フィルム英語: film、plastic film)は、一般に合成樹脂などの高分子成分などを薄い状に成型したものを指す。

フィルム

定義

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使使便



使使

[1]使





200µm[2] JIS10250µm100200µm



使







使

主な製造方法

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溶融押出成型法(extrusion molding)

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熱可塑性樹脂をフィルム化する一般的な方法。合成樹脂の射出成型法と同じくシリンダー内で加熱しスクリューで加圧した溶融状態の樹脂を、押出金型の吐出口(リップ)から押し出し、冷却工程を経て成型する。金型の形状や冷却方法などにより細分類される。

インフレーション法(inflation)

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2~3調調




Tダイ法(T-die、フラットダイ法)

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Tダイ法の概略
押出機の先端にTダイと呼ばれる直線状のリップを持つ金型を設置し、平たく材料を押し出して連続的に成型する。Tダイの基本構造は片面に刻まれたT字型の溝を向かい合わせ二枚重ねたもので、T字の縦棒にあたる部分の先端部から溶融した樹脂を投入し、横棒にあたるマニホールドを介して樹脂がダイ両端まで広がり、リップの空隙からフィルム状に吐出される。フィルムは鏡面処理された冷却ローラー(チルドロール)を通して冷却し、最終的に巻き取られるまでの過程で端部の切り落としなどを行いフィルムの幅を調整する。冷却にはチルドロールの代わりに水槽を用いる製造法もある。
フィルムの厚みをリップの開口幅やチョークと呼ばれる弁の調整でコントロールすることが容易であり、生産性が高い。ただし、延伸などの別工程を経なければ、フィルムの最大幅はダイのリップ長までに限定される。また、押し出し方向と垂直方向との物性差が生じやすい。

溶液流延法(solution casting)

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カレンダー法(calendaring)

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カレンダー法(L型)の概略

使45LZ2沿調

調

延伸

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多層加工法

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共押出法(co-extrusion)

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使



3

便使

T

2

使

T使調T

ラミネート法(lamination)

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2



T使T[3]

使

使使



使使


ヒートシール(heat sealing)

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使






表面処理

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JIS K 6843-3:1999




コーティング(coating)

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フィルムに特定の機能を持つ層を付着させる手法。

ウエット・コーティング

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調





調

使

ドライ・コーティング

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湿,MgF2








コンパウンド

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使

二次加工

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使




素材別フィルム概要

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IO

使使

PE

(HDPE)(MDPE)(LDPE)(L-LPDE)(mL-LDPE)5使HDPE使T使L-LDPELDPEHDPE

PVC

(PVC)使

PVDC

(PVDC)湿使

PVA

(PVA)使2使



PP

(PP)湿PE

CPPIPP

OPP使1988200使PVDC湿KKOP



PETPEN使PVDCKKPET



PC

(PC)使

PS

(PS)湿使

PAN

(PAN)湿使

EVAEthylene-vinyl acetate

使使

EVOH

EVAPE使

EMAA



NYPA

(PA)6CNCNyONONyPVDCKKON



使使3[4] 

包装用フィルム

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文字通りいろいろなものを包むためのフィルムを包括して定義する。ごみ袋に代表されるようにあらかじめ袋状に成型されたものが多いが、食品用ラップフィルムや梱包用フィルムなどロール状のまま提供されるものも含まれる。冷凍食品やレトルトの多様化など、食品包装分野などを中心に使用されるフィルムには複数の機能が同時に求められるケースが普通となり、それらに対応するために多層化されたものがほとんどとなっている。以下、包装材料の用途と多層構造の対比例を表に纏める。

フィルムの多層構成 主な用途 性能
OPP/PE、OPP/EVA、OPP/L-LDPE 砂糖などの粉体、菓子、冷凍食品など ○防湿性・酸素透過性・低コスト
OPP/CPP ラーメンなど乾燥食品、繊維製品や雑貨など ○透明性・防湿性、×酸素バリア性、耐衝撃性
OPP/EVOH/PE、OPP/PVA/PE けずり節パック、粉末食品、お茶の葉など ○酸素バリア性
OPP/AL/PE 医薬品など ○ガスバリア性・防湿性・光遮断性
OPP/PE/VM/PET/PE/CPP ポテトチップスなど ○ガスバリア性・防湿性・光遮断性
OPP/VM/CPP ポテトチップス、アイスキャンディーなど ○防湿性、×ガスバリア性
KOP/PE、KOP/EVA、KOP/L-LDPE 真空ボイル包装、ガス充填包装など ○防湿性・ガスバリア性
KOP/CPP 乾燥食品、ガス充填包装など ○防湿性・ガスバリア性・透明性
PET/PE、PET/EVA、PET/L-LDPE レトルト食品、冷凍食品、薬品など ○耐熱耐寒性・保香性、×耐アルカリ性
PET/CPP 水物の蓋など ○耐熱性、×耐衝撃性
KPET/PE、KPET/EVA、KPET/L-LDPE、KPET/CPP ガス充填包装、漬物ふりかけなど ○耐熱耐寒性・保香性
ON/PE、ON/EVA、ON/L-LDPE 液体食品、透明レトルトなど ○耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性
ON/CPP 透明レトルトパウチなど ○耐熱耐寒性・耐ピンホール性・耐衝撃性・透明性
KON/PE、KON/CPP 袋、ハムソーセージなど ○防湿性・ガスバリア性・耐衝撃性
PET/VM/PET/PE、PET/VM/PET/EVA コーヒー豆など ○耐熱性・ガスバリア性・防湿性・遮光性
PET/AL/PET/L-LDPE 米袋など重量物 ○耐熱性・ガスバリア性・防湿性・遮光性・強度
PET/AL/PE、PET/AL/CPP 海苔羊羹、お茶の葉、薬品など ○防湿性・ガスバリア性・遮光性
PET/AL/CPP カレーのレトルトなど ○防湿性・ガスバリア性・遮光性・耐熱性
PET/PAN 薬品、食用油、食品など ○耐薬品性・保香性

注)AL:アルミラミネート、VM:アルミ蒸着

写真フィルム

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映像記録用メディアとして静止画像を撮影記録するためのフィルムの総称。開発当初はニトロセルロース(NC)を基材として製造されていたが、耐燃性向上のために酢酸セルロースの一種であるトリアセチルセルロース(TAC)に切り替わった。デジタルカメラの普及により生産量は激減しているが、医療レントゲンなどの分野では依然として安定した需要がある。

映画用フィルム

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使[5][6]

 (DAC) (TAC)PETVTR



使



使1990PET使穿[7]



使使

光学フィルム

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光線を透過または反射吸収し、様々な効果を与えることを目的としたフィルムを「光学フィルム」と分類する。その使用目的から、厚みなど光学特性に影響を与えうる寸法精度や、異物の混入排除などに対する要求スペックが高く、クリーンルームなど製造環境や方法および検査機器・手法などについて高い精度が求められている。

フラットディスプレイパネル用光学フィルム

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LCDPDPFDP

FDPLCDFDP使3237LCD401,500mm2,000mm

11

LCDPDP

 - AG100µmPETTAC使

LCD

LCDPI使LCD

LCD

LCD2使T12T22T3PVA23

LCD

PETTAC

LCD

1湿PC(LCP)(COP)使

LCD

LCDTFTWVTAC

LCD

LCDPETLCPNY使

PDP

 - NIR

その他の光学フィルム

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使PET



PDP調調[8] 調

使

(OLPF)

CCDOLPF1mm使



PET



NIMASO2020iPhone

PET

機能性フィルム

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アリアンツ・アレーナ





使PVCPC(ETFE)使





ATMIC使



使FPCFCCLPI使LCPPETPEN

(PEEK)20







使使

PET(TPX)使使

湿湿PET使





PETNIMASO[]



PUTPET

調PVA使

DFRPPPET使



使 PPPET



PETULNo.972-1984PVB

FG



使使



EVAPUPENY



使2PEPU使使使



使PLA



PSPE使



使



湿

特性

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:ml/m2dayMpafmol/(m2sPa)JIS K-7126ASTM D1434-82



湿

:g/m2day40,90%RHJIS Z-0208JIS K-7107ASTM E96-94



PETPC

製品リスク

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カール
フィルムが反り、またはひとりでに巻いた状態になる現象。多層フィルムや剥離ライナーと貼り合わせたフィルムでは成型後の各材料に残留した応力や熱収縮の差異で生じやすい。これらを予防するには製造時の張力(テンション)を調整して対応する。また、単体でも吸湿などによりカールが生じることがある。また、キャスティング機の温度設定でもカールの極性を変化させることができる。
ピンホール
フィルムに角や突起を当てたり、折り曲げたり摩擦させたりするなどの外的な力が加わると生じる微細な穴。
ブロッキング(Blocking)
ロール状で保管されているフィルムの層が固まってしまうトラブル。経時変化や劣悪な保管状況などにより発生することがある。

取引単位

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嗹(れん)
包装フィルム業界で使われる独特の単位。面積500 m2を1嗹とし、基本的にフィルムの幅を問わない。

脚注

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(一)^ .   . 2008522

(二)^ 

(三)^ . . 202216

(四)^ CNET Japan. . 2008522

(五)^ FUJIFILM |  |  | . 2008522

(六)^  . 2008522

(七)^ . No.16. 2008522

(八)^ IP. BPnet. 2008522

参考文献

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1990OCLC 673669699:91039804 

 : 使調︿K books series1995ISBN 4-7693-4094-X 

21983ISBN 4-526-01573-3 

関連項目

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外部リンク

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