
『葦間(あしま) の風』 The Wind among the Reeds (1899年)
「彼は天の布をもとめる」He Wishes for the Cloths of Heaven
『七つの森で』In the Seven Woods (1903年)
「アダムの呪い (英語版 ) 」Adam's Curse
「レッド・ハンラハン[注 33] が愛蘭の歌」Red Hanrahan's Song About Ireland
『緑の兜その他の詩』The Green Helmet and Other Poems (1910年)
『責任』Responsibility: Poems and a Play (1914年)
『クールの野生の白鳥』The Wild Swans at Coole (1917年, 1919年)
『マイケル・ロバーツと踊り子』Michael Robartes and the Dancer (1920年)
「1916年復活祭」Easter, 1916
「再臨」he Second Coming
「娘のための祈り (英語版 ) 」A Prayer for My Daughter
『塔』The Tower (1928年)
「塔」The Tower
「ビザンティウムへの船出」Sailing to Byzantium
「レダと白鳥」Leda and the Swan
「一九一九年」Nineteen Hundred and Nineteen
「内戦時代の省察」Meditations in Time of Civil War
「ハールーン・アル=ラシードの贈り物 (英語版 ) 」The Gift of Harun Al-Raschid
『螺旋階段』The Winding Stair and Other Poems (1933年)
「イヴァ・ゴア=ブースとコン・マルキエビッチの思い出に (英語版 ) 」In Memory of Eva Gore-Booth and Con Markiewicz
「血と月 (英語版 ) 」Blood and the Moon
「おそらくは音楽のための言葉」Words for Music Perhaps
「自我と魂の対話」A Dialogue of Self and Soul
「後悔 (英語版 ) 」Remorse for Intemperate Speech
『最後の詩と劇』Last Poems & Plays (生前未刊、1939年)
『ケルト妖精物語』Fairy and Folk Tales of the Irish Peasantry (アイルランド各地方の妖精譚と民話, 1888年)
『ケルト幻想物語』Irish Fairy Tales (アイルランド妖精物語, 1892年)
『ケルトの薄明』The Celtic Twilight (1893年)
『ウィリアム・ブレイクの作品』The Works of William Blake: Poetic, Symbolic and Critical (エドウィン・エリスとの共著, 1893年)
『秘儀の薔薇』The Secret Rose (1897年)
『善と悪の観念』Ideas of Good and Evil (1903年)
『幻想録』A Vision (1925年、改訂版1937年)
『汽罐の上で』On the Boiler (生前未刊、1939年)
『幼年と少年時代の幻想』Reveries Over Childhood and Youth (1914年、幼年期と青年期の自叙伝)
『垂絹の揺ぎ』The Trembling of the Veil (1922年、演劇運動時代の群像劇的な自叙伝)
『自叙伝』The Autobiography of William Butler Yeats (1938年)
『ジョン・シャーマンとドーヤ』John Sherman and Dhoya (1891年、自伝的小説)
『まだらの鳥』The Speckled Bird (生前未刊、1976年。自伝的小説)
「キャスリーン伯爵夫人」The Countess Cathleen (1899年出版, 1911年初演)
「心願の国」The Land of Heart's Desire (1894年初演)
「グラーニアとディアーミッド 」(1901年初演)
「キャスリーン・ニ・フーリハン」Cathleen ni Houlihan (1902年初演)
「デァドラ 」Deirdre 、1907年
「鷹の井戸」At the Hawk's Well (1916年初演)
「骨の夢」(The Dreaming of the Bones)(1919年初演)
「エマー[注 34] のただ一度の嫉妬」The Only Jealousy of Emer (1919年)
「復活」The Resurrection (1927年出版、1934年初演)
『窓ガラスに刻まれた言葉』The Words upon the Window-Pane (1934年)
「クーフリンの死」The Death of Cuchulain (1939年)
イ ェ イ ツ の 死 の 4 年 後 に 、 ジ ョ セ フ ・ ホ ー ン ︵ 英 語 版 ︶ に よ っ て オ フ ィ シ ャ ル な 伝 記 が 書 か れ た 。 イ ェ イ ツ の 活 動 は 多 岐 に 渡 り 、 交 友 関 係 も 広 く 、 膨 大 な 書 簡 が あ り 、 伝 記 の 決 定 版 は 難 航 し 、 2 度 著 名 な 研 究 者 が 着 手 し た が 未 完 に 終 わ り 、 3 度 目 に ロ イ ・ フ ォ ス タ ー ︵ 英 語 版 ︶ に よ っ て 完 成 し た 。 日 本 は 長 く イ ェ イ ツ の 伝 記 が な か っ た が 、 2 0 1 9 年 に 杉 山 寿 美 子 に よ り 日 本 初 の 本 格 的 伝 記 ﹃ 祖 国 と 詩 W ・ B ・ イ ェ イ ツ ﹄ が 出 版 さ れ た 。
Joseph Hone. W. B. Yeats, 1865–1939 . New York: Macmillan Publishers, 1943.
Terence Brown. The Life of W. B. Yeats: A Critical Biography. Oxford: Blackwell, 1999.
Richard Ellmann. Yeats: The Man and the Masks. Rev. ed. London: Penguin, 1988.
R. F. Foster. W. B. Yeats, A Life, I: The Apprentice Mage, 1865–1914. Oxford and New York: Oxford University Press, 1997.
R. F. Foster. W. B. Yeats, A Life, II: The Arch-Poet, 1915–1939. Oxford and New York: Oxford University Press, 2003.
A. N. Jeffares, W. B. Yeats: A New Biography. London: Hutchinson, 1988.
Frank Tuohy. Yeats , Macmillan, 1976.
リチャード・エルマン (英語版 ) 『ダブリンの4人 ワイルド、イェイツ、ジョイス、そしてベケット』大澤正佳 翻訳, 岩波書店, 1993年
日下隆平『イェイツとその周辺』大学教育出版、1999年
杉山寿美子 『アベイ・シアター アイルランド演劇運動 1904-2004』研究社, 2004年
リチャード・エルマン『イェイツをめぐる作家たち ワイルド、ジョイス、パウンド、エリオット、オーデン』小田井勝彦・グレース宮田 翻訳, 彩流社, 2017年
杉山寿美子 『祖国と詩 W・B・イェイツ』 国書刊行会, 2019年。
(一) ^ 16 世 紀 に ヘ ン リ ー 8 世 が 正 式 に ア イ ル ラ ン ド 国 王 と さ れ た 以 降 の 移 住 者 。
(二) ^ 16 世 紀 に ヘ ン リ ー 8 世 が 正 式 に ア イ ル ラ ン ド 国 王 と さ れ た 以 前 の 移 住 者 。
(三) ^ バ ト ラ ー 家 は オ ー ル ド ・ イ ン グ リ ッ シ ュ で 最 も イ ン グ ラ ン ド 的 で 、 バ ト ラ ー と い う 性 は 、 先 祖 が イ ン グ ラ ン ド の プ ラ ン タ ジ ネ ッ ト 朝 の 王 子 の 執 事 だ っ た こ と に ち な む 。
(四) ^ 別 名 ア ン グ ロ ア イ リ ッ シ ュ ・ ア セ ン ダ ン シ ー 。
(五) ^ モ ヒ ニ ・ チ ャ タ ジ ー は 熱 心 な 修 行 僧 で 、 唱 道 の た め に ヨ ー ロ ッ パ 各 地 を 巡 っ た が 、 女 性 の 弟 子 に 取 り 巻 か れ る よ う に な り 、 食 欲 に 取 り つ か れ 、 イ ン ド に 戻 さ れ る と 、 弁 護 士 に な っ て 成 功 し た と い う 。
(六) ^ ア シ ー ン や フ ィ ン ・ マ ッ ク ー ル 率 い る フ ェ ニ ア ン ︵ 戦 士 ︶ た ち フ ィ ア ナ 騎 士 団 に 関 係 す る 物 語 や 詩 フ ィ ニ ア ン ・ サ イ ク ル は 、 ア イ ル ラ ン ド で は 最 も 人 気 が あ り 、 18 世 紀 ま で 次 々 と 新 し い 作 品 が 生 ま れ た が 、 ミ ホ ー ル ・ コ ミ ン の 詩 は そ れ に 連 な る 最 後 の も の で 、 ア シ ー ン を 主 人 公 と し て 断 片 的 に 語 り 伝 え ら れ て き た ﹁ 浦 島 伝 説 ﹂ の 集 大 成 だ っ た 。 こ の 作 品 は 、 フ ィ ニ ア ン ・ サ イ ク ル の 掘 り 起 こ し と 刊 行 の た め に 設 立 さ れ た オ シ ア ン 協 会 ︵ 英 語 版 ︶ の 会 報 誌 に 掲 載 さ れ 、 本 協 会 の 発 表 の 場 は ア イ ル ラ ン ド 文 芸 復 興 の 糸 口 と も な っ た 。 [ 58 ] [ 59 ]
(七) ^ ア シ ー ン は ア イ ル ラ ン ド 伝 説 に 登 場 す る 英 雄 の 一 人 で 、 妖 精 に 導 か れ て 歓 楽 の 国 ・ 恐 怖 の 島 ・ 忘 却 の 島 な ど さ ま ざ ま な 土 地 を め ぐ っ た の ち に 故 郷 へ 戻 る が 、 そ の と き す で に 3 0 0 年 の 月 日 が 経 っ て い た こ と を 知 る 。 ア シ ー ン が 妖 精 の 戒 め を 破 っ て 大 地 に 触 れ る と 、 彼 は た だ ち に 白 髪 の 老 人 に 姿 を 変 え る 。 イ ェ イ ツ の 詩 は 、 こ の 物 語 を 老 い た ア シ ー ン が ア イ ル ラ ン ド で 布 教 し て い た 後 の 守 護 聖 人 パ ト リ ッ ク に 物 語 る 構 成 を 取 っ て お り 、 ア シ ー ン の 放 浪 に 託 し 不 老 の 理 想 郷 へ の 憧 れ が 歌 わ れ て い る [ 64 ] 。
(八) ^ 日 下 隆 平 の 論 文 で は 、 邦 題 表 記 は ﹃ ア イ ル ラ ン ド 農 民 の 妖 精 物 語 と 民 話 集 ﹄ 、 井 村 の 表 記 は ﹃ ア イ ル ラ ン ド 各 地 方 の 妖 精 譚 と 民 話 ﹄ 。
(九) ^ オ リ ヴ ィ ア ・ シ ェ イ ク ス ピ ア 、 モ ー ド ・ ゴ ン 、 オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー は 、 1 9 1 1 年 の 詩 ﹁ 友 人 た ち ﹂ で 、 イ ェ イ ツ の 人 生 に 最 も 影 響 を 与 え た 女 友 達 と し て 歌 わ れ て い る ︵ 。
(十) ^ 隠 し 子 を 病 気 で 亡 く し 失 意 の ど ん 底 に あ っ た モ ー ド ・ ゴ ン は 、 交 霊 会 や ヴ ィ ジ ョ ン 、 あ や し げ な 超 能 力 者 に 救 い を 求 め 、 心 配 し た イ ェ イ ツ は 黄 金 の 夜 明 け 団 に 入 る よ う 説 得 し た 。 彼 女 に と っ て 教 団 の 儀 式 は 興 ざ め で 、 会 員 の ほ と ん ど は ﹁ 英 国 中 産 階 級 の 愚 鈍 の エ ッ セ ン ス ﹂ に し か 見 え ず 、 短 期 間 で 退 会 し 、 イ ェ イ ツ は 落 胆 し た 。 と は い え 、 オ カ ル ト は 二 人 を 結 ぶ 絆 で あ り 続 け た 。
(11) ^ イ ェ イ ツ と エ リ ス は 、 ド イ ツ 神 智 学 協 会 を 設 立 し た オ リ エ ン タ リ ス ト の フ ラ ン ツ ・ ハ ル ト マ ン ︵ 英 語 版 ︶ と 、 ド イ ツ 観 念 論 の 研 究 者 ハ ン ス ・ ラ ッ セ ン ・ マ ー テ ン セ ン ︵ 英 語 版 ︶ の ベ ー メ 解 説 書 を 参 考 に し た 。
(12) ^ フ ー リ ハ ン の 娘 キ ャ ス リ ー ン の 意 。 老 婆 の 姿 で 現 れ た 伝 説 の 女 王 で 、 ア イ ル ラ ン ド と い う 悲 劇 的 な 国 を 擬 人 化 し た 存 在 。 老 婆 の 姿 で 国 を 放 浪 し 、 自 分 の た め に 死 ん で く れ る 若 者 を 見 つ け る と 絶 世 に 美 女 に 変 身 す る と い う 言 い 伝 え を 劇 に し た フ ォ ー ク ・ プ レ イ で 、 当 時 田 舎 で 話 さ れ て い た ゲ ー ル 語 の 構 文 を 残 す 英 語 方 言 に よ る 農 民 劇 で あ る 。 ス ト ー リ ー は イ ェ イ ツ が 見 た 、 ﹁ フ ー リ ハ ン の 娘 キ ャ ス リ ー ン ﹂ へ の 愛 に 託 し た 祖 国 独 立 の 夢 を 基 に し て お り 、 田 舎 の 言 葉 を 聞 い て 育 っ た グ レ ゴ リ ー が 方 言 で 書 い た 。 二 人 の 合 作 で あ る が 、 当 時 は イ ェ イ ツ の 作 品 と さ れ 、 彼 の 名 前 の 方 が 売 れ る と 考 え 彼 女 も そ れ に 同 意 し た 。
(13) ^ 父 親 を 殺 し た 息 子 が 逃 亡 先 で ヒ ー ロ ー に 祭 り 上 げ ら れ る ﹁ 西 の 国 の プ レ イ ボ ー イ ﹂ で は 、 実 際 に は 生 き て い た 父 親 を 殺 そ う と 息 子 が 暴 行 を 加 え る と 、 彼 を 英 雄 視 し て い た 人 々 は ﹁ 威 勢 の い い 話 ︵ 抑 圧 へ の 反 逆 ︶ と 汚 い 行 為 ︵ 暴 力 ︶ に は 大 き な ギ ャ ッ プ が あ る こ と を 思 い 知 ら さ れ ﹂ 警 察 に 突 き 出 そ う と す る 。 杉 山 寿 美 子 に よ る と 、 本 作 に は シ ン グ に よ る 痛 烈 な 風 刺 が 込 め ら れ て お り 、 ナ シ ョ ナ リ ス ト た ち に 対 し 、 彼 ら が イ ン グ ラ ン ド に 対 し 行 動 を 起 こ す 時 が 来 た ら 直 面 す る で あ ろ う 、 モ ラ ル ・ ジ レ ン マ を 突 き つ け た 。
(14) ^ ﹁ 鷹 の 井 戸 ﹂ で は 、 不 死 の 泉 の 水 を 追 い 求 め る 主 人 公 ク ー フ リ ン が 、 泉 を 守 る 神 秘 的 な 娘 ︵ 鷹 の 化 身 ︶ に ま ど わ さ れ て つ い に 望 み を 果 た す こ と が で き な い ま ま 死 地 に お も む く [ 1 5 5 ] 。
(15) ^ モ ー ド ・ ゴ ン と マ ク ブ ラ イ ド は 二 人 と も 気 が 強 く 、 性 格 が 合 わ ず 、 彼 は 家 庭 で の 不 品 行 も あ っ た と さ れ 、 別 居 し 、 息 子 の 親 権 争 い と な り 、 離 婚 手 続 き を 進 め て い た 。
(16) ^ イ ェ イ ツ は 妻 の ジ ョ ー ジ ー と い う 名 前 を 嫌 が り 、 妻 を ﹁ ジ ョ ー ジ ﹂ と 呼 ん だ 。 理 由 と し て は 、 妻 を 詠 ん だ 詩 の 中 で ﹁ ジ ョ ー ジ ﹂ で 韻 を 踏 む た め と い う 推 測 も あ る [ 1 7 0 ] 。
(17) ^ イ ェ イ ツ は イ ザ ル ト に 自 分 が い か に 不 幸 か を 訴 え る 手 紙 を 書 き 、 ジ ョ ー ジ ー は 彼 女 の 返 信 か ら 夫 が 出 し た 手 紙 の こ と を 知 っ た 。
(18) ^ ジ ョ ー ジ ー は 1 9 1 2 年 か ら 交 霊 会 に 参 加 し 、 一 時 神 智 学 協 会 の 分 派 人 智 学 協 会 に 参 加 、 神 秘 学 や 哲 学 の 書 を 読 み 、 西 洋 占 星 術 に 熟 達 し て い た [ 1 7 2 ] 。
(19) ^ ジ ョ ー ジ ー は イ ェ イ ツ の 死 後 、 彼 の 栄 誉 を 保 持 す る た め に 尽 力 し 、 伝 記 の 執 筆 を 積 極 的 に サ ポ ー ト し て お り 、 従 来 の イ ェ イ ツ の 伝 記 で は 、 彼 は ジ ョ ー ジ ー と 結 婚 し て と て も 幸 せ に な り 、 数 日 後 に 妻 の 自 動 筆 記 が 始 ま っ た と さ れ て い た [ 1 7 2 ] 。
(20) ^ ク ア ラ ・ プ レ ス 社 は ケ ル ト 復 興 運 動 で 重 要 な 役 目 を 果 た し て お り 、 イ ェ イ ツ を は じ め 文 芸 復 興 運 動 に 参 画 し た 作 家 の 初 版 本 の ほ と ん ど が こ こ で 発 行 さ れ た [ 1 7 0 ] 。
(21) ^ ﹃ 錦 木 ﹄ で は 僧 の 仏 事 の お か げ で 報 わ れ ぬ 恋 が 終 わ り 男 は 成 仏 す る が 、 ﹁ 骨 の 夢 ﹂ で 亡 霊 た ち は 、 同 胞 た る ア イ ル ラ ン ド 人 が 二 人 を 赦 せ ば 口 づ け を 交 わ す こ と が で き る と 告 げ る が 、 若 者 は 頑 な に 拒 否 し 、 霊 的 な 変 容 が 何 も 起 き な い ま ま 夜 が 明 け 、 幕 が 下 り る 。 こ れ は イ ギ リ ス に 対 し 惑 わ さ れ ず 断 固 拒 否 す べ し と い う ア イ ル ラ ン ド の 取 る べ き 姿 勢 を 描 い た と も 見 え る が 、 同 胞 を 憎 み 赦 し を 頑 な に 拒 否 す る 若 者 の 狭 量 さ 、 硬 直 し た 思 想 が 炙 り 出 さ れ 、 ナ シ ョ ナ リ ス ト に あ り が ち な 、 行 き 過 ぎ た 熱 意 に よ る 視 野 の 狭 さ 、 独 善 性 を 描 い て い る と も い え る 。 英 文 学 者 の 岩 田 美 喜 は 、 イ ェ イ ツ の 革 命 思 想 は ﹁ ︿ 思 想 的 硬 直 に 抗 う こ と ﹀ と ︿ 悔 恨 ︵ r e m o r s e ︶ を 超 克 す る こ と ﹀ ﹂ で あ っ た と 評 し て い る 。 硬 直 し た 考 え に 囚 わ れ 悪 夢 の 繰 り 返 し か ら 抜 け 出 せ な い と い う ﹁ 死 者 が 見 る 夢 の 回 帰 ﹂ の 芝 居 は 、 観 客 が そ う し た 硬 直 性 を 批 判 的 に 鑑 賞 す る こ と を 期 待 し て い る と い う 見 方 も あ る 。
(22) ^ 彼 が オ カ ル ト や 土 俗 信 仰 の 領 域 に 求 め た ﹁ 哲 学 の 一 形 態 ﹂ と は 、 ﹁ 正 当 な 宗 教 に 替 わ っ て 、 神 ・ 宇 宙 ・ 人 の 成 り 立 ち を 解 き 明 か す 体 系 ﹂ で あ り 、 ﹁ 科 学 や 合 理 精 神 、 物 質 偏 重 ︵ マ テ リ ア リ ズ ム ︶ が 支 配 す る 時 代 に 対 抗 す る 、 魂 の 不 滅 や 霊 ︵ ス ピ リ ッ ト ︶ の 世 界 が 存 在 す る ﹃ 証 ﹄ ﹂ で あ り 、 ﹁ 詩 人 の 想 像 力 が 映 し 出 す ﹃ 詩 的 現 実 ﹄ が ﹃ 真 理 ﹄ で あ る こ と の ﹃ 証 ﹄ ﹂ で あ る 。
(23) ^ ハ ク ス リ ー は ダ ー ウ ィ ン の 進 化 論 の 継 承 者 。
(24) ^ テ ィ ン ダ ル は チ ン ダ ル 現 象 の 発 見 な ど で 知 ら れ る 物 理 学 者 。
(25) ^ ア イ ル ラ ン ド 西 部 の 民 話 を 集 め た オ ー ガ ス タ ・ グ レ ゴ リ ー の ﹃ ア イ ル ラ ン ド 西 部 の 幻 想 と 信 仰 ﹄ ︵ 1 9 2 0 年 ︶ に 収 録 。
(26) ^ ﹃ 幻 想 録 ﹄ の タ イ ト ル ペ ー ジ に は イ ェ イ ツ の 名 前 だ け が 載 っ て お り 、 少 な く と も 7 つ の 版 で ジ ョ ー ジ ー が 共 著 者 と し て ク レ ジ ッ ト さ れ た こ と は な い [ 1 7 2 ] 。
(27) ^ 意 志
(28) ^ W i i i の 対 象 物 、 人 間 が な り た い と 希 望 す る そ の も の 、 社 会 的 自 我 。
(29) ^ W i l l の 働 き か け る 知 力 。
(30) ^ C r e a t i v e m i n d の 対 象 と な る 環 境 。 人 間 の 肉 体 な ど 外 界 の 環 境 に 支 配 さ れ る も の 。
(31) ^ i n s t r u c t o r s は 、 イ ェ イ ツ を ゴ ン 母 娘 へ の 執 着 か ら 引 き 離 す よ う に 促 し 、 よ り 健 康 的 な 食 生 活 を 提 案 し た り 、 子 ど も が で き る よ う ジ ョ ー ジ ー の 排 卵 日 を ほ の め か し た り 、 セ ッ ク ス の ア ド バ イ ス を し た り し た [ 1 7 2 ] 。
(32) ^ ス ラ イ ゴ の ギ ル 湖 ︵ 英 語 版 ︶ の 小 さ な 島
(33) ^ レ ッ ド ・ ハ ン ラ ハ ン ︵ 赤 毛 の ハ ン ラ ハ ン ︶ は 、 イ ェ イ ツ の 精 神 的 情 熱 を 象 徴 す る 架 空 の 人 物 。
(34) ^ エ マ ー は ク ー フ ー リ ン の 妻
(一) ^ 井 村 1 9 9 3 .
(二) ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag “ W i l l i a m B u t l e r Y e a t s ” . B r i t a n n i c a . 2 0 2 4 年 3 月 11 日 閲 覧 。
(三) ^ a b 高 松 雄 一 ﹁ イ ェ イ ツ W . B . ﹂ ︵ ﹃ 集 英 社 世 界 文 学 大 事 典 ﹄ 集 英 社 、 1 9 9 8 ︶ ‥ 高 松 雄 一 ﹁ イ ェ ー ツ ﹂ ︵ ﹃ 日 本 大 百 科 全 書 ﹄ 小 学 館 、 2 0 0 1 ︶ ‥ 高 橋 康 也 ﹁ イ ェ ー ツ ﹂ ︵ ﹃ 改 訂 新 版 世 界 大 百 科 事 典 ﹄ 平 凡 社 、 2 0 1 4 ︶ ‥ 田 代 慶 一 郎 ﹁ イ ェ イ ツ ﹂ ︵ ﹃ 新 版 能 ・ 狂 言 事 典 ﹄ 平 凡 社 、 2 0 1 1 ︶
(四) ^ a b c d 杉 山 2 0 1 9 , p . 9 .
(五) ^ a b c 結 城 2 0 1 4 , p . 6 2 .
(六) ^ a b 井 村 1 9 9 3 , p . 2 4 1 .
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