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「十字架の道 (リスト)」の版間の差分

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「聖ヴェロニカ」では、[[讃美歌]]136番「[[血しおしたたる]]」({{lang-de|O Haupt voll Blut und Wunden}}、バッハの[[マタイ受難曲]]の中の複数のコラールで利用されたことはよく知られている) が用いられていることと、コラール「血しおしたたる」の少し前にB-A-C-H (変ロ-イ-ハ-ロ) のモティーフが出現することからわかるように、[[ヨハン・セバスチャン・バッハ|バッハ]]を意識していることが明瞭である<ref>『フランツ・リスト Via Crucis、アルヴォ・ペルト 宗教合唱作品』ライナーノーツ</ref>。ここで使われているコラールは自身で和声付けしてバッハも使用しているが、『十字架の道』での和声はリスト自身によるもので、バッハによる和声付けは使われていない<ref name="ondine"/><ref name="hyperion"/>。}}

「聖ヴェロニカ」では、[[讃美歌]]136番「[[血しおしたたる]]」({{lang-de|O Haupt voll Blut und Wunden}}、バッハの[[マタイ受難曲]]の中の複数のコラールで利用されたことはよく知られている) が用いられていることと、コラール「血しおしたたる」の少し前にB-A-C-H (変ロ-イ-ハ-ロ) のモティーフが出現することからわかるように、[[ヨハン・セバスチャン・バッハ|バッハ]]を意識していることが明瞭である<ref name="ondine"/>。ここで使われているコラールは自身で和声付けしてバッハも使用しているが、『十字架の道』での和声はリスト自身によるもので、バッハによる和声付けは使われていない<ref name="ondine"/><ref name="hyperion"/>。}}



8曲目 7留:イエス、再び倒れる

8曲目 7留:イエス、再び倒れる

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13曲目 12留:イエス、十字架上で死す

13曲目 12留:イエス、十字架上で死す



{{Indent|速度指示・調性記号なし、4分の4拍子}}

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バリトン独唱による、[[マタイによる福音書]]27章46節にある「エリ、エリ、ラマ、サバクタニ」で曲は始まる。これはイエスの最期の言葉だが、その直後にはオルガンに十字架の動機が現れる<ref name="ondine"/>。


この後、オルガン独奏による大規模な幻想曲が展開される。この部分は十字架の音型を基本動機としている<ref name="ondine"/>。


曲の最後には、ルター派のコラール「いつの日かわれ去り逝くとき」({{lang-de|Wenn ich einmal soll scheiden}}、バッハの『マタイ受難曲』で、イエスの最期の言葉が[[レチタティーヴォ]]で歌われた後に現れるコラール) が混声合唱で歌われる<ref name="hyperion"/>。}}



14曲目 13留:イエス、十字架から降ろされる

14曲目 13留:イエス、十字架から降ろされる



{{Indent|アンダンテ・モデラート、ニ短調、4分の3拍子}}

{{Indent|アンダンテ・モデラート、ニ短調、4分の3拍子


オルガン独奏。変形されているが、ヒムヌス「スターバト・マーテル」や4留の聖母マリアの音楽が引用されている。聖母マリアに関係する音楽が現れるのは、[[ピエタ]]の慣習によって、この場面ではイエスが聖母マリアの腕の中に抱きかかえられているシーンとして描かれているからである<ref name="hyperion"/>。}}



15曲目 14留:イエス、墓に安置される

15曲目 14留:イエス、墓に安置される



{{Indent|アンダンテ、ニ短調、2分の3拍子}}

{{Indent|アンダンテ、ニ短調、2分の3拍子


冒頭の「王の御旗」の音楽で始まる。歌詞は別物に、音楽もやや明るく穏やかな調子に変えられており、形式も一種のアンティフォナに変わっている。メゾ・ソプラノの独唱が「王の御旗」の旋律の一部を歌ったあと、同じ旋律を合唱が繰り返し、最後まで「王の御旗」を歌い終わると、続いて、オルガンで聖母マリアの音楽が[[ニ長調]]で再現される。その間、合唱はゆっくりとAve, ave, crux! を繰り返す。


最期に、ピアニッシモでオルガンの低音に十字架の音型が現れて曲を終える。}}



== 編成 ==

== 編成 ==


2021年6月12日 (土) 14:10時点における版


(: Via Crucis) S.53R.534[ 1]14(: Les 14 stations de la Croix) [2][ 2] (S.504a)  (S.674a) [4]

概要


 ()14 ()  (7) [5]





19調

作曲の経過




稿1866[2][6]18781879

1878[7]1879[ 3]

曲の構成


151114

154 () 

1  (: Vexilla regis)


調23
調調33 (D-F-G) 調[5]44
813[6]使17使
1864(: Vexilla regis prodeunt)[ 4] 


21:


調43
3


32:


調43
調Ave, ave, crux!  (44) 


43:


調43
21[6]


54:


調44
調


65:


調23
調調調 ()  調


76:


調44
136(: O Haupt voll Blut und Wunden) B-A-C-H (---) [5]使使使[5][6]


87:


調43
調3


98:


 調44
44[ 5]Tromp [ 6] 
11[7]


109:


調43
調3


1110:


調44
調


1211:


調44



1312:


調44
2746[5]
[5]
(: Wenn ich einmal soll scheiden) [6]


1413:


調43
4[6]


1514:


調23
調調Ave, ave, crux! 


編成

聖金曜日に戸外で演奏することを想定して作曲されているためオルガンかハーモニウムを伴奏にしている[5]。ただし、祈りのために室内で演奏することも許しており、その場合はピアノでもよい。

初演

リストの存命中には演奏されず、作曲されてから半世紀たった1929年の聖金曜日にブダペストで初演された[7]。初演はArtur Harmat (リスト音楽院教会音楽科教授) の指揮による[6]

出版


[6][ 7]571936

1936 () [3]

録音

オルガン伴奏による演奏

  • ハイペリオン CDA67199、コリドン・シンガース、マシュー・ベスト (指揮)、トーマス・トロッター (オルガン)、2000年録音

ピアノ伴奏による演奏

ピアノ編曲版

脚注



(一)^ S.53S.53a[1]

(二)^ Via crucis. Les 14 Stations de la Croix: pour Choeur, Soli, avec accompagnement d'orgue (ou Pianoforte) composées par F.Liszt[3]

(三)^ 1878[6]18789101879 (3) F. '79226 [3][6]1879226[8]

(四)^ S.185S.355

(五)^ 

(六)^ 1

(七)^ 33[9]

出典

  1. ^ エヴェレット・ヘルム 著、野本由紀夫 訳『〈大作曲家〉リスト』音楽之友社、256頁。ISBN 4-276-22162-5 
  2. ^ a b エヴェレット・ヘルム『リスト』xi
  3. ^ a b c フランツ・リスト旧作品全集、第5シリーズ第7巻
  4. ^ エヴェレット・ヘルム『リスト』xxii
  5. ^ a b c d e f g 『フランツ・リスト Via Crucis、アルヴォ・ペルト 宗教合唱作品』Ondine ODE 1337-2、ライナーノーツ
  6. ^ a b c d e f g h i j ハイペリオン CDA67199、ライナーノーツ
  7. ^ a b c Franz Liszt Via Crucis, Salve Regina, Vater Unser, Ave Verum Corpus, Alpha Classics ALPHA 390、ライナーノーツ
  8. ^ Liszt Ferenc: Via crucis The 14 Stations of the Cross”. 2021年6月8日閲覧。
  9. ^ エヴェレット・ヘルム『リスト』p.250.

外部リンク