ダウン症候群
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ダウン症候群︵-しょうこうぐん、英Down syndrome︶とは、一般的に21番目染色体がトリソミー︵三倍体︶を形成することで生じる先天性の疾患群。
一般にダウン症とも呼ばれている。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ab/21_trisomy_-_Down_syndrome.png/300px-21_trisomy_-_Down_syndrome.png)
ダウン症候群22対の常染色体のうち21番目以外の染色体は全て正常な二 倍体だが、21番目の染色体だけは三倍体になっており、これがダウン症候群を引き起こす原因となる。右下に見えるXとYは性染色体。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ab/21_trisomy_-_Down_syndrome.png/300px-21_trisomy_-_Down_syndrome.png)
歴史
1866年に英国医師ジョン・ラングドン・ダウンによって学会発表された。最初は特徴的顔貌を捉えて﹁Mongolism︵蒙古人症︶﹂または﹁mongolian idiocy︵蒙古痴呆症︶﹂と称されていた。 1959年、フランス人のジェローム・レジューンによって、21番目染色体の3倍体形成が生じていることが発見された。 1965年にWHOによって﹁Down syndrome︵ダウン症候群︶﹂を正式な名称とすることが決定された。疫学
一般に1/800という割合で発生しているため稀ではない。20歳未満の母親による出産ではおよそ1/2000なのに対し、いわゆる35歳以上の高齢出産での発生率は、35歳でおよそ1/400、40歳でおよそ1/100、45歳でおよそ1/30と高率となっている︵これは、出産する女性が高齢であることのみが原因なのでなく、高齢妊婦の配偶者男性が高齢であることから染色体異常が起こりやすくなる影響も含む︶。 95%が標準型21トリソミー、4%が転座型、1%がモザイク型である。標準型は精子、卵子形成時の減数分裂における染色体不分離が原因であり遺伝性はないが、転座型の場合は親の片方が均衡転座保因者である場合もある。臨床像
知的障害、先天性心疾患、低身長、筋力の弱さ、頸椎の弱さ、視力低下、難聴があり、青年期以降にはストレスから来るうつ症状・早期退行を示す者もいる。男性の場合すべて不妊となる一方、女性の場合は多くは妊娠が可能であり、胎児のダウン症候群発症率は50%である。陽気な性格であることが多い。 40歳以降にアルツハイマー病が高確率でおきる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を﹁date=yyyy年m月﹂形式で記入してください。間違えて﹁date=﹂を﹁data=﹂等と記入していないかも確認してください。。外表奇形
釣りあがった小さい目を特徴とする顔貌を呈する。手の猿線など。精神発達遅滞
精神発達遅滞が認められる。合併奇形
ダウン症候群では高率に内臓の奇形を伴っていることが多い。 ●鎖肛 ●先天性心疾患︵特に早期の治療を行わないと致命的となる︶ ●先天性食道閉鎖症 ●白血病、円錐角膜、斜視など検査
一般に妊娠段階において、妊娠14~16週ごろに行う羊水染色体検査で判明する。多くの産婦人科病院で簡単に行える。なお検査結果が出るまでに2~3週間を要する。流産の危険性がわずかながらあるといわれる。一方、最新の統計調査によると 羊水検査と流産危険率上昇との間には相関関係がないという結果も出てきている。 ※一般に学会の倫理規定などでは、正式には﹁医療側はこういった出生前検査は妊婦に対し積極的に進言してはいけない﹂とされている。(厚生科学審議会先端医療技術評価部会・出生前診断に関する専門委員会) そのため﹁妊婦検診等でこういった検査を勧められなかった﹂としても医療側の落ち度は無いとされる。︵裁判事例‥京都地裁平成9年1月24日判決︶そのため妊婦は自ら医療側に進言︵結婚している妊婦の場合夫婦の同意に基づく︶しないと正式には行ってもらえない。 また検査の結果も、正式には﹁妊婦側が聞くことを希望して初めて通知出来る﹂とされている。 一方、英国では出生前診断が国の政策のもと行われ広く普及している。治療
児
治療方法はない。しかし、数十年前までは平均寿命も20前後であったが、これは循環器合併症の外科的治療が当時はできなかったためで、合併奇形を治療すれば一般の健康状態は良い。現在では平均寿命は50年程度に延びている。4年制大学を卒業した人もいる[1]。 また、早期養育が発達の助けに良いと言われる。母親
母親に対するケアが最重要となってくる。カウンセリングを積極的に受けることが大切である。議論
検査
出生前検査は現在でも大きな議論となっている。一般にダウン症の発見には、医学的見地からは﹁35歳以上の高齢妊婦に出生前検査を行うと高率に発見されてくるであろう﹂とされているが、こういった声明は﹁ダウン症の産み分けにつながる﹂として患者や人権団体から強い非難を受けている。その一方、2人の障害児を持つことはその家族にとって非常なる負担となることから、障害児をもった親が2人目の障害児を避けるために検査を受けているのも事実である。中絶
出生前検査によって﹁胎児がダウン症候群﹂と診断されても、母体保護法によって胎児の問題での中絶は認められていないため、それだけでは人工妊娠中絶の適用とはならない。 しかし、母体保護法の条文にある妊娠中絶の適用として﹁妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの﹂をもって、﹁母体としての精神的問題が著しい﹂または﹁精神的問題によって母体の健康障害が著しい﹂とされれば、妊娠22週未満であれば一般に人工妊娠中絶は行われる。 ただし、母体保護法によって﹁人工妊娠中絶を行うには、人工妊娠中絶手術を行う母体保護法指定医師によってその必要があるかどうかの認定﹂が必要であるため、行う医療機関と行わない医療機関が存在する。註
関連項目
外部リンク
ダウン症を題材にした物
- のんちゃんの手のひら(金子節子作 コミック)
- たったひとつのたからもの