トム (トムとジェリー)
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トーマス・キャット Thomas Cat | |
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『トムとジェリー』のキャラクター | |
登場(最初) | 『上には上がある』(1940年) |
作者 |
ウィリアム・ハンナ ジョセフ・バーベラ |
声優 |
八代駿 高橋和枝 ダン小路 肝付兼太 堀内賢雄 佐藤せつじ |
プロフィール | |
本名 | Thomas D.Cat |
愛称 | トム |
別名 |
ジャスパー[注 1] トム・キャット トーマシノ・キャッティ・カザーザ[注 2] |
性別 | オス |
種類 | ネコ |
親戚 | ジョージ(いとこ) |
トム(Tom)ことトーマス・キャット (Thomas Cat) は、﹃トムとジェリー﹄に登場する架空のネコのキャラクター。
概要
ドタバタコンビ﹁トムとジェリー﹂の一方。ジェリーを捕まえようと何度も試みるがいつも失敗している。 ブルーグレーの鉢割れで品種は不明のイエネコ。正式名称は"Thomas Cat︵トーマス・キャット、フルネームはThomas D.Cat)"だが、ほとんどの作品では"Tom Cat︵トム・キャット︶"と表記されていることが多い︵注‥もともとtomcatとは﹁オス猫﹂を意味する︶。お手伝いさんなどからは﹁トーマス﹂と呼ばれることが多いが、ガールフレンドの白猫から﹁トミー﹂と呼ばれていたこともある。ハンナ=バーベラ第1期第1作目である﹃上には上がある﹄では﹁ジャスパー﹂という名だった。 作品によっては、世界猫連盟の事務総長や、ねずみ取り選手権のチャンピオンなどセレブな立場の場合もある。その逆に野良猫となって冬空で雪に凍える恵まれない立場の場合もある。いずれの立場でも飼い主が出てこない事がある。ネズミ捕りの世界チャンピオンに就いている時には、職務上の退治技術としての毒薬︵猫いらず︶を使用したりもする。 親族は、容姿はトムと瓜二つだが、ネズミ恐怖症のいとこ・ジョージがいる。 作中で登場する他の動物が人語を話す場合があるのに対し、トムはセリフをめったにしゃべらないキャラクターとして設定されており、必要な場合は筆談を用いることもある。日本語版では日本の視聴者に対しての説明のため、筆談のため英語でトムが書いた文章などを、日本語のセリフでしゃべる場合があり、一人称は﹁俺﹂もしくは﹁僕﹂。特にTBS版、肝付兼太吹替担当分のソフト版では翻訳を目的としない身振り手振りや表情に合わせた独自の台詞が多い。キャラクター
外見
体色は灰色または水色・紺色など、青系の色。口周り、手首足首から下、長い尻尾の先は白、腹部は周囲より薄い色。製作時期により顔の形、色が若干異なる。眉が太く、目の色は黄、瞳の色は緑[注 3]。 毛皮は着脱可能で、何らかの原因で毛皮を剥ぎ取られたり刈られた際にランニングシャツと赤い猿股を顕にすることが多い︵ブッチはじめ他のネコは、猿股だけか下着そのものを着ないことが多い︶。手足の白い部分も手袋や靴下のように描かれることがある。体質
二足歩行ができ、身長は人間の腰ほどもあって、子犬やハイハイをしている人間の赤ん坊を片手でつまみ上げられるくらい大柄である。 また、非常に特殊な身体構造をしており、口から物が飛び込んだ際にその勢いのまま尻尾の先端まで到達する、ジェリーや金魚などの小動物が片方の耳から侵入し反対側の耳から出てくるなどの描写がある。またその際には、彼らが頭部を通過する様子が左右の眼球越しに確認できる。 マッチを擦るときは自分の尻で擦る[注 4]。 ﹁首を斬られる﹂﹁車に轢かれる﹂﹁重い物に押し潰される﹂﹁高い場所から落ちる﹂﹁大爆発に巻き込まれる﹂﹁破裂する﹂などの事故や災難によっても死なない不死身のネコ[注 5]である。また、分断されたしっぽをきれいにつなげ、その部分を握りしめ息を吹き掛けることで傷跡が残ることなく修復する。銃で全身を撃たれても体に穴が空くだけで生命に別状はない︵この時水を飲むと銃痕から水が漏れ出す︶。しかし、ジェリーの巣穴の前に大量の爆弾を仕掛けた挙句その爆発に巻き込まれ昇天する、掃除機に吸い込まれそうになった際にトムの魂が9つ現れたことがあるなど、実際に死亡あるいは死亡寸前の状態にまで行った事がある。失恋し鉄道自殺を図る作品もあるが結末は描かれていない。 ﹃トムとジェリー テイルズ﹄では、鶏の振りをして無理やり卵を産むシーンもある。性格
食べること、寝ること、そしてネズミを追いかけることを生き甲斐とする[1][2]。 ジェリーとの追いかけっこ=喧嘩の多くはトムの敗北に終わるが、稀に勝ったり引き分け・一時休戦し共闘する場合もある。ジェリーを見つけるととにかくいじめようと追いかけるが、ドジで図に乗りやすく詰めが甘い性格[2]が災いし反撃されて負けるパターンが多い。基本的にほとんどの作品で何らかの被害に遭うが、ごくわずかにトムが一切被害に遭わない作品も存在する[注 6]。 自らの意志とは別にお手伝いさんからジェリーを捕まえるよう頼まれ捕獲に試みる事もあるが、いつも失敗しており、その度にお手伝いさんからお仕置きを受けたり家から締め出されたりしている︵家を何度か木っ端微塵に爆破しているが、そのような回にはお手伝いさんが登場しない︶。 ジェリーの捕獲にはチーズを仕掛けたばね式の鼠捕りをはじめ、ダイナマイトなどの爆薬、鈍器、銃器、あるいは家財道具などを武器やトラップとして用いる。しかしその多くがジェリーには巧みにかわされ、自滅や返り討ちに遭っている。 ジェリーを筆頭に、基本的に小動物は食べようとして追いかけ回すネコらしい性格をしているが、自分になついたアヒルの子に母性が芽生えてしまう、落雷の日に放り出した子犬を心配して連れ戻す、孤児に扮したブッチを可愛がる、飼い主の赤ん坊を︵ジェリーと共に︶死ぬ気で守り通すなど、お人好しで優しい一面を持つ。特にジェリーに関してはそのセンチメンタルな面が強調される。ジェリーが苦しがるふりをした際急いで﹁救急箱﹂を持ってくる、ジェリーが出て行ったときは寂しそうにする、さらにはジェリーが死んだと勘違いした際には泣き出したこともあるほど[注 7]。初期作品では本気でジェリーを食べようとしたり、ジェリーに助けられてもすぐに裏切るなど意地悪さも目立ったが、後発作品ではだいぶ性格が丸くなり、先述した持ち前の人の良さがより色濃く描かれるようになる。 ジェリーと協力した時や何らかのアクシデントで追いかけっこがなあなあに終わった時など、わざと自分に攻撃させてから再戦開始させようとしたりするほど、彼にとって追いかけっこは大切なことらしい。 ジェリーの策略で罠に尻尾や指などを挟まれた時や鋭い針や棘などを尻に突き刺された時にはすさまじいまでの叫び声をあげる。この叫び声が、トムの被った痛みの度合いを表現しているといえる︵最初期作品では普通のネコの鳴き声だったこともある︶。 小動物をはじめ自分より弱いと判断した相手には常に強気に出るが、スパイクやブル公などの猛犬、飼い主やお手伝いさん、あるいはそれに準ずる人間など自身より強い立場には全く頭が上がらず、善戦した相手でも勝ち目がないと分かるやいなや相手に媚び諂うなど情けない様子も見られる。本気で怒ったジェリーにも弱い。臆病で小心者な部分もあり、幽霊や怪談が苦手[注 8]。 雌猫︵トゥードル他︶に対しては非常に惚れっぽく、その場合は他の何事も目に入らなくなる。親友でもある野良猫のブッチとは恋の鞘当てを演じることもある。意中の女性に気に入られようと歌やプレゼント︵主にジェリー︶で彼女を口説こうとしたりめかし込んでクールガイを気取るなどナルシストな一面もある。しかし、雌猫側から声をかけられる例はほとんどなく、先述のブッチの他、ジェリーに恋路を邪魔され醜態を晒された挙句、彼女を寝取られるなど女運に恵まれない。 金欲が強く、サーカスなどから脱走しジェリーに匿われた動物を報奨金目当てに捕まえようと奮闘する事が多い。ジェリーが書いた本の内容に憤慨したが、その本の印税を折半してもらえることが分かった途端掌を返すなど現金な性格の持ち主でもある。反面、ネズミをいじめた時点で相続した莫大な遺産が没収されると知っていながらジェリーを追い回す普段の日常を選ぶなど、金よりも追いかけっこを生き甲斐とする節も見られる。 ミルクと魚︵缶詰類も含む︶が大好物。かつてはジェリーの大好物であるチーズは匂いがダメらしく、苦手であったが﹃トムとジェリー ショー﹄ではジェリーのチーズを取り上げて食べるシーンが、﹃トムとジェリー 夢のチョコレート工場﹄では進んで食べようとしてネズミ捕り機で指を痛めるシーンがあることから克服している。また、ジェリーを追い回している最中にジェリーをほうきでたたこうとしたお手伝いさんに誤ってトムがたたかれ、ネズミの心を持ってしまい、チーズを食べたことがある。他にも屋敷の金庫に大量のチーズを隠し持っていたが、ジェリーに狙われ、結局金庫ごと強奪された。特技
非常に多芸多才なネコであり、芸術面では音楽の才能に長けている。特にピアノの演奏は絶品で、足の指でリストを弾け、野良猫仲間とは見事なジャズセッションをする。指揮者としての才能はドタバタ劇の末にジェリーに負けてしまうが、当初は一楽団を丸々指揮している。また、オーケストラの楽器の大半をこなすことができるほど、楽器への順応性が高い。また、足でギターやコントラバスを奏でることができ、上半身でジェリーを探しながら演奏を続けた事もある。 ﹃西部の伊達ねずみ﹄では歌には自信が無かったと見えレコードの口パクでごまかしていたが、﹃オペラ騒動﹄では、人気絶頂のバリトン歌手として、大舞台でセビリアの理髪師・﹁町のなんでも屋﹂を熱唱する。別作品では上記の﹁足コントラバス﹂をこなしつつソロで歌った事もある。また、演奏技術どころかトム自身も一級楽器としての価値があり、特にひげを用いたギターの音はアンクル・ペコスのお気に入りだったりする。ひげは﹃トムとジェリー ロビン・フッド﹄では自ら抜いて使う。しかも、自身を弦とした場合も格別な音を奏でる。なお和訳によっては﹁三味線の皮にされる﹂と脅される話もある。 スポーツも万能[2]で、テニス、ボウリング、サーフィン、ビリヤード、やり投などこれまで様々な分野に挑戦している。特にビリヤードではプロ顔負けのドローショット︵引き球︶を披露する。またバンクショットの名手であり、イージーボールでも必ずクッションを使う。ただし、ゴルフはPAR4のホールで33打を記録する︵スイング音をカウントするだけで50を超えている︶など、得意ではない。水泳も大の苦手で、川に落ちて溺れたところを、自分が食べようとしていたアヒルに救われるほどだった︵﹃目茶苦茶ゴルフ﹄では、水中に潜る描写がある︶。後発作品などで普通に泳いでいることから、現在は克服しているようである。 このように非常に器用なため、軽業のような芸当にも秀でており、ジャグリングなどを披露することもしばしばだが、これはもっぱらジェリーに遊ばれている時に急場を凌ぐための芸当であることが多く、大抵は途中でジェリーに邪魔されて散々な結果に終わる。また、倒立の状態で、手の指だけで進むことができる。他にもアニメ的演出として、ジェリーの家の穴やビリヤードのポケットなど、元来の位置から座標をずらしたり、また自身や他の物体に対して空間をねじ曲げることができる[注 9]。また身体はありえないほど柔らかく、時として蛇のように靭やかに動くが、それが災いして胴体を縛り上げられる事もある。 ドジなイメージが強いが頭脳明晰で手先も器用、物を作るのには才能があるらしく、料理やメカニックに精通している[2]。作品によってはネズミ捕り機︵失敗︶やレースカー、ロケットなどを作ったことがある。化学の知識も豊富にあるため、薬剤を調合するのもお手の物。毒薬どころか、物語に拠っては病気の特効薬を作ったり作ろうとしたりする。日本語吹替版声優
- 八代駿 - TBS版
- ダン小路/肝付兼太 - 新吹き替え〈ハンナ=バーベラ版、チャック・ジョーンズ版〉
- 肝付兼太 - ヘラルド・ポニー版、新吹き替え(ジーン・ダイッチ版)以降の作品
- 佐藤せつじ - 『もっと!トムとジェリー ショー』以降の作品
- 高橋和枝 - おかしなおかしな トムとジェリー 大行進
- 高木渉 - 新トムとジェリー〈トムとジェリーキッズ シーズン1〉
- 堀内賢雄/肝付兼太 - 『ポップコーン』枠
脚注
出典
- ^ “トムとジェリー【公式サイト】 CHARACTERS(トムとジェリーのキャラクター紹介)”. ワーナー・ブラザース. 2021年6月26日閲覧。
- ^ a b c d “CHARACTER _ 映画『トムとジェリー』オフィシャルサイト _ 2021年3月19日(金)公開”. ワーナー・ブラザース. 2021年6月26日閲覧。
注釈
(一)^ ﹃上には上がある﹄での名。
(二)^ ﹃オペラ騒動﹄での名。
(三)^ チャック・ジョーンズ期などを除く。
(四)^ これはトム特有ではなく、ジェリーも同様に自分の尻を使うことがある。さらに後述の通り、登場する動物はほとんど自らの尻を点火時に使用している。ちなみに1940年当時のマッチは黄リンを使用しているため、何に擦っても火が点いた。
(五)^ ﹃パーティ荒し﹄の最後では、トムはギロチンの露と消えている。また後述の例も参照。
(六)^ ﹁ジェリーの日記﹂など。この話は過去のエピソードを軸に構成されているため回想シーンでトムが痛めつけられるシーンがあるものの、トムが直接被害に遭う事はない。
(七)^ 劇場版ではその際、﹁お前は俺の親友なんだ﹂と本心を語っていた
(八)^ ﹃お化け騒動﹄より。
(九)^ いつの間にかありえないものを持ち込んだりよそに移動したり、場合によっては自らの被害の回復に利用している。