ジェントリgentry)は、イギリスにおける下級地主層の総称。郷紳(きょうしん)と訳される。

概要

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地主貴族層の形成

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社会的地位と流動性

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: noblesse oblige  

168貿

企業家としてのジェントリ

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ジェントリは元来、封建領主として領地運営を本分とし、商業活動には積極的に関わらないとされてきたが、16世紀・17世紀以降の社会の発展・変化に伴って徐々に商業活動に関わっていくようになった。産業革命に必要な資本を蓄積したと言われる毛織物産業の推進役となったのも、彼らジェントリたちである。16世紀・17世紀頃のイングランドでは、毛織物産業の中心は輸出用半完成品(「旧毛織物」)から「新毛織物」といわれる薄手の完成品に移り変わっており、また南ネーデルラント諸州から新教徒が多数亡命してきたこと(ネーデルラント連邦共和国独立の際に南ネーデルラント諸州がスペイン領へ残存したため)を受けて、輸入に頼っていた奢侈品などの国産も開始されようとしていた。これらの「実験企業」の活動は、ジェントリたちの指導によって進められた。

17世紀末から18世紀初頭にかけて、小規模な地主が没落して大地主がより興隆するというジェントリの二極分化が起こったが、これは自由貿易や産業の発展が急速に進んでいく中、本来の農業経営だけでは立ち行かず、社会の変化に対応した「資本家的」な経営に順応できたか否かによって明暗が分かれたとする見方がある。これには、一族が中央で有利な官職を得られたか否かによって明暗が分かれた等、他の観点からの反論もあり、いまだ結論は出ていない。いずれにせよ、この頃よりジェントリは「資本主義的」経営への適応を見せており、このジェントリ層の企業家的傾向はイギリスにおいて産業革命が発生した要因の一つとなっている。

参考文献

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  • L.コリー 『イギリス国民の誕生』 名古屋大学出版会、2000年
  • A.ブリッグズ 『イングランド社会史』 筑摩書房、2004年
  • 村岡健次、川北稔編著 『イギリス近代史』 ミネルヴァ書房、2003年
  • 望田幸男他編 『西洋近現代史研究入門』 名古屋大学出版会、1999年

関連項目

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