伊藤亘行

伊藤亘行︵いとうのぶゆき︶1921年︵大正10年︶～2002年︵平成14年︶11月10日は三重県四日市市出身の声楽家。四日市市立富洲原小学校などの校歌の作曲者。


 

生い立ち

●四日市市京町生まれ。伊藤家はタイル業で父が仕事中にバイオリンを弾くのを聞いて、叔母の家でオルガンを弾いたりして幼少年時代を過ごす。旧制富田中学校︵現在の三重県立四日市高等学校︶卒業。父や親戚を説得して東京音楽学校声楽科︵現在の東京芸術大学︶へ進学した。木下保や中山悌一に執事した。大東亜戦争の戦中で音楽関係の仕事がなくて、郷里の東海地方に帰り現在の愛知県立旭丘高等学校や愛知県立明和高等学校の音楽担当の教師となり音楽を教えた。

声楽家時代

●戦後の1947年︵昭和22年︶にさらに勉学と東京音楽学校研究科で、マルガレーテ・ネトケ・レーベやマンフレート・グルリットに執事された。翌年の藤原歌劇団の公演で﹁モラーレス﹂を歌って音楽界にデビューした。これ以降は二期会を中心に活動した。アルマヴィーヴァ伯爵、イヤーゴ﹁ばらの騎士﹂のファニーナルを初演した。更にドン・ジャバンニ・リゴレット、﹁売られた花嫁﹂のクルシナなどを演じて好評を博して、コンサートではマーラー﹁大地の歌﹂などに大活躍した。

●特に1952年︵昭和27年︶から1953年︵昭和28年︶頃からは、カラヤンの率いるN曲の第9演奏会でバリトン独唱をしながら日本各地を縦断したことは語り草となっている。

●1954年︵昭和29年︶に毎日新聞の音楽賞を受賞した。1956年︵昭和31年︶から東京音楽大学の教授となり山路芳久・黒崎錬太郎ら多くの声楽家を育成した。1957年︵昭和32年︶の四日市市制60周年記念で制作された四日市市歌を作曲する。後に東京芸術大学の名誉教授となった。戦後の昭和20年代～昭和30年代には声楽家として日本オペラ界の草分け的存在となった。2002年︵平成14年︶11月10日午前4時58分に、心不全のため東京都北区の自宅で死去した。享年81歳。喪主は妻の伊藤節子。二期会に所属していた。バリトン歌手としてR・シュトラウスのオペラ﹁ばらの騎士﹂などで活躍した。

校歌作曲

●四日市市立富洲原小学校校歌︵伊藤信一作詞︶

●四日市市立川島小学校校歌︵武藤和男作詞︶

●四日市市立納屋小学校校歌︵川崎一郎作詞︶

●四日市市立西橋北小学校校歌︵若松正一作詞︶

●四日市市立朝明中学校校歌︵山口誓子作詞︶

脚注