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#転送 [[筋力トレーニング#筋力向上のしくみ]] |
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[[File:Heterochronism of adaptation.svg|thumb|400px|﹁超回復の異時性﹂のグラフ。パラメーターによって、トレーニング後の疲労からの回復にかかる期間と、超回復の期間は違う。なお[[腱]]や[[骨]]は[[筋肉]]よりも回復に長い時間がかかる]]
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'''超回復'''(ちょうかいふく、'''supercompensation''' )とは、[[スポーツ科学]]の理論において、トレーニングした部位の機能および限界に関して、トレーニング後の一定の期間、トレーニング前よりも高いパフォーマンス能力を獲得することを言う<ref>{{Cite web|url=http://www.humankinetics.com/excerpts/excerpts/defining-supercompensation-training|title=Defining supercompensation training|date=March 9, 2009|website=human-kinetics}}</ref>。 |
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== 概要 == |
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[[File:Supercompensation.svg|thumb|right|400px|トレーニング前、トレーニング、回復、超回復]] |
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トレーニングにおける人間の体のフィットネスは4つの段階に分けられる。すなわち、運動前、トレーニング中、回復、そして「超回復」である。トレーニング前の状態では、トレーニングの対象となる部位は基礎レベルの体力を持っている(グラフの最初の期間で示される)。トレーニングを行うと、トレーニングを行った部位の体力は下がる(グラフの2番目の期間で示される)。トレーニング後、体は回復期間に入り、体力は基礎レベルにまで増加していく(グラフの3番目の期間で示される)。人体の調整機能により、次のトレーニングを見越してもっと高い体力を持つ必要性を、人体の組織は自ら理解するので、人間の体力は基礎レベルに達しても回復が終わらず、さらに増加する。その時点から、人間の体力は基礎レベルを超えた「超回復」の期間に入る(グラフの4番目の期間で示される)。トレーニングの続きがないと、人間の体力は次第に基礎レベルに落ちていく(グラフの最後の期間で示される)。この理論はロシアの科学者であるNikolai N. Yakovlev (1911–1992)が1949年から1959年の間に示したもので、<ref>{{Cite journal|title=Early contributions of Russian stress and exercise physiologists|first=Atko|last=Viru|date=April 17, 2002|journal=Journal of Applied Physiology|volume=92|issue=4|pages=1378–1382|doi=10.1152/japplphysiol.00435.2001|pmid = 11896000}}</ref>運動競技のトレーニングの基礎理論となっている。 |
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回復期間中に次のトレーニングが行われると、[[オーバートレーニング]]が発生する可能性がある。超回復期間中に次のトレーニングが行われると、体力はさらに高いレベルへと進む。次のワークアウトが超回復期間が終わった後に行われる場合、体力は基礎レベルからやり直しとなる。 |
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トレーニングを組み合わせることもできる。たとえば、回復期間中に意図的にいくつかのトレーニングを行って、より大きな超回復効果を達成することがある<ref>{{Cite journal|last=Marrier|first=Bruno|last2=Robineau|first2=Julien|last3=Piscione|first3=Julien|last4=Lacome|first4=Mathieu|last5=Peeters|first5=Alexis|last6=Hausswirth|first6=Christophe|last7=Morin|first7=Jean-Benoît|last8=Meur|first8=Yann Le|date=2017-01-25|title=Supercompensation Kinetics of Physical Qualities During a Taper in Team Sport Athletes|journal=International Journal of Sports Physiology and Performance|volume=12|issue=9|pages=1163–1169|doi=10.1123/ijspp.2016-0607|pmid=28121198|issn=1555-0265}}</ref> |
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== 超回復とトレーニングプログラムとの関係 == |
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一見すると、効果的なトレーニングプログラムの作成は簡単に見えるかもしれない。必要なのは、強度レベルと、超回復期間に到達するまでにかかる時間を決定することだけである。その後、事前に決められた強度レベルでトレーニングを続け、超回復に必要とされるインターバルを次のワークアウトの時まで保てばよい。ただし、トレーニングは多くの異なる身体部位やパラメーターに影響を与えるため、状況はさらに複雑になる。体のそれぞれの部位およびパラメーターは、回復のために必要な時間も異なり、超回復のピークに達するために必要な時間も異なり、また超回復のピークから基礎体力に戻るまでの時間も異なっている。 |
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上で述べた部位とパラメータは基本的なものである。筋力と筋肉量は複合的なパラメータである。中でも、筋肉量とはたくさんの単純なパラメータが複合された物と言える。一例を挙げると、筋肉内のグリコーゲンの量は、筋肉量に影響を与える基本的なパラメータである。
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== 実践における超回復 == |
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古典的なスポーツ科学においては、1年間(場合によっては複数年)をマイクロサイクルとマクロサイクルに分けて考える。各マイクロサイクルにおいては特定の(場合によっては複数の)部位およびパラメーターを機能向上させる基礎トレーニングが行われ、マクロサイクルにおいては複合的な部位およびパラメーター群(筋力など)の機能向上が行われる。各マイクロサイクルにおいて、休息期間は、現在トレーニングしている部位およびパラメータが超回復の段階まで到達するまでに必要となるのと同じ期間が設けられる(その期間中、メイン部位の回復に悪影響を与えるようなことは何もしてはならない)。このようなトレーニング方法は、向上させる部位およびパラメーターが相互に関連していない場合にのみ機能するが、残念ながら、筋力と筋肉量においては、各部位およびパラメーターが複雑に関連しているため、これは当てはまらない。したがって、筋力と筋肉量を向上させるためには異なるアプローチが必要となる。トレーニングサイクル中、トレーニングの強度と量を変化させ、トレーニングの波を重層的に積み重ねることで、マイクロサイクルの最後まで、身体部位において要求される超回復が達成される。 |
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==References== |
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==External links== |
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*{{cite web |url=http://www.teamunify.com/cseksc/__doc__/Shea_FatigueRecoverySupercompensation-2.pdf |title=Fatigue, Recovery, and Supercompensation |first=Jason |last=Shea }} |
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*{{cite book|author1=Bompa, Tudor O.|author2=Haff, Greg|title=Periodization: theory and methodology of training|url=https://books.google.com/books?id=09mT_sJ6KxoC&pg=PA18|accessdate=30 September 2011|date=10 August 2009|publisher=Human Kinetics|isbn=978-0-7360-8547-2|pages=18–}} |
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*{{cite book|author=Janssen, Peter G. J. M.|title=Lactate threshold training|url=https://archive.org/details/lactatethreshold00jans|url-access=registration|accessdate=30 September 2011|year=2001|publisher=Human Kinetics|isbn=978-0-7360-3755-6|pages=[https://archive.org/details/lactatethreshold00jans/page/151 151]–}} |
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*{{cite book|author=Fee, Earl W.|title=The Complete Guide To Running: How To Be A Champion From 9 To 90|url=https://books.google.com/books?id=kviGin1ahRoC&pg=PA119|accessdate=30 September 2011|date=30 April 2005|publisher=Meyer & Meyer Verlag|isbn=978-1-84126-162-1|pages=119–}} |
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[[Category:スポーツ科学]] |
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[[Category:生物学]] |
2020年5月20日 (水) 16:23時点における版
概要
超回復とトレーニングプログラムとの関係
一見すると、効果的なトレーニングプログラムの作成は簡単に見えるかもしれない。必要なのは、強度レベルと、超回復期間に到達するまでにかかる時間を決定することだけである。その後、事前に決められた強度レベルでトレーニングを続け、超回復に必要とされるインターバルを次のワークアウトの時まで保てばよい。ただし、トレーニングは多くの異なる身体部位やパラメーターに影響を与えるため、状況はさらに複雑になる。体のそれぞれの部位およびパラメーターは、回復のために必要な時間も異なり、超回復のピークに達するために必要な時間も異なり、また超回復のピークから基礎体力に戻るまでの時間も異なっている。 上で述べた部位とパラメータは基本的なものである。筋力と筋肉量は複合的なパラメータである。中でも、筋肉量とはたくさんの単純なパラメータが複合された物と言える。一例を挙げると、筋肉内のグリコーゲンの量は、筋肉量に影響を与える基本的なパラメータである。実践における超回復
古典的なスポーツ科学においては、1年間︵場合によっては複数年︶をマイクロサイクルとマクロサイクルに分けて考える。各マイクロサイクルにおいては特定の︵場合によっては複数の︶部位およびパラメーターを機能向上させる基礎トレーニングが行われ、マクロサイクルにおいては複合的な部位およびパラメーター群︵筋力など︶の機能向上が行われる。各マイクロサイクルにおいて、休息期間は、現在トレーニングしている部位およびパラメータが超回復の段階まで到達するまでに必要となるのと同じ期間が設けられる︵その期間中、メイン部位の回復に悪影響を与えるようなことは何もしてはならない︶。このようなトレーニング方法は、向上させる部位およびパラメーターが相互に関連していない場合にのみ機能するが、残念ながら、筋力と筋肉量においては、各部位およびパラメーターが複雑に関連しているため、これは当てはまらない。したがって、筋力と筋肉量を向上させるためには異なるアプローチが必要となる。トレーニングサイクル中、トレーニングの強度と量を変化させ、トレーニングの波を重層的に積み重ねることで、マイクロサイクルの最後まで、身体部位において要求される超回復が達成される。References
- ^ “Defining supercompensation training”. human-kinetics (2009年3月9日). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
- ^ Viru, Atko (April 17, 2002). “Early contributions of Russian stress and exercise physiologists”. Journal of Applied Physiology 92 (4): 1378–1382. doi:10.1152/japplphysiol.00435.2001. PMID 11896000.
- ^ Marrier, Bruno; Robineau, Julien; Piscione, Julien; Lacome, Mathieu; Peeters, Alexis; Hausswirth, Christophe; Morin, Jean-Benoît; Meur, Yann Le (2017-01-25). “Supercompensation Kinetics of Physical Qualities During a Taper in Team Sport Athletes”. International Journal of Sports Physiology and Performance 12 (9): 1163–1169. doi:10.1123/ijspp.2016-0607. ISSN 1555-0265. PMID 28121198.