「DIPS (野球)」の版間の差分
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マクラッケンはその後の研究で、DIPS2.0と呼ばれる改良式を提示した。この式では、変化球投手の評価精度を高めるほかに、[[BABIP]]︵ホームラン・三振以外での打率︶との相関性を追求している。しかし、公式成績に出ていない指標と小数の係数を多く含めているため、計算が煩雑になっている。その一方で、 |
マクラッケンはその後の研究で、DIPS2.0と呼ばれる改良式を提示した。この式では、変化球投手の評価精度を高めるほかに、[[BABIP]]︵ホームラン・三振以外での打率︶との相関性を追求している。しかし、公式成績に出ていない指標と小数の係数を多く含めているため、計算が煩雑になっている。その一方で、[[カナダ]]の[[トム・タンゴ]]︵[[:en:Tom Tango|Tom Tango]]︶は、DIPSの簡易版として[[FIP]]を提唱している。
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*DIPS2.0={フェアフライによるアウト数×(-0.041)+ゴロによるアウト数×0.05+ファウルフライによるアウト数×0.251+ライナーによるアウト数×0.224+与四球数×0.316+与死球数×0.43-奪三振数×0.12}÷投球回数×9 |
*DIPS2.0={フェアフライによるアウト数×(-0.041)+ゴロによるアウト数×0.05+ファウルフライによるアウト数×0.251+ライナーによるアウト数×0.224+与四球数×0.316+与死球数×0.43-奪三振数×0.12}÷投球回数×9 |
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なお、アメリカ・メジャーリーグでは投手の配球を投手自身が判断して決めることが多いため﹁被本塁打は投手のみに責任がある﹂とみなすのに対して、日本のプロ野球では捕手が投球の球種やコースを判断して投手をリードするのが通常であるため、監督やコーチが﹁本塁打を打たれた責任は投手ではなく捕手の配球にある﹂として捕手を叱ることが多く、被本塁打は﹁投手のみに責任がある部門﹂とは言い切れないことから、DIPSを日本のプロ野球にも適用できるかどうかは見方が分かれている。
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なお、アメリカ・メジャーリーグでは投手の配球を投手自身が判断して決めることが多いため﹁被本塁打は投手のみに責任がある﹂とみなすのに対して、日本のプロ野球では捕手が投球の球種やコースを判断して投手をリードするのが通常であるため、監督やコーチが﹁本塁打を打たれた責任は投手ではなく捕手の配球にある﹂として捕手を叱ることが多く、被本塁打は﹁投手のみに責任がある部門﹂とは言い切れないことから、DIPSを日本のプロ野球にも適用できるかどうかは見方が分かれている。
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2010年11月14日 (日) 23:31時点における版
DIPS︵ディーアイピーエス︶はDefense Independent Pitching Statisticsの略で、アメリカ合衆国で提唱された全く新しいタイプの投手の査定方法である。
ボロス・マクラッケン︵Voros McCracken︶が考案したDIPSのコンセプトは、投手の成績を﹁投手自身でコントロールできる部門﹂と﹁投手自身ではコントロールできない部門﹂に分けて、﹁投手自身でコントロールできる部門﹂だけで投手を評価することである。﹁全ての投手はインプレイ率が毎年安定している﹂という事実の発見から、失点の増減には野手の守備と運の要素が大きくかかわると考えた。そこでインプレイの要素を最初から無視し、投手のみに責任がある要素である奪三振、与四球、被本塁打から投手を評価しようとする指標がDIPSである。
なお、アメリカ・メジャーリーグでは投手の配球を投手自身が判断して決めることが多いため﹁被本塁打は投手のみに責任がある﹂とみなすのに対して、日本のプロ野球では捕手が投球の球種やコースを判断して投手をリードするのが通常であるため、監督やコーチが﹁本塁打を打たれた責任は投手ではなく捕手の配球にある﹂として捕手を叱ることが多く、被本塁打は﹁投手のみに責任がある部門﹂とは言い切れないことから、DIPSを日本のプロ野球にも適用できるかどうかは見方が分かれている。
概要
DIPSが定義する﹁投手自身ではコントロールできない部門﹂とは勝利、敗戦、勝率など︵いずれも、味方打線や救援投手の影響を大きく受ける︶と同時に、被安打や自責点、防御率も入る。これらは主に守っている野手の影響が大きく関与するが、その野手の違いを数値化するのが極めて難しいので、最初から無視してしまうのがDIPSのコンセプトとなっている。 一方で、﹁投手自身でコントロールできる部門﹂とは、奪三振、与四球、被本塁打の三部門であり、DIPSで投手を順位付けをする場合は基本的にこの三部門によって行われる。 元来、投手の責任とされていた、被安打や自責点の増減を﹁守っている野手の影響が大きく、投手の責任とはできない﹂としたDIPSのコンセプトはアメリカのセイバーメトリクスの間で大きな議論を巻き起こしたが、被安打や自責点の増減を投手の責任とするだけの根拠は見つからず、野手による不確定要素を排除して﹁投手自身でコントロールできる部門﹂だけを基準としたDIPSの有用性が実証された形となった。 DIPSを算出する方法はいくつかあり、時には奪三振、与四球、被本塁打以外に投手が打たれた二塁打と三塁打も投手の責任とする方法があるが、多くの場合、投手が打たれた二塁打と三塁打の記録を見ることができないので、奪三振、与四球、被本塁打だけで算出する方法が主流である。 ポピュラーな方法は﹁DIPSera﹂と呼ばれる方法で以下の2つの式が使われることが多い。 ●︵与四球×3+被本塁打×13-奪三振×2︶÷投球回+3.2 ●DIPSの初期の公式に当たる。 ●︷(与四球-故意四球+死球︶×3+被本塁打×13-奪三振×2︸÷投球回+3.12 マクラッケンはその後の研究で、DIPS2.0と呼ばれる改良式を提示した。この式では、変化球投手の評価精度を高めるほかに、BABIP︵ホームラン・三振以外での打率︶との相関性を追求している。しかし、公式成績に出ていない指標と小数の係数を多く含めているため、計算が煩雑になっている。その一方で、カナダのトム・タンゴ︵Tom Tango︶は、DIPSの簡易版としてFIPを提唱している。 ●DIPS2.0=︷フェアフライによるアウト数×︵-0.041︶+ゴロによるアウト数×0.05+ファウルフライによるアウト数×0.251+ライナーによるアウト数×0.224+与四球数×0.316+与死球数×0.43-奪三振数×0.12︸÷投球回数×9なお、アメリカ・メジャーリーグでは投手の配球を投手自身が判断して決めることが多いため﹁被本塁打は投手のみに責任がある﹂とみなすのに対して、日本のプロ野球では捕手が投球の球種やコースを判断して投手をリードするのが通常であるため、監督やコーチが﹁本塁打を打たれた責任は投手ではなく捕手の配球にある﹂として捕手を叱ることが多く、被本塁打は﹁投手のみに責任がある部門﹂とは言い切れないことから、DIPSを日本のプロ野球にも適用できるかどうかは見方が分かれている。