殺人罪 (日本)

日本における殺人罪(刑法第199条)
殺人未遂罪から転送)


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殺人罪
法律・条文 刑法199条
保護法益 生命
主体
客体
実行行為 人を殺す
主観 故意犯
結果 結果犯
侵害犯
実行の着手 生命侵害の現実的危険を惹起した時点
既遂時期 相手が死亡した時点
法定刑 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役
未遂・予備 未遂罪(203条)
予備罪(201条)
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概要



保護法益

本罪の保護法益は人の生命である。

本罪の客体





[1]
  • 人の終期
    生きている人の体を損壊して殺害した場合には「殺人罪」になるが、死体を損壊したにとどまる場合には殺人罪よりは軽い死体損壊罪となる。現代では三兆候説と脳死説が対立しており、脳死者からの臓器摘出の法的な位置づけが問題となっている[2]
  • 適用範囲

    日本法は属地主義(犯罪が行われた場所が日本国内・日本船籍船内・日本籍航空機内である場合に適用される)を原則としている。しかし、人命はきわめて貴重なものであるがゆえに、殺人罪については属地主義に限定せず広い範囲で適用されることが規定されている。

    したがって、国内犯(刑法1条)はもちろん、国民の国外犯(刑法3条)、国民以外の者の日本国民に対する国外犯(刑法3条の2)にも適用がある。

    殺人罪(狭義)

    客体

    本罪の客体は「人」である。

    本罪の性質上、この「人」には法人は含まれず自然人のみを指す。また、行為者以外の他人であることが必要で自殺は殺人罪とはならない。

    故意


    381

    法定刑

    殺人罪の法定刑は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役である。2004年(平成16年)の刑法改正により、従来の「3年以上」から刑の下限が引き上げられた。もちろん、法律上の減軽酌量減軽により5年未満の刑を宣告することは可能である。

    なお、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)の適用を受ける場合には、法定刑は死刑または無期もしくは6年以上の懲役に加重される(組織的犯罪処罰法3条1項3号)。

    心神喪失者に対する措置

    心神喪失の状態で人を殺しても責任が阻却され、殺人罪は成立しない。ただし、殺人罪は重大な法益侵害行為であることから、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律における「対象行為」に該当し、裁判所は、心神喪失の状態で殺人を行った者に医療を受けさせるために入院させる決定等をすることができる。

    未遂


    203

    4

    罪数

    殺人罪との法条競合



    202 - 67

    240 - 

    4 - 





    77 - 

    81 - 

    82 - 2

    108 - 5





    126 - 

    146 - 5

    1811 - 3

    1812 - 6

     241 - 

     - 

     - 7

     - 3





    118 - 

    124 - 

    145 - 

    196 - 

    213 - 35

    214 - 67

    216 - 

    219 - 

    221 - 




    殺人予備罪


    20112

    539



    5611

    自殺関与・同意殺人罪

    尊属殺人罪の削除


    20019734819957

    殺人罪の公訴時効

    2010年(平成22年)4月に施行となった「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成22年法律第26号)」により、殺人罪等が適用される死刑に相当する凶悪事件において公訴時効が廃止された。(ただし現住建造物等放火罪は廃止されず公訴時効が25年に延長された)。

    脚注

    出典

    1. ^ 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年(平成11年))11 - 13頁
    2. ^ 林幹人 『刑法各論 第二版』 東京大学出版会(1999年(平成11年))23 - 27頁

    関連項目

    • 殺人
    • 殺人罪 - 人を死に至らしめる行為(殺人)に関する法制度