「行政警察活動」の版間の差分
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'''行政警察活動'''︵ぎょうせいけいさつかつどう︶とは、[[警察]]のうち[[個人]]の[[権利]]や[[自由]]の[[保護]]を含む[[公共]]の[[安全]]及び[[秩序]]の維持回復を内容とする活動の総称<ref name="kato">{{Cite journal |和書|author = [[加藤康榮]]|title = 行政警察活動と犯罪の事前捜査︵上︶|publisher = 日本大学法学部|journal = 日本法学|volume = 80|issue = 4 }}</ref>。対義語は、[[司法警察活動]]。
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=== 大陸法系の手続 === |
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=== 規制行政の例 === |
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* [[保健所]]([[食品衛生監視員]]・[[薬事監視員]]・[[毒物劇物監視員]]・他)や[[労働基準監督署]]([[労働基準監督官]])や[[経済産業省]][[資源エネルギー庁]][[原子力安全・保安院]]などによる許認可や立入検査([[臨検]])や[[行政指導]]などの[[行政行為]] |
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* [[建築基準法]](9条1項)に基づく[[特定行政庁]]による違反建築物に対する措置 |
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* [[国土交通省]][[鉄道局]]・[[自動車交通局]]・[[海事局]]・[[航空局]]による技術[[安全]]や[[交通安全]]に関する許認可や立入検査や行政指導などの行政行為 |
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* [[日本の消防|消防]]による[[防火対象物]]に対する[[消防同意]]・予防査察・[[消防用設備]]の設置に関する指導や[[危険物]]の規制(許認可や立入検査や行政指導などの行政行為) |
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* [[総合通信局]]による[[不法無線局]]の取締や[[放送局]]に対する許認可や行政指導などの行政行為 |
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* [[金融庁]]による[[金融機関]]に対する監督や検査(許認可や行政指導などの行政行為) |
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* [[出入国管理]](広義) |
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** [[厚生労働省]]・[[農林水産省]]の[[検疫所]]([[検疫官]]・[[家畜防疫官]]・[[植物防疫官]])による[[検疫]] |
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** [[税関]]([[財務省 (日本)|財務省]][[関税局]])[[税関職員|職員]]による輸出入される貨物の[[通関]]や[[密輸]]の取締 |
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** [[入国管理局]]([[入国警備官]]・[[入国審査官]])による[[出入国管理]](狭義) |
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* [[公安調査庁]]([[公安調査官]])による調査や規制 |
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など、いわゆる'''規制行政'''と呼ばれる活動も含まれ、必ずしも﹁[[日本の警察|警察]]﹂という名称の機関が担う機能に限定されない。[[警察官]]や[[警察署長]]などの担う行政警察活動としては、
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* 警察官による警邏(けいら、パトロール)活動([[警察官職務執行法]]に基づく[[職務質問]]など) |
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* 警察官による[[検問]]や[[道路交通法]]に基づく交通取締 |
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* 警察署長による[[風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律]](3条1項)に基づく[[風俗営業]]の許可 |
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などが挙げられる。 |
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==== 日本 ==== |
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[[第二次世界大戦]]前の[[日本の警察]]制度では警察は広範な権限を有する[[内務省 (日本)|内務省]]の管轄下にあって行政警察は警察固有の権限とされていた<ref name="kato" />。戦前の警察制度では公共の安全と秩序の維持という目的のもと警察固有の保安警察のほか狭義の行政警察︵交通・公衆衛生・食品・医薬品・経済・労働分野等の活動︶も含められた<ref name="kato" />。一方、警察の司法警察活動についてはあくまでも[[検事]]の補助者としての地位しかなかった<ref name="kato" />。
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行政警察活動としての、犯罪の[[鎮圧]]は、[[日本]]では[[日本の警察官|警察官]]など、一部の公務員のみの[[権限]]だとされる。
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戦後の警察制度では保安と交通分野だけを警察の権限に残し、他分野の規制や取り締まりは第一次的には各行政機関が担うことになった<ref name="kato" />。また、[[警察法]]2条1項により警察官の捜査権限が行政警察と並んで規定されており、警察官は第一次捜査機関たる﹁[[司法警察職員]]﹂という位置づけとなった<ref name="kato" />。そのため行政警察と司法警察の区分の実益について議論がある<ref name="kato" />。
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[[機動隊]]によるデモの監視や取締は、広義に行政警察活動に含まれるが、[[治安部隊|治安警察活動]]として別にされることも多い。また、反政府組織などに対する監視などは、[[公安警察|公安警察活動]]とされ、やはり別にされることが多い。
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=== 英米法系の手続 === |
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英米法の諸国には司法警察と行政警察という観念は存在しない<ref name="kato" />。 |
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日本では、行政警察活動から司法警察活動へ段階的に移行する、行政警察活動と司法警察活動とが競合する、との考えが提示されている。また、現在の日本では、﹁{{要出典|date=2015年2月}}各種の法令によって警察活動が法定されているので、司法警察活動や行政警察活動の区分そのものが無意味﹂とする説{{誰|date=2015年2月}}も有力である。
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== 脚注 == |
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== 参考文献 == |
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{{参照方法|date=2023年3月|section=1}} |
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* 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房) |
* 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房) |
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* 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房) |
* 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房) |
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* [[司法警察|司法警察活動]] |
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2023年11月30日 (木) 20:44時点における最新版
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概説[編集]
行政警察活動の中心は犯罪の予防︵防犯︶と鎮圧である[1]。これに対して司法警察活動は犯罪の訴追もしくは処罰の準備のための捜査活動を内容としている[1]。 その違いは、紙一重である。例えば、パトロールの最中に不審な人物に職務質問したところ、覚醒剤の所持を確認して現行犯逮捕する、といったように初めに行政警察活動だったのが途中から司法警察活動となるケースもある。 そのため、司法警察活動や行政警察活動の区分そのものが無意味とする説も有力である[1]。歴史[編集]
大陸法系の手続[編集]
フランス[編集]
フランスでは権力分立の理念のもと1795年の法典で警察作用は行政警察と司法警察に区分された[1]。フランスでは1808年の治罪法制定により法律上の区分は廃止されたが、理論上は区分が維持され、1951年の判例さらにフランス刑事訴訟法に継承された[1]。 行政警察と司法警察の区分は制度上も重要であり、裁判管轄上、違法な手続に対する救済手段は、行政警察上のものは行政裁判所、司法警察上のものは司法裁判所に出訴することになる[1]。日本[編集]
第二次世界大戦前の日本の警察制度では警察は広範な権限を有する内務省の管轄下にあって行政警察は警察固有の権限とされていた[1]。戦前の警察制度では公共の安全と秩序の維持という目的のもと警察固有の保安警察のほか狭義の行政警察︵交通・公衆衛生・食品・医薬品・経済・労働分野等の活動︶も含められた[1]。一方、警察の司法警察活動についてはあくまでも検事の補助者としての地位しかなかった[1]。 戦後の警察制度では保安と交通分野だけを警察の権限に残し、他分野の規制や取り締まりは第一次的には各行政機関が担うことになった[1]。また、警察法2条1項により警察官の捜査権限が行政警察と並んで規定されており、警察官は第一次捜査機関たる﹁司法警察職員﹂という位置づけとなった[1]。そのため行政警察と司法警察の区分の実益について議論がある[1]。英米法系の手続[編集]
英米法の諸国には司法警察と行政警察という観念は存在しない[1]。脚注[編集]
参考文献[編集]
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- 警察庁総務課監修『新版注解警察官職務執行法』(立花書房)
- 古谷洋一『注釈 警察官職務執行法〔改訂版〕』(立花書房)
- 田村正博『警察行政法の基本的な考え方』(立花書房)