箕作秋吉
日本の作曲家
箕作 秋吉︵みつくり しゅうきち、1895年10月21日 - 1971年5月10日︶は、日本のクラシック音楽の作曲家。箕作元八の長男として東京都に生まれ、箕作阮甫の曾孫にあたる。東洋音楽大学教授。ペンネームに秋吉元作、秋山準、木兎生がある[1]。
箕作 秋吉 | |
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別名 | 秋吉 元作 |
生誕 | 1895年10月21日 |
出身地 | 日本 東京府東京市本郷区 |
死没 |
1971年5月10日(75歳没) 日本 神奈川県茅ヶ崎市 |
学歴 | 東京帝国大学工学部応用化学科 |
ジャンル | クラシック音楽 |
職業 | 作曲家、化学者 |
ロマン派の作風から、日本の旋法を元にした「日本的和声」に基づく作風へと転換した。
略歴
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●1913年‥誠之小学校を経て東京高等師範学校附属中学校︵現・筑波大学附属中学校・高等学校︶卒業。
●1921年‥第一高等学校を経て東京帝国大学工学部応用化学科を卒業。ドイツのベルリンに留学し、ゲオルク・シューマンに和声法を師事。カイザー・ヴィルヘルム化学・物理学研究所︵現在のマックス・プランク研究所︶で物理化学を研究する[2]。
●1925年‥帰国して海軍技術研究所に勤める。池譲に対位法を、池内友次郎にフーガを、ヨゼフ・ケーニヒに管弦楽法を、ヨーゼフ・ローゼンシュトックに指揮法を師事[2]。
●1929年‥﹃国民音楽に就て﹄を発表し、﹁日本的和声﹂を提唱。
●1930年‥新興作曲家連盟を創設。
●1939年‥学位論文﹃煙粒子の荷電に関する実験﹄により理学博士︵大阪帝国大学︶の学位を取得[3][4]。
●1945年‥新興作曲家連盟を日本現代音楽協会に改組。
●1954年‥国際音楽評議会日本委員会書記長に就任。
●1971年‥神奈川県茅ヶ崎市の自宅で死去[5]。
主な作品
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●﹃二つの舞曲﹄作品1︵1926年、母校の第一高等学校に献呈した管弦楽曲︶
(一)マズルカ
(二)ワルツ
●組曲﹃亡き子に﹄作品2︵1927年、管弦楽と独唱のための組曲。ピアノ伴奏版あり。さらに﹁讃歌﹂については、独唱をヴォカリーズに代え、ピアノ伴奏のほかにサキソフォンをオブリガートに加えた版も存在する︶ (初演は1930年小松平五郎指揮の国民交響楽団[6])
(一)前奏曲︵管弦楽のみ︶
(二)讃歌︵作曲者 詞︶
(三)子守唄︵作曲者 詞︶
(四)悲歌︵海の幻し︶︵沙良峰夫 詞︶
●﹃ローマン組曲﹄作品3︵1927年、ピアノ組曲/管弦楽版は後に破棄︶
(一)マズルカ
(二)ノクターン
(三)ロマンス
(四)タランテルラ
●﹃古典組曲﹄作品4︵1927年、ピアノ組曲︶
(一)プレリュード
(二)ガヴォット
(三)メヌエット
(四)ロンド
●﹃二つの詩﹄作品5︵1927/1948年、管弦楽曲/チェロとピアノのための組曲︶
(一)蒼鉛の月
(二)まひる
●﹃小曲集﹄作品6︵1929年、作曲者の詞によるソプラノとピアノ︵またはフルート、クラリネット、ピアノ、弦楽四重奏による七重奏︶伴奏のための歌曲集︶
(一)五月雨
(二)冬の夕
(三)唖娘
●﹃壮んな夏﹄ (1936年、管弦楽曲) ベルリンオリンピック大会芸術競技 (音楽) 出品作品[7]
●﹃歌曲集︽閨秀叙情詩集︾﹄作品7︵1937年、ピアノ︵またはフルート、クラリネット、ピアノ、弦楽四重奏による七重奏︶伴奏︶
(一)唄︵山口宇多子 詞︶
(二)火をいだく︵品川陽子 詞︶
(三)櫟林の接吻︵品川陽子 詞︶
(四)春宵︵岡田淑子 詞︶
(五)女︵深尾須磨子 詞︶
●﹃芭蕉紀行集﹄作品8︵1930-1931/1937年、松尾芭蕉による詞、ピアノ伴奏歌曲集/管弦楽伴奏歌曲集/室内管弦楽のための音詩︶
(一)野ざらしを心に風のしむ身かな
(二)馬にねて残夢月遠し茶のけむり
(三)海くれて鴨の声ほのかに白し
(四)冬の日や馬上に氷る影法師
(五)あらたふと青葉若葉の日のひかり
(六)閑かさや岩にしみ入る蝉の声
(七)荒海や佐渡によことふ天の川
(八)五月雨の空吹きおとせ大井川
(九)菊の香や奈良には古き仏達
(十)旅に病て夢は枯野をかけ廻る
●﹃現代詩集 第一集 四季篇﹄作品9︵1931年、ピアノ伴奏歌曲集︶
(一)おもひ出︵今川英一 詞︶
(二)牛︵米澤順子 詞、閨秀抒情詩集第6曲︶
(三)短章︵黄瀛 詞︶
(四)病熱︵大木篤夫 詞︶
●﹃現代詩集 第二集 動物篇﹄作品10︵1932年、ピアノ伴奏歌曲集︶
(一)月夜の猫︵大木篤夫 詞︶
(二)凍えたる魚︵室生犀星 詞︶
(三)鳩︵民謡調︶︵高村光太郎 詞︶
(四)鴉毛の婦人︵萩原朔太郎 詞︶
●﹃現代詩集 第三集﹄作品11︵1933-1935年、ピアノ伴奏歌曲集︶
(一)積雲の歌︵尾崎喜八 詞︶
(二)死︵金井融 詞︶
(三)熱帯海︵前田鉄之助 詞︶
(四)靴みがきの唄︵長田恒雄 詞︶
●﹃逝ける人に﹄作品12︵ピアノ/管弦楽伴奏歌曲集︶
(一)落葉︵1936年、山村耕二 詞︶
(二)僧院と尼僧︵1929年、三木露風 詞︶
●﹃啄木短歌集﹄作品13︵1934-1936年、石川啄木による詞、ピアノ︵またはフルート、クラリネット、ピアノ、弦楽四重奏による七重奏︶伴奏歌曲集︶
(一)雨に濡れし
(二)わかれ来て
(三)こころみに
(四)友がみな
(五)秋の夜の
●﹃古典小交響曲ニ長調﹄作品14︵1934年︶(チェレプニン・コレクション No.7)
●﹃ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ヘ長調﹄作品15-1︵1935年、芭蕉紀行集の第5曲﹁あらたふと青葉若葉の日のひかり﹂を主題とする︶
(一)アンダンテとアレグロ
(二)ラルゲット
(三)民謡調ロンド
●﹃ヴァイオリンと管弦楽のためのソナタ﹄作品15-2︵1948年、小協奏曲︶
●﹃花に因んだ3つのピアノ曲﹄作品16︵1935/1940年︶
(一)夜の狂詩曲
(二)さくら、さくら
(三)春のやよい
●﹃三つの悲歌﹄作品17︵1943年、ピアノ/管弦楽伴奏歌曲集︶
(一)身はたとひ︵吉田松陰 詞、辞世︶
(二)勲の家︵西条八十 詞、妻の悲歌︶
(三)孝塚に︵平野啓司 詞、父の悲歌︶
●﹃三つの歌﹄作品18︵1945-1946年、ピアノ伴奏合唱曲集︶
●﹃働く人のために﹄作品19︵1947年、第18回メーデーのために募集した詩に作曲したピアノ伴奏合唱曲集︶
●﹃交響曲第1番 ヘ調﹄作品20︵1939年、3楽章から成り、それぞれ第1楽章﹁序曲︽大地を歩む︾﹂、第2楽章﹁間奏曲︽大洋の挽歌︾﹂、第3楽章﹁終曲︽凱旋行進曲︾﹂と題されている︶
●﹃ピアノと室内管弦楽のための小協奏曲﹄作品27-1︵﹃芭蕉紀行集﹄の第7曲﹁荒海や佐渡によことふ天の川﹂を主題とする︶
●﹃ピアノ協奏曲﹄作品27-2︵上記作品の3管編成への改作、第2回尾高賞佳作︶
●﹃子供の報告﹄
●﹃序曲︽大地を歩む︾﹄
●﹃管弦楽組曲︽学校生活︾﹄
●﹃円舞曲︽青年︾﹄
●﹃皇紀二千六百年の抒情﹄
●チェンバロのためのメヌエット ト長調
●﹃日本古謡を主題とする管弦楽のための3楽章﹄︵作曲者は﹁交響曲第2番﹂と位置づけている︶
●﹃六つの農作業歌﹄
(一)草刈唄
(二)麦搗唄
(三)田植唄
(四)田の草取唄
(五)盆踊唄
(六)籾摺唄
●﹃現代詩集 第四集﹄︵ピアノ伴奏歌曲集︶
(一)朝の憩い
(二)煙となって
(三)幻聴
(四)妹に
●﹃現代詩集 第五集﹄︵ピアノ伴奏歌曲集︶
(一)岩手病院
(二)我が家の台所
(三)しらなみ
(四)おもかげの雲
(五)子供の生活から
●管弦楽伴奏歌曲﹃三つの詩﹄
●﹃挽歌﹄︵聶耳の霊に捧ぐ︶
●﹃お月さま﹄︵童謡︶
●﹃叱られ坊主﹄︵同上︶
作曲校歌
編集脚註
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(一)^ 市民のオルガン‥小船幸次郎と横浜交響楽団. 横浜交響楽団編著. 神奈川新聞社, 2007.06, p583
(二)^ ab細川周平、片山杜秀 監修﹃日本の作曲家 近現代音楽人名事典﹄日外アソシエーツ、2008年、647-648頁。ISBN 978-4-8169-2119-3。
(三)^ 箕作 1939.
(四)^ 箕作秋吉 著﹁(48) 煙粒子の荷電に関する実験﹂、学術研究会議第二部 編﹃工学研究撮要﹄3号、学術研究会議、1937年、66頁。NDLJP:1265350。
(五)^ ﹁楽壇事情﹂﹃音楽年鑑 昭和47年版﹄音楽之友社、1972年、70頁。NDLJP:12431031。
(六)^ 箕作秋吉﹁第八回国民交響楽団演奏に於ける創作発表について﹂﹃音樂世界﹄2巻、6号、音樂世界社、1930年6月、37-38頁。NDLJP:1500033。2022年6月17日閲覧。
(七)^ 日本近代音楽館レクチャーコンサートシリーズVIII﹁オリンピックと音楽﹂プログラムパンフレット (2019.12.14)
(八)^ 平塚市立旭小学校創立70周年記念事業記念誌委員会 編﹃旭70年のあゆみ﹄平塚市立旭小学校創立70周年記念事業実行委員会、1971年2月21日、3頁。doi:10.11501/12115802。
参考文献
編集関連項目
編集外部リンク
編集- 箕作秋吉 - ピティナ・ピアノ曲事典
- 箕作秋吉 - Musica Bella
- 箕作阮甫とその子孫