由利島のソースを表示

{{半保護}}
{{Otheruses|瀬戸内海の無人島|日本海軍の敷設艇|由利島 (敷設艇)}}
{{Notice|テレビ番組の舞台という記述を行う際は、信頼できる出典を明記の上でお願いします。[[ノート:由利島|ノート]]もご参照ください。}}
{{Infobox 島
| 島名=由利島 
| 画像 = [[File:Yuri-Jima Island Aerial photograph.jpg|280px]]<br/>由利島の空中写真。<br/>{{国土航空写真}}（1974年撮影）
| 緯度度 = 33|緯度分 = 51|緯度秒 = 8
| 経度度 = 132|経度分 = 31|経度秒 = 27
| 面積=0.61<ref name="SHIMADAS">シマダス、p.667</ref>
| 周囲= 
| 標高=174<ref name="ehime-np">愛媛県百科大事典・下、p.662</ref><ref name="kadokawa1981">角川地名大辞典、p.674</ref>
| 海域=[[瀬戸内海]] 
| 国={{JPN}}（[[愛媛県]]）{{日本の位置情報|33|51|8|132|31|27|由利島|33.852222,132.524167|由利島|nocoord=yes}}
| 地図={{Location map|Japan Ehime Prefecture#Japan|relief=1|float=center}}
}}
'''由利島'''（ゆりじま）は、[[伊予灘]]に位置し、[[愛媛県]][[松山市]]に属する[[島]]。[[松山港]]の沖合の[[無人島]]である。面積0.61平方キロメートルの小島である。

==概要==
大小<span class="ltr">2</span>つの島が潮流によって接合された[[陸繋島]]<ref name="ehime-np" />。[[砂州]]でつながった形をしており、それぞれ大由利、小由利（標高102.9メートル）と呼ばれている<ref name="ehime-np" /><ref group="注釈">宮本によると東側の大きな島を小由利、西側の小さな島を大由利と呼んでおり、かつては西の島の方が大きかったが後述の地震により沈んでしまったとしている(宮本1968、p.262)(宮本2007、p.108)。</ref>。両島とも[[安山岩]]でできており<ref name="ehime-np" />、標高174メートル。

== 歴史 ==
松山市の[[遺跡]]（[[埋蔵文化財包蔵地]]）分布地図によると、島内には由利島遺跡（[[弥生時代]]の[[遺物]]散布地）・由利島大谷遺跡（[[中世]]の遺物散布地）・由利島長者屋敷遺跡（中世[[城館]]）という<span class="ltr">3</span>遺跡が登載されている<ref>[http://www.city.matsuyama.ehime.jp/kurashi/kurashi/jutaku/tatemono/maibun/n_houzouchi_ichiran.html 埋蔵文化財包蔵地図及び一覧表（中島地区）]松山市公式サイト</ref>。小由利島の由利島遺跡からは、弥生時代中期の[[弥生土器]]として[[壺]]・高坏（たかつき）が多数出土しており、[[<span class="ltr">1</span>世紀]]ごろに島が[[東九州]]、[[安芸]]、[[周防]]の中継地として栄え、この頃から人が住んでいたものと思われる<ref name="SHIMADAS" /><ref name="HEIBON1980">平凡社、p.346</ref>。古代には[[周防国]]や[[安芸国]]、[[九州]]との中継地となっていたと見られている。大由利島山腹の夜叉ヶ宿や大谷からは[[土師器]]系と考えられる[[平安時代]]・[[鎌倉時代]]の[[かわらけ]]片、[[貝塚]]が出土している{{r|SHIMADAS|HEIBON1980}}。

『風早郡地誌』には「由利島、東西十五町、周囲一里十町、樹木なく[[秣]]（まぐさ）あり。間に田畑を見る、島民居成すもの僅かに二戸、男女皆農を業とす」の記載があり<ref name="kadokawa1981" />、古くは採草地として利用されていた<ref name="ehime-np" />。かつては由利千軒と呼ばれるくらい沢山の人家があったと伝えられているが、[[<span class="ltr">13</span>世紀]]後半の[[弘安]]年間（[[1278年]]-[[1288年]]）に[[地震]]（[[津波]]とする説もあり）により水没したといわれ、海中に井戸らしき石積みも散見されている<ref name="SHIMADAS" />。また民俗学者の[[宮本常一]]の取材によると<span class="ltr">17</span>世紀の周防灘の大地震で西の島(大由利)が沈んだと記している<ref>宮本1968、p.262、宮本2007、p.108</ref>。

付近の海域は古くから[[イワシ|鰯]]などの好漁場として知られ、[[高浜港]]と[[二神島]]との漁民の間で漁場をめぐる争いが絶えなかった<ref name="SHIMADAS" />。[[近世]]には[[紀伊国|紀州]]の[[下津町塩津|塩津村]]から漁期のみ人が住み着き、今日でいう入漁料を払って漁労を行っていた。後年、[[忽那諸島]]の二神島や長師（[[中島 (愛媛県)|中島]]）だけでなく、安芸の[[瀬戸村]]や[[岩城島]]（越智諸島）などからも出漁する者が出て争いが絶えず、[[寛文]]9年（[[1669年]]）に議定書が交わされ、長師村杉野五右衛門、二神村源三郎、瀬戸の加藤太衛門の三人が[[干鰯]]の値段を合議することになった<ref name="ehime-np" />宮本常一によると<span class="ltr">17</span>世紀の地震で島を捨てて[[三津浜町|三津浜]]の仮屋に移りさらに高浜の新苅屋へ移った。寛文年間に[[紀州藩|紀州]]の漁民がイワシ漁を操業しようとし、二神島では許可したが旧島民の新苅屋は反対して二神と新苅屋の間で漁民の争いが続いたという。

次第に二神島から漁民が移り住むようになり、特に[[昭和]]初期には好漁が続き、夏の漁期には数百人が暮らし、全盛期には浜に<span class="ltr">10</span>基を超す鰯網の窯場が設けられた{{r|ehime-np|SHIMADAS}}。[[太平洋戦争]]時には[[大日本帝国海軍|日本海軍]]により、大由利山頂に監視哨や[[高射砲]]陣地、[[探照灯]]が設置されていた<ref name="SHIMADAS" /><ref>椎名誠、p.61</ref>。

以前は砂洲付近（通称明神）と北側の浜（砂浜）に集落があった<ref name="SHIMADAS" />。大由利には長者屋敷、寺床の地名が残り、最南端には[[1951年]]（[[昭和]]26年）に設置された[[灯台]]が立っており、島内には[[海食洞]]も見られる<ref name="SHIMADAS" />。砂洲の西側には[[池塘]]を掘削して出来た人工入江があり、由利漁港として市管轄の第一種漁港の指定を受けている<ref name="SHIMADAS" />。やがて不漁となったため、住民数は[[1955年]]（昭和<span class="ltr">30</span>年）に<span class="ltr">75</span>人、[[1960年]]（昭和<span class="ltr">35</span>年）には<span class="ltr">21</span>人と減少し、[[1965年]](昭和<span class="ltr">40</span>年)には最後の<span class="ltr">6</span>人が島を離れ、無人島となった<ref name="SHIMADAS" />。砂州にはかつての集落跡、漁港跡があり、魚干し場や井戸の跡も残っている。

== 産業 ==
寛文年間(1661-1673)のころからイワシ漁やタコ壺量が盛んになり、並行してイワシから取れるイリコ製造の窯場や煮干しづくりなど海産業で島は賑わっていた<ref>倉掛1986、pp.198-200、pp.204-207</ref><ref>宮本1968、p.263、pp.272-275</ref><ref group="注釈">宮本によるとイワシの干されている面積は5000坪を超え漁獲高は600桶にのぼったというが目分量であり実際にはそれよりもっと多かったと記している(宮本1968、p.272)。</ref>。かつては野生の鹿が島に住み着き、江戸時代末期には[[伊予松山藩]]が肉や毛皮を取っていたりもしたが外国人などがボートで上陸し鉄砲で鹿狩りをしたため絶滅した<ref>宮本1968、pp.265-266</ref>。山は肥沃であり、農作物としてサツマイモや麦、玉ねぎ、豆どを栽培しており、斜面は一面イモのツルなどで埋め尽くされていた<ref>宮本1968、pp.267-268</ref><ref>宮本2007、p.108</ref>。ミカン(温州みかん、伊予カン、ネーブル<ref>倉掛1986、p.200</ref>)の栽培なども斜面を使って積極的に行われていた<ref>宮本1968、pp.268-269</ref>。

== その他 ==
* かつて無人島にも関わらず[[委託公衆電話|赤電話]]が引かれ、船舶の避難用、出作の人や漁民などの連絡用として用いられていた。家屋型の[[電話ボックス]]もあり、[[椎名誠]]はこの島を訪ねた際に赤電話を使用したことなどをエッセイで紹介している<ref>椎名誠、pp.51-66</ref>。無人島時代にも年<span class="ltr">1</span>、<span class="ltr">2</span>回ほど使用料金の回収があり、2000～3000円ほどの公衆電話使用料があったという<ref>椎名誠、p.62</ref>。使用頻度が少ないために[[1986年]]（昭和<span class="ltr">61</span>年）には一度撤去されるものの「[[海底ケーブル]]が故障するまで」との約束で[[二神島]]の住民が費用を負担することで再設置、存続されたが[[ケーブル]]の切断により[[1993年]]（[[平成]]5年）<span class="ltr">2</span>月には不通となり、電話機も撤去された<ref name="SHIMADAS" />。
* [[公職選挙法]]施行規則（昭和<span class="ltr">25</span>年総理府令第<span class="ltr">13</span>号）第<span class="ltr">16</span>条に規定された「[[期日前投票制度|期日前投票]]又は[[不在者投票制度|不在者投票]]を行うことができる地域」の一つである（愛媛県内ではほかに[[四阪島]]が指定されている）<ref>{{Cite web|和書|url=https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325M50000002013|title=昭和二十五年総理府令第十三号 公職選挙法施行規則|work=e-Gov法令検索|accessdate=2021-10-27}}</ref>。2021年現在、無人島となって久しいものの、施行規則からは削除されておらず、このため松山市選挙管理委員会の期日前投票宣誓書には、期日前投票を行う事由の選択肢に「由利島に居住・滞在」が含まれている<ref name="asahi_211027">{{cite news|url=https://www.asahi.com/articles/ASPBV5K72PBQPTLC00W.html?iref=comtop_7_01|title=無人島なのに期日前投票？　投票所入場券の謎、記者がたどった|newspaper=朝日新聞|date=2021-10-27|accessdate=2021-10-27}}</ref>。
=== ロケ地としての利用 ===
* 「[[進ぬ<span class="ltr">!</span>電波少年]]」の[[進ぬ<span class="ltr">!</span>電波少年#電波少年的無人島脱出|無人島脱出企画]]の舞台である<ref>[https://style.nikkei.com/article/DGXMZO85951000R20C15A4000000?channel=DF280120166614&style=1 「徹子の部屋」収録見るには…テレビ業界の大疑問] NIKKEI STYLE 2015年<span class="ltr">5</span>月<span class="ltr">18</span>日 2018年<span class="ltr">4</span>月<span class="ltr">2</span>日閲覧</ref><ref>[https://vod.ntv.co.jp/program/denpa_syounen_R-mania/ 電波少年　<span class="ltr">R</span>マニア電波少年的無人島脱出＆スワンの旅(<span class="ltr">3</span>)] [[日テレオンデマンド]]{{Subscription required}} 2018年<span class="ltr">4</span>月<span class="ltr">15</span>日閲覧 <!--(<span class="ltr">3</span>)の最後で脱出の舞台が由利島であったことが明言されています。--></ref>。当時島は無人であったが、島内の山中に作業小屋が存在し[[<span class="ltr">R</span>まにあ|Rマニア]]が寝泊まりに使用した<ref>[https://vod.ntv.co.jp/contentsViewer/?contentsId=459&mediaKindId=0 電波少年　<span class="ltr">R</span>マニア電波少年的無人島脱出＆スワンの旅(<span class="ltr">1</span>)] [[日テレオンデマンド]]{{Subscription required}} 2018年<span class="ltr">6</span>月<span class="ltr">21</span>日閲覧 </ref>。
* 2012年頃からテレビ番組のロケ地として利用され、建物や設備の建設などが行われている<ref name="SHIMADASquo">シマダス、p.667。シマダスでは「平成<span class="ltr">24</span>年ごろからテレビ番組のロケ地として利用されており、小由利と大由利を繋ぐトロッコレールの建設、拠点となる建物の整備、有志による矢立大名神社の再建」の記あり。</ref>。
* [[日本テレビ放送網|日本テレビ系列]]で放送中のバラエティー番組「[[ザ<span class="ltr">!</span>鉄腕!DASH!!]]」の無人島「[[DASH島]]」の開拓企画の舞台について、日本テレビは明らかにしていないものの、インターネット上では由利島であるとされている<ref>[https://asajo.jp/12577 TOKIO国分太一、パパになることで懸念されるグループ内での「さらなる孤立」]（[[徳間書店]] アサジョ 2016年<span class="ltr">6</span>月<span class="ltr">21</span>日配信）2020年<span class="ltr">7</span>月<span class="ltr">23</span>日確認 </ref>。

== 脚注 ==
{{Reflist}}

=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}

== 関連書籍 ==
* 宮本常一『私の日本地図<span class="ltr">4</span>』([[同友館]]、1968年)
*『愛媛県の地名』([[平凡社]]、1980年)
*『愛媛県百科大事典・下』([[愛媛新聞社]]、1985年)
* 椎名誠『あやしい探検隊不思議島へ行く(』[[光文社]]、1985年)
* 倉掛喜八郎『ポンポン船の旅』([[大阪書籍]]、1986年)
*『角川地名大辞典』([[角川書店]]、1988年)
* 宮本常一『宮本常一写真図録　第<span class="ltr">1</span>集』(みずのわ出版、2007年)
*『SHIMADAS(シマダス)』(日本離島センター、2019年)

== 参考文献 ==
* {{Citation |和書 |last=長嶋 |first=俊介 |title=困窮島制度ならびに同類似制度の比較考察--宇宇島・大水無瀬島・小手島・由利島と類似制度 |periodical=島嶼研究 |issn=1884-7013 |publisher=日本島嶼学会 |year=2000 |pages= 15-34 |url=https://ci.nii.ac.jp/naid/130001775061/ }}
* {{Citation |和書 |last=那須 |first=くらら |title=(安田賞)受賞論文 「困窮島」という神話 : 愛媛県二神島/由利島の事例 |periodical=関西学院大学社会学部紀要 |issn=0452-9456 |publisher=関西学院大学社会学部研究会 |year=2012 |pages= 135-150 |url=https://ci.nii.ac.jp/naid/40019486515/}}

== 関連項目 ==
* [[伊号第三十三潜水艦]] - 由利島近海で事故により沈没。

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[[Category:忽那諸島]]
[[Category:松山市の地理]]
[[Category:かつて人が住んでいた日本の無人島]]
[[Category:瀬戸内海の島]]
[[Category:季節移住の島]]
[[Category:日本の砂州]]