クロスカントリースキー

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: cross-country skiing

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 (Fédération Internationale de Ski=FIS) "Cross-Country" ("Distance")"Langlauf""Ski de Fond" () () 
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 (FIS)  (/FIS) 

歴史[編集]

コース[編集]

市街地の公道から公園の林間まで、天然ないし人工で積雪しているあらゆる場所がコースとして設定される。古くは集落間の生活道路で行われており、この形態を守りながら継続されている国際競技会が幾つか存在している。
路面は圧雪され、コースカッターと呼ばれる器具でトラック (2条の溝) 加工が、クラシカル走法によるレースではコース全般にわたり、フリー走法によるレースでは下り坂など必要な個所に施される。
国際大会開催には国際スキー連盟、国内公式大会開催には全日本スキー連盟、それぞれのコース基準を満たし公認されていなければならない。

  • 常設コース
路盤整備しクロスカントリー専用または雪のない季節のサイクリング、ウォーキングなどと共用する常設コースもあり、これらには周回路として、平地、丘陵の登坂と降坂、直線と屈曲などを意図的に採り入れ高い競技性となるように設計されている場合も多い。

走法[編集]

クラシカル走法[編集]

古くから伝統的に用いられてきた走法技術のみが認められ、スケーティングによる推進は認められない。大きく摺り足する様にスキーを左右交互に滑らせる交互滑走 (ダイアゴナル)、左右同時に突いたスキーポールを支持点にし腰・背中の屈曲によって揃えたスキーを滑らせる推進滑走、スキーをV字状に大きく開き雪面に内側エッジを掛ける様に左右交互に置いて坂を登る開脚登行、またはこれらのバリエーション的走法をコース地形や状況に応じて使い分ける。必然的に開脚登行を要する上り坂を除き、コースの大半がトラック内での滑走となる。

フリー走法[編集]

走法技術に一切の制限がなく、下り坂で滑降する場合を除き、事実上コース全般をスケート滑走技術をスキーに応用したスケーティングでの滑走となる。スケーティング技術にはサイドキックの左右サイクルに対するスキーポールを突くタイミングで数種類のバリエーションがあり、コース地形や状況に応じて使い分ける。またスキーポールを突かないスケーティング技術もあり、主に滑降時に加速させる時にはスキーポールを脇に抱え、ゴールスプリントなど全力加速にはスピードスケート同様前屈して両腕を大きく振る。

競技形式[編集]

インターバル・スタート[編集]


 (30) 

57.5101530501015

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101530503050

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5 + 57.5 + 7.510 + 1015 + 15

20132014

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57.51015

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134421

12.53.357.510(1) X (1) 

[]


611.80.81.4663030

[]


124511.80.81.436

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使使使

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1 (100)4011000 (750)
  • クラシカル用
フリー走法用よりも少し長く軽い場合が多い。トップの反り上がり (ショベル) が大きく、交互滑走時に後方へスキーを蹴り上げた際、トップと雪面に十分な余裕が取られている。ビンディング取り付け箇所直下の滑走面前後数十センチはグリップゾーンと呼ばれ、滑走性が意図的に削除されており、雪面に食い付くワックス (グリップワックス) を塗ったり、後方へ滑らないうろこ状加工が施される。ダブルアーチベンドと呼ばれる特殊なアーチベンドが用いられており、スキーヤーの質量が掛かった状態でグリップゾーン前後のグライディングゾーン全面が雪面に接する一方、グリップゾーンは雪面に接しない程度の僅かなアーチベンドが残り、交互滑走時などの踏み込み荷重で雪面に接する様にフレックスが調整されている。
グリップワックス
スキー競技の中でもクロスカントリー・クラシカル走法特有のワックスであり、大衆クロスカントリーを除くほぼすべての競技機材に用いられる。交互滑走には踏み込み時にスキーを雪面に留める必要がある為、敢て雪に食い付く成分で配合されている。雪の温度や状態により多様な選択肢がある半面、選択を誤るとグリップ不足や滑走性を損なうなど競争力低下を招く場合がある。
  • フリー用
クラシカル走法用よりも少し短く重い場合が多い。幅が中央部に対し前後が数ミリ広い僅かな弧 (サイドカーブ) を成しており、サイドキック開始から終了にかけて滑走速度が増加するに従い、進行方向に対するスキーの斜角が緩くなりパワーが効率よく運動エネルギーへ変換されるようになっている。スケーティング黎明期の1980年代にはエッジにアルペンスキーと同様の研磨された鋼を嵌めたものもあった。

スキーポール[編集]

極めて軽量である。グリップが肩の高さに対しクラシカル走法では少し低く、フリー走法では少し高くなる長さのものが用いられる。ストラップはポール後方押し出し時に掌を確保し伸びや変形によるパワーロスを極力抑える特殊な形状となっている。バスケットは雪面に引っかからないよう後方にのみ広がる形状であり、圧雪に貫入しない最小限の大きさとなっている。石突 (チップ) は小さく、先端が鋭く、前方へ傾いている。

ビンディング[編集]

スキーとは靴の先端部のみ又は補助的に靴底とも接続する構造であり、踵は解放されている。競技用としては事実上2メーカー (フランスのサロモン社、ノルウェーのロッテフェラー英語版ノルウェー語版社) のシステムに集約されており、それぞれの専用靴底とセット運用される。両システムともに靴底先端下部に埋め込まれた金属製横軸をくわえる様に接続し、それを支点に靴の垂直方向へのスイングを可能とすると同時に、靴先上部を後方へ押し返したり、靴底を下方へ引き戻すなど、復元力が働く機構を備えている。

  • クラシカル用
靴の復元力が弱く、システム全体はシンプルで軽い。
  • フリー用
靴の復元力が強い。高い捻じれ剛性を持ち、プレートをスキーとの間に挟みシステム全体を嵩上げする場合もあり、全体に重い。

スキー靴[編集]

一般的なスポーツシューズと同様に甲部を紐で締める (シューレーシング) 構造となっており、雪の浸入を防ぐアッパーカバーを備えている。靴底は、ビンディングシステムとセット運用する専用品である。

  • クラシカル用シューズ
踝から上の動きを妨げないローカット形状である。

軽く、シンプルなシューズ

  • フリー用ブーツ
脹脛直下まで立ち上がった高剛性のカフを備えたブーツ形状である。甲部のシューレーシングに加えて、カフをベルクロストラップで締め、サイドキックでのパワーロスを極力抑える構造となっている。クラシカル用に比較して靴底が硬い。
  • スキーアスロンブーツ
スキーアスロンにおいて、大きなタイムロスを伴うスキー靴履き替えを行わず連続使用するため、両走法に対応できる仕様となっている。フリー用に近いブーツ形状であるが、脛の動きに余裕があり、靴底は柔らかい。

主要大会[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]