エルフ (トールキン)
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エルフ︵英語: Elves、 単数形はElf︶は、J・R・R・トールキンの、﹃ホビットの冒険﹄、﹃指輪物語﹄﹃シルマリルの物語﹄に登場する種族。中つ国に住む自由の民のひとつ。
クウェンディ、イルーヴァタールの長子、最初に生まれたものたち、エルダール、などと呼ばれる。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/Divisions_of_the_Quendi_colour.png/768px-Divisions_of_the_Quendi_colour.png)
エルダールとアヴァリの分裂と、カラクウェンディとモリクウェンディ、 ウーマンヤールの分裂を表すベンダイアグラム。
起源[編集]
クイヴィエーネン[編集]
かれらは、ヴァラールに手を加えられることなく、イルーヴァタール自身によって創造されたイルーヴァタールの子らのうち、クイヴィエーネンの湖のほとりで先に目覚めたものたちであった。中つ国にはまだかれらのほかに話す者はなく、自らをかれらの言葉でクウェンディ︵話す者︶と名付けた。かれらを偶然見いだしたオロメはかれらをエルダール︵星の民︶とよんだ。かれらは星の光の下に目覚めたからである。ヴァラールの招き[編集]
オロメはヴァラールにエルフの目覚めを伝えた。ヴァラールの多くはエルフと親しみたいと願い、全てのエルフをアマンの地に招くことにした。しかしエルフははじめヴァラールを恐れ、招きに応じなかった。そこでオロメは、イングウェ、フィンウェ、エルウェの三人を使節として選び、ヴァリノールへと送った。かの地でヴァラールと二本の木の光を見たかれらは、クイヴィエーネンに戻ると、同胞たちに西方への移住を勧めた。エルフの分裂[編集]
西方への旅の途中、エルフたちの間には多くの分裂が生じた。アヴァリ[編集]
三人の使節の勧めをきいたあとも、まだ見ぬヴァリノールよりも中つ国の星の光と大地を好ましく思い、旅立たないものもいた。かれらは旅立つものたちから﹁気の向かないもの﹂アヴァリ︵Avari︶と呼ばれた。かれらの多くはテレリであり一部はノルドールであったが、エルダールとは異なるものとしてただアヴァリと呼ばれた。 第一紀にヒルドーリエンで目覚めた最初の人類たちの友人となり、教師となった。エルダールに比べれば文化や能力で劣るかれらも、覚醒したばかりの人間よりはずっと優れていたからである。第四紀のはじめ、エルダールが海を渡ったあとも、多くのアヴァリが中つ国にいた。 なお﹃シルマリルの物語﹄や﹃指輪物語﹄にはアヴァリは登場しない。エルダール[編集]
西方へと旅立ったエルフは﹁エルダール﹂として知られる。これはオロメがエルフ全体につけた呼び名だが、エルフたちはこれに﹁アヴァリ﹂を含まなかった。エルダールには三部族がある。イングウェに率いられたヴァンヤール、フィンウェに率いられたノルドール、エルウェとオルウェに率いられたテレリ︵リンダール︶である。 神々の住まうアマンにたどり着き、二本の木の光を見たものたちである、ヴァンヤール、ノルドール、ファルマリは、しばしば﹁上かみのエルフ﹂︵High Elves︶とも呼ばれる。ヴァンヤール[編集]
西方への旅の第一陣、全エルフの上級王であるイングウェに率いられた民はヴァンヤールと呼ばれた。金髪をもち、言葉と詩歌を愛するエルフで、マンウェとヴァルダはかれらをもっとも愛した。西方への旅を終え、その全員がアマンの地に住んだ。怒りの戦いへの出陣をのぞけば、二度と中つ国に戻ることはなかった。ノルドール[編集]
西方への旅の第二陣、フィンウェに率いられた民はノルドールと呼ばれた。黒髪をもち、手わざと知識を愛するエルフで、アウレと親しんだ。アヴァリとなったものを除けば、その全員がアマンの地にたどりついた。その知識への渇望のためメルコールに悪意を吹きこまれ、自ら作った宝への愛のためモルゴスの挑発にのせられた。多くがモルゴスを追って中つ国へと戻り、多くの勲しと悲しみを生んだ。テレリ[編集]
西方への旅の第三陣、エルウェとその弟オルウェに率いられた民は、先行するエルダールによってテレリ︵最後に来るもの︶と呼ばれた。かれらは全員がヴァリノールに移る気持ちになっていたわけではなく、その歩みは遅かったからである。しかしかれらが自身につけた名前はリンダール︵唄い手︶であった。テレリの数は多く、二人の王をいただいた。銀髪をもち、水を愛するエルフで、そのためかれらの歩みは遅く、ついにアマンの地を踏まないものもいた。 テレリには多くの分裂が生じた。以下にその種類を挙げる。 ファルマリ 多くの分裂を経ながら、オルウェに率いられついに船でアマンにたどり着いたテレリは、ここでも海に魅入られアマンの海辺に住むようになった。そこでかれらはファルマリ︵海のエルフ︶と呼ばれた。 ウーマンヤール 光のエルフたちは、ついにアマンの地をふまず二本の木の光をみなかったテレリをウーマンヤールと呼んだ。ウーマンヤールの分類[編集]
ファラスリム エルウェとオルウェに率いられたテレリの歩みは遅く、ヴァンヤールとノルドールが海を渡ったとき、まだ東ベレリアンドにいた。エルウェが失踪したため、先に進む気になれなかったのである。しかしヴァンヤールとノルドールがアマンの地へ去ったことを知らされると、かれらはベレリアンドの西の岸辺へと急ぎ、オルウェを王にいただいた。その地でオルウェの民はオッセとウイネンの寵愛を受け、海を深く愛するようになった。オルウェの民がついにアマンへと渡るとき、オッセに説得されてベレリアンドの岸辺、ファラスの地に留まったものたちがいた。かれらはキーアダンを領主とし、ファラスリム︵ファラスに住むもの︶と呼ばれた。 シンダール テレリの一行が東ベレリアンドに留まっていたとき、エルウェはフィンウェの野営地を求めてひとりあるいた。かれはナン・エルモスの森でメリアンと出会い、長いあいだ見つめあい、かれの民のもとへは戻らなかった。そこでオルウェが王となり、かれの民を率いてアマンへと渡っていった。しかしエルウェの友人たちはベレリアンドに留まり、自らをエグラス︵見捨てられたもの︶と呼んだ。そしてエルウェが姿をあらわすと、かれを灰色マント王シンゴルとして王にいただいた。かれらは中つ国に戻ったノルドールから、シンダール︵灰色エルフ︶と呼ばれた。かれらは自身の言葉では単にエゼル︵エルフの意、複数形:エジル、集合名詞:エゼルリム︶と称した。 ナンドール オルウェに率いられたテレリのうち、レンウェに率いられた一行は、アンドゥインを渡って霧ふり山脈を越えることを望まなかった。かれらはアンドゥインを南下し、ついに河口までたっしたものもあった。他のエルフからは長いあいだ忘れ去られ、ナンドール︵引き返すもの︶になった。ナンドールは他のエルフよりも中つ国の生類にくわしくなった。あるものはまた北上し、霧降り山脈を越えたともいう。 かれらからはデネソールに率いられたライクウェンディと、シルヴァン・エルフが分かれた。 ライクウェンディ オークや狼が出現したとき、ナンドールたちは大きな恐怖におそわれて散り散りになった。かれらは弓矢のほかに武器を持たなかったからである。レンウェの息子デネソールは、シンダールの繁栄を耳にして、集められるだけのナンドールを率いてベレリアンドにはいった。かれらはエルウェに歓迎され、オッシリアンドに住みついた。ここでかれらはライクウェンディ︵緑のエルフ︶と呼ばれた。 シルヴァン・エルフ 怒りの戦いのあと、荒廃したベレリアンドを捨てて、内陸へと向かうエルダールたちがいた。かれらはそこでシルヴァン・エルフ︵森のエルフ︶と出会い、ともに王国をつくった。シルヴァン・エルフの来歴は詳らかではないが、離散したナンドールと思われる。光のエルフと暗闇のエルフ[編集]
二本の木の光を見たエルフたち、ヴァンヤール、ノルドール、ファルマリは、自らをカラクウェンディ︵光のエルフ︶と呼んだ。カラクウェンディは、ついにアマンの地を踏まなかったテレリたちをウーマンヤール︵アマンに住まぬもの︶と呼んだ。また二本の木の光を見なかったウーマンヤールとアヴァリを、モリクウェンディ︵暗闇のエルフ︶とよんだ。 カラクウェンディとモリクウェンディの間には、文化や力量において大きな差があった。しかしシンダールの中でエルウェ︵シンゴル︶だけは二本の木の光を直接仰いでいるので、かれ1人はカラクウェンディに属する。また、かれを王と仰いだシンダールの民もカラクウェンディに遜色ないまでに発展を遂げたという。![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/Divisions_of_the_Quendi_colour.png/768px-Divisions_of_the_Quendi_colour.png)