溶解
(貧溶媒から転送)
概要
編集化学反応
編集溶解度
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物質が溶媒に最大限溶解する割合を溶解度と呼び、通常は重量濃度を使ってあらわす。あるいは濃度と同義に溶解度の語を使う場合があり、溶解が平衡状態に達したときの溶解度を飽和溶解度と呼ぶこともある。
ある物質に対して溶解度の大きい溶媒を良溶媒︵りょうようばい、英: good solvent︶と呼び、小さい場合を貧溶媒︵ひんようばい、英: poor solvent︶と呼ぶ。
温度特性
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飽和溶解度とその温度特性は個々の物質に特有であり、温度上昇によって溶解度の増すもの減じるものさまざまで、また温度特性の変化の度合いもさまざまである。また、溶解により溶媒系の沸点は上昇し、凝固点は降下する。
物理学的見地
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物理化学的に見ると、溶解自体は吸熱的に結晶の分子間力を切断し、系のエントロピーは増大させるプロセスである。実際の溶解に関する熱的収支は、溶解自体のほかにも溶質分子への溶媒和などの寄与が存在する為、溶解熱は発熱的であったり吸熱的であったりする。例えば、硫酸と水を混ぜると、溶媒和︵水和︶により膨大な熱が発生する。
水に関していえば、水は水素結合により緩やかに束縛し合い、クラスターを形成して安定化している。したがって、溶媒和の寄与がないと、溶質分子によるクラスター解消はエネルギー的に不利となる。溶媒和は静電的相互作用、イオン結合、水素結合、配位などの分子間力により発生し、溶媒和の効果により極性溶媒に対して極性物質が溶解しやすい。一方、無極性物質は、溶媒クラスターへの関与が少ないが故、無極性物質が溶解しやすい。言い換えるならば、一般的な傾向として溶媒和の寄与が大きいものほど溶解しやすい。