「コジ・ファン・トゥッテ」の版間の差分
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『'''コジ・ファン・トゥッテ'''』([[イタリア語|伊]]:{{lang|it|''Così fan tutte''}})K.588 は、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]が[[1790年]]に作曲した[[オペラ#オペラ・ブッファ|オペラ・ブッファ]]。正式なタイトルは{{lang|it|''Così fan tutte, ossia La scuola degli amanti''}}(女はみなこうしたもの、または恋人たちの学校)。全2幕構成<ref name="nnt230217">{{Cite web |
『'''コジ・ファン・トゥッテ'''』([[イタリア語|伊]]:{{lang|it|''Così fan tutte''}})K.588 は、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]が[[1790年]]に作曲した[[オペラ#オペラ・ブッファ|オペラ・ブッファ]]。正式なタイトルは{{lang|it|''Così fan tutte, ossia La scuola degli amanti''}}(女はみなこうしたもの、または恋人たちの学校)。全2幕構成<ref name="nnt230217">{{Cite web|和書|url=https://www.nntt.jac.go.jp/opera/operastudio_cosifantutte_2023/ |title=新国立劇場オペラ研修所 修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』 |website=オペラ |publisher=新国立劇場 |date=2023-02-17 |accessdate=2023-07-06}}</ref>。 |
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『'''コシ・ファン・トゥッテ'''』と表記されることが多いが<ref> 音楽之友社・全音楽譜出版社では、現在も「コシ」を統一表記としている</ref>、イタリア語発音に近い表記は「コジ」である。 |
『'''コシ・ファン・トゥッテ'''』と表記されることが多いが<ref> 音楽之友社・全音楽譜出版社では、現在も「コシ」を統一表記としている</ref>、標準イタリア語の発音に近い表記は「コジ」である。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
2023年10月22日 (日) 15:58時点における最新版
概要[編集]
音楽・音声外部リンク | |
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全曲を試聴する | |
バレンボイム⇔ベルリン・フィル&RIAS室内合唱団他 | |
C.デイヴィス⇔ロイヤル・オペラハウス管他 | |
ヤーコプス⇔コンチェルト・ケルン他 以上演奏3本は何れもYouTubeアートトラック公式収集による《プレイリスト》。 | |
第1幕・第2幕 ヴォルフガング・ゲンネンヴァイン指揮ルートヴィヒスブルク音楽祭管弦楽団他による演奏。EuroArts公式YouTube。 |
特徴[編集]
もともとアンサンブルの多いモーツァルトのオペラ作品の中にあっても、特別にアンサンブルの割合が多い︵30曲中16曲が重唱︶作品である。フィオルディリージの各幕に一曲ずつあるアリアは、初演時の歌手の並外れた喉を反映して高度の技巧を要するが、全体を通じて二重唱から六重唱まで様々な組み合わせで作られたアンサンブルで進行する。登場人物が男女各三人という対称性を活用している。 この作品は、ステレオタイプな性格の登場人物という点で、いかにも18世紀のオペラブッファ的な作りである。しかし音楽はそれぞれの場面の登場人物の心理に対応して真に迫ったものになっており、ロココ風な人工的・遊戯的な性格を持つ台本を部分的に超越したものとなった。登場人物と楽器編成[編集]
(一)フィオルディリージ︵ソプラノ︶ - 2の姉で4の恋人。 (二)ドラベッラ︵メゾソプラノorソプラノ︶ - 1の妹で3の恋人。 (三)フェルランド︵テノール︶ - 士官。2の恋人。 (四)グリエルモ︵バリトン︶ - 士官。1の恋人。 (五)ドン・アルフォンソ︵バス︶ - 1、2、3、4、6の友人で老哲学者。老といっても初老(40代)くらい。 (六)デスピーナ︵ソプラノ︶ - 姉妹の女中。 楽器編成‥フルート2、オーボエ2、クラリネット2︵バセットクラリネット1︶、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ1対、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス︵チェロ・コントラバス︶、通奏低音楽器︵チェンバロ、チェロ又はヴィオローネなど︶ 演奏時間は各幕カット無しで90分近く、全部で約3時間かかる。あらすじ[編集]
第1幕[編集]
舞台は18世紀末のナポリ。青年士官フェルランドとグリエルモは、老哲学者ドン・アルフォンソの﹁女は必ず心変わりする﹂との主張に対して、﹁自分たちの恋人に限ってそんなことはない﹂と言い争う。ドン・アルフォンソは、自分の主張を証明するために2人と賭けを行なうことを提案し、2人はドン・アルフォンソの指示に従うことを約束する。 フィオルディリージとドラベッラの姉妹が登場、自分たちと恋人の愛を讃える歌を歌う。そこにドン・アルフォンソが現れ、フェルランドとグリエルモが国王の命令で戦場に行くことになったと伝える。フェルランドとグリエルモが現れ、別れを嘆き悲しむふりをする。港に船が着き、兵士たちが出発する。4人の恋人たちが別れを告げ愛を誓う間に、ドン・アルフォンソは﹁笑いが止まらない﹂と歌う。兵士たちが出発したあとで、残された三人は航海の無事を祈る。 フィオルディリージとドラベッラの家。女中のデスピーナが愚痴をこぼしながら働いている。姉妹が嘆きながら帰ってくる。ドラベッラは、絶望の歌をコミカルに歌う。デスピーナは、﹁男はほかにもいるでしょう﹂と﹁つまみ食い﹂を勧め、﹁男や兵士の貞節なんて﹂と歌う。 ドン・アルフォンソはデスピーナをまるめこみ、芝居に協力させる。ドン・アルフォンソは﹁アルバニア人﹂に変装したフェルランドとグリエルモをデスピーナに紹介する。フィオルディリージとドラベッラが現れ、2人の男を追い出そうとするが、ドン・アルフォンソは彼らは自分の古い友人たちだと偽る。変装した2人は姉妹に求愛するが、フィオルディリージは貞節を誓うアリアを歌う。グリエルモは求愛の歌を歌うが、姉妹は立ち去る。 2人の青年は賭けに勝ったと笑うが、ドン・アルフォンソは芝居を続けろと命じる。フェルランドは愛のアリアを歌い上げる。ドン・アルフォンソはデスピーナと姉妹を陥落させる計画を進める。 姉妹は庭で恋人を想う二重唱を歌う。そこへ変装したフェルランドとグリエルモが現れ、絶望のあまり毒を飲んだふりをする。姉妹は驚き、変装した2人に同情しかかる。医者に変装したデスピーナが現れ、﹁磁気療法﹂を2人にほどこす。デスピーナは、のた打ち回る2人を支えるように姉妹に命ずる。意識を取り戻した2人は姉妹にキスを迫り、混乱のうちに幕を閉じる。第2幕[編集]
デスピーナはフィオルディリージとドラベッラに﹁気晴らし﹂することを勧め、﹁女の子は恋の手管を覚えなければなりません﹂と歌う。姉妹は互いに﹁どちらを選ぶ?﹂と尋ね、ドラベッラは﹁ブルネットの方﹂︵グリエルモ︶、フィオルディリージは﹁ブロンドの方﹂︵フェルランド︶と実際の逆の恋人を選んでしまう。 ドン・アルフォンソは姉妹を庭へ誘う。変装したフェルランドとグリエルモが木管の調べに乗って現れる。姉妹と2人の男が打ちとけないので、ドン・アルフォンソとデスピーナが四人をくっつけようとする。フェルランドとフィオルディリージは庭に散歩に出かける。残されたグリエルモがドラベッラを口説くと、ドラベッラは陥落してしまう。一方、フィオルディリージはフェルランドの求愛を拒絶し、揺れ動く心を長大なアリア︵ロンド︶に歌う。 フェルランドとグリエルモは互いの首尾を報告する。グリエルモはフィオルディリージの貞節を喜ぶが、フェルランドはドラベッラの心変わりにショックを受ける。グリエルモはフェルランドをなぐさめるために﹁女はたくさんの男と付き合うものだ﹂と歌う。フェルランドは裏切られたと嘆く。ドン・アルフォンソはさらに実験を続けると宣言する。 苦悩するフィオルディリージに向かって、ドラベッラは恋の楽しさを陽気に歌う。フィオルディリージは貞節を守るために恋人のいる戦場へ行こうと決意し軍服をまとう。しかし、そこに現れたフェルランドの激しい求愛のために、フィオルディリージもついに陥落する。 賭けに勝ったドン・アルフォンソは、互いに認め合いそれぞれの恋人と結婚するよう提案し、﹁女はみなこうしたもの﹂と歌う。 結婚式の祝宴の準備が進められる。フィオルディリージとフェルランド、ドラベッラとグリエルモのカップルが登場する。公証人に扮したデスピーナが現れ、2組のカップルは結婚の証書にサインする。そこに兵士たちの歌声が響き、婚約者たちが戻ってきたと知らされ、姉妹は呆然とする。変装を解いたフェルランドとグリエルモが現れる。2人の青年は結婚証書を見つけて激怒し、姉妹は平謝りする。そこですべてが種明かしされ、一同和解して幕となる。出典[編集]
- ^ a b “新国立劇場オペラ研修所 修了公演『コジ・ファン・トゥッテ』”. オペラ. 新国立劇場 (2023年2月17日). 2023年7月6日閲覧。
- ^ 音楽之友社・全音楽譜出版社では、現在も「コシ」を統一表記としている
- ^ 三宅新三『モーツァルトとオペラの政治学』青弓社、2011年。
- ^ 2012年現在、4大オペラと銘打った商品には、サー・チャールズ・マッケラス指揮のDVDセット(テラーク)、カラヤンやレヴァイン指揮の音源から編集したアリア集(グラモフォン)などが、5大オペラを銘打ったものにはショルティ指揮のCDボックス(デッカ)などが存在する。
- ^ 水谷 彰良「新イタリア・オペラ史」音楽之友社、2015年、162ページ。