古今著聞集
日本の説話集
概要
編集構成
編集特色
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●公卿日記を下地とした記録風の逸話から、下々の庶民に関する異聞奇譚まで、その描写対象は多岐にわたるが、中でも各種芸能の説話に富んでいるのは、琵琶を藤原孝時に学び、詩歌絵画などにも優れた作者成季の才芸を反映している。作者が関白九条道家の近習であったこともあり、﹃古今著聞集﹄の観点は摂関家寄りである。江戸期の逸著聞集・近世江戸著聞集・新著聞集等多くの著聞集物に影響を与えた。
●古今の説話の集成とはいえ、大半が王朝時代の説話で占められ、当代の説話は比較的少ない。これは、名門橘氏の出身である成季の王朝志向によるものであると同時に、当代を﹁末代﹂・﹁世の末﹂と呼ぶ成季の当代への批判的意識を示している。その一方で、輿言利口篇などの特色ある当代の説話群を形成することによって説話文学としての価値を高からしめている。[8]
登場する実在の人物
編集脚注
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(一)^ 福田益和、﹁﹁古今著聞集﹂小考 : 名義をめぐって﹂ 九州大学国語国文学会 ﹃語文研究﹄37巻, p57-66, 1974-08-00, doi:10.15017/12146, ISSN 0436-0982。
(二)^ 福田益和、﹁古今著聞集研究序説﹂﹃長崎大学教養部紀要. 人文科学﹄ 1975年16巻 p.1-9, ISSN 02871300。
(三)^ 鳥羽僧正の秘画﹃勝画﹄の発見高島経雄、文芸社, 2000。
(四)^ 志村有弘, ﹁寛延四年版﹁続古事談﹂について : 古今著聞集説話伝承関係﹂﹃国文学研究﹄8巻 p.71-82, 1972-11-25, 梅光女学院大学国語国文学会。
(五)^ 古今著聞集︵岩波書店、日本古典文学大系84︶の﹁解説﹂による。
(六)^ 古今著聞集の跋文にも﹁部をわかち巻をさだめて、三十篇二十巻とす。篇のはしばしに、いささかそのことのをこりをのべて、つぎつぎにそのものがたりをあらはせり﹂︵一部表記を改めた︶とある。
(七)^ すなわち、﹁いにしへよりよきこともあしきことも記しおき侍らずば、誰か古きを慕ふ情けを残し侍るべき﹂(いにしえからの良いこともまた悪いことも、記録して置かなかったら誰が古い時代のことを懐かしむでしょうか)とある。
(八)^ 福田益和、﹁古今著聞集の研究(2) -古今著聞集と徒然草-﹂﹃長崎大学教養部紀要. 人文科学篇﹄ 1981年21巻2号 p.1-20, ISSN 02871300, NCID AN00205408。
参考文献
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●橘成季 著、塚本哲三 編﹃古今著聞集﹄有朋堂書店︿有朋堂文庫﹀、1926年。doi:10.11501/1018126。NDLJP:1018126。
●﹁日本古典文学大系﹂︵岩波書店︶、﹁新潮日本古典集成﹂︵新潮社︶所収。
●本郷恵子﹃物語の舞台を歩く12古今著聞集﹄山川出版社、2010年7月
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