ウィンダミア卿夫人の扇

ウィンダミア卿夫人の扇』(英語: Lady Windermere's Fan, A Play About a Good Woman)は、オスカー・ワイルドによって書かれた4幕構成の喜劇である。1892年2月20日土曜日にロンドンのセントジェームズ劇場にて初演された[1]。この物語は、夫が他の女性と不倫をしているのではないかと疑っているレディ・ウィンダミアを中心にしている。レディ・ウィンダミアはこのことについて夫と対決し、夫は否定するが、妻の誕生日舞踏会に不倫相手だと疑われている女性、アーリン夫人を招待しようとする。夫が不実だと考え怒ったレディ・ウィンダミアは、他の恋人を作って夫のもとを去ることに決める。何が起こったか知ったアーリン夫人はレディ・ウィンダミアを追いかけて夫のもとに戻るよう説得するが、このせいでアーリン夫人は自分の名誉に関わるような状況に追い込まれてしまう。実はアーリン夫人は、芝居開始時点より20年前に家族を捨てたレディ・ウィンダミアの母であった。アーリン夫人は自分の身と評判を犠牲にして娘の結婚を救った。

ウィンダミア卿夫人の扇
Lady Windermere's Fan
作者 オスカー・ワイルド
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
ジャンル 戯曲喜劇
幕数 4幕
発表年 1892年
初出情報
初出 舞台公演
刊本情報
出版元 The Bodley Head
出版年月日 1983年
初演情報
場所 セント・ジェームズ劇場(ロンドン)
初演公開日 1892年2月20日
日本語訳
訳者 厨川圭子西村孝次
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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執筆の経緯

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18913 (Vera; or, The Nihilists)  (The Duchess of Padua)  [2]使[2][3]10[4]1000700021686500[4][5]

2使[6][7]

稿[8]

登場人物

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あらすじ

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第1幕

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第2幕

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2





2



20

第3幕

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ウィンダミア卿夫人は一人でダーリントン卿の部屋にいる。彼女は自分が正しい決断をしたのか確信が持てず、結局は夫の元に戻ろうと思っている。しかし、ここでアーリン夫人が登場する。アーリン夫人は夫の元に戻るよう懸命に説得するが、ウィンダミア卿夫人はこれもアーリン夫人とウィンダミア卿のなんらかの陰謀だろうと確信し、聞く耳を持たない。しかし最終的にアーリン夫人が、ウィンダミア卿夫人の小さな子供のためにも戻ってほしいと懇願したことで彼女の抵抗を打ち破り、説得に成功する。彼女たちがダーリントン卿の部屋を出ようとしたその時、ダーリントン卿とその友人らが入ってくる音が聞こえ、とっさに2人は身を隠す。ウィンダミア卿とオーガスタス卿を含めた男性たちは、ジェントルマンズ・クラブを閉店時間に追い出され、女性、主にアーリン夫人について話している。そのうちの一人が、テーブルに置かれた扇(ウィンダミア卿夫人のもの)に気づき、ダーリントン卿のもとに今現在、女性が来ているのではないかと思う。 ウィンダミア卿は立ち上がった時、扇に注意を促されたことですぐに妻のものであることに気が付く。ウィンダミア卿はダーリントン卿に、彼女が隠れているなら教えるよう求めるが、彼女が自分のもとに来てくれたと確信したダーリントン卿はそれを拒む。ウィンダミア卿が夫人たちの隠れている場所を発見しようとしていたその瞬間、アーリン夫人がウィンダミア卿夫人の身代わりとなって姿を現す。その場にいた男性たちはみな衝撃を受け、その間にウィンダミア卿夫人は気づかれることなくそっと立ち去る。

第4幕

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使




上演

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初演

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セント・ジェームズ劇場での初演では、マリオン・テリーがアーリン夫人を、ウィニフレッド・エメリーがウィンダミア卿夫人を演じた。初演の最後に、ワイルドは悪名高いスピーチを行った。「作者を!」という声にこたえて、ワイルドは第3幕の後にカーテンの前に姿を現し、役者の演技を褒め、「あなた方の演技のおかげで、私自身とほとんど同じくらいあなた方がこの芝居を高く評価されていると思えるようになりましたよ[9]」と人を食ったスピーチをした。

ブロードウェイでの初演は1893年2月5日にパーマーズ劇場で行われた。この上演ではのちに舞台と映画両方で活躍する女優のジュリア・アーサーがウィンダミア卿夫人を演じ、デビュー作となった。

テーマ

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[10]調[11]

[12]

翻案

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イギリス映画『ウィンダミア卿夫人の扇』(1916年)の広告、1919年のアメリカ公開に際して出されたもの。Moving Picture World、1919年6月7日、p. 1422。

この戯曲にもとづいて多数の映画やテレビ版、ミュージカルなどが作られている。

映画

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1916 (Lady Windermere's Fan)

1924()[13]

19252002簿

1939

1948

1949(The Fan)

2004 (A Good Woman) 1930

テレビ

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  • BBCは『シアター・ナイト』シリーズの一部としてテレビ版を制作しており、イギリスでは1985年に初放映された。このプロダクションにはヘレナ・リトル、ティム・ウッドワード、ステファニー・ターナー、ケネス・クラナムが出演している。DVDが The Oscar Wilde Collection に収録されている。
  • 2009年にアイルランドのテレビ制作会社Accomplice TVがアイルランド放送委員会とTV3から補助金を受け、南ダブリンを舞台にした原作戯曲の現代版を制作した。『ローラ・ウィンダミアのバッグ』 (Laura Windermere's Bag) は2009年にTV3で放送された[14]

ミュージカル

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刊行されている版

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原著

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  • Wilde, Oscar. Lady Windermere's Fan (1st ed.). London: The Bodley Head. 1893.
  • Wilde, Oscar. Lady Windermere's Fan. published in The Importance of Being Earnest and Other Plays. London: Penguin, 1940. ISBN 0-14-048209-1.
  • Wilde, Oscar. Lady Windermere's Fan. London: Nick Hern Books, 2005. ISBN 978-1-85459-771-7

日本語訳

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1919

1952

西1953

1976

脚注

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(一)^ Lady Windermere's Fan. 2017427

(二)^ abEllmann (1988:314)

(三)^ Harris, Frank (1941). Oscar Wilde: His Life & Confessions. New York: Blue Ribbon 

(四)^ abEllmann (1988:315)

(五)^ Clark, Gregory (2024). "The Annual RPI and Average Earnings for Britain, 1209 to Present (New Series)". MeasuringWorth (). 2024531

(六)^ Raby (1997:146)

(七)^ Raby (1997:144)

(八)^ Finding Aid for the Oscar Wilde and his Literary Circle Collection: Manuscripts and Miscellaneous Materials. Online Archive of California. 2017629

(九)^ Ellmann (1988:344345)

(十)^ Raby (1997:145)

(11)^ Raby (1997:147)

(12)^ Fortunato, Paul (2004). "Lady Windermere's Fan": Modernist Aesthetics Meets the Aesthetics of Fashion. University of Illinois at Chicago. 

(13)^ Hsiung, Yuwen: Expressionism and its Deformation in Contemporary Chinese Theater, 2007 PhD dissertation, Purdue University

(14)^ IFTN.ie

参考文献

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  • Ellmann, Richard (1988). Oscar Wilde. New York: Vintage Books. ISBN 978-0-394-75984-5 
  • Raby, Peter, ed (1997). The Cambridge Companion to Oscar Wilde. London: Cambridge University Press. ISBN 0-521-47987-8 

外部リンク

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