ミニ新幹線

新幹線規格の線路を新規に建設することなく、既存の在来線を改軌して新幹線路線と直通運転できるようにする、日本の鉄道高速化手法のひとつ

ミニ新幹線(ミニしんかんせん)は、新幹線規格(フル規格)の線路を新規に建設することなく、既存の在来線改軌した上で新幹線路線と直通運転新在直通運転という)できるようにした方式で[1]鉄道高速化の一手段である。

初のミニ新幹線車両として開発された400系

概要

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1983581010198661[2][3]1981TGV[4][5]198762 - [3]

[6]

60[7]

[1]



年表

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  • 1981年9月27日 - フランス国鉄SNCFが新在直通高速鉄道TGVを開業させる
  • 1983年(昭和58年)10月10日 - 日本国有鉄道内で検討を開始
  • 1986年(昭和61年) - 運輸省が検討を開始
  • 1987年(昭和62年)
    • 4月1日 - 国鉄分割民営化
    • 月日不明 - 山形新幹線(福島 - 山形間)がモデル線区に選定
  • 1988年(昭和63年)
    • 4月 - 4月山形県とJR東日本等が山形新幹線向けリース会社山形ジェイアール直行特急保有株式会社を設立
    • 8月 - 大蔵省主計官の整備新幹線建設非難を発端とする膠着状態に対し、運輸省がフル規格新幹線、ミニ新幹線、スーパー特急の組み合わせで打開
  • 1990年(平成2年)- 山形新幹線向け車両400系試作車落成
  • 1991年(平成3年)9月29日 - 400系、上越新幹線内にて高速度試験を実施。345km/hを記録
  • 1992年(平成4年)- 400系量産車落成
  • 1992年(平成4年)7月1日 - 山形新幹線(東京駅-山形駅)開業
  • 1995年(平成7年)
    • 月日不明 - 400系、6両編成から1両増結し7両編成化
    • 5月16日 - 秋田県とJR東日本が秋田新幹線向けリース会社秋田新幹線車両保有株式会社を設立
  • 1995年(平成7年)- E3系量産先行車落成
  • 1996年(平成8年)- E3系量産車が落成
  • 1997年(平成9年)3月22日 - 秋田新幹線(東京駅-秋田駅)開業
  • 1999年(平成11年)12月4日 - 山形新幹線新庄延伸(東京駅-新庄駅)開業
  • 2001年(平成13年) - E3系ベースに設計された電気・軌道総合検測車E926形製造
  • 2006年(平成18年)3月 - 新幹線直行特急用高速試験電車E955形落成
  • 2013年(平成25年)3月16日 - E6系営業運転開始
  • 2024年(令和6年)3月16日 - E8系営業運転開始

特徴

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 - [10]

 - [10][11]

[9]


 - [10]

 - [10]1.5[12]

 - [10]

 - [11]

198358[8]

利点

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[13]

[13]

[13]##

[13]

1

便


[13]調2001130[14]

06

欠点

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19886311.63[15]


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法令

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附則 第6条2 新幹線鉄道直通線 既設の鉄道の路線と同一の路線にその鉄道線路が敷設される鉄道であつて、その鉄道線路が新幹線鉄道の用に供されている鉄道線路に接続し、かつ、新幹線鉄道の列車が国土交通省令で定める速度で走行できる構造を有するもの

課題とその解決

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[17]

400E34851.52[18]

2001131225[19]

路線

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採用された路線

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2023 -  - 2[20]

 - -

1986611471987624JR[21]

 - JRJR使- JR[22] -  - 使

 - -

JRJRJRJR[22] - 


構想されている・された路線

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 - 202354[23]



1997︿9西2000︿122003︿153



 - 19902JR調



 - 20235

200315200921



 - 19957



1992411[24]52西[25]



調

整備新幹線で構想された路線

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大蔵省による整備新幹線批判対応

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1988(昭和63)年度予算編成作業中に大蔵省主計官が整備新幹線建設を非難し膠着した。打開策として1988年(昭和63年)8月の運輸省によってフル規格新幹線、ミニ新幹線、スーパー特急の組み合わせで提示され、同年8月31日に政府・与党申し合わせにより整備内容が決定された。うちミニ新幹線整備区間は下記のとおりである。なお、どの線区でもフル規格実現への願望が強かった[26]

東北新幹線
盛岡 - 沼宮内八戸 - 青森
北陸新幹線
軽井沢 - 長野

西九州新幹線佐賀県区間対応

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九州新幹線西九州ルート 新鳥栖駅 - 長崎駅間は一部在来線の長崎本線を挟む関係でスーパー特急方式で建設され、後に武雄温泉駅 - 長崎駅間がフル規格に変更。さらにフリーゲージトレイン導入の計画、試験まで行われたが頓挫し、武雄温泉駅で乗り換えるリレー方式で武雄温泉駅 - 長崎駅間が西九州新幹線として暫定開業した。

開業効果

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山形新幹線

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 - 3922719957175 - 便2002141031[27]2003154111 12便便姿[28]

秋田新幹線

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東京駅 - 秋田駅間を最短4時間29分が3時間49分に短縮され、1998年(平成10年)に1両増結の6両編成化[27]

車両

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車両特徴

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車体

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25m20 - 23m3380mm2945mm[29]

分割併合装置

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[30] - JR2[31]

台車

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2,500mm2,250mm60501/16[32]E6320km/h2500mm4852,100mm

600m[33]

 - DT9030DT204/DT204A
DT9028 - 

DT9029 - 

DT9030 - 2

400
DT204 - 

DT204A - 

TR7006 - 

E3
DT207 - 

DT207A - 

DT207B - 

TR7005 - 

TR7005A - 

E6
DT210 - 

DT210A - 

TR7009 - 

主電動機

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400485MT54120kW200MT201230kW

400
MT203 - 210kW

E3
MT205 - 300kW

E6
MT207 - 300kW

電力装置

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25000V2V

[33]

保安装置

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保安装置についても新幹線区間の自動列車制御装置 (ATC) と在来線区間の自動列車停止装置 (ATS) の両方を搭載している[34]。全線ATC化しなかった理由は線区のグレード、工事費や工事期間の抑制との経済的理由である[35]

営業用車両

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  • E3系:1000番台と2000番台が山形新幹線で東北新幹線と直通する営業運転を行っている。また、L65編成のみ過去の塗装に変更(銀のつばさ)し運用されている。
  • E6系 : 秋田新幹線で使用されている。
  • E8系 : 山形新幹線で導入を予定

過去の営業用車両

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E30使2013420143E60R18700

400使2008122010E32000275km/h[36]

試験車両・事業車両など

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現役車両

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引退した車両

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工事方法

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[37]

脚注

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  1. ^ a b 土木ミニ知識 Vol.83 新幹線とミニ新幹線. 公益社団法人土木学会(1998年3月). 2012年2月29日閲覧。 (PDF)
  2. ^ ミニ新幹線誕生物語 p5-6
  3. ^ a b ミニ新幹線は招かれざる存在なのか 山形・秋田新幹線だけなワケ 貼られた“レッテル”』 枝久保達也 乗りものニュース 2022.08.01更新 2023年7月31日閲覧
  4. ^ ミニ新幹線誕生物語 p167
  5. ^ 新幹線ネットワークはこうつくられた p135-136
  6. ^ ミニ新幹線誕生物語 p3
  7. ^ "新幹線で夜行列車が走っていないのはなぜ? かつては運転の計画もあったが…"  草町義和 のりものニュース 2018年6月15日更新 2024年3月28日更新
  8. ^ a b ミニ新幹線誕生物語 p6-p9
  9. ^ a b 軌間可変電車 酒井正勝 小田和裕 1999年
  10. ^ a b c d e ミニ新幹線における安全の形成 原拓志 2009年 p8
  11. ^ a b 新幹線と在来線の直通運転について 河合篤 1988年
  12. ^ "貨物列車と共用走行するための三線軌条の保守管理について" JR北海道 2016年
  13. ^ a b c d e 新幹線ネットワークはこうつくられた p135-136
  14. ^ 『新幹線函館乗入れの調査費「捨てるようなもの」無知と誤解の原因は』 杉山淳一 マイナビニュース 2023年7月18日 6:05掲載 2023年8月28日閲覧
  15. ^ 新幹線と在来線の直通運転について 河合篤 1988年
  16. ^ 整備スキーム改善による幹線鉄道網における地域間交流活性化に関する定量的研究 波床正敏 中川大 2015
  17. ^ ミニ新幹線誕生物語 p32-34、p42-p44、p110-111
  18. ^ ミニ新幹線誕生物語 p111-p114
  19. ^ ミニ新幹線誕生物語 p99-100
  20. ^ ミニ新幹線誕生物語 p3-5
  21. ^ 新幹線ネットワークはこう作られた p135
  22. ^ a b ミニ新幹線誕生物語 p11-12
  23. ^ 「新幹線の函館駅乗り入れ「実現したい」 次期市長の大泉氏 札幌直通にも意欲」【北海道新聞】2023年4月26日付
  24. ^ 紀伊半島にミニ新幹線を 二階代議士 運輸省に検討依頼(リンク切れ。Weback Machineによる2015年12月22日11:23:42のアーカイブ)
  25. ^ "平成5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(小川 武議員の質疑及び一般質問)" 和歌山県議会 1993年
  26. ^ 新幹線ネットワークはこうつくられた p124-126
  27. ^ a b ミニ新幹線における安全の形成 原拓志 2009年 p4-5
  28. ^ 新幹線vs.航空「30年戦争」の勝者はどちらか 鳥海高太朗 東洋経済オンライン 2017年5月30日6:00更新 2023年7月28日閲覧
  29. ^ ミニ新幹線誕生物語 p15-17,p130-136
  30. ^ 新幹線と在来線の直通運転について 河合篤 1988年
  31. ^ ミニ新幹線誕生物語 p137-139
  32. ^ ミニ新幹線誕生物語 p132-134
  33. ^ a b ミニ新幹線誕生物語 p134
  34. ^ ミニ新幹線誕生物語 p136
  35. ^ ミニ新幹線における安全の形成 原拓志 2009年 p12
  36. ^ ミニ新幹線誕生物語 p151-p152
  37. ^ ミニ新幹線誕生物語 p71-88,93-95

参考文献

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  • ミニ新幹線誕生物語-在来線との直通運転- ミニ新幹線執筆グループ 成山堂書店 2003年 ISBN 978-4-425-76121-0
  • 髙松良晴『新幹線ネットワークはこうつくられた』交通新聞社新書、2017年 ISBN 978-4330829173

関連項目

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