ダーツ
ダーツ(darts)は、射的競技の一種である。また、その競技で使われる矢のこと。近年、日本ではダーツバーなどが増え手軽に楽しめるゲーム性のあるスポーツとしても楽しまれている。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fb/Darts_in_a_dartboard.jpg/300px-Darts_in_a_dartboard.jpg)
概要
編集ダーツとは、ダーツボードと呼ばれる30–40 cmの円形の的に、一定の距離から手投げの矢(ダート(dart)、複数形がダーツ(darts))を投げ、得られた得点により優劣を競う射的競技である。ポイントと呼ばれる鏃(矢尻=やじり)に金属を用いたスティール・ティップ・ダーツまたはハードダーツ (Steel Tip Darts) と、プラスチックなどの比較的やわらかい素材を使うことで安全性を高めたソフトダーツ (Soft Tip Darts) があり、スティール・ティップ・ダーツでは236.855 cm、ソフトダーツでは243.84 cm離れたところから投げる。ボードの狙った場所にダーツを命中させる技能性だけでなく、ゲームルールによっては戦略性をも要求され、精神的な要因に結果が大きく左右される、デリケートな一面を有するスポーツである。 なお、スティール・ティップ・ダーツとソフトダーツは鏃の違いのみならず、ボードサイズやゲームルールにも若干の差異が存在している。
歴史
編集スティール・ティップ・ダーツとソフトダーツの違い
編集スティール・ティップ・ダーツとソフトダーツの最大の違いはもちろん、鏃部分が金属製かプラスチック製かという違いである。
他の違いとしてはボードサイズがスティール・ティップ・ダーツの英国公式サイズでは13.2インチ(33.528 cm)であるのに対して、ソフトダーツでは15.5インチ(39.37 cm)であることが挙げられる。ただし、日本におけるスティール・ティップ・ダーツの公式サイズは34 cmであり[1]、またソフトダーツでも家庭用ではスティール・ティップ・ダーツサイズのボードが使われるなど、そこまで厳密に区別はされていない。
このほか、スロウラインと呼ばれる、矢を投げる為に足が越えてはならないラインから的までの距離がスティール・ティップ・ダーツは237 cmであるのに対してソフトダーツは244 cmであるという違いや、一部のゲームにおいてルールが微妙に変わったり、エレクトリックダーツのコンピュータによる計算能力に依存しているため、スティール・ティップ・ダーツでは行われないゲームがあるなどの違いがある。
道具
編集ダーツ
編集ダーツの構造は矢先方向より、ポイント、バレル、シャフト、フライトに分割される。これらのパーツはそれぞれ交換可能であることが多い。
ポイント
編集ポイントとはダーツの先端であり、矢でいうところの鏃(矢尻=やじり)にあたる。
スティール・ティップ・ダーツでは金属製であり、ソフトの逆と言うことでハードダーツと呼ばれることもある。 スティール・ティップ・ダーツで用いられるティップは元々交換ができないか、専用の機材が必要なものが多い。
ソフトダーツではプラスティック製であり、ティップと呼ばれることも多い。ティップは的に当たった際に折れたり、強く変形したりする消耗品である。また、種類も豊富であり、硬さや粘り強さ、長さなどがメーカーごと、種類ごとによって違う。また、近年ソフトダーツの先端だけを金属製にすることでスティール・ティップ・ダーツに対応できるようにした、コンバージョンポイントという金属製ポイントも出てきている。この他に、ティップとバレルのネジの雌雄を逆転させ、より重心が前よりでスティール・ティップ・ダーツの感覚に似せようとした、4BA規格と呼ばれる規格のソフトダーツが市販されている(通常のソフトダーツのティップは2BA規格と呼ばれる。ティップのネジ部の外径は4.7 mm)。また2013年末にはダーツメーカーのMonster Barrels DesignとL-Styleの共同開発で、2BA規格よりもネジ部の外径が1.6 mm細く、バレルをより細くすることが可能なNo.5という規格が登場した。
バレル
編集シャフト
編集フライト
編集ダーツボード
編集得点
編集ブル
編集ダーツマシン
編集一定以上の高得点を得たり難易度の高いエリアにダーツを複数刺すなど、高得点のスローをアワードとして区別し特別な演出が設けられているものがある[3]。ただしアワードを得てもゲーム上の利得は無い。ソフトダーツマシンなどでは、個人のカードに累計のアワード数を記録しておけるものもある。
基本動作
編集ダーツは様々なゲームが存在するが大半のゲームでは基本動作は共通している。
プレイヤーは3本のダーツを持ってスロウイングラインに立ち、ダーツをボードに向かって投じる。ダーツを投じた後、ボードに刺さらなくても投げなおしはできない。ただし、スロウイングラインに立った後、スロウイングの流れの中で腕を伸ばした状態で投じたものについては投げたものとみなされるが、腕を伸ばした状態になる前に誤って落とした場合にはこれを拾って投げなおすことができる[9]。
3本のダーツを投げ終えた後、エレクトリックボードであればそのまま引き抜き、次のプレイヤーに交代する。この際、ボタンを押すなど、何らかの操作が必要な場合が多い。ブリッスルボードなど、自動計算機能がついていないボードであれば、自分の点をコールした後、ダーツを抜かなければならない。コールするのはプレイヤー自身であることが多いが、大会などでは公正を期すため、コールを行うコーラー(レフェリー)がつく場合もある。この場合、コーラーがコールするのを待ってダーツを引き抜き、交代する。この3本のダーツを投じることを1スロウという[10][注 2]。
1ゲームは数人で行うが、全員がダーツ3本を投じ終え、1巡した時点で1ラウンドが終了する。これを規定ラウンド数、またはゲームによっては終了条件を満たすまで繰り返し、最終的に最も早く(遅く)終了条件を満たしたプレイヤーまたは最も得点が多い(少ない)プレイヤーが勝利する。
ゲーム
編集ダーツでは以上の基本的な動きによって得点を獲得するが、どのように得点し、どのようにすれば勝利するのかということはゲームによって違う。ゲームによっては得点に条件がついている場合もあり、同じ動作をしながらまったく別の競技となる場合もある。また、スティール・ティップ・ダーツ、ソフトダーツでゲームは分けられてはいないが、エレクトリックボードの計算機能に頼ったゲームはスティール・ティップ・ダーツでは実質的に行えないことがある。
また、ダーツのゲームは数百にも上るとされており[11]、ここに挙げたゲームはあくまで一例である。
501ゲーム/01ゲーム
編集クリケット(Cricket)
編集特定の数字に先にどれだけダーツを入れたかで競う、いわゆる陣取りゲームである。チェイス(Chase)、ミッキーマウス(Mickey Mouse)という別名もある。
カウント・アップ(Count Up)
編集自分のスロウごとに得点を加算していき、8ラウンドの合計得点を競う最も単純なゲームである。1ゲームで24本投げるので、最高得点は1440点となる。
ラウンド・ザ・クロック(Round The Clock)
編集ハーフ・イット(Half It)
編集得点等に関する用語
編集- 9ダート・フィニッシュ( Nine-dart finish)
- 「9ダーツ(nine-darter)」とも(ただし、通常英語においてnine dartsだけでは、パーフェクトゲームを意味しない)。Double Outの501ゲームにおいて、最短手順となる9投(3ラウンド)でゲームをフィニッシュさせるパーフェクトゲームを意味する。大規模な大会になると優勝賞金とは別に達成者に対する賞金が設定されていることが多い。
派生競技
編集主なダーツプレイヤー
編集この節に雑多な内容が羅列されています。 |
男子
編集女子
編集- トリナ・ガリバー
- ステイシー・ブランバーグ
- リサ・アシュトン
- 鈴木未来
- 大内麻由美
- 谷川ゆかり
- 滝沢あさひ
- 岩永美保
- 保土田真理
- 松本恵
- 宮本奈実
- 檜山亜紗子
- 大久保亜由美
- 長澤くみこ
- 降矢薫
- 浅野ゆかり
- 星野理絵
- 佐々木紗綾香
- 森田真結子
- 坂口優希恵
日本人プレイヤーの記録
編集歴代のPDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップ出場者
編集年度 | 会場 | 出場選手 | 選手数 | 結果 | 日本人記録(テレビ中継中) |
---|---|---|---|---|---|
2004 (第11回) |
サーカス・タバーン | サノトオル | 48 | ラスト48 | WDC初参戦 |
2005 (第12回) |
サーカス・タバーン | マツナガヤスヒコ | 48 | ラスト48 | |
2006 (第13回) |
サーカス・タバーン | マツナガヤスヒコ | 64 | ラスト64 | |
2007 (第14回) |
サーカス・タバーン | ワダテツヤ | 64 | ラスト64 | |
2008 (第15回) |
アレクサンドラ・パレス | 永川明広 | 68 | ラスト68 | |
2009 (第16回) |
アレクサンドラ・パレス | 永川明広 | 70 | ラスト70 | |
2010 (第17回) |
アレクサンドラ・パレス | 村松治樹 | 72 | ラスト64 | WDCでの初勝利 テレビ中継中での初勝利 |
2011 (第18回) |
アレクサンドラ・パレス | 橋本守容 | 72 | ラスト64 | |
2012 (第19回) |
アレクサンドラ・パレス | 村松治樹 | 72 | ラスト64 | 初の対戦平均値90以上 |
2013 (第20回) |
アレクサンドラ・パレス | 村松治樹 | 72 | ラスト64 | |
2014 (第21回) |
アレクサンドラ・パレス | 橋本守容 | 72 | ラスト72 | |
2015 (第22回) |
アレクサンドラ・パレス | 村松治樹 | 72 | ラスト72 | |
2016 (第23回) |
アレクサンドラ・パレス | 小野恵太 | 72 | ラスト64 | |
2017 (第24回) |
アレクサンドラ・パレス | 知野真澄 | 72 | ラスト72 | |
2018 (第25回) |
アレクサンドラ・パレス | 浅田斉吾 | 72 | ラスト64 | |
2019 (第26回) |
アレクサンドラ・パレス | 浅田斉吾 | 96 | ラスト64 | |
2020 (第27回) |
アレクサンドラ・パレス | 浅田斉吾 | 96 | ラスト32 | 初のラスト32進出 |
山田勇樹 | ラスト64 | ||||
鈴木未来 | ラスト96 | 女性として初の出場 | |||
2021 (第28回) |
アレクサンドラ・パレス | エドワード・フォークス | 96 | ラスト64 | |
鈴木亨 | ラスト96 | ||||
2022 (第29回) |
アレクサンドラ・パレス | 柴田豊和 | 96 | ラスト96 | |
山田勇樹 | ラスト96 | ||||
2023 (第30回) |
アレクサンドラ・パレス | 鈴木亨 | 96 | ラスト96 | |
山本信博 | ラスト96 | ||||
2024 (第31回) |
アレクサンドラ・パレス | 後藤智也 | 96 | ラスト64 | |
村松治樹 | ラスト96 | ||||
鈴木未来 | ラスト96 |
歴代のPDC ワールド・カップ代表
編集歴代のPDC ワールド・カップ日本代表は、以下の通りである[14]。
年度 | 開催地 | 出場選手 | 国数 | 結果 | 日本人記録(テレビ中継中) |
---|---|---|---|---|---|
2010 (第1回) |
イングランド タイン・アンド・ウィア |
村松治樹 谷内太郎 |
24 | ラスト24 | 初参戦 |
2012 (第2回) |
ドイツ ハンブルク |
村松治樹 橋本守容 |
24 | ラスト24 | |
2013[15] (第3回) |
ドイツ ハンブルク |
村松治樹 勝見翔 |
24 | 準々決勝 | 初勝利、初準々決勝出場 初の対戦平均値100以上(村松) PDC OoM2位のワールド・チャンピオン経験者(2回)に初勝利(勝見) |
2014 (第4回) |
ドイツ ハンブルク |
村松治樹 橋本守容 |
32 | ラスト16 | |
2015 (第5回) |
ドイツ フランクフルト |
村松治樹 橋本守容 |
32 | ラスト16 | |
2016 (第6回) |
ドイツ フランクフルト |
村松治樹 小野恵太 |
32 | ラスト32 | |
2017 (第7回) |
ドイツ フランクフルト |
村松治樹 山田勇樹 |
32 | ラスト32 | |
2018 (第8回) |
ドイツ フランクフルト |
村松治樹 浅田斉吾 |
32 | 準々決勝 | |
2019 (第9回) |
ドイツ ハンブルク |
村松治樹 浅田斉吾 |
32 | 準決勝 | 初準決勝出場 |
2020 (第10回) |
オーストリア ザルツブルク |
浅田斉吾 山田勇樹 |
32 | ラスト32 | |
2021 (第11回) |
ドイツ イエナ |
松田純 馬場喜久 |
32 | ラスト16 | |
2022 (第12回) |
ドイツ フランクフルト |
鈴木亨 後藤智也 |
32 | ラスト32 | |
2023 (第13回) |
ドイツ フランクフルト |
松田純 後藤智也 |
40 | グループステージ |
歴代のWDFワールドカップ代表
編集年度 | 開催地 | 出場選手[16] |
---|---|---|
1977年(第1回) | イギリス/ロンドン | 江崎亨億、三笠雅司、加藤邦男、ボブ・パーカ |
1979年(第2回) | アメリカ/ラスベガス | 江崎亨億、青柳保之、小宮久雄、岡田信夫 |
1981年(第3回) | ニュージーランド/ネルソン | 江崎亨億、小宮久雄、岡田信夫、宮原時雄 |
1983年(第4回) | スコットランド/エジンバラ | 小宮久雄、谷田孝夫、渡部紘士、山本浩一郎、岡田あおい、佐々雪絵 |
1985年(第5回) | オーストラリア/ブリスベン | 谷田孝夫、キース・ワダップス、渡部紘士、小松原満、小山陽子、岡田あおい |
1987年(第6回) | デンマーク/コペンハーゲン | 渡部紘士、雄也エバンス、ルーベン・ロペス、上総昌記、小野聡子、岡田あおい |
1989年(第7回) | カナダ/トロント | 渡部紘士、谷田孝夫、雄也エバンス、ルーベン・ロペス、小野聡子、野村律子 |
1991年(第8回) | オランダ/ザンフォルツ | 渡部紘士、雄也エバンス、佐野徹、矢部菊一、岡田あおい、野村律子 |
1993年(第9回) | アメリカ/ラスベガス | 渡部紘士、金子敏明、矢部菊一、佐野徹、小山陽子、佐藤由恵 |
1995年(第10回) | スイス/ベイズル | 佐野徹、小森エイジ、佐藤雅保、矢部菊一、西川ゆかり、野村律子 |
1997年(第11回) | オーストラリア/パース | 渡部紘士、小泉武夫、雄也エバンス、中野たかし、西川ゆかり、野村律子 |
1999年(第12回) | 南アフリカ/ダーバン | 渡部紘士、小野寺貞義、鈴木浩、小野勝康、小泉みどり、小野文枝 |
2001年(第13回) | マレーシア | 渡部紘士、平賀正弘、小野勝康、大久保重徳、西川ゆかり、小野文枝 |
2003年(第14回) | フランス | 渡部紘士、篠原直樹、綱嶋良信、竹山大輔、西川ゆかり、吉賀順子 |
2005年(第15回) | 西オーストラリア | 渡部紘士、竹山大輔、佐藤哲行、谷内太郎、西川ゆかり、大内麻由美 |
2007年(第16回) | オランダ | 青木宏至、上総昌記、谷内太郎、木下望、大内麻由美、西川ゆかり |
2009年(第17回) | アメリカ/シャーロット | 竹内淳、赤松大輔、谷内太郎、青木宏至、大内麻由美、浅野ゆかり |
2011年(第18回) | アイルランド/キャッスルバー | 清水浩明、佃賢吾、後藤卓也、石田博生、大内真由美、大久保亜由美 |
2013年(第19回) | カナダ/セント・ジョン | 饗場克也、 清水浩明、浅田斉吾、佐藤敬治、清水希世、郡司玉緒 |
2015年(第20回) | トルコ/アンタルヤ | 国政情勢を考慮して派遣中止 |
2017年(第21回) | 日本/神戸 |
ショー・ビジネス等での使用
編集- 関口宏の東京フレンドパークII - ビッグチャレンジにダーツを採用
- 1億人の大質問!?笑ってコラえて! - ダーツで取材先を決める「日本全国ダーツの旅」という企画がある
- ぐるぐるナインティナイン - グルメチキンレース・ゴチになります!12にダーツを採用
- 土井成樹 - DRAGON GATEのプロレスラー。自作の「土井ダーツ」を持ち込みマッチメイクに使用。