行為能力

法律行為を単独で確定的に有効に行うことができる能力
被保佐人から転送)

[1][2]

171[1]201
  • 以下、民法については、条数のみ記載する。

趣旨

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[2]

20#

731737
権利能力者 自然人 行為能力者
制限行為能力者 未成年者
成年被後見人
被保佐人
被補助人
法人

沿革

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明治民法~戦後の民法改正

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1896294

(一)

(二)

(三)

(四)

[3]14


14

(一)
(一)[4]

(二)

(三)

(二)


65

[3]2368104退[4][5]216[6][7][8]

[5]1927223[9][10]22

成年後見制度へ

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199911

2004162005174


制限行為能力者の類型

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未成年者

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41818753 - 

205183984084223842

5152

515361

使826

712714

成年被後見人

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7871112814931

88591

209
9

331201920136302019

被保佐人

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11121112814932

8764

131

(131)
(一)

(二)

(三)

(四)

(五)

(六)

(七)

(八)

(九)

(十)

[11]111201122

33120192019

同意権付与の審判を受けた被補助人

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1511718769

201

131(17)

なお、代理権付与の審判のみを受けている被補助人については「成年後見制度」の項の「補助」を参照のこと。

以上の制限行為能力者の種類による違いをまとめると、下表のようになる[12]

種類 要件 能力の範囲 保護者 保護者の権能 行為の効果
未成年者 18歳未満の者(4条) 特定の行為(5条1項ただし書き・3項、6条)だけ単独で為すことができる 法定代理人
-親権者・未成年後見人
(5条1項)
同意権・代理権 同意を得ないでした行為は取り消すことができる(5条2項)
成年被後見人 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあって家庭裁判所の審判を受けた者(7条、8条) 単独にできる行為は原則としてない(日用品の購入その他日常生活に関する行為のみ単独で可能、9条ただし書き参照) 法定代理人-成年後見人
(8条)
代理権のみ 常に取り消すことができる(9条)
被保佐人 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で家庭裁判所の審判を受けた者(11条、12条) 特定の行為(13条1項2項)だけ単独でできない(日用品の購入その他日常生活に関する行為は指定不可) 保佐人
(12条)
原則は同意権。代理権付与の審判があれば代理権(876条の4第1項) 同意又はこれに代わる許可を得ないでした行為は取り消すことができる(13条4項)
被補助人 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で家庭裁判所の審判を受けた者(15条、16条) 13条に掲げられた行為のうち補助人の同意を要する旨の審判を受けた特定の行為だけ単独でできない(17条1項)(日用品の購入その他日常生活に関する行為の指定不可) 補助人
(16条)
同意権。代理権付与の審判があれば代理権(876条の9第1項) 同意又はこれに代わる許可を得ないでした行為は取り消すことができる(17条4項)

制限行為能力者の法律行為

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取り消しうる法律行為

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52134174

9[13]




(一)51

(二)53

(三)61


9131171

1201[14]

[15]

取消権者

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1201



171201

1201[14]










取消しの方法

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取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消しは相手方に対する意思表示によってする(123条)。なお、取消権が消滅する場合については後述。

取消しの効果

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取り消された行為は初めから無効であったものとみなされる(121条本文)。法律行為は行為時に遡って生じなかったものとなる。取り消された行為に基づいて履行された債権債務によって得た利益は不当利得703条704条)となるが、民法は制限行為能力者を保護するため制限行為能力者の返還義務を「その行為によって現に利益を受けている限度」とする(121条但書)。

追認

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120122

120122124112421243

123

122[16][17]

法定追認

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124条により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について追認権者に次に掲げる事実があったときは追認をしたものとみなされる(125条本文)。これを法定追認という。ただし、異議をとどめたときは追認したものとはみなされない(125条但書)。

  1. 全部または一部の履行
  2. 履行の請求
  3. 更改
  4. 担保の供与
  5. 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部または一部の譲渡
  6. 強制執行

取消権の消滅

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使5使20126126[18]

制限行為能力者の相手方保護

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相手方の催告権

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(一)1201

(二)120285728592


  1. 特別な方式を要する行為については、上記の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しない時は、その行為を取消したものとみなされる(20条第3項)。
  2. 制限行為能力者の相手方が、被保佐人又は被補助人に対して、その行為について1ヶ月以上の期間を定めて、その期間内に、その保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができ、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しない時は、その行為を取り消したものとみなされる(20条第4項)。

制限行為能力者の詐術による取消権の否定

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21

12.8.2

5.12.644.213

脚注

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注釈

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(一)^ 

(二)^ 38511202032

(三)^ 2000

(四)^ 1311~6

(五)^ 91222

出典

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  1. ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅰ 民法総則 第5版』 成文堂、2005年3月、39頁
  2. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、26頁
  3. ^ 笠原一男『詳説日本史研究』山川出版社、1977年、344頁
  4. ^ 川出孝雄編『家族制度全集史論篇 第四巻 家』河出書房、1938年116頁(石田文次郎)
  5. ^ 富井政章『民法原論第一巻總論上』訂正増補17版、有斐閣書房、1922年、169頁
  6. ^ 梅謙次郎『民法要義 巻之一總則編』訂正増補24版、私立法政大學ほか、1905年、38、42頁
  7. ^ 大村敦志『民法改正を考える』岩波書店、2011年、14頁
  8. ^ 熊野敏三・岸本辰雄合著『民法正義 人事編巻之壹』新法註釈會、1890年、287-291頁(熊野)
  9. ^ 星野通『民法典論争史』日本評論社、1947年68頁
  10. ^ 江木衷『江木冷灰全集第二巻』、冷灰全集刊行會、1927年、233頁
  11. ^ 我妻栄著『新訂 民法総則』87頁~88頁、岩波書店、1965年
  12. ^ 金子宏・新堂幸司・平井宜雄編『法律学小辞典(第4版)』有斐閣、2008年、709頁より。
  13. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、36頁
  14. ^ a b 我妻栄著『新訂 民法総則』394頁、岩波書店、1965年
  15. ^ 我妻栄著『新訂 民法総則』65頁、岩波書店、1965年
  16. ^ 内田貴著 『民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論』 東京大学出版会、2008年4月、296頁
  17. ^ 川井健著 『民法概論1 民法総則 第4版』 有斐閣、2008年3月、291頁
  18. ^ 四宮和夫・能見善久著『民法総則 第6版』299頁、弘文堂、2002年

関連文献

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  • 奥山恭子「明治民法の「妻の無能力」条項と商業登記たる「妻登記」 : 明治立法期民・商法の相関性と相乗性の一端」横浜法学27巻1号2018,p35-59

関連項目

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外部リンク

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