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'''軍事政権'''︵ぐんじせいけん、[[英語]]‥military dictatorship︶は、 |
'''軍事政権'''(ぐんじせいけん、[[英語]]:military dictatorship)は、[[軍隊]]が直接的に政治を執行する統治形態<ref name="平凡社" >『[[世界大百科事典]]』([[平凡社]])「軍事政権」の項目</ref>。 |
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なお、外国軍による[[占領行政]]を意味する「軍政」は軍事政権統治ではない。「自国の軍人が自国の文民に代わって全権を掌握し執政を行なう」のが軍事政権である。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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近代国家の原理では、軍隊は国家体制の存立を担保する強制装置ではあるが、[[議会政治]]の後景にあって『軍隊の政治的中立性』を保つべきことを建前としている<ref name="平凡社" />。、しかし現実には軍隊指導部(軍エリート)は政治的に重要な地位を占めやすい。近年の戦闘技術の発展は、軍事技術と産業技術との相互依存関係を不可欠に作り出しており、軍隊指導部(軍エリート)と財界指導部と高級官僚層の統合が進み、いわゆる「[[軍産複合体]]」になっている<ref name="平凡社" />。そのため軍エリートの「政治的中立性」はほとんど建前のみとなり、重要な政治的役割を果たすことになる<ref name="平凡社" />。ただ議会政治や政党政治が安定している中においては議会政治原理の建前から軍エリートの政治行動は基本的に影の部分で行われるのが一般的である<ref name="平凡社" />。 |
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軍事政権は軍首脳が直接的に政権担当を行うことで、[[文民統制]]などの一般的な抑止装置が働かない状態にある。具体的には[[戒厳令]]を布告したり[[憲法]]を停止するなどして、[[行政権]]・[[立法権]]・[[司法権]]を一手に掌握する。またイデオロギーに基づく独裁的支配が憲法によって認められている場合も、軍事政権とは異なる形体として類別される。ただしイデオロギー色の薄い軍事政権が名目的に[[社会主義]]的[[独裁]]を標榜することもあり、境界は曖昧である。 |
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一般的に、[[現役]]や[[予備役]]にある[[佐官]]・[[将官]]︵尉官・下士官や兵卒には政治力はない︶が、憲法上の手続きを踏まずに[[大統領]]や[[首相]]などの政治の要職を占める︵具体的には集団で銃を突きつけて脅迫し、全権を自分に譲渡させたのち退任させる︶か、﹁**評議会﹂のような最高機関を設けて統治を行うといった形をとることが多い。
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軍事政権は自らを非常時における過渡的政権として正当化を図ることが多い。実際に公約どおり短期間で民政移管がなされる場合もあるが、そういった国ではその後もたびたび[[クーデター]]が起って政局が不安定になることがある。また民政移管を約束しながら数十年にわたり政権に居座る場合や、自由選挙を行っても結果が自分達の気に入る者︵[[軍部]]出身者や軍人の候補が当選する、[[軍部大臣現役武官制]]が認められる︶でなければ﹁不正があった﹂などの理由をつけて民政移管を中止する例もある。
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官僚組織の一種である軍隊は選挙や市場原理などによる自浄作用が働かず、国の利益より軍組織や軍首脳の利益を優先しがちになる欠点がある。職業政治家による[[民主政]]に対して効率性等で劣る為、現在先進国で軍事政権をとる国家はない。{{要出典範囲|date=2017年6月20日|ただし、民政の形をとりながら、[[文民統制]]が働かず、軍が政治に強い影響力を持つ国(例えば、[[パキスタン]]、[[タイ王国|タイ]]、[[エジプト]]、[[朝鮮民主主義人民共和国]]があり、過去の例としては[[統帥権干犯問題]]が表面化した1930年代から新憲法制定までの[[大日本帝国|日本]]等)も存在する}}。 |
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<!--要出典 |
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== 現在の例 == |
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=== 現在軍事政権が統治する国 === |
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* {{flagicon|Thailand}} [[タイ王国]]([[タイ軍事クーデター (2014年)|2014年のクーデター]]による 同国は立憲君主制で国王は政治的実権がない) |
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=== 形式上は民政だが、軍が極めて強い影響力を持つ国 === |
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* {{flagicon|North Korea}} [[朝鮮民主主義人民共和国|朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)]]([[1998年]]-現在) |
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: 党よりも軍を優先するとされる[[先軍政治]]を標榜。[[2011年]][[12月17日]]の死去まで指導していた[[金正日]][[朝鮮労働党中央委員会総書記|は朝鮮労働党総書記]]と[[朝鮮民主主義人民共和国国防委員会|国防委員長]]を兼任し、その後任の[[金正恩]]も同じく朝鮮労働党第一書記と国防委員会第一委員長を兼任していた︵[[2009年]]の憲法改正により、﹁国防委員長﹂は﹁国防委員会第一委員長﹂に改称︶。2016年現在も、国防委員会の後継の﹁国務委員会﹂委員長の肩書が﹁国家の最高指導者﹂として規定されている。
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== 過去の例(近代以降) == |
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注:歴史上の大多数の体制は軍事政権に分類されるため、以下の一覧は近代以降を記載する。 |
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=== アフリカ === |
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* {{flagicon|Algeria}} [[アルジェリア]]([[1965年]]-[[1976年]]、[[1992年]]-[[1994年]]) |
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* {{flagicon|Benin}} [[ベナン]]([[1963年]]-[[1964年]]、[[1965年]]-[[1970年]]、[[1972年]]-[[1987年]]) |
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* {{flagicon|Burkina Faso}} [[ブルキナファソ]]([[1966年]]-[[1970年]]、[[1980年]]-[[1991年]]) |
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* {{flagicon|Burundi}} [[ブルンジ]]([[1966年]]-[[1993年]]) |
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* {{flagicon|Central African Republic}} [[中央アフリカ共和国]]([[1966年]]-[[1976年]]、[[1981年]]-[[1985年]]、[[2003年]]-[[2005年]], [[2013年]]-[[2014年]]) |
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* {{flagicon|Chad}} [[チャド]]([[1975年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|Comoros}} [[コモロ]]([[1999年]]-[[2002年]]) |
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* {{flagicon|Democratic Republic of the Congo}} [[コンゴ民主共和国]]([[1965年]]-[[1967年]]) |
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* {{flagicon|Republic of the Congo}} [[コンゴ共和国]]([[1968年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|Cote d'Ivoire}} [[コートジボワール]]([[1999年]]-[[2000年]]) |
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* {{flagicon|Equatorial Guinea}} [[赤道ギニア]]([[1979年]]-[[1987年]]) |
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* {{flagicon|Egypt}} [[エジプト]]([[1952年]]-[[1958年]]、[[2011年]]-[[2012年]]、[[2013年]]-[[2014年]]) |
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* {{flagicon|Ethiopia}} [[エチオピア]]([[1974年]]-[[1987年]]) |
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* {{flagicon|The Gambia}} [[ガンビア]]([[1994年]]-[[1996年]]) |
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* {{flagicon|Ghana}} [[ガーナ]]([[1966年]]-[[1970年]]、[[1972年]]-[[1979年]]、[[1981年]]-[[1993年]]) |
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* {{flagicon|Guinea}} [[ギニア]]([[1984年]]-[[1991年]]、[[2008年]]-[[2010年]]) |
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* {{flagicon|Guinea-Bissau}} [[ギニアビサウ]]([[1980年]]-[[1984年]] [[2012年]]) |
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* {{flagicon|Lesotho}} [[レソト]]([[1986年]]-[[1993年]]) |
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* {{flagicon|Liberia}} [[リベリア]]([[1980年]]-[[1984年]]) |
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* {{flagicon|Libya}} [[リビア]]([[1969年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|Madagascar}} [[マダガスカル]]([[1972年]]-[[1975年]]、[[1977年]]-[[1991年]]) |
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* {{flagicon|Mali}} [[マリ共和国]]([[1968年]]-[[1976年]]、[[1991年]]-[[1992年]]、[[2012年]]) |
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* {{flagicon|Mauritania}} [[モーリタニア]]([[1978年]]-[[1992年]]、[[2005年]]-[[2007年]]、[[2008年]]-[[2009年]]) |
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: モーリタニアでは、タヤ政権による独裁体制が続いていたが、タヤ大統領に反発する軍の一派が蜂起。タヤ政権を打倒して、軍事政権を樹立。民主化プロセスを推進して、新憲法制定、自由選挙を行い、民主政権へと移行した。軍政が民主化を達成したというケースである。同様のケースとしては[[ポルトガル]]の[[カーネーション革命]]がある。2008年8月、文民政権が腐敗、強権政治を行なっているとして、再び軍事クーデターが発生。2009年に大統領選挙が実施された。
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* {{flagicon|Niger}} [[ニジェール]]([[1974年]]-[[1989年]]、[[2010年]]-[[2011年]]) |
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* {{flagicon|Nigeria}} [[ナイジェリア]]([[1966年]]-[[1979年]]、[[1983年]]-[[1999年]]) |
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* {{flagicon|Rwanda}} [[ルワンダ]]([[1973年]]-[[1975年]]) |
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* {{flagicon|Sierra Leone}} [[シエラレオネ]]([[1967年]]-[[1968年]]、[[1992年]]-[[1996年]]、[[1997年]]-[[1998年]]) |
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* {{flagicon|Somalia}} [[ソマリア]]([[1969年]]-[[1976年]]、[[1980年]]-[[1991年]]) |
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* {{flagicon|Sudan}} [[スーダン]]([[1958年]]-[[1964年]]、[[1969年]]-[[1986年]]、[[1989年]]-[[1996年]]) |
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* {{flagicon|Togo}} [[トーゴ]]([[1967年]]-[[1969年]]) |
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* {{flagicon|Uganda}} [[ウガンダ]]([[1971年]]-[[1979年]]、[[1985年]]-[[1986年]]) |
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=== アメリカ大陸 === |
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* {{flagicon|Argentina}} [[アルゼンチン]]([[1930年]]-[[1932年]]、[[1943年]]-[[1946年]]、[[1955年]]-[[1958年]]、[[1966年]]-[[1973年]]、[[1976年]]-[[1983年]]) |
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* {{flagicon|Bolivia}} [[ボリビア]]([[1861年]]-[[1871年]]、[[1876年]]-[[1880年]]、[[1930年]]-[[1931年]]、[[1936年]]-[[1944年]]、[[1951年]]-[[1952年]]、[[1964年]]-[[1966年]]、[[1969年]]-[[1979年]]、[[1980年]]-[[1982年]]) |
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* {{flagicon|Brazil}} [[ブラジル]]([[1889年]]-[[1894年]]、[[1964年]]-[[1985年]]) |
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* {{flagicon|Chile}} [[チリ]]([[1891年]]-[[1896年]]、[[1924年]]-[[1925年]]、[[1927年]]-[[1931年]]、[[1973年]]-[[1990年]]) |
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* {{flagicon|Colombia}} [[コロンビア]]([[1953年]]-[[1958年]]) |
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* {{flagicon|Costa Rica}} [[コスタリカ]]([[1870年]]-[[1876年]]、[[1877年]]-[[1882年]]、[[1917年]]-[[1919年]]、[[1948年]]-[[1949年]]) |
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* {{flagicon|Cuba}} [[キューバ]]([[1933年]]-[[1940年]]、[[1952年]]-[[1955年]]) |
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* {{flagicon|Dominican Republic}} [[ドミニカ共和国]]([[1916年]]-[[1922年]]、[[1930年]]-[[1961年]]) |
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* {{flagicon|Ecuador}} [[エクアドル]]([[1876年]]-[[1883年]]、[[1937年]]-[[1938年]]、[[1963年]]-[[1966年]]、[[1972年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|El Salvador}} [[エルサルバドル]]([[1885年]]-[[1911年]]、[[1931年]]-[[1935年]]、[[1944年]]-[[1980年]]) |
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* {{flagicon|Guatemala}} [[グアテマラ]]([[1944年]]-[[1945年]]、[[1957年]]-[[1958年]]、[[1963年]]-[[1966年]]、[[1970年]]-[[1986年]]) |
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* {{flagicon|Haiti}} [[ハイチ]]([[1950年]]-[[1956年]]、[[1986年]]-[[1990年]]) |
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* {{flagicon|Honduras}} [[ホンジュラス]]([[1903年]]-[[1907年]]、[[1956年]]-[[1957年]]、[[1963年]]-[[1971年]]、[[1972年]]-[[1982年]]) |
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* {{flagicon|Mexico}} [[メキシコ]]([[1877年]]-[[1911年]]) |
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* {{flagicon|Nicaragua}} [[ニカラグア]]([[1937年]]-[[1947年]]、[[1950年]]-[[1956年]]、[[1967年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|Panama}} [[パナマ]]([[1968年]]-[[1989年]]) |
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* {{flagicon|Paraguay}} [[パラグアイ]]([[1940年]]-[[1948年]]、[[1954年]]-[[1993年]]) |
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* {{flagicon|Peru}} [[ペルー]]([[1845年]]-[[1872年]]、[[1876年]]-[[1879年]]、[[1886年]]-[[1895年]]、[[1914年]]-[[1915年]]、[[1930年]]-[[1931年]]、[[1933年]]-[[1939年]]、[[1948年]]-[[1950年]]、[[1962年]]-[[1963年]]、[[1968年]]-[[1980年]]) |
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* {{flagicon|Suriname}} [[スリナム]]([[1980年]]-[[1988年]]) |
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* {{flagicon|Uruguay}} [[ウルグアイ]]([[1876年]]-[[1879年]]、[[1973年]]-[[1985年]]) |
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* {{flagicon|Venezuela}} [[ベネズエラ]]([[1908年]]-[[1935年]]、[[1952年]]-[[1959年]]) |
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=== アジア === |
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* {{flagicon|Bangladesh}} [[バングラデシュ]]([[1976年]]-[[1981年]]、[[1982年]]-[[1990年]]) |
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* {{flagicon|Myanmar}} [[ミャンマー]](ビルマ)([[1942年]]-[[1945年]][[8月15日]]、[[1958年]]-[[1960年]]、[[1962年]]-[[2011年]][[2月11日]]) |
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{{Main|ミャンマー#軍事政権時代}} |
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* {{flagicon|Cambodia}} [[カンボジア]]([[1966年]]-[[1967年]]、[[1969年]]-[[1975年]]) |
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* {{flagicon|Indonesia}} [[インドネシア]]([[1942年]]-[[2004年]]) |
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:[[1967年]]-[[1998年]]間では [[スカルノ]]軍事政権・[[スハルト|ハジ・ムハンマド・スハルト]]軍事政権が主な例。 |
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* {{flagicon|Iraq}} [[イラク]]([[1949年]]-[[1950年]]、[[1952年]]-[[1953年]]、[[1958年]]-[[1979年]]) |
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* {{flagicon|Japan}} [[大日本帝国]]([[1941年]]-[[1944年]])[[東條内閣]]当時。 |
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* {{flagicon|South Korea}} [[大韓民国]]([[1961年]]-[[1979年]]、[[1980年]]-[[1988年]]) |
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: 韓国については、職業軍人出身の[[朴正煕]]・[[全斗煥]]・[[盧泰愚]]が[[大統領 (大韓民国)|大統領]]であった時期を「軍事(独裁)政権」と呼ぶことも多い。しかし、あくまで形式的に解釈するならば、「軍事政権」に分類できるのは朴が[[5・16軍事クーデター|軍事クーデター]]で政権を奪取後、現役軍人の身分を保持したまま「[[国家再建最高会議]]議長」として執政した時期(1961-63年)に限られる、という捉え方もある。 |
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* {{flagicon|Laos}} [[ラオス]]([[1959年]]-[[1960年]]) |
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: [[ラオスの歴史]]、[[ラオス内戦]]も参照。 |
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* {{flagicon|Pakistan}} [[パキスタン]]([[1958年]]-[[1971年]]、[[1977年]]-[[1988年]]、[[1999年]]-[[2007年]]) |
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: パキスタンについては隣国[[インド]]や[[中華人民共和国|中国]]との軍事・外交的衝突が非常に多く、特に軍事面では核実験や[[カシミール]]の[[カシミール#カシミール問題|領土問題]]が印象的である。 |
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* {{flagicon|Syria}} [[シリア]]([[1951年]]-[[1954年]]、[[1963年]]-[[1972年]]) |
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* {{flagicon|Thailand}} [[タイ王国]]([[1933年]]-[[1945年]]、[[1946年]]-[[1947年]]、[[1948年]]-[[1973年]]、[[1976年]]-[[1992年]]、[[2006年]]-[[2008年]]、[[2014年]]-現在) |
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* {{flagicon|South Vietnam}} [[ベトナム共和国]]([[1963年]]-[[1975年]]) |
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* {{flagicon|North Yemen}} [[北イエメン]](イエメン・アラブ共和国)([[1962年]]-[[1978年]]) |
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しかし議会支配による国民統合や秩序維持が困難に陥った時、『軍隊の政治的中立性』のイデオロギーから軍が直接に政治的統合・秩序維持を行うことがある。これが軍事政権である<ref name="平凡社" />。「軍隊の中立性」をイデオロギー的背景にした軍エリートが政治的統合の役割を果たす事例は、第二次世界大戦後の[[フランス]]の[[ド・ゴール]]の大統領就任演説など西欧にもその例はみられるが、西欧においては基本的には例外的統治形態である<ref name="平凡社" />。一方戦後に独立して国民国家形成を開始した、いわゆる「[[発展途上国]]」と呼ばれている国々では軍事政権が比較的発生しやすい<ref name="平凡社" />。これらの国々では伝統的部族対立や旧宗主国との結び付きなどによって議会政治の腐敗が起こりがちで軍隊は相対的にその社会の中で最も近代的・集権的集団となりやすい。また軍備の立ち遅れから軍エリートは対外関係にも敏感になりやすく、国際感覚もその社会の中で相対的に進んだ者たちであることが多い<ref name="平凡社" />。この軍エリートの相対的近代性が発展途上国で軍事政権が日常化する傾向を生んでいる<ref name="平凡社" />。 |
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=== ヨーロッパ === |
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* {{flagicon|Bulgaria}} [[ブルガリア]]([[1934年]]-[[1935年]]、[[1944年]]-[[1946年]]) |
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* {{flagicon|Greece}} [[ギリシャ]]([[1936年]]-[[1941年]]、[[1967年]]-[[1974年]]) |
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: [[ギリシャ軍事政権]]。 |
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* {{flagicon|Hungary}} [[ハンガリー]]([[1944年]]-[[1945年]]) |
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* {{flagicon|Poland}} [[ポーランド]]([[1926年]]-[[1935年]]、[[1981年]]-[[1983年]]) |
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* {{flagicon|Portugal}} [[ポルトガル]]([[1917年]]-[[1919年]]、[[1926年]]-[[1933年]]) |
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* {{flagicon|Romania}} [[ルーマニア]]([[1940年]]-[[1945年]]) |
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: [[イオン・アントネスク]]政権。 |
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* {{flagicon|Spain}} [[スペイン]]([[1923年]]-[[1930年]]、[[1939年]]-[[1975年]]) |
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: [[フランシスコ・フランコ]]政権。なお、[[フランコ体制下のスペイン|この時期]]は[[立憲君主制|立憲君主]]ではなく[[独裁政治|独裁君主︵総統︶制]]であった。
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=== オセアニア === |
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* {{flagicon|Fiji}} [[フィジー]]([[1987年]]、[[2000年]]、[[2006年]]-[[2014年]]) |
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==参考文献== |
==参考文献== |
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* Finer, S. E. 1969. The man on horseback: The role of the military in politics. London: Pall Mall Press. |
* Finer, S. E. 1969. The man on horseback: The role of the military in politics. London: Pall Mall Press. |
2017年7月14日 (金) 05:30時点における版
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政治シリーズ記事からの派生 |
政治体制 |
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政治体制の分類と対立軸 |
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概要
近代国家の原理では、軍隊は国家体制の存立を担保する強制装置ではあるが、議会政治の後景にあって﹃軍隊の政治的中立性﹄を保つべきことを建前としている[1]。、しかし現実には軍隊指導部︵軍エリート︶は政治的に重要な地位を占めやすい。近年の戦闘技術の発展は、軍事技術と産業技術との相互依存関係を不可欠に作り出しており、軍隊指導部︵軍エリート︶と財界指導部と高級官僚層の統合が進み、いわゆる﹁軍産複合体﹂になっている[1]。そのため軍エリートの﹁政治的中立性﹂はほとんど建前のみとなり、重要な政治的役割を果たすことになる[1]。ただ議会政治や政党政治が安定している中においては議会政治原理の建前から軍エリートの政治行動は基本的に影の部分で行われるのが一般的である[1]。 しかし議会支配による国民統合や秩序維持が困難に陥った時、﹃軍隊の政治的中立性﹄のイデオロギーから軍が直接に政治的統合・秩序維持を行うことがある。これが軍事政権である[1]。﹁軍隊の中立性﹂をイデオロギー的背景にした軍エリートが政治的統合の役割を果たす事例は、第二次世界大戦後のフランスのド・ゴールの大統領就任演説など西欧にもその例はみられるが、西欧においては基本的には例外的統治形態である[1]。一方戦後に独立して国民国家形成を開始した、いわゆる﹁発展途上国﹂と呼ばれている国々では軍事政権が比較的発生しやすい[1]。これらの国々では伝統的部族対立や旧宗主国との結び付きなどによって議会政治の腐敗が起こりがちで軍隊は相対的にその社会の中で最も近代的・集権的集団となりやすい。また軍備の立ち遅れから軍エリートは対外関係にも敏感になりやすく、国際感覚もその社会の中で相対的に進んだ者たちであることが多い[1]。この軍エリートの相対的近代性が発展途上国で軍事政権が日常化する傾向を生んでいる[1]。参考文献
- Finer, S. E. 1969. The man on horseback: The role of the military in politics. London: Pall Mall Press.
- Huntington, S. P. 1969. Political order in changing societies. New Haven: Yale Univ. Press.
- 内山秀夫訳『変革期社会の政治秩序 上下』サイマル出版会、1972年
- Janowitz, M. 1964. The military in the development of new nations. Chicago: Univ. of Chicago Press.
- Janowitz, M. 1977. Military institutions and coercion in developing nations. Chicago: Univ. of Chicago Press.
- Kennedy, G. 1974. The military in the third world. London: Duckworth.
- Stepan, A. 1971. The military in politics: Changing patterns in Brazil. Princeton: Princeton Univ. Press.
- Stepan, A. 1988. Rethinking military politics: Brazil and the southern Cone. Princeton: Princeton Univ. Press.