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この項目では、出入りを阻むための囲いについて説明しています。城砦については「城柵」をご覧ください。 |
柵︵さく︶は、支柱を等間隔に並べ、これに渡すように木材や竹、金属などの横板を横方向に固定して作った構造物。横板ではなくロープやチェーンなどが用いられることもある。フェンスとも呼ばれる。塀とは違って隙間があり、柵越しに景色を見ることはできる。
なお、しがらみと読めば、構造は同じだが、水流を抑えるために川の中に設けたものを指す。
道路交通
g歩行者自転車用柵
道路では車両の路外などへの逸脱、歩行者の車道の横断防止などの目的で防護柵が設置される[1]。
自転車道や河川周辺など転落を防止する必要の有る設置箇所に向けた、地上高1100mmの転落防止柵と、歩車境界など歩行者の横断抑止を目的とした地上高800mmの横断防止柵に大別される。
歩行者などを対象とする防護柵は﹁歩行者自転車用柵﹂と分類される[1][2]。
歩行者自転車用柵は以下の表に示す設計強度に応じて、種別を区分する。
歩行者自転車用柵は、原則として種別Pを適用するものとし、歩行者などの滞留が予想される区間及び橋梁、高架の区間に設置される転落防止を目的とした柵は、集団による荷重を想定し、種別SPを適用するものとする。
歩行者自転車用防護柵の設置基準
分類 |
種別 |
設計強度 |
設置目的 |
備考
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歩行者自転車用防護柵
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P
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垂直荷重 590N/m (60kgf/m)以上
水平荷重 390N/m(40kgf/m)以上
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転落防止、横断防止
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荷重は、防護柵の最上部に作用するものとする。
このとき種別Pにあっては部材の耐力を許容限度として設計することが出来る
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SP
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垂直荷重 980N/m(100kgf/m)以上
水平荷重 2,500N/m(250kgf/m)以上
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転落防止
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防災用途
防風対策設備に防風柵がある[3]。また防雪設備に防雪柵、雪崩予防設備に雪崩予防柵、雪崩防護設備に雪崩防護柵、落石防護設備に落石防護柵がある[4]。
農業用途
牧畜用途
牧畜用の柵である牧柵には物理柵と心理柵︵電気牧柵︶がある[5][6]。
●物理柵 - バラ線や木柵など物理的に隔てる柵[5]。経費や設置労力はかかるが耐久性は高い[5]。
●心理柵︵電気牧柵︶ - 電気を流し牛などの家畜が近づかなくなる精神的効果を利用した柵[5]。
鳥獣防除
対象
鳥獣防除用の防護柵には農地のみを囲むものと集落全体を囲むものがある[7]。
●農地のみを囲む柵
●個別柵 - 個人が管理する個々の農地を囲む柵[7]
●グループ柵 - 隣接する複数の農地を囲む柵[7]
●集落柵 - 集落で管理する集落全体を囲む柵[7]
物理柵と心理柵
●物理柵 - 金網やトタンなどで作った一定の高さの強度を持たせた柵[7]。
●心理柵 - 電気柵のように野生動物の学習効果を利用した柵[7]。
しがらみ
構造
溜池遺構に編み込まれたしがらみ
しがらみは川中に杭を打ち横木を噛ますことで水流の向きを変える構造のことだが、遺跡の発掘調査から土木の基礎構造︵埋め殺し︶にも用いられてきたことが考古学的に立証されるようになった。
稲作が伝来し水田耕作が始まると灌漑が広まり、利水目的で河川からの取水用にしがらみが造られるようになった。やがて用水路やため池の土手を補強するためしがらみを骨格として土を盛る技術が編み出された。これは石積が普及した後も基礎構造として継承された。
埋め立て造成で都市を構築した江戸の街は、都内で埋蔵文化財としてしばしばしがらみ遺構が検出される。この参考事例は江戸東京博物館において模型展示されている。
近代になっても竹筋コンクリートのような構造は、しがらみの応用と捉えられる。
慣用句
﹁世間のしがらみ﹂のように解くことができないことの例えに引用される。
外部リンク
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