抗うつ薬
概要
編集抗うつ薬の種類
編集系統 | 一般名 | 商品名 | 発売年 |
---|---|---|---|
三環系 | イミプラミン | イミドール トフラニール |
1959年 |
アミトリプチリン | トリプタノール | 1961年 | |
トリミプラミン | スルモンチール | 1965年 | |
ドスレピン | プロチアデン | 1965年 | |
ノルトリプチリン | ノリトレン | 1971年 | |
クロミプラミン | アナフラニール | 1973年 | |
アモキサピン | アモキサン | 1980年 | |
ロフェプラミン | アンプリット | 1981年 | |
四環系 | マプロチリン | ルジオミール | 1981年 |
ミアンセリン | テトラミド | 1983年 | |
セチプチリン | テシプール | 1989年 | |
SARI | トラゾドン | デジレル レスリン |
1991年 |
SSRI | フルボキサミン | デプロメール ルボックス |
1999年 |
パロキセチン | パキシル | 2000年 | |
セルトラリン | ジェイゾロフト | 2006年 | |
エスシタロプラム | レクサプロ | 2011年 | |
SNRI | ミルナシプラン | トレドミン | 2000年 |
デュロキセチン | サインバルタ | 2010年 | |
ベンラファキシン | イフェクサー | 2015年 | |
NaSSA | ミルタザピン | リフレックス レメロン |
2009年 |
S-RIM | ボルチオキセチン | トリンテリックス | 2019年 |
モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)
編集最も初期の抗うつ薬であるが、薬剤相互作用や副作用の多さから日本では抗うつ薬としてはほとんど使われず、パーキンソン病治療薬として専ら用いられている。
三環系抗うつ薬(TCA)
編集四環系抗うつ薬
編集セロトニン遮断再取り込み阻害薬(SARI)
編集トリアゾロピリジン系の抗うつ薬。トラゾドン(商品名レスリン、デジレル)は、セロトニンの再取り込みを阻害する他、セロトニン5-HT2受容体の阻害作用が強い薬物である。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
編集セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
編集ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
編集医療用途
編集大うつ病
編集不安障害
編集NICEのガイドラインでは、全般性不安障害(GAD)および強迫性障害(OCD)への第一選択肢は低強度の心理療法であり、それに効果を示さなかった場合は、選択肢の一つとしてSSRIによる薬物療法を挙げている[1][2]。
疼痛
編集線維筋痛症(FMS)の疼痛管理選択肢の一つとしてガイドラインで挙げられている。
副作用
編集副作用の概要
編集妊娠期
編集自殺
編集他害行為
編集事故
編集抗うつ薬の使用は、高齢者の転倒と関連している[66]。
1か月以内に抗うつ薬を摂取していた場合、自動車事故の危険性が70%増加する[67]。
レム睡眠の抑制
編集体重増加
編集離脱症状
編集増補薬
編集物忘れ
編集アミトリプチリンなどの一部の古い抗うつ剤は物忘れを引き起こすので、医師と相談する必要がある[94]。
治療効果
編集研究のレビュー
編集- (2007) 小児うつ病のための抗うつ薬の使用のレビュー[109][110]
- (2004) 「活性プラシボ」と比較した抗うつ薬の評価[111]
- (2001) 異なる種類の抗うつ薬の相対的な有効性の比較[112] 異なる設定におけるもの[113] うつ病の性質の差異を考慮したもの[114]
- (1999) 新しいタイプのMAOIの評価[115]
増量
編集投与量 | 偽薬群 | 100mgまで | 200mgまで | 250mgまで | 250mg以上 |
---|---|---|---|---|---|
改善率 | 34.8% | 46.0% | 53.3% | 46.3% | 48.3% |
有害事象発現率 | 1倍 | 1倍 | 1.5倍 | 1.63倍 | 2.18倍 |
高用量の抗うつ薬によるハミルトンうつ病評価尺度の改善度は、9.97点であったのに対し、低用量では9.57点であり、臨床的には無視できるほどの差であった。解析に使用されたのは、フルオキセチン(プロザック(日本では未認可))、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ゾロフト)、ベンラファキシン(イフェクサー))、ネファゾドン(サーゾーン)、およびシタロプラム(セレクサ)のデータである[120]。
効果の限界と方策
編集遺伝子に基づく治療の最適化
編集STAR*Dでは、治療効果と遺伝子を解析し個人に最適化された投薬を探る目的があったが、そのようなデータは得られていない[16]。欧州におけるNEWMEDS計画からも、セロトニン再取り込み阻害剤あるいはノルアドレナリン再取り込み阻害剤への反応性を予測する遺伝子との関連性は導き出せていない[126]。
「試行錯誤」による切り替え
編集増強および併用
編集長期間の使用
編集議論
編集歴史
編集-
ベンラファキシンは、アメリカで1993年に認可された抗うつ薬である。
-
デスベンラファキシンは、アメリカで2007年に認可された抗うつ薬である。
訴訟
編集2012年には、グラクソ・スミスクライン(GSK)の違法なマーケティングに対して司法省は30億ドルの制裁を課したが、それには同社のパキシルの若年者で有効性を示さなかった研究と自殺の危険性を高めた研究の隠蔽、FDAによる若年者に対する承認がないにもかかわらず販売促進したことが含まれる[184]。