京都大学アメフト部レイプ事件
事件の経緯
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2005年︵平成17年︶12月23日、被告人3名︵甲・乙・丙︶と被害者の女子学生2名︵A・B︶が﹁鍋パーティー﹂と称して京都市左京区の丙が住むマンションの一室で会食。被告らは焼酎などを一気飲みさせる﹁焼酎ルーレット﹂で酩酊状態となったAを﹁みんなでやったらええやん﹂と、乙・丙がわいせつな行為をし、甲が暴行をした疑い。さらに甲はBに対しても暴行をし、負傷させたとされる。
3人は逮捕容疑について﹁合意の上﹂と否認した。また、彼らは以前にも女子学生と﹁鍋パーティー﹂を開催して、同様の行為を繰り返していた[1]。彼らはアルコール度数の高い焼酎やウォッカなどを用いており、被害者は2人とも急性アルコール中毒に近い状態だったと見られる[2]。
2006年︵平成18年︶1月26日、被害女性2名の告訴を受けて京都府川端警察署は京都大学の学生甲︵23歳当時︶、乙︵22歳当時︶、丙︵22歳当時︶をAに対する集団準強姦の疑いで逮捕・起訴した。また甲をさらにBに対する集団準強姦および準強姦致傷で逮捕・起訴した。
これを受けて京都大学では、同年3月23日付で甲・乙・丙の3人を放学処分にした。
なお京都大学ギャングスターズは翌年春の大会の出場を辞退したが、秋季のリーグ戦には出場した。
裁判
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公判では﹁みんなでやったらええやん﹂の発言をめぐり、犯行に計画性があったか否かで検察と弁護側が対立した。2006年8月28日の公判では検察側は﹁重い刑を求める﹂旨の被害者の意見陳述書を読み上げた上で、﹁酩酊状態に乗じて、被害者の人格、人権を無視した卑劣極まりない犯行﹂と断罪。甲に懲役8年、乙に懲役5年、丙に懲役4年を求刑した。これに対し弁護側はあくまで犯行はパーティーの延長にあったものとして、事件の計画性を否定し情状酌量を求めた上で執行猶予を求めた。
2006年9月26日、京都地方裁判所裁判長の氷室眞は甲に懲役5年6ヶ月の実刑判決、乙・丙にそれぞれ懲役3年執行猶予5年、懲役2年6カ月執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。氷室は乙・丙に対し﹁自己の性的欲求を満たすための犯行﹂と非難し、甲に対し﹁︵他の2人に比して︶その刑事責任は格段に重い﹂と3年を超える実刑にした理由を説明した。その一方で﹁鍋パーティーを計画した時点では犯行の意図はなかった﹂と計画性を否定し﹁3人とも放校されたうえ就職の内定を取り消され、大きな社会的制裁を受けている﹂と指摘し﹁3人とも若く能力も持っている。ゼロから出発して欲しい﹂と説諭した。
1人だけ執行猶予がなかった甲は不服を唱えて大阪高等裁判所に控訴した。第1回公判が2007年4月27日に開かれたが弁護側は﹁女子学生の意識は朦朧とはしていなかった。合意があったか、合意があると思い込んだ﹂として強姦したという起訴事実を全面否定。さらに、一審で供述調書の十分な開示を行わず訴訟手続き上違法に当たると主張した。
2007年7月18日、大阪高等裁判所の裁判長島敏男は﹁女性の人格を無視した自分勝手で悪質な犯行だが、泥酔していた被害女性らの言動が被告らの犯行を誘発したことも否定できない﹂として、原判決を破棄し、甲に懲役4年6ヶ月の実刑判決を言い渡した。しかし、甲は再度の実刑判決を不服として最高裁判所に上告した。
2007年11月12日、最高裁判所第三小法廷の裁判長近藤崇晴は甲の上告を棄却し、全ての判決が確定した。
脚注
編集- ^ 京大アメフト元部員、集団強姦容疑で逮捕。-日刊スポーツ「3人はこれまでも2、3回、鍋パーティーを開いており」の記述
- ^ 朝日新聞2006年1月28日紙面に記述
関連項目
編集- スーパーフリー事件
- 東京大学誕生日研究会レイプ事件
- 慶應義塾大学広告学研究会レイプ事件
- 同志社大学ワイルドローバー(2022年に同様の事件が発生)
- バッキー事件