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'''行政警察活動'''(ぎょうせいけいさつかつどう)とは、公共の安全及び秩序の維持を目的とする[[中央政府]]及び[[地方政府]]の機関による諸活動の総称である。基本的に犯罪の予防及び鎮圧を意味する。 |
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'''行政警察活動'''︵ぎょうせいけいさつかつどう︶とは、[[警察]]のうち[[個人]]の[[権利]]や[[自由]]の[[保護]]を含む[[公共]]の[[安全]]及び[[秩序]]の維持回復を内容とする活動の総称<ref name="kato">{{Cite journal |和書|author = [[加藤康榮]]|title = 行政警察活動と犯罪の事前捜査︵上︶|publisher = 日本大学法学部|journal = 日本法学|volume = 80|issue = 4 }}</ref>。対義語は、[[司法警察活動]]。
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== 概説 == |
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行政警察活動の代表例は、[[警察官]]による警邏(けいら;パトロール)活動であるが、これ以外にも、交通取締りや[[風俗営業]]の許可([[風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律]]3条1項)、[[特定行政庁]]による違反建築物に対する措置([[建築基準法]]9条1項)など、いわゆる規制行政の多くが行政警察活動の概念に含まれる。 |
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行政警察活動の中心は[[犯罪]]の予防([[防犯]])と[[鎮圧]]である<ref name="kato" />。これに対して司法警察活動は犯罪の[[訴追]]もしくは[[処罰]]の準備のための[[捜査]]活動を内容としている<ref name="kato" />。 |
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[[警察官職務執行法]]に基づく[[職務質問]]、犯罪の抑止、武器の使用なども行政警察活動の一環として行われるのが通例である。もっとも、犯罪の捜査を意味する[[司法警察活動]]との違いは紙一重であり、例えば、警邏中に不審人物を発見し、職務質問をしたところ、[[覚醒剤]]を持っていたため[[現行犯逮捕]]する、といった場合などは当初は行政警察活動であったが途中より司法警察活動となっている。そのため、行政警察活動から司法警察活動へは段階的に移行するとか、行政警察活動と司法警察活動は競合する、という考えが提示されている。また、現在では各種警察活動が法定されており、司法警察活動、行政警察活動との区分は無意味である、という説も有力である。 |
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その違いは、紙一重である。例えば、パトロールの最中に不審な人物に[[職務質問]]したところ、[[覚醒剤]]の所持を確認して[[現行犯逮捕]]する、といったように初めに行政警察活動だったのが途中から司法警察活動となるケースもある。 |
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[[機動隊]]によるデモの監視や取締りは広義には行政警察活動に含まれるが、[[治安警察活動]]として別にされることも多い。また、反政府組織などに対する監視と犯罪予防活動は[[公安警察|公安警察活動]]とされ、これも別にされることが多い。行政警察活動としての犯罪の鎮圧権限は警察官などの一部の公務員のみの権限である。 |
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そのため、司法警察活動や行政警察活動の区分そのものが無意味とする説も有力である<ref name="kato"/>。 |
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== 歴史 == |
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=== 大陸法系の手続 === |
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[[フランス]]では[[権力分立]]の理念のもと1795年の法典で警察作用は行政警察と司法警察に区分された<ref name="kato" />。フランスでは1808年の治罪法制定により法律上の区分は廃止されたが、理論上は区分が維持され、1951年の判例さらにフランス刑事訴訟法に継承された<ref name="kato" />。 |
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行政警察と司法警察の区分は制度上も重要であり、裁判管轄上、違法な手続に対する救済手段は、行政警察上のものは行政裁判所、司法警察上のものは司法裁判所に出訴することになる<ref name="kato" />。
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=== 英米法系の手続 === |
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英米法の諸国には司法警察と行政警察という観念は存在しない<ref name="kato" />。 |
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== 脚注 == |
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* 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房) |
* 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房) |
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* 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房) |
* 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房) |
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* 田村正博『警察行政法の基本的な考え方』(立花書房) |
* 田村正博『警察行政法の基本的な考え方』(立花書房) |
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== 関連項目 == |
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* [[司法警察|司法警察活動]] |
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[[Category:警察]] |
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[[Category:日本の警察]] |
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2023年11月30日 (木) 20:44時点における最新版
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概説[編集]
行政警察活動の中心は犯罪の予防︵防犯︶と鎮圧である[1]。これに対して司法警察活動は犯罪の訴追もしくは処罰の準備のための捜査活動を内容としている[1]。 その違いは、紙一重である。例えば、パトロールの最中に不審な人物に職務質問したところ、覚醒剤の所持を確認して現行犯逮捕する、といったように初めに行政警察活動だったのが途中から司法警察活動となるケースもある。 そのため、司法警察活動や行政警察活動の区分そのものが無意味とする説も有力である[1]。歴史[編集]
大陸法系の手続[編集]
フランス[編集]
フランスでは権力分立の理念のもと1795年の法典で警察作用は行政警察と司法警察に区分された[1]。フランスでは1808年の治罪法制定により法律上の区分は廃止されたが、理論上は区分が維持され、1951年の判例さらにフランス刑事訴訟法に継承された[1]。 行政警察と司法警察の区分は制度上も重要であり、裁判管轄上、違法な手続に対する救済手段は、行政警察上のものは行政裁判所、司法警察上のものは司法裁判所に出訴することになる[1]。日本[編集]
第二次世界大戦前の日本の警察制度では警察は広範な権限を有する内務省の管轄下にあって行政警察は警察固有の権限とされていた[1]。戦前の警察制度では公共の安全と秩序の維持という目的のもと警察固有の保安警察のほか狭義の行政警察︵交通・公衆衛生・食品・医薬品・経済・労働分野等の活動︶も含められた[1]。一方、警察の司法警察活動についてはあくまでも検事の補助者としての地位しかなかった[1]。 戦後の警察制度では保安と交通分野だけを警察の権限に残し、他分野の規制や取り締まりは第一次的には各行政機関が担うことになった[1]。また、警察法2条1項により警察官の捜査権限が行政警察と並んで規定されており、警察官は第一次捜査機関たる﹁司法警察職員﹂という位置づけとなった[1]。そのため行政警察と司法警察の区分の実益について議論がある[1]。英米法系の手続[編集]
英米法の諸国には司法警察と行政警察という観念は存在しない[1]。脚注[編集]
参考文献[編集]
- 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房)
- 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房)
- 田村正博『警察行政法の基本的な考え方』(立花書房)