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*クサリヘビ科 Viperidae - [[マムシ]]([[ニホンマムシ]]、ツシママムシ)、[[ハブ (動物)|ハブ]]、[[ガラガラヘビ]]、[[サイドワインダー (ヘビ)|サイドワインダー]]、ヒャッポダなど |
*クサリヘビ科 Viperidae - [[マムシ]]([[ニホンマムシ]]、ツシママムシ)、[[ハブ (動物)|ハブ]]、[[ガラガラヘビ]]、[[サイドワインダー (ヘビ)|サイドワインダー]]、ヒャッポダなど |
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*Xenopeltidae |
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足を持たない長い体や[[毒]]をもつこと、脱皮をすること、長い間餌を食べなくても生きている生命力などにより、古来より﹁神の使い﹂などとして各地でヘビを崇める風習が発生した。最近でもヘビの抜け殻︵脱皮したあとの殻︶が﹁お金が貯まる﹂として財布に入れるなどの風習がある。また、[[漢方医学]]や[[民間療法]]の薬としてもよく使われる。
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足を持たない長い体や[[毒]]をもつこと、脱皮をすること、長い間餌を食べなくても生きている生命力などにより、古来より﹁神の使い﹂などとして各地でヘビを崇める風習が発生した。最近でもヘビの抜け殻︵脱皮したあとの殻︶が﹁お金が貯まる﹂として財布に入れるなどの風習がある。また、[[漢方医学]]や[[民間療法]]の薬としてもよく使われる。
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日本においてもヘビは太古から信仰を集めていた。豊穣神として、雨や雷を呼ぶ天候神として、また光を照り返す鱗身や閉じることのない目が鏡を連想させることから太陽信仰における原始的な信仰対象ともなった。もっとも著名な蛇神は、[[三輪山]]を神体として[[大神神社]]に祀られる、[[オオモノヌシ]]であろう。蛇の姿は、男根、剣、金属(鉄)とも結びつけられ、伝統的に男性神とされた。 |
日本においてもヘビは太古から信仰を集めていた。豊穣神として、雨や雷を呼ぶ天候神として、また光を照り返す鱗身や閉じることのない目が鏡を連想させることから太陽信仰における原始的な信仰対象ともなった。もっとも著名な蛇神は、[[三輪山]]を神体として[[大神神社]]に祀られる、[[オオモノヌシ]]であろう。蛇の姿は、男根、剣、金属(鉄)とも結びつけられ、伝統的に男性神とされた。 |
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== [[ことわざ]]・[[慣用句]] == |
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*蛇(じゃ)の道はへび |
*蛇(じゃ)の道はへび |
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*蛇は寸にして人を呑む |
*蛇は寸にして人を呑む |
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*やぶ蛇 |
*やぶ蛇 |
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*蛇に見込まれた蛙 |
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*蛇の生殺し |
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*蛇が蚊をのんだよう |
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*蛇は寸にして人を呑む |
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*[[巳]]([[十二支]]) |
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*[[毒蛇]] |
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*[[ウロボロス]] |
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*[[シーサーペント]](大海蛇) |
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2005年8月11日 (木) 09:18時点における版
ヘビ亜目 Serpentes | ||||||||||||
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![]() エジプトコブラ | ||||||||||||
分類 | ||||||||||||
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下位分類 | ||||||||||||
(本文参照) |
概要
ヘビは恐竜が絶滅したあとにトカゲ類の一部が足を退化させて誕生した動物とされ、現在もメクラヘビやニシキヘビなど一部の原始的なヘビに腰帯の痕跡を持つ種類がある。なお肩帯のある種類は現存しない。 胴と尾の区別は、いっぱんに総排出腔から先が尾とされる。無論骨格を見れば胴体と尾の境界はある。変温動物なので、極端な暑さ寒さの環境下では休眠を行なう。 全世界の熱帯・温帯を中心に3000種類ほどが知られている。生息環境は森林、草原、砂漠、川辺、海など種類によってさまざまで、地上でくらす種類、木の上でくらす種類、浅い地中にもぐってくらす種類、海中を自在に泳ぐ種類など多様性に富む。 大きさも最大10mといわれるアミメニシキヘビやアナコンダから、10cmそこそこのメクラヘビ類までさまざまな大きさがある。なお世界最大の毒蛇は体長5m以上になるキングコブラとされる。 視力はヒトなどに比べると弱いが、これは蛇の祖先が現在のメクラヘビ科のように地中性であるために1度目が退化しかけたことによるものである。このため現存のものにも目が退化した種類も多い。脚を退化させたのも地中に潜ったことと関連があるという。その反面嗅覚が発達しており、舌をひらめかせることによりにおいを感じ取って獲物を追う。マムシやハブなどは、目と鼻のあいだに赤外線︵動物の体温︶を感じ取る"ピット"︵赤外線感知器官︶をもつ。 食性はすべてが肉食性で、主食はシロアリ、ミミズ、カタツムリ、カエル、ネズミ、魚類、鳥類など種類によって異なる。大型の種類ではシカやワニまでも捕食することがあるが、変温動物で体温を保つ必要がないため、食事の間隔は数日から数週間ほどである。獲物を捕食するときは毒牙から毒を注入して殺すか、長い胴でぐるぐると締めあげて窒息させ、左右に割れた下あごを交互に前後させ呑みこむ。ヘビの毒
ヘビといえば﹁長い体﹂の次に﹁毒﹂が連想されるが、﹁全てのヘビが攻撃的﹂﹁全てのヘビは毒を持つ﹂﹁咬まれたら必ず死ぬ﹂というわけではない。全世界に3000種類ほどいるヘビのうち、実際に毒をもつヘビは1/4ほどである。 威嚇もなく咬みつくハブのような攻撃的な毒蛇は大いに恐れるべきだが、ガラガラヘビやコブラなどは咬みつくまえに威嚇を行なうし、ニホンマムシは毒ヘビの中ではわりとおとなしい部類である。 ヘビの毒はおもに獲物を倒すために使われるが、人間の唾液に相当するものなので消化液も兼ねる。毒ヘビに咬まれるとからだの各部から出血を起こすことがあるが、これは蛋白質が消化されたために起こる症状である。毒ヘビに咬まれたときは血清による治療をうける必要がある。 マムシやハブはクサリヘビ科に分類されるが、これらは上あごの先にある2本の毒牙から毒を分泌する。毒牙の先に毒液を出す穴があり、牙の中は注射器のようになっていて、牙の根もとに毒腺がある。コブラ科も似たような毒牙をもつが、なかには口を開けて毒牙から毒液を噴射するクロクビコブラやドクハキコブラのような種類もいる。 また、ヤマカガシの仲間はアオダイショウなどと同じナミヘビ科だが、上あごの奥の牙と首筋の皮ふの2ヶ所から毒を分泌する。これらの仲間は無毒とされてきたが最近になって毒ヘビとして認識されるようになった。分類
●Acrochordidae ●Aniliidae ●Anomalepididae ●Anomochilidae ●Atractaspididae ●ボア科 Boidae - ボア、エメラルドツリーボア、アナコンダなど ●Bolyeriidae ●ナミヘビ科 Colubridae - アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシ、アカマタ、ヒバカリ、ジムグリなど ●Cylindrophiidae ●コブラ科 Elapidae - コブラ、サンゴヘビなど ●ウミヘビ科 Hydrophiidae - ウミヘビ ●Leptotyphlopidae ●Loxocemidae ●ニシキヘビ科 Pythonidae - アミメニシキヘビ、ボールニシキヘビ ●Tropidophiidae ●メクラヘビ科 Typhlopidae - メクラヘビ ●Uropeltidae ●クサリヘビ科 Viperidae - マムシ︵ニホンマムシ、ツシママムシ︶、ハブ、ガラガラヘビ、サイドワインダー、ヒャッポダなど ●Xenopeltidae文化
足を持たない長い体や毒をもつこと、脱皮をすること、長い間餌を食べなくても生きている生命力などにより、古来より﹁神の使い﹂などとして各地でヘビを崇める風習が発生した。最近でもヘビの抜け殻︵脱皮したあとの殻︶が﹁お金が貯まる﹂として財布に入れるなどの風習がある。また、漢方医学や民間療法の薬としてもよく使われる。 日本の古語ではヘビのことを、カガチ、ハハ、あるいはカ︵ハ︶等と呼んだ。民俗学者の吉野裕子によれば、これらを語源とする語は多く、鏡︵ヘビの目︶、鏡餅︵ヘビの身=とぐろを巻いた姿の餅︶、ウワバミ︵ヘビの身、大蛇を指す︶、かかし︵カガシ︶、カガチ︵ホオズキの別名、蔓草からヘビを連想︶等があり、神︵﹁蛇身﹂︶もヘビを元にするという。︵﹃蛇―日本の蛇信仰﹄1979年、法政大学出版局 ISBN 4588203215 / 講談社学術文庫 ISBN 4061593781 ︶ ヘビは古来、世界的に信仰の対象であった。各地の原始信仰では、ヘビは大地母神の象徴として多く結びつけられた。山野に棲み、ネズミなどの害獣を獲物とし、また脱皮を行うヘビは、豊穣と多産と永遠の生命力の象徴でもあった。また古代から中世にかけては、尾をくわえたヘビの意匠を西洋など各地の出土品に見ることができ、﹁終わりがない﹂ことの概念を象徴的に表す図象としても用いられていた。ユダヤ教やそこから発展したキリスト教、イスラム教ではヘビは悪魔の化身あるいは悪魔そのものとされたが、これは唯一神信仰が形成される過程で既存の原始信仰とその対象だったヘビを否定する意味があったのは確かだろう。 日本においてもヘビは太古から信仰を集めていた。豊穣神として、雨や雷を呼ぶ天候神として、また光を照り返す鱗身や閉じることのない目が鏡を連想させることから太陽信仰における原始的な信仰対象ともなった。もっとも著名な蛇神は、三輪山を神体として大神神社に祀られる、オオモノヌシであろう。蛇の姿は、男根、剣、金属︵鉄︶とも結びつけられ、伝統的に男性神とされた。ことわざ・慣用句
- 蛇(じゃ)の道はへび
- 蛇は寸にして人を呑む
- やぶ蛇
- 蛇に見込まれた蛙
- 蛇の生殺し
- 蛇が蚊をのんだよう
- 蛇は寸にして人を呑む