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この項目では、小松左京の短編小説について説明しています。現実世界における壁については「メキシコとアメリカの壁」をご覧ください。 |
アメリカの壁︵アメリカのかべ︶は小松左京の短編小説。1977年に発表された[1]。
孤立主義を標榜するアメリカ大統領の下で突如アメリカの白い霧の壁に覆われ、アメリカが外部と交通や通信が断たれるというストーリー[1][2]。冷戦下の1977年にアメリカが日本と切り離されたらどうなるかという問題意識を喚起した[2]。
小松の秘書によると、当時はベトナム戦争から撤退したばかりでアメリカ社会には世界中で発生する紛争に係り続けることへの疲労感がある時代の中であり、小松は元アメリカ国務省関係者などの親しい友人を通じて若干の内部事情を得ていたという[1][3]。
社会への影響[編集]
小松が小説を発表した約40年後に紛争や移民の問題がある中で﹁アメリカファースト﹂を掲げるドナルド・トランプが2016年11月のアメリカ大統領選挙で当選して翌2017年1月に大統領に就任し、選挙中にアメリカは世界の安全保障のために不当に多く負担させられていると訴えた他、不法移民対策としてメキシコとの国境に約3200キロメートルの壁を造る方針を示したことなどで、現実が40年前の小説と類似していると話題になった[1][2]。
(一)^ abcd﹁論説委員の目=1977年の﹁アメリカの壁﹂﹂﹃西日本新聞﹄西日本新聞社、2017年5月7日。
(二)^ abc﹁小説﹁アメリカの壁﹂に注目 外部と断絶 現状と類似 小松左京40年前発表﹂﹃読売新聞﹄読売新聞社、2017年2月27日。
(三)^ ﹁米国の壁 鬼才が予言?40年前のSF﹁孤立主義横行﹂ 小松左京短編 電子書籍に﹂﹃毎日新聞﹄毎日新聞社、2017年2月9日。